I.3 | ノート

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音声解説
  Chest Cee最初の3文字が‘C’ ‘h’ ‘e’であるため、HCEの‘C’が本章の主題であると考えられる。テノール歌手の歌唱で「高いC」は‘chest C’とも呼ばれる。しっかりと発声するのが難しい音だが、パヴァロッティをはじめ少数の歌手にはこれができた。録音の一例はこちら。また、イエス・キリストの名前をみだりに口にして冒涜することを避けるための工夫として、Jesus Christの短縮形のJ.C.がさらにChest Ceeに変わったとも読める。さらに、フランス語でc’estは「つまり」「それは」なので、「つまり、彼・彼女(s/he)だ」とも読める。! ’Sdense!シェイクスピア式の毒づきで、「神の死」(His Death)の短縮形。 Corpo di barragio!イタリア語で「バッコスの身体!」が転じて「なんだって!」(By Jove!)という意味。他にbarragioは「ダム」(God damnと響く)や「銃の乱射」(英語だとbarrage)の意味もある。Corno di Bassettoは「バセットホーン」というクラリネットに似た管楽器のこと。 you spoof of visibility in a freakfog, of mixed sex cases「性(犯罪)」(sex)を扱った「裁判」(case)。直前の‘mixed’は、以下に続く部分での両性具有のモチーフを示唆する。 among goats, hill cat and plain mousey山羊(goat)は強く卑猥な性欲の象徴。キリスト教ではサタンとも関連付けられている。「丘猫」(hill cat)はhell catとも読めるが、これは「悪魔」「魔女」の他に「性欲旺盛な人間」も表す。plain mouseyは「平凡な女性」を表すときに使われる。他に、丘(hill)と平地(plain)。, Bigamy Bob誰かの名前を忘れたとき、英語の俗語でその人をthingamabobと呼ぶ。英語でbigamyは「重婚」(biは「二重の」、gamyは「結婚」という意味)。 and his old Shanvochtアイルランド語でsean bhean bhocht(シャン・ヴァン・ヴォクト)は「貧しい老婆」という意味で、アイルランドの象徴としてよく使われる。例えば、イェイツの『キャサリーン・ニ・フーラハン』の主人公がそう。ここでは上記HCEと対になるALPのことか。アイルランドの国粋主義の歌には‘The Shan Van Vocht’()があるほか、ジェームズ・マーフィーが19世紀に書いた小説のタイトルにも用いられている。! The Blackfriarsロンドンの中心街の地区名「ブラックフライアー修道院」(Blackfriar Priory)に由来する。ヘンリー8世がアラゴンのキャサリンと離婚を成立させた修道院の所在地でもある。ドミニコ会の別称「黒衣の修道会」も。 treacle plaster1912年にロンドンのBlackfriarsで起こった有名な強盗事件。強盗犯が銀行から出てきた職員の顔を茶色の張り紙(treacle plaster)で覆い、手に持っていたお金の袋を強奪した。ちなみに、「茶色の張り紙」(treacle plaster)は一般的に、窃盗犯や強盗犯がガラスを壊す際に破片の飛散防止のために貼り付ける紙を指す。ここでは卵男ハンプティの破片が飛び散るのを防ぐイメージを喚起する。第1巻第2章に出てきた 糖蜜トム(Treacle Tom)も指すか。 outrage be liddledルイス・キャロル『不思議の国のアリス』の主人公のモデルとなったアリス・リデル! Therewith was released in that kingsrick of Humidia現アルジェリアに存在した古代ベルベル王国ヌミディアが響く。kingrickは古風な英語で「王国」を意味するが、1960年代アメリカの「ブラック・パンサー」運動の先導者「リック王」(King Rick)を事後的に読み込むのも面白いか。シェイクスピアの描いた残虐な王リチャード3世も。 a poisoning volume of cloud barrageダブリンのテノール歌手Arthur Barracloughが仄めかされる。第1次世界大戦時に徴兵され出征した理髪師のArthur Barracloughも響くか。 indeed. Yet all they who heard or redelivered are now with that family of bards and Vergobretas古代ガリア人の部族「ハエドゥイ族」では、族長がVergobretと呼ばれていた。 himself and the crowd of Caraculacticors1世紀にローマ侵攻に抵抗したブリトン族の族長カラタコスカラカルはアフリカから西アジアにかけて生息する中型のネコ科動物。 as much no more as be they not yet now or had they then notever been旧約聖書「シラの書」44:8–9より。「その中には、名をとどめた人がいる、その名は今も尊ばれ、人の口に上っているが、中には、何の記憶もとどめず、存在しなかった者のように消えていった人もある。彼らは、まるでいなかった人間のようで、その後をついだ子どもたちも同様だった」。. Canbe in some future we shall presently here amid those zouave『シアター・ロイヤル年次録』p.46によると、インカーマン(Inkermann)の劇場の創始者たちのこと。アルジェリア配属のフランス歩兵「ズアーブ兵」も読み取れるか。 players of Inkermannクリミア戦争におけるインカーマンの戦い。これによってロシア軍は戦意喪失し、英仏軍はセヴァストポリ包囲戦へと向かった。同包囲戦にはレフ・トルストイが士官候補生として参加していた。 the mime mumming「もの真似芝居」(Mummer’s Play)が仄めかされる。伝統的には女性役を含め全ての役が男性によって演じられる。ここではミックとニックが女装してマギーズになったということか。 the mick and his nick miming their maggies「ミック」は大天使ミカエル、「ニック」は悪魔の別称であり、ウェールズのスウォンジーに伝わる悪魔‘Old Nick’も示唆する。「マギーズ」はIssyの化身。またMajestiesなどが響くため、「女王」というニュアンスもありえる。『ウェイク』第2巻第1章は「ミックとニックとマギーズのお芝居」というタイトル。同名の単著として1934年に刊行されており、ルチアが絵を添えてもいる。, Hilton St Justイギリスのコーンウォール(かつてアイルランドが植民地支配した地域)には「セント・ジャスト」および「セント・オステル」という町がある。『ユリシーズ』第16挿話「エウマイオス」で、通俗的なテノール歌手の名称として登場する。「またさらには、なるほど人びとの嗜好は近ごろ少しばかり劣化してきてはいるが、あのような独創的な音楽、通俗的な紋切り型とは異なる音楽は、急速に世間を席巻するにちがいない、いかにも、アイヴァン・セント・オステルやらヒルトン・セント・ジャストやらの類いの者たちが公衆の信じやすさにつけこんで矢継ぎ早に繰り出すあのキャッチーなテノール歌唱を聞かされ続けてきたダブリンの音楽界にとって、それはまさに前代未聞の新体験となろう」(‘Besides, though taste latterly had deteriorated to a degree, original music like that, different from the conventional rut, would rapidly have a great vogue as it would be a decided novelty for Dublin’s musical world after the usual hackneyed run of catchy tenor solos foisted on a confiding public by Ivan St Austell and Hilton St Just and their genus omne’)。 (Mr Frank Smithウィリアム・V・ウォラスのオペラ『マリターナ』が1879年にダブリンのシアター・ロイヤルで上演されたとき、フランク・スミスとJ・F・ジョーンズ・スミスが歌手として登壇した。LucanとColemanも併せて、この段落や章は『シアター・ロイヤル年次録』(Annals of the Theatre Royal, Dublin)への参照が多い。舞台は第1巻第2章のゲイエティ劇場からシアター・ロイヤルへ移ったということか。), Ivanne Ste Austelleイギリスのコーンウォール(かつてアイルランドが植民地支配した地域)にはセント・ジャストとセント・オステルという名前の街がある。『ユリシーズ』第16挿話「エウマイオス」で、通俗的なテノール歌手の名前として登場する。「またさらには、なるほど人びとの嗜好は近ごろ少しばかり劣化してきてはいるが、あのような独創的な音楽、通俗的な紋切り型とは異なる音楽は、急速に世間を席巻するにちがいない、いかにも、アイヴァン・セント・オステルやらヒルトン・セント・ジャストやらの類いの者たちが公衆の信じやすさにつけこんで矢継ぎ早に繰り出すあのキャッチーなテノール歌唱を聞かされ続けてきたダブリンの音楽界にとって、それはまさに前代未聞の新体験となろう」(‘Besides, though taste latterly had deteriorated to a degree, original music like that, different from the conventional rut, would rapidly have a great vogue as it would be a decided novelty for Dublin’s musical world after the usual hackneyed run of catchy tenor solos foisted on a confiding public by Ivan St Austell and Hilton St Just and their genus omne’)。 (Mr J. F. Jonesウィリアム・V・ウォラスのオペラ『マリターナ』が1879年にダブリンのシアター・ロイヤルで上演されたとき、フランク・スミスとJ・F・ジョーンズ・スミスが歌手として登壇した。LucanとColemanも併せて、この段落や章は『シアター・ロイヤル年次録』(Annals of the Theatre Royal, Dublin)への参照が多い。舞台は第1巻第2章のゲイエティ劇場からシアター・ロイヤルへ移ったということか。), Coleman of Lucan taking four parts, a choir of the O’Daley O’Doyles doublesixing the chorus in Fenn Mac Call and the Serven Feeries of Loch Neach1844年にシアター・ロイヤルで上演されたパントマイム『フィン・マクールとネイ湖の妖精たち』(Fin M’Coul and the Fairies of Lough Neagh)が仄めかされる。これも『シアター・ロイヤル年次録』に記述がある。一説では、フィンが敵をめがけて国土を投げつけたのが外れてマン島ができ、投げた土があった場所に水がたまってネイ湖になったらしい。, Galloper Tropplerスウィフトの『ガリヴァー旅行記』(Gulliver’s Travels)。 and Hurleyquinnイタリアの喜劇「コメディア・デラルテ」に登場するトリックスター「アルレッキーノ」。道化役として西洋の喜劇にたびたび登場する(フランス語では「アルルカン」(Arlequin)、英語では「ハーレクイン」(Harlequin))。, and the zithererドイツ語でZitiererは「引用する者」。ドイツ南部、オーストリア、スイスなどで使われる弦楽器ツィター。シュトラウス『ウィーンの森の物語』の冒頭と結末で演奏されたりも。 of the past with his merrymen all, zimzim, zimzim. Of the persins sin this Eyrawyggla sagaアイスランドのサーガ『エイルの人々のサーガ』(Eyrbyggja saga) が響く。そこにはアイルランドも登場し、グズライフ(Guðleif)が他の商人たちと一緒にダブリンまで旅をする。 (which, thorough readable to int from and, is from tubb to buttomスウィフト『桶物語』(A Tale of a Tub)。 all falsetissues, antilibellous「名誉毀損への反対」(anti-libel)や、「戦前」(antebellum)が響く。 and nonactionable and this applies to its whole wholume『ウェイク』でよく出てくる言葉の操作。一巻の本(volume)に穴(hole)を開けるイメージでwholumeという造語がされている。詳しくはこちら) of poor Osti-Fosti第1巻第2章終盤のバラッドの歌い手ホスティ(Hosty)。イタリア語でfostiは(英語のbe動詞にあたる)essereの直説法遠過去二人称単数形。ドイツ語でOstは「東」、イタリア語でostiaは「聖体」、osteは「宿屋の主人」。 described as quite a musical genius in a small way and the owner of an exceedingly niced ear, with tenorist voice to match, not alone, but a very major poet of the poorly meritary order (he began Tuonisonianフィンランド神話における死と冥界の神Tuoni。ここへ「チュニジア」(Tunisia)や、詩人の「テニスン」(Tennyson)がかかる。ジョイスがトリエステで英語を教え交友関係を築いたDario de Tuoniも。イタリア語でsuonanti tuoniは「とどろく雷鳴」。 but worked his passage upバラッド‘Finnegan’s Wake’の歌詞‘and to rise in the world he carried the hod’と響く。 as far as the we-all-hang-together Animandovitesイタリア語でanimando vitaは「命を与える」。冥界の神Tuoniとの対比。) no one end is known. If they

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音声解説
whistled him before he had curtains up they are whistling him still after his curtain’s doom’s doom. Ei fùイタリア語で「彼はいた」(he was)。. His husband, poor old A’Hara (Okaroff?)アイルランド語でa charaは「我が友へ」。よく手紙に添える。同性の夫がほのめかされている。「アルファ」(A)と「オメガ」(Ω)の対比も。 crestfallen by things and down at heels at the time, they squeak, accepted the (Zassnoch!アイルランド語で「サクソン人」を意味するSasanachから。英語のSassenachも同義。『ユリシーズ』第1挿話でバック・マリガンがヘインズを揶揄して使う。チェコ語でzas nocは「また夜だ」、ロシア語でzasnutは「眠りにつく」。) ardree’s shillingアイルランド語でArdrí na hÉireannは「アイルランド上王」。徴兵志願することをtake the king’s shillingと言うので、ここではアイルランド軍に徴兵されていくイメージ。 at the conclusion of the Crimean warクリミア戦争が言及される際にはほぼ常に、『ウェイク』第2巻第3章で語られることになるバクリーとロシア将軍の物語が仄めかされると考えてよい。 and, having flown his wild geese一般名詞としては「雁」を意味するが、固有名詞としては、17世紀後半から20世紀初頭にかけてカトリック教国(特にフランス)に移住し傭兵となったアイルランド人を指す。1691年にウィリアマイト戦争が終結した際、アイルランドのジャコバン派の多くは国外へ移住したが、これが‘The Flight of the Wild Geese’と呼ばれている。, alohned in crowds to warnder on like Shuley Luneyドイツ語でLohnは「給料」。 ‘Alone in Crowds to Wander On’は、トマス・ムーアによる同題の詩をアイルランドの伝統曲‘Siúil a Rún’の旋律にのせた曲()。, enlisted in Tyrone’s horse1607年の「伯爵の逃亡」(Flight of the Earls)。当時アイルランドではイギリスによる支配が拡大していた。イギリスの敵国であるスペインの力を借りてアイルランドの国土を奪還しようと、当時のティローン伯爵ヒュー・オニールとティルコネル伯爵ローリー・オドンネルは一旦アイルランドから逃亡して欧州大陸に渡った。, the Irish whitesジャガイモの品種。白いスモックを着て18世紀アイルランドで反乱を起こしたWhiteboysも仄めかされる。マルクスの「袋一杯のジャガイモ」に、当時のアイルランド人はならなかった!, and soldiered a bit with Wolseyクリミア戦争におけるアイルランド人の英国陸軍元帥ガーネット・ウォルズリー(Garnet Wolseley)。 under the assumed name of Blanco Fusilovna Bucklovitchロシア将軍を撃ったバクリーへの仄めかし。字義的には「バクリーの息子、フュージリアーの娘ブランコ」という意味で、両性具有が示唆されている。ジョイスの1923年のノートには‘Blanco Buckley is the wild goose’という記述がある。デイヴィッド・ヘイマンの『初稿版フィネガンズ・ウェイク』(1963)では、以下のようになっている。‘O’Donnell somewhat depressed by things, is said to have enlisted at the time of the Crimean war under the name of Buckley’. (spurious) after which the cawerアイルランド語でcathairは「都市」「町」、英語でcawは「カラスの鳴き声」。 and the marble hallsアイルランド出身の作家マイケル・ウィリアム・バルフによる演劇『ボヘミアの少女』。そこに出てくるアリア‘I Dreamt That I Dwelt in Marble Halls’は、『ダブリナーズ』所収の短編「土くれ」の結びに引用されている(最近だとエンヤが歌っている)。第1巻第2章の‘Bo’ Girl’とつなげて考えると、‘boy-girl’に両性具有モチーフが響く。 of Pump Court Columbariumロンドンのパンプ・コート。ラテン語でcolumbariumは「鳩舎」。ダブリンのホテルPigeon Houseも連想できる。このホテルはダブリン湾に面するプールベグに建ち、ブリテン島へ渡るアイルランド人が前夜を過ごす場所だった。アイルランドの守護聖人コロンバも響くか。, the home of the old seakings第2次ボーア戦争に関連する英国詩人の活動を分析したボーデルセンのThe Red White and Blue(1937)では、このフレーズが英国の別名として詩人たちの「お気に入り」であるとされている(詳しくはこちら)。第1巻第1章に登場したグローニュエル(16世紀アイルランドの海賊女王グレース・オマリー)も響く。, looked upon each other and queth their haven evermoreエドガー・アラン・ポーの詩『大鴉』のリフレイン‘Quoth the Raven “Nevermore”’。QをCに変えれば c, h, eの文字が並び、‘HCE’が仄めかされる。イギリス民謡の「3羽のカラス」も響くか。最初のquethをbequeathと読むと、‘bequeath their haven evermore’で「安息所を永久に譲渡する」くらいになる。 for it transpires that on the other side of the water it came about that on the field of Vasileff’s Cornixワシレフのカラス(ラテン語でcornixは「カラス」)。第1巻第1章p.5に出てきた「ワシリー・ブスラエフ」と響く。 inauspiciously with his unit he perished, saying, this papal leafless「教皇の使節」を英語でpapal legateと呼ぶ。leaflessは「イチジクの葉がない=裸体」や「使節が来なかった」という含みもあり、遊び心が読み取れる。 to old chap give, rawl chawclates for mouther-in-louthラウス県。義母(mother-in-law)。英語でmoutherは「口が軽い人」。ボーデルセンのThe Red White and Blue(p. 164)では、第2次ボーア戦争での英国ナショナリズムの歌を参照しつつ次の説明がある。‘In another song a dying soldier says (referring to the Queen’s Xmas gift of boxes of sweets): Give this — it is my last request — Royal chocolate box to mother’.. Booilロシア語でbylは「彼は(そこに)いた」。. Poor old dear Paul Horan第1巻第2章に出てきたPeter Cloranの分身だと思われる。1784年から1785年のダブリン市長ジェイムズ・ホーランも。, to satisfy his literary as well as his criminal aspirations, at the suggestion thrown out by the doomster古風なスコットランド英語で「裁判の判決を言い渡す係や死刑執行人」。現代のつづりではdempsterとも。転じて、HCEに破滅を言い渡した人のことか。 in loquacity, so says the Dublin Intelligenceアイルランドの新聞。1690年9月から1693年10月までという短期間で廃刊となったが、その後1732年まで不定期で再刊と廃刊を繰り返した。, was thrown into a Ridley’sダブリン郊外グレンジゴーマン地区の‘Richmond District Lunatic Asylum (RDLA)’にちなんだ俗称で、同精神病棟のこと。16世紀イギリスでジェーン・グレイ女王を支持しつつプロテスタントからの改宗を拒否したことで殉死したニコラス・リドリー司教も。 for inmates in the northern counties. Under the name of Oraniオラニエ公ウィレムことウィリアム3世。 he may have been the utility man演劇で、最も台詞が少ない役者のこと。 of the troupe capable of sustaining long parts at short notice『シアター・ロイヤル年次録』p.219から。演目は『オーベロン』『ランメルモールのルチア』だった。主演のティーティエンス(Titiens)が欠席したため、若いソプラノ歌手のヴォルピーニ嬢がルチアの役を演じたと言う。ジョイスの娘のルチア・ジョイスも響く。. He was. Sordid Sam, a dour decent deblancerダブリンの愛称‘dear dirty dublin’にかかっているか。, the unwashed‘the (great) unwashed’で「下賎の者たち」「無知な大衆」の意。, haunted always by his ham第1巻第2章p.39で糖蜜トム(Treacle Tom)が燻製肉を盗んだ一幕への言及。ノアの息子のハムも仄めかされる。, the unwished, at a word from Israfel the Summonerイスラム教の終末論において、ラッパを吹き鳴らす天使イスラーフィル。エドガー・アラン・ポーが‘Israfel’という詩を書いている。, passed away painlessly after life’s upsomdownsイギリスのサリーにある競馬場Epsom Downs one hallowe’enハロウィン。アイルランドではHallow’s Eveと書く。Eveを仄めかすすことで、間接的にALPも想起される。 night, ebbrousイタリア語でebbroは「酔っぱらった」。 and in the state of nature16世紀〜17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブズの政治哲学において人間が統治権力を打ち立てる前の「自然状態」のこと。, propelled from Behind into the great Beyondキリスト教における天国。 by footblows coulinclouted16世紀にエドマンド・スペンサーが書いた牧歌詩「コリン・クラウトが故郷へ帰る」(‘Colin Clouts Come Home Againe’)より。トマス・ムーアの歌‘The Coulin’も。 upon his oyster and atlasシェイクスピア『ウィンザーの陽気な女房たち』にみられる表現‘the world’s mine oyster’に加え、世界を支える巨人アトラスが仄めかされていることを踏まえると、「世界」のことか。またoysterが「性器」、atlasが「首のてっぺん」だとすると、「人体」を指すとも考えられる。 on behanged and behooved and behicked and behulked of his last fishandblood bedscrappers, a Northwegian and his mate of the Sheawolvingパーネルの愛人で後の妻となるキャサリン・オシェー。オシェーの元夫のウィリアムは、キャサリンとの離婚裁判でパーネルを召喚し、これが後にパーネル失墜の引き金となった。パーネルはこの一件の最中にアイルランド国民に向けて公開書簡を書き、手紙の内容について‘…will enable you to understand the measure of the loss with which you are threatened unless you consent to throw me to the English wolves howling for my destruction’と説明した。英語でsea-wolfは「海賊」。ここもグローニュエル、ひいてはルチア・ジョイスのモチーフが続く。 class. Though the last straw glimtトマス・ムーアの歌‘Though the last glimpse of Erin with sorrow I see’より。デンマーク語でglimtは「一瞥」。 his baring this stage thunkhard is said (the pitfallen gagged him as ‘Promptboxer’演劇で本番中に舞台役者に指示を出す係。) to have solemnly said — as had the brief thotエジプト神話の知恵の神トト。英語表記はThoth。 but fell in till his head like a bass dropt neck fust in till a bung crate (cogged!)英語スラングで「詐欺だ!」。: Me dramesフランス語でdramesは「ドラマ」「劇」。そこへ「夢」(dreams) や「女性」(dames)がかかっている。, O’Loughlinsアイルランド上王のムイラハルタク・マクロクリンドーナル・オロクリン。アイルランド英語でLochlannは「北欧ヴァイキング」。, has come through! Now let the centuple celves of my egourge「100からなる」を意味する‘centuple’を同義の‘hundredfold’に置き換えると、‘HCE’を読み取ることができる。 as Micholas de Cusack『ユリシーズ』第12挿話に登場する「市民」のモデルでもある、アイルランドのナショナリストでゲーリック体育協会(GAA)の創始者マイケル・キューザック。中世ドイツの哲学者・神学者ニコラウス・クザーヌスも。後述の「反対物の一致」(coincidentia oppositorum)は1440年の随筆「教養ある無知」でクザーヌスが提唱した概念。ミック。 calls them, — of all of whose I in my hereinafter of course by recourseヴィーコの「時代の循環」(ricorso)の概念。 demission me — by the coincidance of their contrariesクザーヌスが「絶対的に最大の存在」すなわち神の状態として提示した概念「反対物の一致」に、「ダンス」が混ざっている。oppositesをcontrariesに変えることで「C」を強調している。両性具有のテーマに照らせば、神があらゆる性別をもつという意味にも取れるか。 reamalgamerge in that indentityライプニッツの「識別不能物の同一性」(The Identity of Indiscernibles)より。2つの物が同一であるためには、すべての属性が一致する必要があるという概念。これにより、仮に2つの物が区別される場合には、それらは同一ではないという結論が導かれる。ここから、質的に完全に同一な2つの物は、いかなる意味において区別されるかという形而上学的な問題が出てくる。ジョイスは「同一性」(identity)に「文頭空白」(indent)を混ぜたうえで「非識別」(undiscernibles)と組み合わせることで、この概念をページ上の言葉の区別と同一性に関するジョークに変えている。

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音声解説
of undiscerniblesライプニッツの「識別不能物の同一性」(The Identity of Indiscernibles)より。2つの物が同一であるためには、すべての属性が一致する必要があるという概念。これにより、仮に2つの物が区別される場合には、それらは同一ではないという結論が導かれる。ここから、質的に完全に同一な2つの物は、いかなる意味において区別されるかという形而上学的な問題が出てくる。ジョイスは「同一性」(identity)に「文頭空白」(indent)を混ぜたうえで「非識別」(undiscernibles)と組み合わせることで、この概念をページ上の言葉の区別と同一性に関するジョークに変えている。 where the Baxters and the Fleshmans英語の死語でbaxters and fleshmansは「パン屋と肉屋」(bakers and butchers)の言い換え。童謡‘rub-a-dub-dub’にパン屋と肉屋が出てくる。Dubは「ダブリンの人」という意味もあるので、rub a dub the wrong wayのような言い回しも連想できる。ジョイスが1919年に恋心を抱いていたスイス人の若い女性マルテ・フライシュマン(『ユリシーズ』のガーティー・マクダウェルやマーサ・クリフォードのモデルになっている)や、ジョイスの息子ジョルジオの妻ヘレン・フライシュマンも。 may they cease to bidivil uns「イザヤ書」1:16–17より「あなたがたは身を洗って、清くなり、 わたしの目の前からあなたがたの悪い行いを除き、 悪を行うことをやめ、善を行うことをならい、公平を求め、 しえたげる者を戒め、 みなしごを正しく守り、寡婦の訴えを弁護せよ」。bidivilは「2つ」を意味するbi-やdi-が入っており、鶏のビディー・ドーラン(Biddy Doran)の名前も響く。unsはドイツ語で「私たちに / 私たちを」(一人称複数代名詞wirの3格および4格)。 and (but at this poingt though the iron thrust of his cockspurt start might have prepared us we are wellnigh stinkpotthered by the mustardpunge in the tailend)フランス語でpoingは「こぶし」。ゼクセロイテンの鐘の音も連想させる。また、紀元前700年頃から紀元前450年くらいまでの中国政治軍事史を綴った古典『春秋左氏伝』には、季平子(きへいし、ジー・ピンジー)と郈昭伯(こうしょうはく、ホー・ジャオバオ)が闘鶏をする場面が記録されている。そこで季氏は自分のニワトリの羽に芥子を塗って相手のニワトリの目をつぶそうとし、郈氏は自分のニワトリの足に鉄の鉤爪をつけて攻撃力をあげた(いずれもイカサマ)。郈氏が勝利したものの、この闘鶏は2つの家族の間に因縁を生み、後にこれが紀元前517年の「闘鶏の変」へとつながる。 this outandin brown candlestock melt Nolan’s into peese!パン屋と肉屋に続いて蠟燭職人が言及されるが、‘the butcher, the baker, the candlestick maker’は「さまざまな職業の人々」の意。‘Nolan’はジョイスの‘The Day of Rabblement’の書き出しで言及されているジョルダーノ・ブルーノのこと。異端信仰の罪で火あぶりにされた。これに「マメ」(peas)と「グレイヴィー」(brown stock)がかかっている。Brown & Nolan’sは出版社ブラウン&ノーラン(Browne & Nolan)とも読める。同社は1920年代にはアイルランドの小学校の教科書も刊行していた。第1巻第1章のプランクイーンの話に出てくるフレーズ‘a poss of porterpease’とも響く。 Han varデンマーク語で「彼はいた」(He was)の意味。. Disliken as he was to druriodramaロンドンのドルーリー通りにはシアター・ロイヤルがあった。そこへアイルランドの「ドルイド僧」をかけている。ちなみに、ドルイド僧は現代にも存在する。インドの叙事詩『マハーバーラタ』に登場する、主要部族のカウラヴァ百人兄弟の長男にして悪魔の化身である「ドゥルヨーダナ」も。, her wife Langley「ラングレー」の名を持つ有名な女性としては、19世紀アイルランドでジャガイモ飢饉の真っ只中に夫に殺されたエレン・ラングレーや、イギリスの洋服デザイナーで売春罪の冤罪をかけられたエリザベス・ラングレーがいる。妻への冤罪や理不尽な処罰というモチーフか。, the prophet, and the decentest dozendest short of a frusker第1巻第2章のFrisky Shortyが仄めかされる。12人いるということは、キリストの12人の弟子ともかかわるか。 whoever stuck his spickle through his spoke, disappeared, (in which toodooing英語の言い回しでtoodle-ooは「さようなら」。カトリック教会の聖歌のひとつ「テ・デウム」も。 he has taken all the French leaves英語の慣用句で‘take a French leave’は「持ち場を放棄する」。エドワード・サリヴァンは『ケルズの書入門』p.23において、『ケルズの書』からは少なくとも24枚のページが抜け落ちていることを説明する際に‘twenty-four leaves of text’という表現を使っている。 unveilable out of Calomnequiller’s Pravities「コルム・キール」は聖コロンバのアイルランド語名。『ケルズの書』はよく「コルム・キールの書」とも呼ばれる。そこへ「通俗記事」「卑俗なもの」(depravities)や「誹謗中傷をする人」(calumniator)がかかる。英語でquillは「羽根ペン」、calamusは特に「羽根ペンでインクが出る付け根の部分」を表す。) from the sourface of this earth, that austral plain19世紀の冒険家アーネスト・ファヴェンツの冒険記『オーストラ大平原』(1887年)が仄めかされる。また、新プラトン派から中世の西洋秘教主義にかけて、生死の狭間の領域として「アストラル界」の存在が想定されていた。 he had transmaried himself to, so entirely spoorlessly (the mother of the bookイスラム教では、コーランはアッラーの玉座の下に保管してある「万書の母」(Umm-ul-Kitab)の忠実な写しだと言われている。 with a dustwhisk tabularasingラテン語でtabula rasaは「何も書いていない板」が転じて「白紙の状態」。ジョン・ロックの哲学も。 his obliteration done upon her involucrumラテン語で「覆い」「封筒」。また、医学用語では骨の外に形成される「骨柩」。) as to tickle the speculative to all but opine (since the Levey who might have been Langley19世紀アイルランドのヴァイオリン奏者のリチャード・マイケル・レヴィー。『シアター・ロイヤル年次録』の共著者でもある。この文脈で「ラングレー」として言及されている人物は、17世紀にクロンメルの戦いで片手を失い鉄の義手をつけていたクロムウェル派の軍人ヘンリー・チャールズ・ラングレー(別名Langley of the Iron Hand)である可能性もある。 may have really been a redivivus of paganinism「異教信仰」(paganism)が音楽家の「パガニーニ」にかかる。パガニーニはあまりにも影響力があり、彼に対する熱狂を意味する「パガニーニ主義」(Paganinism)という言葉が当時の音楽家の間で使われたらしい。 or a volunteer Vousden1849年のヴィクトリア女王のアイルランド来訪やクリミア戦争を歌った‘The Irish Jaunting Car’の作詞を行ったとされるValentine Vousden。) that the hobo (who possessed a large amount of the humoresque) had transtuledラテン語でtranstulitは「運んだ」「訳した」。 his funster’s latitatドイツ語でfinsterは「暗い」、Fensterは「窓」。英語の俗語でlatitatは「弁護士」、funsterは「コメディアン」。 to its finsterest interrimostスペインの最北西にはフィニステレ岬(Cape Finisterre)があり、聖地として巡礼の対象にもなっている。ケルトの老女神オルカベラの墓石などがある。とても景色がよい。. Bhi sheアイルランド語で「彼はあった」。. Again, if Father San Browne「聖ブルーノ」の意味。「父子」(father son)とも読める。カトリック系小説家のG・K・チェスタトンの人気シリーズの主人公ブラウン神父が仄めかされる。ジョルダーノ・ブルーノへの言及から始まるエッセイ‘The Day of the Rabblement’をジョイスはUCDの雑誌St Stephen’sに投稿したが、ヘンリー・ブラウン神父によって掲載を却下された。, tea and toaster英語の慣用句。直訳すると「紅茶とパンしか食べない人」であり、転じて「十分な栄養がとれていない人」を表すようになった(特に弱ったお年寄りを指す場合が多い)。 to that quaintesttest of yarnspinners is Padre Don Brunoジョルダーノ・ブルーノ。ここではなぜか神父(padre)やお頭(don)になっている。, tren and trosterドイツ語で「忠実」、デンマーク語で「優しい」をそれぞれ意味する。 to the queen of Iar-Spainアイルランド語でIar-Spáinnは「西スペイン」。そこへ「耳」(ear)がかかる。, was the reverend, the sodality友愛団体(brotherhood)のことで、カトリック教会の制度。よく慈善活動を行う。 director, that eupeptic viceflayer, a barefaced carmelite跣足(せんそく)カルメル会。聖母マリアと預言者エリヤを崇拝する修道会として、11世紀パレスチナのカルメル山で発足した。アイルランドへは1274年に来た。 to whose palpitating pulpit (which of us but remembers the rarevalent and hornerable Fratomistor Nawlanmore and Brawneイタリア語でfrateは「修道士」。直後の‘sinning society’とあわせて読むと、『ユリシーズ』にも第5挿話から登場するバーナード・ヴォーン神父も連想される。彼の1906年の説教「社交の罪」(‘The Sins of Society’)は大変に人気があったらしいが、内容はかなり平凡で、情愛や低俗なジョークなどを糾弾したもの。.) sinning society sirens (see the [Roman Catholic] presspassim) fortunately became so enthusiastically attached and was an objectionable ass who very occasionally cockaded a raffles ticket on his hatルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』では、「狂った帽子屋」の帽子には値札(ticket)がついている。 which he wore all to one side like the hangle of his pan (if Her Elegance sawCがないHCE。ただし、ラテン文字Cの発音は/k/から/s/へと変わってきた歴史をもつとも言われているため、これを考慮するとSをCに置き換えてHECとすることもできる。 him she’d have the canary!have the canaryは「取り乱す」という意味の慣用表現。) and was semiprivately convicted of malpractices with his hotwashed tableknife (glossing over the cark in his pocket古風な英語でcarkは「不安」。コルク栓(cork)をポケットに入れて不安を紛らした、ということか。) that same snob of the dunhillロンドンのパイプ工房の老舗Dunhill。創始者のアルフレッド・ダンヒルは『パイプの本』(The Pipe Bookを書いた。「平和のパイプ」の民話も載っている。ここでは第1巻第2章の「パイプをくわえたカッド」が仄めかされているか。なお、ホウスにはDun Hillという丘がある。また、『若き芸術家の肖像』第5章におけるスティーヴンの名言‘Whatever else is unsure in this stinking dunghill of a world a mother’s love is not’も想起される。アイルランド語でsnab de’n choinnilは「蠟燭を消す道具」。, fully several yearschaums riper海泡石(Meerschaum)から作られたパイプをMeerschaum pipeと呼ぶ。なかなか、まがまがしい見た目をしている。, encountered by the General on that redletterローマ帝国でカレンダーの重要な日が赤く表記されていたことから、祝祭日を総称してred-letter dayと呼ぶ。 morning or maynoon jovesday雷神ユピテルの別名Jove。フランス語の「木曜日」(jeudi)の語源はラテン語で「ユピテルの日」(dies Jovis)。 and were they? Fuitfuitラテン語で「そうだった、そうだった」。.
  When Phishlin Philアイルランドの作詞・作曲家ウィリアム・パーシー・フレンチの詩‘Whistling Phil McHugh’が仄めかされる。フレンチはトリニティ・カレッジ・ダブリンで工学の学位を得て卒業し、水彩風景画も積極的に描くなど、多彩な才能の持ち主だった。 wants throws his lipパーシー・フレンチの歌‘Come Back Paddy Reilly’の歌詞には‘When Phil threw his lip over “Come Again Soon”, / He’s dance the foot out o’ yer boot!’という一節がある。 ’tis pholly to be fortuneトマス・グレイ「イートン・カレッジの遠景に寄せるオード」(‘Ode on a Distant Prospect of Eton College’)の結びの言葉‘where ignorance is bliss, / ’Tis folly to be wise’より。 flonting and whoever’s gone to mix Hotel by the salt say waterパーシー・フレンチの歌‘Mick’s Hotel’の歌詞には‘Has anybody ever been to Mick’s Hotel, Mick’s Hotel by the salt say water?’という一節がある。この歌は「ミックのホテル」がいかにサービスが悪くてひどいかをひたすら歌っている。当然、Mick / Nick / Maggiesも。 there’s nix to nothing we can do for he’s never again to sea. It is nebuless an autodidact fact of the commonest that the shape of

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音声解説
the average human cloudyphizphizは俗語で「表情」。チャールズ・ディケンズの小説の挿絵を描いたハブロット・ナイト・ブラウンのペンネームがPhizだった。, whereas sallow has long daze fadedトマス・ムーアの歌‘Has Sorrow Thy Young Days Shaded’()の仄めかし。, frequently altered its ego with the possing of the showersアイルランド英語でpossing wetは「どしゃぶり」。第1巻第1章p.21のプランクイーンの台詞‘Why do I am alook alike a poss of porterpease?’も響く。 (Not original!). Whence it is a slopperish matter, given the wet and low visibility (since in this scherzaradeイタリア語のscherzoは「(ソナタなどの)軽快な旋律」、ドイツ語のScherzは「ジョーク」。これに『千一夜物語』の「シェヘラザード」がかかる。 of one’s thousand one nightinesses that sword of certainty which would indentifide the body never fallsダモクレスの剣。古代ギリシアの大王ディオニュシオス2世が、側近のダモクレスに権力の儚さや常在するリスクを悟らせるために、髪の毛1本で天上から剣を吊るした状態でダモクレスをその真下の玉座に座らせたという話から。そこへ‘word of certainty’がかかっている。確信=剣という図式か。) to idendifine the individuoneidentifyとdefineからなる語に、individualとduoおよびoneからなる語が続いているが、前者からはendやfine、後者からはvisualなども読み取れる。 in scratch wig, squarecuts, stock lavaleer, regattable oxeter, baggy pants and shufflersHCEの7つの装備品。scratch wigは喜劇で使われるひょうきんな短髪のカツラ、square cutsは18世紀の男性役者の衣装、stock lavaleerはネッカチーフ、oxterはアイルランド英語で「わきの下」(「(スープ用の)牛の尾」(oxtail)も響くか)。 (he is often alluded to as Slypatrick直前の‘Has Sorrow Thy Young Days Shaded’の旋律‘Sly Patrick’。, the llad in the llaneダブリンにあるラッド・レーン(Lad Lane)はバゴット通りから枝分かれする小さな路地。ウェールズ語でllanは「教会」、スペイン語でllanaは「本のページ」。) with already an incipience (lust!)『ハムレット』第1幕第5場のハムレットの父の亡霊の台詞‘List, list, O, list!’のもじり。 in the direction of area baldness円形脱毛症の別称。 (one is continually firstmeeting with odd sorts of others at all sorts of ages!) who was asked by free boardschool shirkers英語で「寄宿学校の不登校生」。 in drenched coats overawall, Will, Conn and Otto‘will, can, and ought to’との語呂合わせ。Willはオラニエ公ウィレムやウィリアム・シェイクスピア、Connは17世紀から18世紀のアイルランドのホイッグ系政治家のウィリアム・コネリー、そしてOttoはオスマン帝国や19世紀ドイツの政治家オットー・フォン・ビスマルクが響く。, to tell them overagait, Vol, Pov and Dev先ほどのwill, can and oughtのフランス語版‘vouloir, pouvoir et devoir’との語呂合わせ。Volは「ヴォラピュク」や映画館の「ヴォルタ座」(Volta)を仄めかす。Povは、ポヴァニテュクに住むイヌイットの人々の苗字が難しくて発音できない外部の人たちが、この人たちを呼ぶときに使った苗字Pov(ᐱᐅᕖ)を指すか。Devはアイルランドの首相・大統領のエイモン・デ・ヴァレラを想起させる。, that fishabed ghoatstory‘fish story’は、漁師が取り逃した魚の大きさを誇張することから、「疑わしい話」という意味。そこへ「怪談」(ghost story)と「卑猥な話」(goatish story)がかかる。 of the haardly creditable edventyresHCE。eventyrはデンマーク語で「おとぎ話」。 of the Haberdasher, the two Curchies and the three EnkelchumsHCE。Haberdasherは「パブの主人」、curchiesは「ハンカチ」、enkelはデンマーク語で「独身者」、ドイツ語で「孫」。 in their Bearskin ghoats! Girles and jongersデンマーク語で「男の子」。 but he has changed alok syneスコットランドの歌‘Auld Lang Syne’の仄めかし。北欧のトリックスター「ロキ」(Loki)の名も。 Thorkill’s time!「トルケル」は9世紀のアイルランドを拠点としたヴァイキングのトルゲシウスの別名。ボイン川とリフィー川を使って120艘の大船団を率いて837年にダブリンへ侵攻し、現在のダブリン城がある場所へ強大な要塞を築き、アイルランドの他の地域へも支配を拡大したが、845年にミーズ地方のマラキー1世によって倒された。そこへ「トールの殺し」(Thor kill)が混ざる。 Ya, da, tra, gathery, pimp, shesses, shossafat, okodeboko, nine!数字。スコットランド語でyaはae「1」の別つづり、アイルランド語でdóは「2」、tríは「3」、ceathairは「4」、ウェールズ語でpumpは「5」、アイルランド語でséは「6」(seisearは「6人」)、seachtは「7」、ochtは「8」、英語でnineは「9」。‘Yes / No’も。Yaはさまざまな英語方言でYes、Daはロシア語でYes、Nineはドイツ語でNo。 Those many warts, those slummy patches, halfsinster孔子には9人の「異母姉」(half sister)がいた。そこへ「罪」(sin)や「陰険な」(sinister)が混ざる。 wrinkles, (what has come over the face on wholebroader E?「真の兄」(whole-brother)と読むと、孔子の1人の兄が仄めかされるか。), and (shrine of Mount Mu孔子の両親は、男の子が生まれるようにと尼山(にさん)に祈った。ただ、ジョイスが使った資料での英語表記に誤りがあった(=Mount Muになっていた)可能性は高い。現代ではMount Niが正しい。 save us!) the large fungoparkニジェールと西アフリカを探検した18世紀スコットランド人の冒険家ムンゴ・パーク。そこへ「ひげ」の俗称である‘face fungus’をかけたか。パークはニジェール川の水源を目指す旅の道中で亡くなっているが、ニジェール川はナイジェリアへ流れ込む。ナイジェリアは世界有数のギネスビール大量消費国。 he has grown! Drink!
  Sport’s a common thing. It was the Lord’s own day「主の日」(Lord’s day)すなわち日曜日。ロンドンにある‘Lord’s Cricket Ground’(通常はLord’sと短縮される)も響く。1814年頃にトマス・ロードが建設した。 for damp (to wait for a postponed regatta’s eventualising is not of Battlecock Shettledore-Juxta-Mareまず、バドミントンの起源となったスポーツである‘battledore and shuttlecock’が仄めかされている(日本の羽根突きに近い)。ラテン語でjuxta mareは「海の隣」。また、Battlecockは「闘鶏」とも読める。本章中の少し前の箇所でも「闘鶏の変」が言及されていた。 only) and the request for a fully armed explanation was put (in Loo of Pat)英語でin lieu ofは「〜の代わりに」。ここへ孔子の生まれ故郷の「魯国」(ろこく、Lu)や、「ワーテルロー」、そして「聖パトリック」が響く。Looは英語スラングで「トイレ」。 to the porty (a native of the sisterisle — Meathman or Meccan?「ミーズの人か、それともメッカの人か」と読める。 — by his brogue英語でbrogueは「訛り」(特にアイルランドの訛りや方言を指す場合が多い)。‘The Rocky Road to Dublin’の歌詞には‘They said my Connacht brogue / It wasn’t much in vogue’「俺のコナハト訛り / もう流行りじゃなくなり」という一節がある。(ちなみに「コナハト」にはドイツ語で「夜」を意味するNachtが入っている!), ex-race eyes, lokil calour and lucal odour「レントゲン」(x-ray)、北欧神話の「ロキ」、そしてダブリンの「ルーカン」やバロック画家の「ルカ・ジョルダーノ」などが仄めかされる。ラテン語でcalorは「(太陽の)熱」。 which are said to have been average clownturkishダブリンの「クロンターク公園」や「クロンターク屋敷」。後者は19世紀には紳士クラブの会場として使われ、20世紀に入ってからは女子学校の寄宿舎として使われた。 (though the capelist’sウェールズ語ではcapellaのくずれた形としてcapelが「教会」という意味で使われた。Capel-istで「イシーの教会」すなわちチャペリゾッド。そこへ「資本家」(capitalist)や「ケープの一覧表」(Cape List)が響く。 voiced nasal liquidsウェールズ語には「有声鼻音」(voiced nasal)や「有声流音」(voiced liquid)に分類される音があり、前者には/m/や/n/、後者には/l/や/r/がある。 and the way he sneezed at zees haul us back to the craogs and brynsウェールズ語には/z/の音素がない。ウェールズ語でcraigは「岩」、brynは「丘」。 of the Silurian Ordovices「オルドヴィス紀」と「シルル紀」。現在から4億年から5億年ほど前の地質年代だが、ダブリンにもこの年代の岩が存在する。ジョイスが参照した『ブリタニカ百科事典』では、紀元前55年にローマの侵攻を受けたブリテン島に居住していた4つの主要部族として「デカンギ、オルドヴィス、ディメタエ、そしてシルル」が列挙されている。ジョイスの草稿にも元々この4つの部族名が記載されていた。) who, the lesser pilgrimage accomplished頭文字を並べ替えるとALPが仄めかされる。イスラム教でlesser pilgrimageは、メッカには行くがアラファト山には行かない巡礼経路。, had made, pats’ and pigs’ older inseltジョージ・バーナード・ショーの喜劇『ジョン・ブルのもう一つの島』(John Bull’s Other Island)への言及。大昔のアイルランド語では、アイルランドは「ムッキニシュ」(Muicinis)と呼ばれており、これは字義どおりに読むと「豚の島」になる。ドイツ語でInselは「島」。英語の「侮辱」(insult)も響く。, the southeast bluffsイギリス南東部ケントにある「ドーヴァーの白い崖」の仄めかし。英語でbluffは「断崖」。 of the stranger stepshoreshoreをフランス語の「姉妹」(sœur)ととると、stepsœurつまり「義姉妹」の意か。, a regifugium persecutorumラテン語で「迫害された王の追放」。Regifugiumは「王の追放」という意味で、ローマ帝国において毎年2月24日にお祭りが祝われた。紀元前510年にタルクィニウス・スペルブスが追放され、ローマが王政から共和政へ移行したことに端を発する。さらに、ここには‘Refugium peccatorum’つまり「聖母マリアへの連祷」も読み取ることができる。この連祷では‘pray for us’が繰り返される。, hence hindquarters) as he paused at evenchime for some or so minutes (hit the pipe, dannyboy!アイルランドの民謡「ダニー・ボーイ」より。‘Oh Danny boy, the pipes, the pipes are calling / From glen to glen, and down the mountain side / The summer’s gone, and all the roses falling / ’Tis you, ’tis you must go and I must bide’. パイプをくわえたカッドや、「ダンヒル・パイプ」の仄めかしも。 Time to won, barmon.競馬のスラングで、‘ten to one bar one’すなわち「一頭を除いて他すべての馬が大穴」、つまり「勝者がほぼ確定している」という意味。barmonにはインドの僧侶「バラモン」や酒場の主人「バーマン」も響く。 I’ll take ten to win.) amid the devil’s one duldrum (Apple by her blossom window and CharlotteABC。「リンゴ」(apple)の綴りはALPを仄めかす。‘apple charlotte’はリンゴを生地で包んだお菓子。 at her toss panomancyパンを使った占い。 his sole admirers, his only tearts in store) for a fragrend culubosh英語スラングでは「煙草の吸い殻」をfag-endと言い、「ひょうたん型のパイプ」をcalabashと呼ぶ。p.50に出てきたMeerschaumすなわち「海泡石」のボウルがついていることも多い。 during his weekend

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音声解説
pastime of executing with Anny Oakley19世紀から20世紀のアメリカで活躍した射撃名手アニー・オークレイ deadliness (the consummatory pairs of provocatives, of which remained provokingly but two, the ones he fell for, Lili and Tutuバレエの衣装のチュチュ。メソポタミアやユダヤ教の悪魔リリンや、シュメールやアッカディアの悪魔リリュ、また古代エジプトのトトも響く。ジョイスとは関係ないが、現代では南アフリカの伝説的な司祭デズモンド・ツツも想起できる。, cork em!) empties which had not very long before contained Reid’s family1809年から1950年代頃までブリテン諸島で飲まれたスタウトにReid’s Family Stoutというブランドがある。「リード」はスコットランドを起源とする名前であり、アイルランドではスコットランド系住民が多いアルスター州でよく見られる。著名な人物としては、19世紀スコットランドで女性参政権運動を率いたエイミー・サンダーソン(旧姓リード)や、アイルランド系アメリカ人の小説家トーマス・メイン・リードが挙げられる。 (you ruadアイルランド語でruadhは「赤色」。 that before, soaky, but all the bottles in sodemd histry will not soften your bloodathirst!『マクベス』第5幕第1場でマクベス夫人は、手からダンカンの血の臭いがするという幻覚に陥り、‘All the perfumes of Arabia will not sweeten this little hand’と言う。) stout. Having reprimed his repeater and resiteroomed his timespiece His Revenances司祭に用いる肩書き‘Reverend’の亜種‘His Reverence’に、フランス語で「幽霊」を意味するrevenantがかかる。「司祭の亡霊」という意味か。, with still a life or two to spare for the space of his occupancy of a world at a timeヘンリー・デイヴィッド・ソローが死に際に言った‘One world at a time’より(友人に「来世では何があると思う?」と聞かれ、「世界は一度に一つまで」と答えたと言われている)。, rose to his feet and there, far from Tolkaheim「トルカ川のある故郷」(ドイツ語でHeimは「我が家」「故郷」)、すなわちダブリン。イギリスのグランタ川に比べると、トルカ川はけっこう大きい。, in a quiet English garden (commonplace!), since known as Whiddington Wild第1次世界大戦の兵士にエドワード・フィディントン・ワイルドという人がいたが、これが仄めかされているのかは不明。中世イギリスの政治家・商人のリチャード・フィティントンの方が有力か。オスカー・ワイルド。, his simple intensive curolent vocality, my dearbraithersアイルランド語でdearbhbhráthairは「真の兄弟」。, my most dearbrathairs, as he, so is a supper as is a sipperドイツ語でSippeは「氏族」「部族」。, spake of the One and told of the Compassionateイスラム教のアッラーの別称がThe OneやThe Compassionate。, called up before the triad of precoxious scaremakers (scoretaking: Spegulo ne helpas al malbellulo, Mi Kredas ke vi estas prava, Via dote la vizago rispondas fraulinoエスペラントで「鏡は醜い人の味方ではない。あなたは正しいと思う。あなたの顔があなたの財産だから、と若い女性は答えた」(A mirror doesn’t help an ugly person. I believe you’re right, Your dowry is your face, replies a young lady)という意味。この言い回しは童謡の「かわいいお嬢さん、どちらまで?」の歌詞に基づいている。) the now to ushereアーサー王の父ユーサー・ベンドラゴンが仄めかされている。 mythical habiliments of Our Farfar and Arthorデンマーク語でFarfarは「父方の祖父」。それに「我が父」(Our Father)や「アーサー王」、そして雷の神「トール」が混ざっている。 of our doyne19世紀アイルランドの軍人リチャード・ドイン少佐は、クリミア戦争で乗った騎馬のために、ダブリンのラスファーナムの聖エンダ公園に小さな石の記念碑を建てた。.
  Television kills telephony古代ギリシア語でφόνοςは「殺し」「殺人」。視覚と聴覚の対比。 in brothers’ broil. Our eyes demand their turnデ・フクソールの短編「乙女の騎士」で、ジェラードが別れ際にキャサリンに贈る言葉の締めくくりが‘Adieu, dearest lady. My eyes demand their turn, and prevent my tongue from speaking’.. Let them be seen! And wolfbone balefires紀元前781年の周朝の幽王が仄めかされる。幽王は、寵愛する褒似(ほうじ)を笑わせるために、平時に烽火(のろし)をあげて兵を招集した。これを繰り返すうちに、兵士たちは烽火があがっても集まらなくなり、実際に反乱が起こったときに幽王はあえなく失墜した。また、アイルランドではケルト文化の伝統として、5月1日に丘や山の上に大きなかがり火を灯す。Bealtaine(ベルテーン)と呼ばれる行事だが、これが英語ではよくBaal’s fireと呼ばれている。昔はこれが夏至の前夜(Midsummer’s Eve)に行われていた。 アイルランドの革命家ウルフ・トーンも。 blaze the trailmost if only that Mary Nothingオーストラリアの兵士が使った方言やスラングを集めたDigger Dialects(W. H. Downing著)によると、Mary Nothingは「まったくのダメ女」という意味。そこへシェイクスピア『夏の夜の夢』第5幕第1場の冒頭部が重なる。‘The forms of things unknown, the poet’s pen / Turns them to shapes and gives to airy nothing’. may burst her bibby bucksheeここも豪兵弁でbibbyは「女」、bucksheeは「施し物」(alms)の意味。ペルシア語でbibakhshiは「赦す」。. When they set fire then she’s got to glow so we may stand some chances of warming to what every soorkabatcha豪兵弁で「豚の息子」(son of a pig)。, tum or hum豪兵弁で「きみかわたし」。, would like to know. The first Humphrey’s latitudinous baver以下、ハンフリーの7つの装具が列挙される。最初の‘baver’は、「ビーバーの毛皮の帽子」(beaver)にフランス語の動詞「よだれを垂らす」「悪口を言う」(baver)をかけたもの。 with puggaree behind英国兵や豪兵がかぶっていた帽子には、インドのヘッドスカーフのPugariを模したバンドがついている。これは第1次世界大戦中に軍服の一部として特に夏に着用され、1929年まで続いた。ここへbehindをつけることで、性交を意味するbuggeryも響かせている。, (calaboose belong bigboss豪兵弁でcalaboose belong moneyは「財布」。ここに豪兵弁で「隊長」を意味するbig bossが混ざっている。 belong Kang the Toll孔子の父親叔梁紇(しゅくりょうこつ)は「大男の叔」(Kong the Tall)という渾名で呼ばれた魯国の軍曹。孔子が3歳のときに亡くなった。ドイツ語でtollは「馬鹿げた」「とてつもない」。) his fourinhand bow「蝶ネクタイ」(bow)に、米軍のネクタイの結び方の一つ‘four-in-hand’がかかる。単純な結び方なので、schoolboy knotと呼ばれることもある。, his elbaroom surtoutナポレオンの流刑先であるエルバ島。英語でsurtoutは「ぴっちりしたオーバーコート」。ただ、肘には余裕がある(elbowroom)らしい。, the refaced unmansionables「修繕された下着」。 of gingerine hue, the state slate umbrella, his gruff woolselywellesly麻と羊毛の混合衣服(転じて、チグハグな組み合わせや混合物)をlinsey-woolseyと呼ぶ。そこにクリミア戦争のアイルランド人陸軍元帥ガーネット・ウォルズリーや、ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの名前が混ざる。 with the finndrinn knopfsドイツ語でKnopfは「ボタン」。アイルランド英語でfindrinnyは「銀箔の銅」「白銅」のことで、語源はアイルランド語のfiondruine。北欧人がアイルランドで徴税したとき、支払いには金と銀の混合金貨(Findrin)が使われた。 and the gauntlet upon the hand which in an hour not for him solely evil had struck down the might he mighthavebeen d’Esterreダブリン政府(Dublin Corporation)のメンバーのジョン・ノーコット・デステール。1815年の選挙戦で、ダニエル・オコンネルが当時のプロテスタント・アセンダンシーを支持する政府を「乞食のような政府」(beggarly corporation)と呼び、これに腹を立てたデステールがオコンネルに決闘を挑んだ。デステールはこれに負けたが、オコンネルはデステールの妻子に生活費を支払い、弁護人としても協力した。 of whom his nation seemed almost already to be about to have need. Then, stealing his thunder「彼の成功を阻む」「彼から注意をそらす」という意味の慣用表現。, but in the befitting legomena of the smaller country古代ギリシア語でλεγόμεναは「言われたこと」。したがって、「(大きな国=イギリスに対して)小さい方の国の言葉たち」すなわちアイルランド語のことか。「小さい方の国」をプロイセンと読むと、カントのProlegomenaも響く。, (probable words, possibly said, of field family gleamingエドゥアール・トロガンの『フランス史の有名な言葉』p.6より。当該箇所を英訳すると以下のようになる。‘However, we could only glean, in our national field, and we foresee that our readers will miss such or such a word that we have neither forgotten nor ignored, but simply postponed’.) a bit duskish and flavoured with a smile, seein as ow his thoughts consisted chiefly of the cheerio1922年にLouis Breauが作曲した‘Never Mind’の歌詞には、‘Be an optimist and let your thoughts consist of the cheery’という一節がある。, he aptly sketched for our soontobe second parents慣用句で‘Our First Parents’はアダムとイヴのことなので、HCEとALPは「もうすぐその次に来る両親」ということか。 (sukand see whybe!)ドイツ語でsuchen Sie das Weibは「女性または妻を探しなさい」。 the touching seene. The solence of that stilling! Here one might

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音声解説
a fin fell.アイルランドの移動民族が使うシェルタ語で、Finは「人間・男」。そこへフィン・マクールの名や「落ちた」(fell)などがかかる。 Boomsterオランダ語でboomは「木」、sterは「星」。 rombombonant! It scenes like a landescape『若き芸術家の肖像』第4章第3節における風景描写を彷彿とさせる。‘A veiled sunlight lit up faintly the grey sheet of water where the river was embayed. In the distance along the course of the slowflowing Liffey slender masts flecked the sky and, more distant still, the dim fabric of the city lay prone in haze. Like a scene on some vague arras, old as man’s weariness, the image of the seventh city of christendom was visible to him across the timeless air, no older nor more weary nor less patient of subjection than in the days of the thingmote’. from Wildu Picturescu「ワイルド」と「ピクチャレスク」(picturesque)が組み合わさり、『ドリアン・グレイの肖像』を意識させる。-scuはルーマニア語で「~の子」。 or some seem on some dimb Arrasフランス北部の街。サン・テグジュペリの1942年の小説『アラスへの飛行』(既訳は3冊ありいずれも『戦う操縦士』と訳されている)も。, dumb as Mum’s mutyness, this mimage of the seventyseventh kusin of kristansenスコットランド英語でforty-second cousinは「遠い親族」。20世紀アイルランドで活動した外交官ロジャー・ケースメントの護衛で愛人エイヴィンド・アドラー・クリスチャンセンも仄めかされる。なお、 ‘It scenes like a landscape’に付した注で引用したように、『若き芸術家の肖像』第4章第3節には「キリスト教圏第七の都市」(the seventh city of christendom)という表現(ダブリンを指す)が見られる。 is odable1840年代にカール・フォン・ライヘンバッハは、精神を動かす営力として「オドの生命力」(Lebenskraft Od)を提唱した(Odは北欧神話の賢者オーディンから)。ヴェルディのオペラ『アッティラ』のヒロインであるオダベッラも仄めかされるか。 to os across the wineless Ereアイルランドの古名やその女神Ériuが「~以前」を意味するereとかかる。また、ホメロスの作品によく出てくる‘wine-dark sea’も想起させる。winelessにはwirelessも響くか。 no œdor nor mere eerieフランス語でmèreは「母」、古風な英語でmereは「湖」を意味する。アメリカのエリー湖 nor liss potent of suggestion than in the tales of the tingmount11世紀頃から17世紀まで、ダブリンの北欧議会だったThingmote。現在ではモリー・マローン像の周辺部に相当する。TengmothやTeggemutaとも呼ばれた。. (Prigged!)英語スラングで「盗まれた」「盗用」。風景描写の文言を『若き芸術家の肖像』から盗んでいるということか。
  And there oftafter, jauntyjogging, on an Irish visavisヴィクトリア女王の来訪とクリミア戦争についての歌‘The Irish Jaunting Car’が仄めかされる。vis-à-visは、名詞としては「向かい合う人物」、またそこから転じて「対面座席の馬車」の意。, insteadily with shoulder to shoulderイギリスの戦没者追悼行事Remembrance Dayで毎年演奏される曲‘The Old Brigade’より。作曲はアイルランド人のエドワード・スレイター。1926年のピーター・ドーソンの歌唱で流行った。 Jehu will tell to Christianierイスラエルの王Jehu、オスロの旧名Christiania。乱暴な運転をする御者のことを英語でjehuと呼ぶ。Christian earも。, saint to sageアイルランドの別称‘island of saints and sages’。ジョイスやフラン・オブライエン、エドナ・オブライエンなどはよく‘island of saints and sinners’という言い方をした。, the humphriad of that fall and rise第1巻第2〜4章は「ハンフリアード」の通称で呼ばれているが、その名前の由来はこの語句。 while daisy winks at her pinker sister among the tussocks and the copolltussockは「草の茂み」あるいは「草生した小さな丘」、後者はアイルランド語で「馬」を意味するcapall。 between the shafts mocks the couple on the car. And as your who may look like how on the owther side of his big belttry your tyrs and cloes your noes‘Dry your tears and close your nose’をくずした言い回しか。Týrはローマ神話のマルスに相当する北欧神話の神テュールのこと。ラグナロクで番犬ガルムと相打ちになる。火曜日(Tuesday)の語源にもなっている。 and paradigm maymay rererise in eren「何度も起き上がる」(re-re-rise)や、「おしりが上がる」(rere rise)へ、「エリン」(Erin)や「エデン」(Eden)がかかる。デンマーク語でerenは「名誉」。. Follow we upアイルランドの民謡‘Follow Me up to Carlow’()の仄めかし。1580年にグレンマルーの戦いで、カトリック派アイルランド軍が3,000人のイングランド兵を撃破したことを記念した歌。 his whip vindicative. Thurston’s!第1巻第2章のPhilly Thurnstonへの言及。同章末尾のバラッドの直前で、競馬好きの人物として言及された。とすると、直前のwhip vindicativeは馬を叩く鞭のことか。シャーロット・ヨン『キリスト教にまつわる名前の歴史』第2章第4節には次の記述がある。‘It is an evidence how greatly our population was leavened by the Danes, that though Thor names are very rare in Anglo-Saxon history, we have many among our surnames, such as Thurlow from Thorleik, Thor’s sport, Tunstall and Tunstan from Thurstan, the Danish Thorstein, the proper form of Thor’s stone, who is thus the “stainless Tunstall’’’. Lo bebold! La arboro, lo petrusu.ALP。ラテン語で「木」(arbor)と「石」(petra)。スペイン語の代名詞の男性形loと女性形la。アルファ(Α)とオメガ(Ω)も。 The augustan peacebetothem oaksパクス・アウグスタ。元首政の創始者アウグストゥスの皇帝即位(紀元前27年)から、マルクス・アウレリウス・アントニヌスの退位(紀元180年)までの平和な200年間のこと。後述の石の記念碑(monolith)と組み合わせると、木と石。, the monolith rising stark from the moonlit pinebarren. In all fortitudinous ajaxious rowdinoisy tenuacityラテン語のモットー‘Fortitudo eius Rhodanum tenuit’(FERT)より。ヴィットーリオ・アメデーオ2世によって、サヴォイ家およびイタリア王国のモットーとして採用された。それ以前の1392年に、イタリア王国の聖アヌンツィアータ騎士団の紋章が初出。アメデーオ5世・ディ・サヴォイアが1315年にロードス島包囲戦に勝利した際の様子を讃えていると思われる。そこへトロイア戦争の英雄「アイアース」(Ajax)が混ざる。古代ギリシア語でῥόδινοςは「桃色」「薔薇からできた」。いずれにしても、ジョイスはここでFERTをあえてFART(おなら)に変えている。. The angelus hour with ditchers bent upon their farm usetensilesジャン・フランソワ・ミレーの絵『晩鐘』(L’Angélus)。アイルランドだけでなく、カトリックでは午前6時、正午、そして午後6時に晩鐘が鳴り、信者は聖母マリアを讃える晩鐘の祈りを復唱する。これは、聖母マリアが「ルカによる福音書」1:38で大天使ガブリエルに‘Yes’と言ったことを賛美する祈り。『ユリシーズ』の最後の‘Yes’には、この聖母マリアのYesも響くか。, the soft belling of the fallow deers (doerehmoose genuane!) 「ドレミ」に「雌鹿」(doe)や「ヘラジカ」(moose)が混ざる。ドイツ語でRehは「ノロジカ」。ラテン語でoremusは「祈りましょう」、flectamus genuaは「膝まづきましょう」。 advertising their milky approach as midnight天の川(milky way)か。だとすると、七夕も想起させる。織女と牽牛の物語は、6世紀の斉に生まれた殷芸(いんうん)という知識人の『小説』が 典拠だと言われている。 was striking the hours (letate!)ラテン語で「立ちましょう」を意味するlevateはミサにおける掛け声。letateはラテン語でleto「殺す」の命令法能動相現在時制二人称複数形(すなわち「殺せ」の意)。ドイツ語でläuteteは「鳴った」。, and how brightly the great tribune outed the sharkskin smokewallet (imitation!) from his frock, kippers, and by Joshua‘By Jove!’は「なんと!」「まあ!」といった意味。ヨシュアは聖書の「ヨシュア記」でジェリコを侵攻した。この攻略はアフリカン・スピリチュアリズムの歌「ジェリコの戦い」の題材にもなった。, he tips un a topping swank cherootキプリングの詩「マンダレイ」より。‘’Er petticoat was yaller an’ ’er little cap was green, An’ ’er name was Supi-yaw-lat – jes’ the same as Theebaw’s Queen, An’ I seed her first a-smokin’ of a whackin’ white cheroot’.英語でswankは「かっこいい」という意味だが、そこには「自慰」を意味するwankも入っている。, none of your swellish soide, quoit the reverse, and how manfally he says, pluk to plukアイルランド語でplucは「頬」。 and lekan for lukanアイルランド語でleiceanは「頬」。そこへスライゴー県にあるリーカン城と、ダブリンのフェニックス公園の近くの地域ルーカンがかかる。Great Book of Lecanも。, he was to just pluggy well suck that brown boyo, my son, and spend a whole half hour in Havana. Sorer of the kreeksmenラテン語でsorerは「姉妹」、デンマーク語でkrigsmændは「戦士」という意味。, would not thore be old high gothsprogue!ドイツ語でSpracheは「言語」なので、「古代の高地ゴート族の言語」となる。古高ドイツ語のことか。 Wherefore he met Master, he mean to say, he do, sire, bester of redpublicansアイルランド英語ではしばしば動詞の前にdoを付ける。エドゥアール・トロガンフランス史の有名な言葉』p.75において紹介されているように、ルイ・フィリップ王に向けてラファイエットは‘You are the best of Republics!’(« Vous êtes la meilleure des républiques! »)と言う。そこへ「赤いパブ亭主」が混ざる。, at Eagle Cock HostelECH、すなわちHCE。ダブリンのユースタス通りには‘Eagle’s Tavern’という酒場があった。Society of United Irishmenのダブリン支部は、1791年にこのEagle’s Tavernで発足した。 on Lorenzo Tooley streetダブリンの守護聖人ローレンス・オトゥール。「~通り」(Street)を「聖~」(Saint)とかけている(どちらもSt.と略記される)。 and how he wished his Honour the bannocks of Gort and Morya and Bri Head and Puddyrickアイルランド語でbeannacht Dé agus Muire agus Brighid agus Phádraicは「神と聖母マリアと聖ブリギットと聖パトリックの祝福があらんことを」。Bannockはスコットランドのパン。14世紀スコットランドのバノックバーンの戦いも響くか。‘Gort’は王立アイルランド警察隊(RIC)とその傘下のBlack and Tansが駐在する小さな街で、アイルランド国内のイギリスのような位置づけだった。『ユリシーズ』第12挿話でも語り手が「またなアイルランド、俺はゴートに行く」(‘Goodbye Ireland I’m going to Gort’)と言っている。‘Morya’に関しては、ウィックローの山Croaghanmoiraのことか。あるいは、19世紀に神智学を創始した人物の一人と言われるモリヤか。‘Bri Head’はダブリンの南に位置する都市ブレイのBray Head。Briはウェールズ語で「丘」、bríは古アイルランド語で「頭」。‘Puddyrick’はメイヨー県のCroagh Patrickか。, yore Loudship, and a starchboxsitting in the pit of his St Tomach’sカンタベリー大司教の聖トマス・ベケット。1170年まで大司教を務めた(オトゥールと同時代)。第1巻第1章p.5の「バケツ」と「落トゥール」の組み合わせに見られるように、『ウェイク』においてこの二人はしばしば同時に言及される。, — a strange wish for you, my friend, and it would poleaxe your sonsons grandson utterly though your own old sweatandswear floruerunts heaved it hoch many as the timesスコットランド語でHogmanayは「大晦日」。ドイツ語でHochzeitは「結婚式」。, when they were turrifiedラテン語でturrisは「塔」。8世紀末から9世紀にかけてアイルランドに侵略してきたヴァイキングに襲われた修道者が宝を持って塔に逃げ込む場面が想起される。 by the hitzドイツ語でHitzeは「熱」。.
  Chee chee cheersCHEすなわちHCE。特にCが強調されている。南アジアの人々やその英語を軽蔑して言う‘Chee-Chee’。1928年のブロードウェイ・ミュージカルや、ミズーリ州のギャングのボス、フランク・デ・メイヨーのあだ名なども。第2巻第4章の有名な書き出し‘Three quarks for Muster Mark!’とも響く。 for Upkingbillyオラニエ公ウィレムのあだ名‘King Billy’。 and crow cru cramwellsここでも「3つのC」のモチーフ。オリヴァー・クロムウェルや、アングロ゠ノルマン系貴族のフィッツジェラルド家の雄叫び‘Crom abú!’、そしてイギリスの民謡‘Three Ravens’のリフレイン‘downe a downe, hay downe, hay downe’から、シェムとショーン、イシーの3羽カラスも。クロム・クルアハは、人々が人身御供を捧げるアイルランドの神。聖パトリックによってアイルランドから追放された。

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音声解説
Downaboo!ここでも「3つのC」のモチーフ。オリヴァー・クロムウェルや、アングロ゠ノルマン系貴族のフィッツジェラルド家の雄叫び‘Crom abú!’、そしてイギリスの民謡‘Three Ravens’のリフレイン‘downe a downe, hay downe, hay downe’からシェムとショーンの3羽カラスも。クロム・クルアハは、人身御供(ひとみごくう)を捧げるアイルランドの神。聖パトリックによってアイルランドから追放された。 Hup, boys, and hat him!ウェリントン公爵がワーテルローの戦いの終盤で叫んだ‘Up, Guards, and at ’em!’から。 See!ここでもCのモチーフ。 Oilbeam they’re lost we’ve found rerembrandtsers17世紀オランダの画家レンブラント・ファン・レイン。中世イギリスで王室国庫(Exchequer)の管轄にあたったRemembrancerも。これは政府に財務状況を「再度伝える人」という意味の役職名であると同時に、一般名詞としては「記念品」や「形見」を意味することから死の比喩としても用いられる。, their hours to date link these heirs to here but wowhere are those yours of Yestersdays?15世紀フランスの詩人フランソワ・ヴィヨンの「過ぎ去りし時の女性のためのバラッド」の リフレインの英訳‘Oh, where are the snows of yesteryear!’から。リヒャルト・シュトラウスやベルトルト・ブレヒトが作中で引用している。 Farseeingetherichそのまま読めば‘Far seeing the rich’だが、紀元前1世紀のケルト系のガリア王ウェルキンゲトリクス(Vercingetorix)の名を読み込めるかもしれない。この王はローマ人からの侵略に抗して善戦したが、最終的にはアレシアの戦いでユリウス・カエサル率いるローマ軍に撃破された。また、ウェルキンゲトリクスの名に加え、「テレビ受像機」を意味するドイツ語Fernsehgerät(字義通りに英訳すれば‘far-seeing device’)も読み取れるだろう(〜richにはドイツ語のIchも響く)。 and Poolaulwoman Charachthercuss and his Ann van Vogtアイルランドの象徴としてのShan Van Vocht(貧しい老婆)にALPや「川」(An)が混ざる。紀元1世紀にローマからの侵略に抵抗したブリトン族長のカラクタスも。そこへドイツ語で「執事」を意味するVogtやオランダ語で「液体」を意味するvochtが混ざる。. D.e.e.d! Edned, ended or sleeping soundlessly? Favour with your tongues!ホラティウス『オード』第3巻第1歌「幸福について」第2節‘favete linguis’より。この言い回しは宗教的儀式の際に、一般市民に静粛を呼びかけるために使われた。 Intendite!ラテン語で「気をつけ!」、イタリア語で「聴いて考えなさい」という呼びかけ。
  Any dog’s life小文字のdをさかさまのpと読んで頭文字を並べれば、ALPに。英語の慣用句でdog’s lifeは「辛い人生」。 you list you may still hear them at it, like sixes and seventies‘sixes and sevens’は「ごちゃごちゃしている」を意味する慣用句。 as eversure as Halley’s cometEHC。ハレー彗星は76年に一度現れるので、直前の‘sixes and sevens’ともつながってくる。ハレー彗星が初めて写真に撮られたのは1910年のこと。, ulemamen, sobranjewomen, storthingboys and dumagirls1922年11月11日のIrish Times紙の記事には、‘The Ulema, the Council of holy men that directs the religious and educational activities of the Persian people…’という記述があり、ジョイスはUlemaをペルシアの議会だと理解したようだ。同様に、後続の3つの単語もそれぞれブルガリア、ノルウェー、そしてデュマ(20世紀初頭のロシア)の議会を意味する。, as they pass its bleak and bronze portal of your Casaconcordiaイタリア語で「平和の家」。カトリックのミサの最後に「行きましょう、主の平和のうちに」(Ite, missa est, Ite in pace)という言葉がある。: Huru more Nee, minny frickans?スウェーデン語で「ご婦人方、ご機嫌はいかが?」。第1巻第1章p.24に登場するHCEの名前‘Unfru-Chikda-Uru-Wukru’も響く。Frickaはワーグナーの『ワルキューレ』にも登場する、愛と結婚と豊穣の北欧の女神。 Hwoorledes har Dee det?以下段落の最後までにデンマーク語、セルボ゠クロアチア語、イタリア語、スペイン語、ラテン語、ギリシア語、ヒンドゥスターニー語、ヘブライ語、ポルトガル語、アイルランド語、中国語ピジン、ルーマニア語、そしてハンガリー語が混ざっている。会話の内容は、紳士と婦人たちがレストランへ行ってパンとバターと紅茶を頼み、5リラ硬貨を1132枚支払い、誰かに向けて「アイルランド語を話せますか?」と質問をした後、バティステなる人物をトイレに呼び込んで情事にふける。 Losdoor onleft mladies, cue.セルボ゠クロアチア語でmladは「若い」。アルメニア語でlusaber(Լուսաբեր)は「光をもたらす者」。 Millecientotrigintadue scudi.イタリア語でmillecentotrentadueは「1132」。スペイン語でcientoは「100」、ラテン語でtrigintaは「30」、イタリア語でscudiは「クラウン硬貨」。 Tippoty, kyrie, tippoty.現代ギリシア語でτίποτε κύριε τίποτεは「滅相もございません」くらいの意味。ウェイターがレストランで顧客から感謝されたときに返す言葉でもある。 Cha kai rotty kai makkar, sahib?ヒンドゥスターニー語でchai ki pattiは「茶葉」、makkarは「友人」「知人」、makkhanは「発酵バター」、sahibは「紳士殿」。 Despenseme Usted, senhor, en son succo, sabez.スペイン語でdispénsemeは「失礼します」、ustedは丁寧語の二人称代名詞、en son deは「〜を装い」、sabesは「知ってのとおり」。ポルトガル語でsenhorは「紳士殿」。フランス語でen sonは「彼の〜の中」。イタリア語でsuccoは「ジュース」。 O thaw bron orm, A’Cothraige, thinkinthou gaily?アイルランド語でO tá brón orm, a Chothraighe, an tuigeann tú Gaedhealgは「すみません、聖パトリックさん、アイルランド語はわかりますか?」。 Lick-Pa-flai-hai-pa-Pa-li-si-lang-lang.ALP。中国語でランは「オオカミ」、害怕ハィパァは「恐れる」。英語のlike pa fly high papa「父のように高く飛べ父さん」を似非中国語訛りで綴ったと考えられる(現代の基準だと明らかに差別的)。 Epi alo, ecou, Batiste, tuvavnr dans Lptit boing going.古代ギリシア語でἐπι άλλωは「他方では」。フランス語でet puis alors, écouteは「だから聞きなさい」、tu vas venir dansは「あなたはここへ(入って)来ます」、le petit coinは「トイレ」、le bon coinは「レストラン」。ルーマニア語でbatistăは「ハンカチ」。 Ismeme de bumbac e meias de portocallie.ルーマニア語でizmene de bumbacは「綿の下着」、portocallieは「オレンジ色」。ポルトガル語でe meias deは「あと〜のストッキング」。 O. O. Os pipos mios es demasiada gruarso por O piccolo pocchino.欧州東南部でO. O.はトイレの標識。ポルトガル語でos piposは「パイプ」「樽」。スペイン語でmiosは「私のもの」、esは「〜である」、demasiadaは「多すぎ」、gruesoは「太い」「厚い」、イタリア語でpiccoloは「小さい」、pochinoは「少し」。 Wee fee?英語スラングでweeは「尿」。ドイツ語でWie viel?は「どれくらい?」。 Ung duro.スペイン語の俗語でduroは「5ペセタ硬貨」、unは「1」。英語でdungは「糞」。 Kocshis, szabad?ハンガリー語でkocsis, szabad?は「御者さん、空いていますか?」。 Mercy, and you?フランス語でmerciは「ありがとう」。 Gomagh, thak.アイルランド語でgo maithは「良い」、go raibh maith agatは「ありがとう」。デンマーク語でtakは「ありがとう」。
  And, Cod, says he with mugger’s tearsインドやイランの「ヌマワニ」を英語ではmuggerと呼ぶ。英語でcrocodile tears「ワニの涙」はウソ泣きのこと。そこへ「ひったくり」(mugger)がかかる。:Would you care to know the prise of a liard?エドゥアール・トロガンのフランス史の有名な言葉』p.106で、ヘンリー4世が庶民の生計に興味を示して « Je voudrais savoir le prix d’un liard »(‘I would like to know the price of a farthing’)と尋ねる。 Maggis, nick your nightynovel! Mass Taverner’s at the mike again!ミック、ニック、マギーズ。TavernはHCEの酒場。英語でTavernerは「酒場の主人」。16世紀イギリスの作曲家・詩人のジョン・タヴァナー And that bag belly is the buck to goat it! Meggeg,‘got it! My egg’とも読める。また、『ユリシーズ』第15挿話に登場する老雌山羊の鳴き声‘Megeggaggegg! Nannannanny!’が想起される。 m’gay chapjappy fellow, I call our univalse to witness, as sicker as moyliffeyキルデア県の広大な平野(Magh Life)。リフィー川が流れ込む。 eggs is known by our good househalters from yorehunderts of mamoothドイツ語でHaushalterは「家政夫」。そこへイギリスの「マンフッド百戸村」(Hundred of Manhood)や英語のMammoth「マンモス」がかかる。 to be which they commercially are in ahoy high British quarters (conventional!)英語でhigh British quartersは「イギリス議会」の通称。‘Meggeg’での卵の仄めかしから、conventional eggs「養鶏が産んだ卵」という意味も読み取れる。ドーランのベリンダや、古代ケルト人の宇宙卵の信仰、ハンプティ・ダンプティなども。 my guesthouse and cowhaendelドイツ語でKuhhandelは「雌牛の売買」「闇取引」。そこへ音楽家のヘンデルの名が混ざる。 credits will immediately stand ohoh open as straight as that neighbouring monument’s fabrication before the hygienic gllllテレビまたはラジオの遅延を表す擬態語か。p.55冒頭の‘lobe’とつながって‘globe’となる。 (this was where the reverent sabboth and bottlebreaker‘Sabbath . . . breaker’と読むのであれば、「安息日を守らなかった人」。ユダヤ教やキリスト教では罪になる。ユダヤ教の結婚式では瓶を踏んで割る儀式がある。 with firbalk『アイルランド来寇の書』にはFir Bolgという民族が登場する。英語のbalkには(「妨害」という意味のほかに)「木材」という意味もあるため、直後のboaterと合わせると船の部品を表す可能性もある。 forthstretched touched upon his tricoloured boaterアイルランドやフランスの国旗に見られる「三色(トリコロール)」に、帽子やボートを意味するboaterがかかる。, which he uplifted by its pickledhoopyドイツ語でPickelhaubeは「尖頂つき軍帽」(スパイク付きのかぶと)。19世紀にドイツのみならず欧州全域で広く採用された。オットー・フォン・ビスマルクも着用している。 (he gave Stetson米国の製帽業者ステットソンが作ったつば広のフェルト帽は(そのまま)「ステットソン」と呼ばれ、ボーイスカウトや警官隊、国防自衛軍などの制帽に採用された。 one and a penny for it) whileas oleaginosity of ancestralolosis「祖先」(ancestor)や「先祖代々の」(Ancestral)に「脊椎側湾症」(scoliosis)がかかる。 sgocciolated down the both pendencies of his mutsohito明治天皇の睦仁。写真ではひげが特徴的。 liptails (Sencapetuloエスペラントでsenkapetuloは「無一文」。, a more modestuous conciliabulite「荘厳な」という意味の古風な英語majestousに「謙虚な」(modest)がかかる。conciliabuliteは、ラテン語で「集会」(特に「特に政府や教会などの権威へ反乱する人たちの集まり」)を意味するconciliabulumに英語の「弾丸」(bullet)がかかったものか。 never curled a torn pocketmouth), cordially inwiting the adullescence『ユリシーズ』でスティーヴンがしばしば感じる「良心の呵責」(Agenbite of inwit)に、「思春期」(adolescence)と「ごますり」(adulation)、そして「鈍い・つまらない」(dull)がかかる。スティーヴンの言葉の出典はケント方言で書かれた14世紀頃の作品Ayenbite of Inwyt。作者の告白・告解を中心とした内容だが、文学的な価値はそこまで高くないと言われており、どちらかというと当時のケント英語を研究するための資料として重宝されている。 who he was wising up to do in like manner what all did

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音声解説
so as he was able to add) lobeドイツ語でlobenは「賛美する」。 before the Great Schoolmaster’sH・G・ウェルズの『偉大なる校長の物語』(フレデリック・ウィリアム・サンダーセンの伝記)の仄めかし。ミルトンが「ソネット7番」で神を表して使った‘my great Task-Master’「偉大なる監督者」という表現に直前の‘lobe’をつなげると「神への賛美」となる。. (I tell you no story.) Smile!
  The house of Atreox is fallenギリシア神話では、神々がアトレウス一族を含むタンタロスの末裔に呪いをかける。アトレウスはアガメムノンの父親。ラテン語で「残酷」を意味するatroxに英語の「牛」(ox)がかかっている。 indeedust (Ilyam, Ilyum! Maeromor Mournomates!)ラテン語でIliumはイリウム(トロイがあった都市の正式名称)。ホラティウスやテニスンも‘Ilium, Ilium’で始まる作品を書いている。また、トリエステ近郊にはMiramarという名の城がある。英語でmourn no matesは「友の死を哀れむべからず」、ラテン語でmaerorは「追悼」、古代ギリシア語でμωροῦは「のろのろした」「間抜けな」。また、ロシアの口承叙事詩ブィリーナの英雄イリヤー・ムーロメツも仄めかされている。 averging on blightトマス・ムーアの歌‘Avenging and Bright’より()。また、英語のスラングでBlightyは「イギリス」。「じゃがいもの立枯病」(potato blight)も。 like the mundibanks of Fennyana英語でmountebankは「偽薬売り」「自慢屋」。FeniansやFiannaやFunny Annaが響く。, but deeds bounds going arise again黒人霊歌‘Dese Bones G’wine Rise Again’)。. Life, he himself said once, (his biografiend, in fact, kills himダブリン大学(トリニティ・カレッジとほぼ同義)の1853年学内誌の特集「アイルランドの川」の‘Tolka’の章には、18世紀アイルランドの詩人トマス・パーネルに関する以下のような記述がある。‘Goldsmith and Johnson, his biographers, kill the poet in the following July, 1717; but he lived for at least one year longer than they allow him, for there is an entry in the parish vestry book, dated April 12, 1718, and signed with Parnell’s name, in his own handwriting’. verysoon, if yet not, after) is a wake, livit or krikit, and on the bunk of our breadwinning lies the cropse of our seedfather, a phrase which the establisher of the world by law might pretinately write across the chestfront of all manorwombanbornシェイクスピア『マクベス』で、3人の魔女はマクベスに「女が宿した男でそなたに傷をつけられる者はいない」と告げた(このモチーフはトールキンの『指輪物語』にも継承されている)。この台詞をもとにして‘man’, ‘or’, ‘woman’, ‘born’を圧縮した一語に、アイルランド語で「女性」を意味するbeanやmnáが混ざっている。. The scene, refreshed, reroused, was never to be forgotten, the hen and crusader everintermutuomergentHCE。「十字軍」(crusader)。ドーランのベリンダ(hen)。, for later in the century one of that puisne band of factferretersドイツ語でVerräterは「裏切り者」。, (then an excivily (out of the custom huts)ECH。英語でcustom houseは「税関所」。ダブリンのCustom House。ジョン・ガーヴィンのJames Joyce’s Disunited Kingdom(1976)p.6によると、ダブリンの公務員のジム・タリーがスコッチ・ハウス・パブで若きジョイスに出会ったとき、タリーが‘a clerk in the custom house’と言ったのに対して、ジョイスは‘a clerk out of the custom house’と答えたらしい。 (retired), (hurt),under the sixtyfives act1865年に施行された組合役員退職金法(Union Officers Superannuation (Ireland) Act)。『ユリシーズ』第17挿話「イタケ」でブルームが将来の野望を吐露するなかで、大きなお屋敷で召使いを雇うことになったらこの法律に従って年金を支払うのだと妄想している。 in a dressy black modern style and wewere shiny tan burlingtonsダブリンのバーリントン通り。王室アイルランド警官隊の傘下にあったBlack and Tans。また、バーリントンという靴のブランドがある。, (tam, homd and dicky, quopriquos and peajagd)tamはtam-o’-shanterの省略形で、スコットランドの農民が用いるウール製の頭巾型の帽子のこと(ロイヤル・スコットランド燧石銃兵連隊も着用した)。1790年にスコットランドの詩人ロバート・バーンズがダンフリーズ滞在時に書いた‘Tam O’Shanter’という詩もある。ドイツ語でHemdは「シャツ」、英語でdickeyは「胸当て」「前シャツ」、ラテン語でquid pro quoは「代償」「報酬」、英語でpea-jacketは船乗りや海兵が着る大きなコートのこと rehearsed it, pippa pointingロバート・ブラウニングの詩劇‘Pippa Passes’に、イタリア語でパイプを意味するpipaや英語のpointingがかかる。, with a dignified (copied) bow to a namecousin of the late archdeacon F. X. Preserved Coppinger聖フランシスコ・ザビエル(Francis Xavier)。日本にキリスト教を伝道した。XとPは、最初期のクリストグラム☧(ギリシア文字のカイ(χ)とロー(ρ)を組み合わせたもので、そのまま「カイロー」と呼ばれる)を彷彿とさせる。ジョン・トマス・ロイドが書いたGod-Eating: A Study in Christianity and Cannibalismは、ジョイスが所持してもいた32ページの小冊子で、聖体拝領の儀式の起源は異教徒の食人だと主張した。その中では、20世紀初頭のアメリカの聖書研究者のヘンリー・プリザーブド・スミスが高く評価されている。Coppingerについては、ダブリンのコッピンジャー通りや、その名前の由来となったモーリス・コッピンジャーが仄めかされているか。後者は18世紀アイルランドの弁護士で、国王顧問上級法廷弁護士(King’s Serjeant)の地位にあった。18世紀末のダブリンでは、裁判所から令状が発行されることを‘to be issued with a Coppinger’と言ったほど有名な存在だった。 (a hot fellow in his night, may the mouther of guard have mastic on him!) in a pullwoman of our first transhibernian英語でpullmanは「寝台車」。「シベリア横断」(trans Siberian)に、アイルランドの別名「ヒベルニア」がかかっていると考えると、「私たちの最初のアイルランド横断鉄道の寝台車」という意味か。 with one still sadder circumstance which is a dirkandurk heartskewerer if ever to bring bouncing brimmers子どもの遊び‘Bounce Eye’の仄めかし。 from marbled eyes. Cycloptically through the windowdisks and with eddying awes the round eyes of the rundeisers, back to back, buck to bucker, on their airish chaunting car, beheld with intouristing‘bucker’はウィリアム・バクリーを指すか。‘intouristing’は、ソ連への外国人観光客を扱う機関であるIntouristのことか。これらの語の間に、ヴィクトリア女王がアイルランドを訪れたことを歌った‘The Irish Jaunting Car’(ヴァレンティン・ヴースデン作)に「憑依」(haunting)をかけた句が挟まれている。 anterestedness the clad pursue the bare, the bare the green, the green the frore, the frore the cladagainシェイクスピア『冬物語』第3幕第1場のト書きに‘Exit, pursued by a bear’がある。退場するのはアンティゴナス。, as their convoy wheeled encirculingly abound the gigantig’s lifetree北欧神話の生命の樹ユグドラシルを彷彿とさせる。ヴィーコの歴史哲学における「巨人の時代」も。ここの前後は、『ウェイク』p.3の語句の変奏が多い。, our fireleaved loverlucky blomsterbohm, phoenix in our woodlessness『ユリシーズ』第12挿話では、ジョン・ワイズが「そのうち俺たちもポルトガルなみに木がなくなっちまうぞ」(‘—As treeless as Portugal we’ll be soon, says John Wyse’)と言う。この台詞に、「フェニックス公園」およびナツメヤシの学術名Phoenix dactyliferaがかかっている。, haughty, cacuminal, erubescentHCE。 (repetition!) whose roots they be asches with lustres of peinsALP。フランスの温泉地エクス゠レ゠バン。『ウェイク』によく登場する。Peinはドイツ語で「苦痛」、lustreは「5ヶ年」。. For as often as the Archicadenus「カッド」(cad)が含まれる(第1巻第2章でHCEに時間を尋ねる人物)。スウィフトの「カデナスとヴァネッサ」の仄めかし。, pleacing aside his Irish Field1870年創刊のダブリンの新聞Irish Field and craving their auriculars to recepticle particulars before they got the bump at Castlebar1798年のアイルランド反乱の際、アイルランドに協力していたフランス軍がキャッスルバーでイギリス軍を撃破したが、このときのフランスからの援軍をCastlebar racesと呼ぶ。 (mat and far!) spoke of it by request all, hearing in this new reading of the partバルフの「ボヘミアの少女」の仄めかし。『シアター・ロイヤル年次録』p.194には以下の記述がある。‘”The secret of my birth,” was a wonderful success — the great tenor adding to the effect by, now and then, a judicious “new reading,” without marring the intention of the composer’. whereby, because of Dyas in his machinaヴェーダの天空神ディヤウス。ギリシア神話のゼウスと同じ起源をもつ。ラテン語で「機械仕掛けの神」を意味するdeus ex machinaがかかる。古代ギリシア語でδυάςは「数字の2」。, the new garrickson’s grimacing grimaldismサミュエル・カーライル・ヒューズの『ダブリンにおけるヴィクトリア朝以前の劇画』p.4には、18世紀ダブリンの舞台役者デイヴィッド・ギャリックの芸風を評した‘Garrick’s school of grimace’という言い回しが出てくる。この言い回しに、16世紀イギリスの詩人ニコラス・グリモルドの名や、18世紀イギリスの道化師ジョーセフ・グリマルディの名が混ざる。 hypostasised by substintuation the axiomatic orerotundity of that once grand old elrington同じくヒューズの本に出てくる役者のトマス・エルリントンの名に加え、19世紀初頭にトリニティ・カレッジ総長を務めた同名の司教の名も仄めかされる。また、19世紀から20世紀にかけて活動したアイルランドの歴史学者で、スウィフトの書簡や手記を編集・刊行したフランシス・エルリントン・ボールも。

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音声解説
bawl, the copycus’s description16世紀の天文学者コペルニクス。 of that fellowcommuter’s play upon countenants, could simply imagine themselves in their bosom’s inmost core, as pro tem locumsラテン語で‘pro tempore locum tenens’は「一時的な代理」を意味する。 timesported acorss the yawning (abyss)フランスの哲学者エドゥアール・シュレの講演録Woman the Inspirerより。‘In love, as in friendship, there are divergencies of idea and feeling which at first are almost imperceptible crevices, though they widen into yawning abysses with the flight of time’., as once they were seasiders, listening to the cockshyshooter’s evensong evocation of the doomed but always ventriloquent Agitatorダニエル・オコンネルの通称は‘The Agitator’だった。, (nonot more plangorpound the billows o’er Thounawahallya Reef!アイルランド語でtonn a’mhaith sháileは「偉大なる海の波」。そこへ北欧神話における神の殿堂「ヴァルハラ」(Valhalla)が混ざる。) silkhouatted, a whallrhosmightiadd, aginsst the dusk of skumring, (would that fane be Saint Muezzin’s callfaneは古風な英語で「神殿」を意味する。また、イスラム教で礼拝を呼びかける役をムアッジンと呼ぶ。ing — holy places! — and this fezかつてトルコでイスラム教徒の男性がかぶったバケツ型のフェルト帽は「フェズ」と呼ばれた。 brimless as brow of faithful toucher of the groundイスラム教では礼拝のときに眉毛を地面につける。, did wish it were — blessed be the bones! — the ghazi, power of his swordイスラム教でオスマン帝国のスールタンなどに与えられた称号の一つに、「戦士」を意味するGhaziがある。預言者ムハンマドやイスラム教の戦士が、栄光ある戦いを表すための名前としてもこの言葉を使った。また、アイルランドのジャーナリストのフランク・「ガジー」・パワーも仄めかされているか(パワーは自惚屋で、自分の手紙に‘Ghazi’すなわち「戦士」と署名した)。.) his manslayer’s gunwielder protended towards that overgrown leadpencilウェリントン記念碑の愛称‘the overgrown milestone’のもじり。男性に精力があることを‘have lead in one’s pencil’と言う。 which was soon, monumentally at least, to rise as Molyvdokondylon現代ギリシア語でμολύβιは「鉛筆」、κόνδυλοςは「関節丘」。 to, to be, to be his mausoleum (O’dan北欧神話のオーディンと、ダニエル・オコンネルの名が混ざっている。後者はダブリンのグラスネヴィン墓地にあるオコンネル塔のふもとに埋葬されている。 stod tillsteyne at meisies aye skould show pon) while olover his exculpatory features, as Roland rung,英語では「目には目を」という意味で‘a Roland for an Oliver’と言う。この言い回しに、アメリカの詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェローの19世紀の作品「ブルッヘの鐘楼」の末尾の句がかかっている(そこでは鐘楼がRolandと呼ばれている)。11世紀フランスの叙事詩「ローランの歌」に登場する英雄オリヴィエや主人公ローラン(シャルルマーニュの甥)の名も。 a wee dropeen of grief about to sillonise his jouejous, the ghost of resignation diffused a spectral appealingness英語でpealは「(鐘)の響き」の意。また、鳴鐘術(campanology)の用語としては、特定の鐘の鳴らし方に与えられる名称。, as a young man’s drown o’er the fate of his waters may gloatトマス・ムーアの歌‘As a Beam o’er the Face of the Waters May Glow’(旋律はThe Young Man’s Dream)が仄めかされている()。, similar in origin and akkurat in effective to a beam of sunshine upon a coffin plateダニエル・オコンネルは、イギリス保守党党首エドワード・スミス゠スタンリーの笑顔を「棺桶の銀のプレート」のようだと揶揄したが、これが後にピール首相に対する揶揄だと勘違いされて広まった(ジョイスもおそらく同様の勘違いをしていた)。.
  Not olderwise Inn the days of the Bygning「創世記」の英語の書き出し‘In the beginning…’から。デンマーク語でbygningは「建物」。 would our Traveller remote, unfriended, from van Demon’s Land, some lazy skald or maundering poteオリヴァー・ゴールドスミスの哲学詩‘Traveller; Or, a Prospect of Society’の書き出しの2行より。‘REMOTE, unfriended, melancholy, slow, / Or by the lazy Scheld, or wand’ring Po’. アイスランド語でskáldは「古代北欧詩人」「詩人」。スカルド詩の代表作としては『エギルのサーガ』などがある。van Demon’s Landは、タスマニアの植民地支配時の名称「ヴァン・ディーメンズ・ランド」から(東インド会社総督アントニオ・ヴァン・ディーメンにちなんで名付けられた)。, lift wearywilly19世紀から20世紀にかけて、イギリスのIllustrated Chips誌にトム・ブラウンが連載したお笑い漫画Weary Willie and Tired Timの仄めかし。 his slowcut snobsic eyes「お高くとまった」(snobbish)に、「原文ママ」(sic)が混ざっている。また、snob-stickはknob-stickの強調形で、ストに参加しない労働者をあらわすスラング。 to the semisigns of his zooteac英語でzodiacは「黄道帯」「獣帯」、zooは「動物園」、アイルランド語でteachは「家」。ダブリン動物園か。 and lengthily lingering along flaskneck, cracket cup, downtrodden brogue, turfsod, wildbroom, cabbageblad, stockfisch黄道帯12星座を連想させる物が列挙される。「瓶のくび」(flask neck)はおひつじ座、「ヒビ割れたコップ」(cracked cup)はおうし座、「踏みつけられた短靴」(downtrodden brogue)はふたご座、「芝土」(turf sod)はかに座、「野性のエニシダ」(wild broom)はしし座、「キャベツの葉身」(cabbage blade)はみずがめ座、「魚の保存食」(stock fish)はうお座。‘downtrodden brogue’には、エズラ・パウンドがエリオットとウィンダム・ルイス経由でジョイスへ茶色の靴を贈ったエピソードも反映されているかもしれない。ルイスはジョイスに会ったときに、その英語のなまりを‘What provincials they are, bless their beastly brogues!’と表現したと言われているが、アイルランド英語でbrogueは「靴」と「なまり」の両方を表す。, longingly learn that there at the Angelロンドンのエンジェル・ホテルの周辺にはアイルランド人がたくさんいた were herberged for him poteen and tea and praties and baccy and wine width woman wordth warbling: and informally quasi-begin to presquesm’ile to queasithin’ (Nonsense! There was not very much windy Nous blowing at the given moment through the hat of Mr Melancholy Slow!)ウィンダム・ルイスの評論集Time and Western Manにおけるジョイス評より。‘there is not very much reflection going on at any time inside the head of Mr. James Joyce’ (p.106)という文言や、スティーヴン・デダラスについて‘the incredible slowness with which he gets about from place to place’ (p.114)という書き方がされている。ゴールドスミスの‘Traveller; Or, a Prospect of Society’の書き出しに見られる‘melancholy, slow’も。英語で‘through the hat’は「知ったかぶりを言う」。
  But in the pragma what formal causeアリストテレスの「形相因」。 made a smile of that tothink?エジプト神話における知恵の神トト(Thoth)。 Who was he to whom? (O’Breen’s not his name nor the brown one his maidトマス・ムーアの歌‘Oh! Breathe Not His Name’()は、旋律が‘The Brown Maid’。『ユリシーズ』に出てくるブリーン夫妻の名も仄めかされている。.) Whose are the placewheres? Kiwasti, kisker, kither, kitnabudja?Downingの『豪兵弁』(Digger Dialects)によると、「なぜ、どれ、どこ、何時」。 Tal the tem of the tumulum.紀元前2000年頃のエジプトの女王テム。英語およびラテン語でtumulusは「墓を覆う土の丘」。ニューグレンジも示唆される。ロマ語でtemは「国」「郷土」。 Giv the gav of the grube.ロマ語でgavは「村」「街」。英語でa gift of the gabは「弁舌の才能」。ドイツ語でGrubeは「穴」「鉱山」「ほら穴」。 Be it cudgelplayers’ countryロマ語でコーンウォールのことをCosht-killimengreskey temすなわち「棍棒戦士の国」と呼ぶ。コーンウォールは、アイルランド人が植民地支配した記録をもつほぼ唯一の外国。 orfishfellows’ townロマ語でノーフォークの街ヤーマスのことをMatch-eneskey gavすなわち「魚っぽい街」と呼ぶ。 or leeklickers’ landロマ語でウェールズのことをPorrum-engreskey temすなわち「ネギ食いの国」と呼ぶ。オランダ語でLuilekkerlandは「怠け者の天国」 or panbpanungopovengreskeyロマ語でPaub-pawnugo temすなわち「リンゴ水の国」はイギリス南西部のヘレフォードシャー、Pov-engreskey temすなわち「ジャガイモの国」はイギリス東部のノーフォークのこと。ロシア語でpo-vengerskiは「ハンガリー語で」。. What regnans

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音声解説
raised the rains have levelled but we hear the pointers and can gauge their compass for the melos yields the mode and the mode the mannersドイツ語でMelosは「旋律」「曲」。1898年結成のオーケストラMoody-Manners Opera Companyも仄めかされる(創始者は歌手夫妻のチャールズ・マナーズとファニー・ムーディー)。 plicyman, plansiman, plousiman, plab. Tsin tsin tsin tsin!ジョイスが読んだ、カール・クロウのMaster Kung: The Story of Confuciusという本には、孔子が様々な国の音楽を学んでいく描写があるが、そのなかにはTsiすなわち斉(せい)の音楽も含まれる。 The forefarther folkers for a prize of two peachesデンマーク語でfolkeforfatterは「人気作家」。「2つの桃」は、クロウの本のp.132前後の、孔子のライバルの晏嬰(あんえい)の政治的計略のエピソードから。 with Ming, Ching and Shunny中国の三つの王朝「」「」「」。 on the lie low lea. We’ll sit down on the hope of the ghouly ghost for the titheman troublethクロウのMaster Kung p.63では、若き孔子は徴税人だったとされている。‘Young Kung’s position was the humble, rather difficult and certainly unpopular one of estate supervisor and tithe-collector’. キリスト教の教会(カトリック教会など)は、任意とはいえ十分の一税を徴税したこともあった。「ルカによる福音書」第19章のザアカイの話も。 but his hantitat hies not here「マルコによる福音書」16:6より。「若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない(he is not here)」」。. They answer from their Zoans; Hear the four of them!ウィリアム・ブレイクの『エルサレム——グレート・アルビオンの発現』第2章(第42板)より。‘Thou wast the Image of God surrounded by the Four Zoa’s / Three thou hast slain! I am the Fourth: thou canst not destroy me’. また、未完の遺稿Vala, or the Four Zoasからも。 Hark torroar of them!アイルランド語で「通夜」「葬式」を意味するtorramhに「トーラー」がかかる。 I, says Armagh, and a’m proud o’it. I, says Clonakilty, God help us! I, says Deansgrange, and say nothing. I, says Barna, and whatabout it?それぞれアイルランドの4つの州(アルスター、マンスター、コナハト、レンスター)に位置する4つの土地が順に話す(地名の頭文字を並べるとACDBとなる)。アーマー(Armagh)はアルスター州アーマー県の県都。マンスター州コーク県の町クローナキルティは、ジャガイモ飢饉の最中に特にひどい状況だったことから、‘Clonakilty — God Help Us!’というあだ名で呼ばれていた。バーナ(Barna)はコナハト州ゴールウェイ県の町、ディーンズグレンジ(Deansgrange)はレンスター州に位置するダブリン南郊の地区。 Hee haw! Before he fell hill he filled heaven: a stream, alplapping streamletALP。ドイツ語でplappernは「ぺちゃくちゃ喋る」。, coyly coiled um, cool of her curls: We were but thermites then, wee, wee.英語で読めば「あの頃はまだ小さな虫けらだった」という意味になるが、‘wee, wee’はフランス語でoui, ouiとも読める。 Our antheap we sensed as a Hill of Allenキルデア県にある活火山の丘。フィン・マクールとフィアナの基地だった。, the Barrow for an People, one Jotnursfjaellアイスランド語で「巨人の山」。: and it was a grummelung amung the porktroop that wonderstruck us as a thunder, yunder.
  Thus the unfacts, did we possess them, are too imprecisely few to warrant our certitude, the evidencegivers by legpoll too untrustworthily irreperible where his adjugers are semminglyハンガリー語でsemmiは「無」。日本語の「セミ」も響くか。夏なので。 freak threes but his judicandees plainly minus twos. Nevertheless Madam’s Toshowus waxesロンドンのマダム・タッソー館。1835年に開館した。ろう人形がたくさんおいてある。そこへ「東照宮」や「図書」が響く。 largely more lifeliked (entrance, one kudos; exits, free)ポルトガルの旧通貨エスクード and our notional gullery「国立美術館」(national gallery)に、「概念上の」(notional)と「詐欺」(gullery)がかかっていることから、国家による過去の展示を「概念における詐欺」として批判する言い回しであると推測できる。 is now completely complacent, an exegious monument, aerily perennious.ホラティウス『オード』第3巻第30歌の書き出しより。‘Exegi monumentum aere perennius’(‘I constructed a monument of pyramids more durable than bronze’). Oblige with your blackthorns; gamps, degrace! And there many have paused before that exposure英語のexposureはここでは「写真」という意味。 of him by old Tom Quadオックスフォード大学のカレッジの一つであるクライスト・チャーチの「大きな中庭」(The Great Quadrangle) は、‘Tom Quad’の名で親しまれていた。中庭を囲む建物のうち寮として利用されていた区画にはルイス・キャロルが住んでいたこともある。, a flashback in which he sits satedルイス・キャロルとアリス・リデルが一緒に座っている写真を想起させる。, gowndabout, in clericalease habit, watching bland sol slithe dodgsomely into the nethermhermとは、上部に頭像や胸像を置いた石柱のこと。発明や伝達の神ヘルメスの頭像が置かれることが多かった。男性器の像が添えられることもあった。「隠遁者」(hermit)も響く。ore, a globule of maugdleness about to corrugitate his mild dewed cheek and the tata of a tiny victorienne第1巻第2章の終盤(p.40)に出てくるMildew Lisaはアリスのことではないかと推測できる。, Alys, pressedALP。アリス・リデル。 by his limper looser.
  Yet certes one is. Eher the following winter had overed the pages of nature’s bookガリレオは「自然界という本は数学という言語で記述されている」と述べた。1922年11月21日のIrish Times紙には、‘Nature’s Book’という見出しで自然環境保全に関する記事が載っていた。 and till Ceadurbar-atta-Cleathアイルランド語でcéadは「長」「トップの」。ドイツ語でurbarは「耕作可能」、ラテン語でurbanusは「都市の」をそれぞれ意味する。これらの語が、ダブリンのアイルランド語名Baile Átha Cliathを思わせる句と組み合わされている。 became Dablena Tertiaプトレマイオスがダブリンにつけた名前‘Eblana’に、‘Dublin’や「第三の」(tertia)がかかる。, the shadow of the huge outlander, maladikチェコ語でmladíkは「10代の青年」。ラテン語でmaladictusは「非難された」。, multvult, magnoperousラテン語でmulti vultiは「多面相」、magnopereは「非常に」の意。, had bulked at the bar of a rota of tribunalsローマ・カトリック教会の教皇庁裁判所「ロタ法廷」の仄めかし。 in manor hall as in thieves’ kitchen英語スラングで「法廷」。ロタ法廷をけなしているか。, mid pillow talkアイルランドの民話「クーリーの牛の略奪」(‘The Táin Bó Cúailgne’)の第1章が‘Pillow-Talk’すなわち「枕話」と呼ばれている。 and chithouse chat, on Marlborough Green18世紀ダブリンの庭園Marlborough Green Gardensの仄めかし。マルボロ通りの付近は比較的高級な地区だったらしく、コンサートなども行われた。 as through Molesworth Fieldsレンスター・ハウス付近のモールズワース通りは18世紀までモールズワース・フィールドと呼ばれていた。, here sentenced pro tried with Jedburgh justiceスコットランドの街ジェドバーグにちなんで名付けられた司法の方法で、先に絞首刑に処してから後で裁判を行うこと。ジェドバーグでは牛の略奪者がよくその場で死刑にされたと言われているが、信憑性に欠けるとする説もある。, there acquitted contestimony

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音声解説
with benefit of clergyラテン語で‘privilegium clericale’という。イギリスでは世俗的な裁判の免除特権が聖職者に与えられた。後に、初犯一般へとこの特権は拡大されたが、1827年に廃止された。. His Thing Modダブリンのヴァイキング議会Thingmote。今ではモリー・マローンの銅像がある。módはスコットランドのゲール語で「お祭り」。スコッチ・ゲールを語源とするが、元の意味は北欧語のThingと同じで「集会」だった。 have undone him: and his madthing has done him man. His beneficiaries are legion in the part he created: they number up his years. Greatwheel Dunlop19世紀スコットランドの獣医でゴム製の空圧タイヤの発明者ジョン・ボイド・ダンロップの名が仄めかされる。ダンロップが立ち上げた会社はヨーロッパにおけるゴム供給を一気に拡大させ、レオポルド2世によるコンゴの略奪に大きな動機を与えた。 was the name was on him: behung, all we are his bisaaclesダンロップが自分の子どもの三輪車のために空圧タイヤを発明したことが仄めかされている、フランス語でbissacは「女性器」(詳しくはこちら)。旧約聖書のイサク。. As hollyday in his house so was he priest and king to thatウィリアム・ブレイクの1827年4月12日付の私信に‘the Mind, in which every one is King and Priest in his own House’という言い回しが見られる。パーネルの死を祈念する祝日Ivy Dayも。また、魔よけのヒイラギ(holly)。: ulvy came, envy saw, ivy conquered.ユリウス・カエサルが言ったとされる「来た、見た、勝った」(‘Veni, vidi, vici’)への言及。ulvはデンマーク語で「狼」。魔よけのツタ(ivy)。イエスの「茨の冠」。なお、ジョイスは‘The Shade of Parnell’というエッセイで次のように述べている。 ‘In his final desperate appeal to his countrymen, he begged them not to throw him as a sop to the English wolves howling around them. It redounds to their honour that they did not fail this appeal. They did not throw him to the English wolves; they tore him to pieces themselves’ (The Critical Writings of James Joyce, p.228). Lou! Lou!フランス語でloupは「狼」、louéは「賃貸しされている」。 They have waved his green boughs o’er himアイルランドの伝統的なバラッド‘Wrap The Green Flag Round Me’()の仄めかし。J・K・オライリーが歌詞をつけた。魔よけのヤドリギ。green boughsは「金枝」(the golden bough)のもじりで、ウェルギリウスの『アエネーイス』でアイネイアスが冥界へ行く際に入手するアイテム。19世紀にジェームズ・フレイザーが書いた宗教研究の大著『金枝編』も。 as they have torn him limb from lamb.前節とあわせると、ゼクセロイテンの雪だるまボーグの爆発も想起させる。オシリスの四肢切断も。 For his muertification and uxpiration and dumnation and annuhulation. With schreis and grida, deprofound souspirs詩編第130章の葬儀の祈り‘De profundis…’より。「(都もうでの歌)主よ、わたしは深い淵からあなたに呼ばわる。主よ、どうか、わが声を聞き、あなたの耳をわが願いの声に傾けてください。主よ、あなたがもし、もろもろの不義に目をとめられるならば、主よ、だれが立つことができましょうか」。ワイルドの獄中記De Profundisやトマス・ド・クィンシーのSuspira de Profundisも。ラテン語でde profundisは「深淵から」という意味なので、獄中にせよ心の深淵にせよ、冥界(ハデス)のモチーフが続いている。フランス語でsousは「〜の下に」、soupirsは「ため息」。. Steady, sullivans! Mannequins pause!ブリュッセルにある「小便小僧」(Manneken Pis)の仄めかし。 Longtong’s breach is fallen down童謡「ロンドン橋が落ちた」の仄めかし。この歌を記録した文献は、イギリスでは17世紀のものまで見つかっているが、歌詞は11世紀のヴァイキングによるロンドン橋の破壊についてのものではないかという説がある。 but Graunya’s spreed’s abroad第1巻第1章p.7の‘Grampupus is fallen down but grinny sprids the boord’のリフレイン。ここではgrinnyではなく海賊女王グローニャ・ニ・ウォーリャになっている。. Ahdostay, feedailyonesクリスマスの聖歌‘Adeste Fideles’の仄めかし。パヴァロッティが歌ったりもしている。, and feel the Flucher’s bawlsパーシー・フレンチ作曲の「笛吹きフィルの宴」)。笛吹きのフィルが家賃を払うために宴を開き、見事に成功するという物語。『ウェイク』において定期的に言及されることを踏まえると、HCEが家賃を支払う必要が出たときに宴を開いていると解釈できなくもない。 for the total of your flouts is not fit to fan his fettle, o!直前の「笛吹きフィルの宴」のサビ‘With the toot of the flute and the twiddle of the fiddle, O!’のもじり。英語でin fine fettleは「元気にしている」。 Have a ring and sing wohl! Chin, chin! Chin, chin!乾杯の音頭に、『ウェイク』p.57に登場した‘Tsin tsin tsin tsin!’(斉国の仄めかし)を響かせている。 And of course all chimed din width the eatmost boviality.ここも「笛吹きフィルの宴」の歌詞‘Then all joined in wid the utomost joviality’より。 Swiping rums and beaunes and sherries and ciders and negus and citronnades too19世紀の歌「フォガティーさんのクリスマス・ケーキ」から()。beauneは赤ワイン、negusはワインと熱い水にレモンやスパイスを混ぜた飲み物。繰り返し方に‘Johnny I Hardly Knew Ye’の‘guns and drums and guns drums …’も重なる。. The strongers. Oho, oho, Mester Beggeノルウェー語で「棟梁」を意味するBygmesterが響く。デンマーク語でbeggeは「両方」。英語のbegも。, you’re about to be bagged in the bog again. Bugge.ゼクセロイテンの「ボーグ」の他、20世紀ノルウェーの歴史家アレクサンダー・ブゲも。英語のbuggerも響く。 But softsies seufsighedジェームズ・マクファーソンがスコットランドの叙事詩として発見しスコットランド・ゲール語から英訳し、1773年に発表した‘The Poems of Ossian’の‘Carric-Thura’の章に見られる‘The soft sigh of Utha was near!’という句が仄めかされる。盲目の古代詩人オシアンによる語り(とマクファーソンが主張する文体)の一部だが、ジョイスの目の悪さを考慮すると味わいがある。: Eheu, for gassies!ホラティウスの『オード』第2巻第14歌のタイトル‘Eheu, fugaces’より(こちらの分析も参照)。ここへドイツ語で「忘れろ!」を意味するvergiss es!がかかる。 But, lo! lo! by the threnning gods古い英語でthreneは「哀歌」。現代では古代ギリシア語のθρηνῳδία「哀歌」を語源とすることからthrenodyと呼ばれることもある。そこへドイツ語で「分断する」という意味のtrennenや、デンマーク語で「三位一体の神」を意味するtreenige Gudがかかる。, human, erring and condonableHEC。償えない罪はないということか。, what the statues of our kuo中国語でkuoは「国」。ただ、スイス・ドイツ語においてKuoは「牛」。ラテン語のstatus quo「現状」も響く。, who is the messchef be our kuang中国語の「光」(kuang)や「王」(wang)が響く。, ashu ashure there中国語の「木」(shu)に「灰」(ash)が混ざる。シェム。, the unforgettable treeshade looms up behind the jostling judgements of those, as all should owe, malrecapturable days.
  Tap and pat and tapatagainシェム、ショーン、シェム+ショーンの含意。フランス語でtapetteは「ハエ叩き」「おしゃべりな人」。笛吹きフィルの宴の踊りのリズム、「酒場と(聖)パトリック」(tap and pat)などが響く。, (fire firstshot, Missiers the Refuseleers!エドゥアール・トロガンのフランス史の有名な言葉』p.48より« Tirez les premiers. Messieurs les Anglais »(英訳すれば、‘Fire first, English gentlemen’)。この台詞に「王室ウェールズ燧石銃隊」がかかる。 Peingpeong! For saxonlootie!ゼクセロイテンの鐘の音を表す擬音語に「サクソン族による略奪(品)」(Saxon loot)がかかる。ドイツのザクセン゠アンハルト地方では、いまだに「略奪された作品」リストがあり、1,000点以上の本や絵画がアメリカやソ連から返還されていないとしている。) three tommix 英語のスラングでtommiesは「イギリス兵」。, soldiers freeトマス・レーヴンクロフトの歌‘Soldiers Three’)の歌い出し。‘We be soldiers three, / Pardonnez-moi je vous en prie, / We be soldiers three, With hardly a penny of money’の仄めかし。後述の丸括弧内のフランス語もこの歌詞のもじり。, cockaleak and cappapee英語でcocking handleは「銃の発砲準備レバー」だが、ここではhandleがleakに変わっている。英語スラングでleakは「放尿」。英語でleekは「ニラネギ」であり、ウェールズの国章にもなっている。(cocking handle)がなぜかウェールズを象徴するネギ(leek)になっている。cap-a-pieは「頭からつま先まで」。この文脈では、重武装のこと。, of the Coldstream. Guardsオリヴァー・クロムウェルの指揮下で組織されたイングランドの歩兵連隊「コールドストリームガーズ」 were walking, in (pardonnez-leur, je vous en prie, eh?) Montgomery Streetダブリンの赤線区域「モントー」のモンゴメリー通り。『ユリシーズ』第15挿話の舞台にもなっている。. One voiced an opinion in which on either wide (pardonnez!), nodding, all the Finner Campsアイルランドのバリシャノンに19世紀に造られた軍事基地Finner Camp。北アイルランドとの国境に面している。また、旧石器時代の墳墓が周辺にたくさんある。 concurred (je vous en prie, eh?). It was the first woman, they said, souped him, that fatal wellesday初代ウェリントン公爵のアーサー・ウェルズリー。, Lili Coninghamsリリス。第1巻第2章冒頭の‘Lili O’Rangans’とも響く。, by suggesting him they go in a field. Wroth mod eldfar, ruth reddコーンウォールの都市レッドルース stilstand, wrath wrackt wroth, confessed private Pat Marchison聖パトリックを示唆する‘Pat’に「行軍[進行]中」(march is on)あるいは「(引き続き)行軍する」(marches on)がかかっていると思われる。 retro. (Terse!) Thus contenters with santoys play第1巻第2章p.32の‘cumsceptres with scentaurs stay’と響く。典拠はラテン語のお告げの祈り「[マリアは]聖霊によって[神の御子を]宿された」(‘Et concepit de Spiritu Sancto’)。そこへ20世紀初頭の音楽喜劇San Toyがかかる。この劇はロンドンのデイリー劇場(Daly’s Theatre)で1899年に初演されてから、合計768回も上演され大ヒットを記録した。中国への妄想に基づく典型的なオリエンタリズムがうかがえる作品でもある。. One of our coming Vauxhallロンドン南西部の繁華街のヴォクソールや、ブリュッセル公園に建つ古い建造物ウォクスホール。後者の名前は前者から来ている。そこへ「ヴァルハラ」がかかる。 ontheboards英語スラングで「演劇業界で働いている人」。 who is resting for the moment (she has been callit by a noted stagey elecutioner a wastepacket Sittons18世紀ウェールズの舞台俳優サラ・シドンズ。同時代で最も有名な悲劇俳優であり、批評家からは「悲劇の化身」と称賛された。) was interfeud in a waistend pewty parlour英語スラングでbeauty parlourは「娼館」。そこへ酒場のジョッキに使われた合金「シロメ」(pewter)がかかる。. Looking perhaps even more pewtyflushed in her cherryderryデリー県。

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音声解説
padouasoys「ポードソア」は、18世紀に普及した丈夫な絹織物(壁掛けや法衣などに使われた)。英単語としては1663年が初出。, girdle and braces17世紀末〜18世紀前半に活躍したイギリスの舞台役者アン・ブレイスガードル。1690年にロンドンのシアター・ロイヤルに入り、1705年にはニコラス・ローの悲劇『ユリシーズ』を演じた。ローはシェイクスピアの作品を編集した最初の人物だと言われている。 by the Halfmoon and Seven Stars18世紀にダブリンのフランシス通りにあったお店の名前。アダ・ピーターのSketches of Old Dublin p.88には以下のような記述がある。‘At the “Half Moon and Seven Stars” in Francis Street, where also might be found the sign of the “Salmon,” poplin could be purchased’., russet中世イギリスの貧困層が身に着けた布。また、フランシスコ会などの修道士も、謙虚の印としてこれを身に着けた。s from the Blackamoor’s Head18世紀のダブリンにおいてフランシス通りからデーム通りに移った店。アダ・ピーターのSketches of Old Dublin p.92には以下のような記述がある。‘Did anyone ever hear of the “The Blackmoor’s Head” in Francis Street, for if so it is well to take notice that in the middle of the eighteenth century it changed quarters, and from that time was to be found in Dame Street, and at “The Blackmoor’s Head” in this latter locality could be seen just imported a variety of rich flowered silks.’, amongst the climbing boys at his Eagle and ChildHCE。Eagle & Childは18世紀ダブリンで煙突掃きが店舗を構えていた建物の名前。ピーターのSketches of Old Dublin, p.89より。 and over the corn and hay emptorsHCE。ラテン語でemptorは「買い手」。 at their Black and All BlackダブリンにあったBlack And All Blackという建物では穀物と干し草が売られていた。アダ・ピーターのSketches of Old Dublin p.96には以下の記述がある。‘”Black and All Black” is the strange sign taken by Robert Simpson, a farrier [i.e. horseshoe smith] who, when he moved from his house in Strand Street, took the residence, with stables, that the Widow Barwiss had owned in Chequer Lane, and which would henceforth be known by the sign of “Black and All Black,” and here gentlemen could depend on getting the best hay and corn, with good attendance’., Mrs F… A…スラングでF.A.は‘f*ck all’すなわち「まったく何も」。 saidaside, half in stage of whisper「傍白」(aside)とは、演劇の登場人物が、他の登場人物には聞こえず観客だけに聞こえる形で話す台詞のこと。現代だと、‘The Office’などのコメディで人物がカメラに向かって独白する発話形式に似ている。 to her confidante glass『白雪姫』の魔女を彷彿とさせる。ゲイエティ劇場開場25周年記念の冊子(Souvenir of the 25th Anniversary of the Gaiety Theatre, p.32)に、有名なソプラノ歌手がいつも「相談役」をもっていたという記述がある。, while recoopering her cartwheel chapotcartwheel hatとは、車輪のように頭部やつばが広く大きい帽子のこと。フランス語でchapeauは「帽子」、capoteは「軍用コート」あるいは「コンドーム」。 (ahat! — and we now know what thimbles a baquets12世紀のカンタベリー司教トマス・ベケット。アイルランドへのアングロ゠ノルマン侵攻の年である1169年にも司教だった。そこへ「指ぬき」(thimble)や「バケツ」(bucket)がかかる(なお、thimblefulは「(指ぬき一杯分ほどの)少量(の酒)」、bucketfulは「(バケツ一杯ほどの)大量(の酒)」を意味する)。また、フランス語でbaquetは「腹」「洗濯女」を表すスラング。 on lallance a tallsダブリンの守護聖人で12世紀アイルランドの大司教ローレンス・オトゥール。彼の名に、ドイツ語で「(幼児や酔っ払いが)まわらぬ舌で話す」を意味するlallenや、英語で男性器を表すスラングlanceがかかる。 mean), she hoped Sid Artharギネス社の創設者であるアーサー・ギネスの曽孫にあたる実業家・政治家アーサー・ギネス卿の名に、ゴータマ・ブッダの出生名「シッダールタ」やヘルマン・ヘッセの小説『シッダールタ』が混ざる。ギネス卿はArdilaunの公爵であり、ダブリンのラヒーニーにある聖アン公園で生まれた。今でも公園内にはギネス卿のかつての屋敷の遺構が残っている。 would git aヒンドゥー教の中核をなす聖典バガヴァッド・ギータ。アルジュナ王とクリシュナの対話という形をとる(この構造はアイスキュロスの悲劇『オレステイア』3部作にとてもよく似ている)。 Chrissman’s portrout of orange and lemonsized童謡‘Oranges and Lemons’の仄めかし。‘Oranges and lemons, Say the bells of St. Clement’s. / You owe me five farthings, Say the bells of St. Martin’s. / … / Here comes a candle to light you to bed, / And here comes a chopper to chop off your head! / Chip chop chip chop the last man is dead’. 歌詞の解釈については諸説あり、子どもの生け贄、公的な死刑執行、ヘンリー8世の妻たちをめぐるいざこざ、といったものがある。 orchids with hollegs and ether, from the feeatre of the Innocidentフランス語で「妖精」を意味するféeに、聖書でヘロデがベツレヘムの赤子を虐殺した挿話「嬰児虐殺」(Childermas)がかかる。虐殺の日付は12月28日で、西暦5世紀頃から祈念日となっている。, as the worryld had been uncainedカインとアベル。. Then, while it is odrous comparisoningシェイクスピア『空騒ぎ』第3幕第5場で警察官のドグベリーが言うセリフ‘comparisons are odorous’より(興味深い解釈はこちら)。 to the sprangflowers ドイツ語でsprangは「跳ねた」。ブッダの誕生日を示唆する描写が多い。of his burstday which was a viridableカインとアベル。 goddinpotty for the reinworms and the charlattinas and all branches of climatitisセンニンソウ」(clematis)に「皮膚炎」(dermatitis)がかかる。古代ギリシア語でκληματίςは「巻束」「粗朶(そだ)の束」。, it has been such a wanderful noyth untirely, added she, with many regards to Maha’s pranjapansiesミャンマー語でmahaは「王族」。サンスクリット語でprajnaは「知的な」「知恵のある」。アイルランド神話の女神マカ(Macha)。釈迦の義母・養母である摩訶波闍波提(まか・はじゃはだい)の英語表記Maha-prajapati Gautamiも仄めかされる。また、「日本」(Japan)と「パンジー」もかかっている。パンジーのラテン語名はViolaであり、第1巻第1章p.3の‘violer d’amores’と響く。. (Tart!) Prehistoric, obitered to his dictaphone an entychologistラテン語の「付言」(obiter dicta)が、「速記用口述録音機」(Dictaphoneとして商標登録されている)と組み合わさる。古代ギリシア語でἐντυχίαは「会話」、τύχηは「幸運」「偶然」。これらの語が、「昆虫学者」(entemologist)にかかっている。: his propenomen is a properismenonローマにおける男性市民の個人名をプラエノーメンという。古代ギリシア語でπροπερισπώμενοは、最後から2番目の音節に曲アクセントを持つ単語のこと。. A dustman nocknamed Sevenchurches1922年12月14日にDaily Sketch紙に掲載されたバイウォーターズ裁判に関する記事からの引用。‘A dustman named Churches, in the employ of the City Corporation, said:— “We have been discussing the case at our wharf, and most of the fellows will sign the petition; in fact, I believe we shall all sign it. Bywaters is only a young fellow, and ought to be let off the death sentence. The woman dominated him and led him astray”’. 当時はエレン・トムソンを不当に非難する人たち(主に男性)がたくさんいた。英語スラングでdustmanは「過度の熱弁で収拾がつかなくなっている人」の意 (‘raise some dust’と同義)。‘Sevenchurches’はグレンダロッホの7つの教会の通称。 in the employ of Messrs Achburn, Soulpetre and Ashreborn, prairmakers, Glintalookdustmanの雇用主。Saltpetreはニトロ(爆薬)。「聖ペトロ」(St Peter)、「灰(から)生まれる」(ash born)フェニックス、そして「死者への祈り」中の文句「灰は灰に」(ashes to ashes)といった語が読み取れる。「視線を光らせる」とも読めそうな‘Glintalook’は、聖ケヴィンが隠遁していた「グレンダロッホ」を響かせる。森への隠遁というモチーフは、アーサー王の姉妹であるモーガン・ル・フェイも想起させる。, was asked by the sisterhood the vexed question during his midday collation of leaver and buckrom alternatively with stenk and kitteney phie in a hashhoush「軽い昼食」(collation)の献立に「ハシーシ」や「洗濯屋」(washhouse)がかかる。 and, thankeaven, responsed impulsively: We have just been propogandering his nullity suit andwhat they took out of his ear among my own crush. All our fellows at O’Dea’s sages with Aratar Calaman釈迦が師事した賢者アーラーラ・カーラーマ he is a cemented brick, buck it all! A more nor usually sober cardriver, who was jauntingly hosing his runabout, Ginger Jane英語スラングでrunaboutは「小さな車」。‘Ginger Jane’は車の名前か。, took a strong viewDaily Sketch紙に掲載されたバイウォーターズ裁判の判決に関する報道記事より。‘In passing sentence Mr. Francis, the Magistrate, said … “I take a strong view … that no child should be born in prison”’.. Lorry民謡‘The Irish Jaunting Car’に登場するLarry Doolinか(歌詞はここ)。英語でlorryは「荷物を運ぶ大型車」。タンクローリー。 hosed her as he talked and this is what he told rewritemen: Irewaker is just a plain pink joint reformee in private life but folks all have it by brehemons laws中世初期以降のアイルランドの法体系Brehon Law。5世紀頃から、様々な判例をもとにして編まれた。ハチに刺されて片目が見えなくなったCongal Cáechの話など、なかなかひょうきんな逸話も含まれる。そこへ「バラモン」(brahmin)や旧約聖書の怪物「ビヒモス」がかかる。 he has parliamentary honours. Eiskaffierドイツ語でEiskaffeeは「アイス珈琲」。19世紀フランスの有名な料理人オーギュスト・エスコフィエがかかる。 said (Louigi’s後述のブリア゠サヴァランの名言「チーズが無いデザートは、片目を失っている美女も同然である」を踏まえると、19世紀イタリアのチーズ職人Luigi Guffantiの仄めかしか。, you know that man’s, brillant Savourain18世紀〜19世紀フランスの美食批評家ジャン・アンテルム・ブリア゠サヴァランの仄めかし。1825年に『味覚の生理学』(Physiologie du goût)を発表した。): Mon foie, you wish to ave some homelette, yes, lady! Good mein leber!フランス語でmon foieは「私の肝臓」、ドイツ語でmeine Leberはやはり「私の肝臓」なので、肝臓が大切らしい。 Your hegg he must break himself. See I crackハンプティ・ダンプティなど、卵(egg)のモチーフ。直前のaveにhが抜けていたり、ここでのheggにhがついているのは、英語の文章をフランス語訛りで読ませるための仕掛け。, so, he sit in the poeleフランス語でpoêleは「フライパン」。, umbedimbt!ドイツ語で「まったく!」を意味するunbedingt!に英語のbe damned!がかかる。 A perspirer (over sixty) who was keeping up his tennises panted he kne ho har twa to clect infamatios but a diffpair flannels climb wall and trespassing on doorbell. After fullblown Braddonアイルランド語で「鮭」を意味するbradánに、19世紀イギリスの小説家メアリー・エリザベス・ブラッドンの名がかかる。ブラッドンは1862年刊行の『オードリー夫人の秘密』が大ヒットした(主人公のルーシー・オードリーは重婚する)。 hear this fresky troterella!イタリア語でtroterellaは「鮭(トラウト)」、ドイツ語でTrottelは「馬鹿者」「おいぼれ」。Frisky Shortyとも響く。 A railways barmaid’s viewDaily Sketch紙に載ったバイウォーターズ執行猶予のための署名の一つに、‘A barmaid in the West End: It would be a shame if Bywaters died’というものがあった。後述のDeath Avenueとの関連も。『ダブリナーズ』の「痛ましい事件」(‘A Painful Case’)や、トルストイの『アンナ・カレーニナ』も仄めかされているか。 (they call her

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音声解説
Spilltears Rue聖書の「ルツ記」や、古風な英語で「同情」を意味するruth。ルツ記は女性が主役の書であることに加え、同性愛やクィアを肯定するテクストとしても解釈されてきた。) was thus expressed: to sympathisers of the Dole Line, Death Avenue英語でdoleは「施し物」「失業手当」。他に「ダブリン」や「アイルランド下院」(Dail Eireann)も読み取れる。ニューヨーク11番通りは‘Death Avenue’と呼ばれていた(道の真ん中を鉄道が走っていたため)。 anent those objects of her pity-prompted ministrance, to wet, man and his syphon英語でsyphonは「吸い上げ管」なので、男性器を意味する人工俗語か、あるいはパイプをくわえた下司の仄めかしか。なお、syphonは貝などの「水管」も意味する。. Ehim!‘C’が抜けているが、HCEを指しているかもしれない。「エロイム」(Elohim)も響く。ラテン語でehimは「え?」という意味(英語の‘What?’に相当する)。 It is ever too late to whissle when Phyllis floods her stable.フランス語の格言「馬が放尿したくないのなら、口笛を吹いても無駄だ」や、英語の格言「馬が逃げた後で馬屋の扉を閉めても遅い」のもじり。ギリシア神話でヘラクレスがアウゲイアスの家畜小屋を1日で掃除するために、アルペイオス川とペーネイオス川を小屋へつなげて水浸しにした挿話も仄めかされている。Phyllisが「若い雌馬」(filly)と響くことを踏まえると、雌馬の尿が小屋を満たしているということか。 It would be skarlot羞恥心を象徴する色である「真紅」(scarlet)が「遊女」(harlot)にかかる。 shame to jailahim in lockup, as was proposed to him by the Seddoms creature18世紀の有名な女優サラ・シドンズの名に「ソドム」がかかる。 what matter what merrytricks1611年にローディング・バリーが出版した演劇Ram Alley, Or Merry Tricksの仄めかしか。これはアイルランド人が出版した初めての演劇だと言われている。オーディオブックはこちら。ラテン語でmeretrixは「娼婦」。 went off with his revulverher英語の「生き返る」(revive)、「陰門」(vulva)、「リボルバー」(revolver)などが響く。 in connections with ehim being a norphan and enjoining such wicked illthリリス。illthの‘ill’が3本の線に見えるため111が連想されるが、『ウェイク』で111はALPを表す数字。, ehim! Well done, Drumcollakill!ダブリンの昔の名前‘Drom-Choll-Coil’。 Kitty Tyrrelトマス・ムーアの‘Oh! Blame Not the Bard’()の旋律が‘Kitty Tyrrel’になっている。キティー・オシェーの名も仄めかされる。 is proud of you, was the reply of a B.O.T.「貿易収支」(balance of trade)。 official (O blame gnot the board!)トマス・ムーアの‘Oh! Blame Not the Bard’()。旋律は‘Kitty Tyrrel’。 while the Daughters Benkletterデンマーク語で「パンツ・下着」はunderbenklæderという。そこへ「銀行書類」(bank letter)をかけたか。 murmured in uniswoon: Golforgilhisjurylegs!英語でjury legは「木製の義足」。 Brian Lynskyアイルランドの伝統的な歌‘Brian O’Lynn’から()。主人公の名前は元々は‘Tom of the Linn’だったが18世紀頃に変わった。プーシキンの物語詩Eugene Oneginに登場するウラヂーミル・レンスキーも。レンスキーの誘いで出会ったタチヤーナからの恋を拒絶した後、オネーギンは気まぐれの決闘でレンスキーを撃ち殺してしまう。, the cub curser, was questioned at his shouting box, Bawlonabraggatダウン県にあるBallynabraggetという町の名が仄めかされる。, and gave a snappy comeback, when saying: Paw! Once more I’ll hellbowl!1924年5月7日のDaily Mail紙に掲載された、ホテルのオーナーを毒殺したVaquierという人物による供述‘Once more I say that the poison was introduced’のもじり。Vaquierはホテルに滞在しており、オーナーの妻と愛人関係にあった。 I am for caveman chase映画史上初の子役スターであるジャッキー・クーガンに関するDaily Sketch紙の特集記事に、‘He believes in the cave-man attitude to women’という文が見られる。要するに、男性の放蕩と不貞を自然の摂理として正当化しようとする態度のこと。クーガンはチャップリンの映画The Kidなどに出た。母親と義母が俳優業の収益を無駄遣いしたとして訴訟を起こし、未成年の収入を守る法律の可決に貢献した(これはCoogan Actの通称で知られる)。 and sahara sex, burk you!英語でburkeは「絞首による殺人」。そこへ『フランス革命の省察』の著者のエドマンド・バークをかけたか。 Them two bitchesDaily Sketch紙には‘My Married Life’という、夫と妻がそれぞれの日記を並べる形の連載コラムがあった。その1922年12月14日号に掲載されたコラムにおける夫の日記に、‘Heavens, that woman ought to be strangled — I mean Diana’s mother’という言い回しが見られる。 ought to be leashed, canem!直前のcavemanと組み合わせると、ラテン語‘cave canem’で「犬にご用心」となる。‘cane’m’と読むと、「杖で叩け!」や「鞭をくれてやれ!」のような意味になる。 Up hog and hoar hunt!ウェリントン公爵の有名な発言‘Up Guards and at ’em!’のもじり。 Paw! A wouldbe martyr,who is attending on sanit Asitas古代インドの隠遁者アシータ。釈迦の祖父や父親の側近・腹心・教育者として働き、その息子シッダールタの隆盛を予言した。日本語の「明日」も響く。 where he is being taught to wear bracelets釈迦の義姉の孫陀羅難陀(そんだらなんだ)は、釈迦に数珠をつけるよう諭したことがあったという(出典不明)。英語の俗語でbraceletsは「手錠」。, when grilled on the point, revealed the undoubted fact that the consequence would be that so long as Sankya Moondy釈迦の名前(釈迦牟尼、しゃかむに)が、19世紀後半のアメリカの福音派Dwight Lyman MoodyとIra David Sankeyが出版した聖歌集Sacred Songs and Solosにかかる。 played his mango tricks under the mysttetry,「マンゴー」の木と「ヤドリギ」(mistletoe)。また、古代エジプトにおいて安定のシンボルであったオシリスの背骨(TetあるいはDjed)への仄めかしも。 with shady apsarasマンゴーの木から落ちてきた、釈迦の若者時代に付き添った女たちアプサラー sheltering in his leaves’ licence and his shadowers torrifried by the potent bolts of indradiction‘terrified by the potent bolts of interdiction’と読めるが、北欧の雷神トール(Tor)とヒンドゥー教の雷神インドラの名が混ざっている。, there would be fights all over Cuxhavenドイツの港。イギリス人でアイルランド国粋主義者の作家アースキン・チルダーズは、ボーア戦争で従軍し、第1次世界大戦では英国空軍によるクックスハーフェン空爆を航空士として監督・監査した。. (Tosh!) Missioner Ida Wombwellイーダ・ウォームウェルは、1905年ノッティンガム生まれのメソジスト福音派の宣教師。1922年には17歳であり、オーストラリアで宣教をした。ジョイスは新聞記事からその存在を知ったと思われる(詳しくはこちらの記事を参照)。, the seventeenyearold revivalist, said concerning the coincident of interfizzing with grenadines and other respectable and disgusted peersons using the park: That perpendicular person is a brut! But a magnificent brut!ウァース作の『ブリュ物語』の仄めかし。ブリテン島のラヤモンはこの物語を下敷きにして、アングロ゠ノルマン人の歴史をトロイ神話まで遡る詩『ブルート』を書いた(アーサー王伝説も含まれる)。書また、英語のbrutは「(シャンパンが)辛口の」という意味の形容詞。 ‘Caligula’第3代ローマ皇帝カリギュラ (Mr Danl Magrathチェコ語のスラングでmrdalは英語の‘he f*cked’に相当する。この言い回しにダブリンのワイン商人ダニエル・マクグラスの名前がかかっている。, bookmaker, wellknown to Eastrailian poorusers of the Sydney Parade Ballotin1894年のSydney Bulletin紙に掲載された書簡には、オーストラリアの東部を「イーストラリア」と呼ぶべきという主張が含まれていた。『ダブリナーズ』に収められた「痛ましい事件」では、シニコ夫人がシドニー・パレード駅付近で自殺してしまう。19世紀アイルランドの小説家シドニー・モーガン夫人(旧姓オウェンソン)も。) was, as usual, antipodal「対蹠的」、つまり地球の反対側。アイルランドの対蹠点はニュージーランド付近。 with his: striving todie, hopening tomellow, Ware Splash. Cobbler. We have meat two hourlyオスカー・ワイルドの獄中記De Profundisには‘but I met you either too late or too soon’という言い回しが見られる。また、若きジョイスが初めてイェイツ(当時37歳)に会った際に言い放った言葉‘I have met you too late. You are too old. I am 20’も響く。, sang out El Caplan Buycout19世紀イギリス人の地主チャールズ・ボイコット。「ボイコット運動」の語源にもなる村八分に遭い、地代の値上げを取り消した。英国陸軍第39歩兵連隊に従軍した。チェコ語でkaplanは「牧師」。チャールズ・チャップリンも響く。, with the famous padre’s turridur’s capecastマスカーニのオペラ‘Cavalleria Rusticana’に登場するテノールの登場人物Turiddú。ジョン・マコーマックが1907年にロンドンのCovent Gardenでのデビュー公演で演じた役でもある。, meet too ourly, matadear!テニスンの詩‘The May Queen’の書き出し‘You must wake and call me early, call me early, mother dear’より。 Dan Meiklejohn, precentor, of S.S. Smack and Olley’sダブリンのスモック・アリー劇場。 was probiverbal with his upsiduxitラテン語でipse dixitは「独断的主張」。: mutatus mutandusラテン語でmutatis mutandisは「然るべき変更を加えたならば」。. Dauran’s lord (‘Sniffpox’) and Moirgan’s ladyシドニー・モーガン夫人にはモイラ夫人という友人がいた。 (‘Flatterfun’) took sides and crossed and bowed to each other’s views and recrossed themselves. The dirty dubs『シアター・ロイヤル年次録』p.31によると、当時のダブリン民兵から役者が抜擢された劇もあり、そこでは民兵が‘dirty Dubs’の異名をとっていた。‘Dear Dirty Dublin’という有名なフレーズはモーガン夫人が考えたものだと言われている。 upin their flies, went too free1838年にシアター・ロイヤルで上演されたDer Freischutzという劇では、3人の民兵役者がそれぞれ‘One’ ‘Two’ ‘Three’を復唱するよう指示されていたが、その仄めかしか。, echoed the dainly drabs downin their

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音声解説
scenities, una monaラテン語で「女優」を意味するscaenitaeに英語で「卑猥なもの・言葉」を意味するobscenitiesがかかる。una monaはトリエステ方言で「間抜けなじゃじゃ馬」「女性器」。. Sylvia Silence, the girl detective (Meminervaローマ神話のミネルヴァ(ギリシア神話のアテーナに相当)にラテン語の「記憶する」(meminisse)がかかる。, but by now one hears turtlings all over Doveland!「創世記」でノアが放った鳩はturtledoveだった。日本語名はコキジバト) when supplied with informations as to the several facets of the case in her cozydozy bachelure’s flatアーティストのスティーヴン・クロウが、このシーンをモチーフにとてもかわいい絵を描いている。, quite overlooking John a’Dream’s mewsシルヴィア・サイレンスが登場するThe Schoolgirl Weeklyの著者はジョン・ウィリアム・ボビン。また、『ハムレット』第2幕第2場には、「夢見がちなやつ」という意味を表す‘John-a-dreams’という言い回しが見られる。, leaned back in her really truly easy chair to query restfully through her vowelthreaded syllabelles: Have you evew thought, wepowtew, that sheew gweatness was his twadgedy?ロータシズム。他人をからかうときに英語圏の人はしばしばrをwとして発音する。 Nevewtheless accowding to my considewed attitudes fow this act he should pay the full penalty, pending puwsuance, as pew Subsec. 32, section 11, of the C.L.A. act 1885オスカー・ワイルドがわいせつ罪に問われたときの根拠として挙げられた法律‘section 11 of the Criminal Law Amendment Act 1885’が仄めかされる。11節の下に32款を追加することで、1132という数字を想起させる。1132は『ウェイク』でも最重要な数字のひとつ。Annotations to ‘Finnegans Wake’におけるロラン・マクヒューの解説によると、『アイルランド年代記』によるとフィン・マクールの死亡が西暦283年であり、これを2倍すると566年、4倍で1132年であり、四導師やヴィーコの4つの時代の循環から1132がフィンの死を表す数字になる。, anything in this act to the contwawy notwithstanding. Jarley Jilke began to silke for he couldn’t get home to Jelsey but ended with: He’s got the sack that helped him moult instench of his gladsome rags19世紀イギリスの政治家チャールズ・ディルクを風刺してG. H. MacDermottが作曲した歌‘Charlie Dilke Upset the Milk (When Taking It Home to Chelsea)’の歌詞がもじられている。ディルクもパーネルのように愛人スキャンダルで失墜させられた。‘Master Dilke upset the milk /Taking it home to Chelsea. / The papers say that Charlie’s gay / Rather a wilful wag. / This noble representative / Of everything good in Chelsea. / Has let the cat, the naughty cat / Right out of the Gladstone bag’. こちらの論文も参照。. Meagher, a naval ratingratingとは徴兵されて海軍に入隊した男性のこと。1922年12月14日発行のDaily Sketch紙に掲載された「バイウォーターズ酌量のための署名」への投稿には、‘A sailor, on the Embankment, was encouraged to speak by his fiancée, and said: I think the woman was more to blame than Bywaters, but I think there was someone else in it’という記述が見られる。(「フィアンセ」については後述)。, seated on one of the granite cromlech setts‘cromlech’は、旧石器時代の墓石で、「巨人のテーブル」などのテーブル型の墓石「ドルメン」(支石墓)を指すこともあれば、ストーンサークルを指すこともある。settは四角形の花崗岩または御影石のことで、舗装に使われた。 of our new fishshamblesダブリンのフィッシャンブル通り(Fishamble Street)。 for the usual aireating after the ever popular act, with whom were Questa and Puellaヴェルディのオペラ『リゴレット』の歌‘Questa o Quella’(意味は「この女性かあの女性か」)に、ラテン語のpuella「女の子」がかかる。パヴァロッティによる歌唱はこちら, piquante and quoite「ドルメンの天井石」(quoit)に「引用」(quote)がかかる。, (this had a cold in her brain while that felt a sink in her summock, wit’s wat, wot’s wet英語スラングでtwatは「女性器」、ドイツ語でFotzeも「女性器」。) was encouraged, although nearvanashedニルヴァーナ。日本語だと涅槃(ねはん)。輪廻転生から解放された状態。『ウェイク』的には、『ウェイク』の外へ出た状態ということか。 himself, by one of his co-affianced to get your breath, Walt, and gobbit and when ther chidden by her fastra sastra to saddle up your pance, Naville水兵の名前か。スイスのエジプト学者エジュアール・ナヴィルだとすると、妻は写真家・画家・作家のマルガリーテ・ナヴィル, thus cor replied to her other’s thankskissing: I lay my two fingerbuttonsエジプト神話では、死者が来世でも口を使えるようにするために、死者の唇に2本の指を当てる「開口の儀式」が行われた。, fiancee Meagher, (he speaks!) he was to blame about your two velvetthighs up Horniman’s Hillアベイ座の創立者およびパトロンにして舞台監督のアニー・ホーニマン。ロンドンのホーニマン博物館や、その創立者のフレデリック・ジョン・ホーニマンも。フレデリックは紅茶事業で成功し、その遺産を娘アニーが演劇の活性化に使った。 — as hook and eye blame him or any other piscman? — but I also think, Puellywallyアメリカの童謡‘Polly Wolly Doodle’に、ラテン語のpuella「女の子」とウォルトの愛称Wallyがかかる。, by the siege of his trousers「トロイの包囲」(the Siege of Troy)に「ズボン」(trousers)がかかる。 there was someone else behind it — you bet your boughtem blarneys19世紀アイルランドで流行った「ブラーニー・ズボン」の他に、コーク県のブラーニー城にある「ブラーニーの石」も。 — about their three drummers down Keysars Lane.drummersは英語スラングで「仕立屋」。中世ダブリンのKeysar’s Laneは、滑りやすいので‘Kiss-arse Lane’の俗称で知られた。 (Trite!)英語で「凡庸!」の他に、「そうだ!」(that’s right!)の短縮形としても読める。現代ギリシア語のτρίτε「三番目」やΤρίτη「火曜日」も。.
  Be these meer marchant taylor’s1418年からダブリンにあった仕立屋ギルド‘The Merchant Tailor’s Gild: That of St. John the Baptist’の仄めかし。当時使われた石造りの建物は今もあり、Tailor’s Hallと呼ばれる。ダブリンに現存する最古のギルド会堂のひとつ。18世紀末から19世紀初頭にかけて、フランス革命に感化されつつアイルランドの独立を試みた革命家集団‘United Irishmen’の集会所でもあった。デクラン・カイバードが『アイルランドの創出』第19章で指摘するように、ジョイスはアイルランドの自治に関しては純粋な平和主義者ではなく、暴力が必要な場面もあるというプラグマティックな立場をとっていた。 fablings of a race referend with oddman rex?1924年2月2日(ジョイスの42歳の誕生日)に発行されたIrish Statesman紙に見られる‘The Referendum’: ’the Referendum is liable in an extreme case to make the odd man king’という文言(つまり、国民投票は無名の人を「王」にしてしまう「危険」があると警告している)を踏まえた言い回しか。ソフォクレスの古典的悲劇『オイディプス王』Oedipus Rex)も。 Is now all seenheard then forgotten?エドゥアール・トロガンの『フランス史の有名な言葉』p.56で紹介されている、マリー・アントワネットがフランス革命について後日尋ねられたときに口にした言葉« J’ai tout vu, tout entendu et tout oublié »(‘I have seen it all, heard it all and forgotten it all’)より。 Can it was, one is fain in this leaden age of letters now to wit, that so diversified outrages (they have still to come!) were planned and partly carried out against so staunch a covenanter17世紀スコットランドで長老派への支持を盟約(covenant)した人たちのことをカヴェナンターと呼んだ。1912年9月28日にアルスター州で50万人もの人たちがイギリス政府からの自治(Home Rule)への抵抗を盟約した文書‘Ulster Covenant’も。 if it be true than any of those recorded ever took place for many, we trow, beyessed to and denayed of, are given to us by some who use the truth but sparingly and we, on this side ought to sorrow for their pricking pens on that account. The seventh city『若き芸術家の肖像』で、スティーヴンはダブリンを‘the seventh city of christendom’と呼んだ。この言い回しの下敷きとなったのはおそらく、Warburton, Whitelaw & WalshのHistory of the City of Dublin p.451であり、同書ではダブリンが人口規模では欧州で「7番目の都市」だと述べられている。, Urovivla釈迦が悟りを開いた土地は、現在では「ブッダガヤ」と呼ばれるが、釈迦がいた当時はUruvelaと呼ばれた。そこへデンマーク語で「妻」を意味するvivが混ざる。,

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音声解説
his citadear of refugeイスラム教の第2の聖地マディーナ(メディナ)の別名‘City of Refuge’。旧約聖書「ヨシュア記」20:7–9に登場する、意図せぬ殺人を犯した人たちのための安全地帯である6つの‘Cities of Refuge’も。「そこで、ナフタリの山地にあるガリラヤのケデシ、エフライムの山地にあるシケム、およびユダの山地にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンを、これがために選び分かち、またヨルダンの向こう側、エリコの東の方では、ルベンの部族のうちから、高原の荒野にあるベゼル、ガドの部族のうちから、ギレアデのラモテ、マナセの部族のうちから、バシャンのゴランを選び定めた。これらは、イスラエルのすべての人々、およびそのうちに寄留する他国人のために設けられた町々であって、すべて、あやまって人を殺した者を、そこにのがれさせ、会衆の前に立たないうちに、あだを討つ者の手にかかって死ぬことのないようにするためである」。, whither (would we believe the laimen and their counts), beyond the outraved gales of Atreeatic「アドリア海の強風」(gales of the Adriatic Sea)と読める。ギリシア神話のアトレウスも。, changing clues with a baggermalsterドイツ語でBürgermeisterは「市長」。ノルウェー語でBygmasterは「棟梁」。, the hejirite had fled預言者ムハンマドが西暦622年にメッカからマディーナへ逃亡したことを「聖遷」(Hijra、ヒジュラ)と呼ぶ。イスラム教の暦は「ヒジュラ暦」と呼ばれる。, silentioussuemeant under night’s altosonority, shipalone, a raven of the waveアイスランドの『植民の書』(Landnámabókによると、Hrafna-Flóki Vilgerðarsonがアイスランドへ到着した際にカラス(英語ではraven, アイスランド語ではhrafna)を放った。1羽目はフェロー諸島にとどまり、2羽目は船へ戻ってきたが、3羽目は北西へ向かったまま帰ってこなかった。そこでフローキはアイスランドの存在を確信し、北西へ船を進めたという。, (be mercy, Mara!釈迦が悟りを開く邪魔をしようと誘惑した悪魔マーラ。マーラの誘惑に打ち勝つことを「降魔」と呼ぶらしい。 A he whence Rahoulas!釈迦の息子Rāhula(ラーフラ、羅睺羅〈らごら〉)の仄めかし。) from the ostmen’s dirtbyダブリンのオックスマンタウンの旧名はOsmanbyだった。デンマーク語でbyは「町」。そこへ「ダービー競馬」や「泥」(dirt)がかかる。 on the old vicロンドンのヴィクトリア劇場の愛称はOld Vic。あるいはヴィクトリア女王が示唆されているかもしれない。ラテン語でvicusは「村」。ヴィーコも響く。, to forget in expiating manslaughter and, reberthing in remarriment out of dead seekness to devine previdence, (if you are looking for the bilder deepドイツ語でBilderは「画像」「絵画」、Bilderdiebは「絵画の盗人」。 your ear on the movietone!1928年創業の「ムービートーン・ニュース」が仄めかされる。アメリカではフォックス・フィルムズの後継として創業され、イギリスでは1年後の1929年から放送開始した。動画と音声を同期させる装置「ムービートーン」を使ったニュース番組だった。) to league his lot, palm and patteフランス語でpatteは「(動物の)脚」、転じて「お手」。イギリスで1910年から放送されていた「パテ・ニュース」も。, with a papishee. For mine qvinne I thee giftake and bind my hosenband I thee halter.結婚の祈り。キリスト教の『祈祷書』に収められた祈りにも似ている。デンマーク語でmine kvinneは「我が妻」。英語のqueenも響く。デンマーク語でgiftは「結婚」「毒」。hosenbandは英語の「夫」(husband)ともとれるが、ドイツ語の「ガーター勲章」(Hosenbandorden)が仄めかされているかもしれない。これは騎士団勲章の最高位で、モットーは「悪意を抱く者に災いあれ」。また、ドイツ語でStrumpfhalterは「靴下留め」(ガーター)。なお、犯罪者を絞首刑にするときや動物を管理するときに使う縄を英語でhalterと呼ぶ。 The wastobe landエリオットの『荒地』(The Waste Land)に、英語の「〜だった」(was)と「〜となるだろう」(to be)がかかる。時制の戯れからは、『ユリシーズ』第7挿話「アイオロス」でレネハンがジョン・F・テイラーの演説を受けて言う一言「すばらしい未来を尻目に」(‘a great future behind him’)も彷彿とさせる。, a lottuse land「レタスの地」あるいは「蓮の地」(lotus Land)。仏教の阿弥陀経には、極楽には蓮の花が咲いているという記述がある(「池の中に蓮華あり、大きさ車輪の如し」)。また、仏像も蓮の台(うてな)に乗っている。, a luctuous land, Emeraldilluimアイルランドの別名「エメラルドの島」に、トロイのラテン語名Illiumがかかる。この地名はホメロスの『イーリアス』の由来となった。, the peasant pastured, in which by the fourth commandment「モーセの十戒の4つ目」。ユダヤ教の数え方では「安息日を守ること」、カトリック教会の数え方では「あなたの父母を敬え」となる。 with promise his days apostolic were to be long by the abundant mercy of Him Which Thundereth From On High西暦964年にエドガー王がねつ造し、イギリスのウスター教会に向けて発行した「オズワルズロー憲章」に見られる、ダブリンの制圧を宣言したときの文言‘By the abundant mercy of God who thundereth from on high … divine Providence hath granted me… the greatest part of Ireland, with its most noble city of Dublin’より。詳しくはこちらの論文を。, murmured, would rise against him with all which in them were, franchisables and inhabitands, astea as agora古代ギリシア語でἄστυは「街」、ἀγοράは「市場」「集会所」。, helotsphilots, do him hurt, poor jink, ghostly following bodily, as were he made a curse for them, the corruptible lay quick, all saints of incorruption新約聖書「コリント人への第一の手紙」15:42より。「死人の復活も、また同様である。朽ちるものでまかれ、朽ちないものによみがえり」。King James版では、第53節に‘For this corruptible must put on incorruption, and this mortal must put on immortality’という文言がある。 of an holy nationキリスト教の聖書では、ユダヤの民やキリスト教徒のこと。, the common or ere-in-garden castawayカーロウ県やウィックロー県は‘Garden of Erin’の別称で知られる。エデンの園から追放されたアダムとイヴも仄めかされる。, in red resurrection to condemn so they might convince him, first pharoah, Humpheres Cheops ExarchasHCE。‘Cheops’はギザの大ピラミッドを建てたファラオのクフ(別名ケオプス)の仄めかし。‘Exarchas’は、東ローマ帝国時代の正教会の主教の役職名エクザルフἔξαρχος)に、古代ギリシア語で「初めから」を意味するἐξ ἀρχῆςをかけた語か。, of their proper sins. Business bred to speak with a stiff upper lip to all men and most occasions the Man we wot of took little short of fighting chances but for all that he or his or his care were subjected to the horrors of the premier terror of Errorland「アイルランド」に‘terror land’がかかり、errorも混ざる。. (perorhaps!イタリア語でper oraは「一時的に」、perorareは「嘆願する」。)
  We seem to us (the real Us!) to be reading our Amenti「アメンティ」は古代エジプト神話で冥界のこと。他にTuatという名称もあり、これは「女神ダヌの民」(Tuatha Dé Danan)とも響くか。 in the sixth sealed chapter of the going forth by black古代エジプトで書かれた『死者の書』の英語副題は‘The Chapters of Coming Forth by Day’。原書の第6章は、ワリス゠バッジ編訳版だと第1巻「冥界で人の業をなすための葬送人形(ウシャブティ)の作成」にあたる。ワリス゠バッジいわく、このUshabtiという言葉の語源は「応答する「応じる」を意味するushebらしい。もうひとつ、これはおそらく拡大解釈だが、チベット仏教では生者と死者の中間の世界には「6つの中陰」(Six Bardos)があるとされる。魂が生の終わりから新たな生への転生を完了するまでの手続きが説かれており、なかなか面白い。ここでは、HCEのお葬式が描かれているということか。. It was after the show at Wednesburyイギリスのスタッフォードシャーにある町・選挙区 that one tall man, humping a suspicious parcel, when returning late amid a dense particular冬になるとロンドンにかかる濃霧のことを、英語では冗談交じりに‘London particular’と呼ぶことがある。Particularがparticleやparticulateとかかっているからか。ロンドンのこの濃霧は「マメスープ濃霧」と呼ばれることもある。そこから、今度はロンドンのマメスープが‘London particular’と呼ばれるようになった。錯綜度がすごい。 on his home way from the second house英語の慣用句‘home away from home’を、ユダヤ教史の「第二神殿」にかけた。 of the Boore and Burgess Christy Menestrelsメネス」は古代エジプトの初期王朝時代のファラオ。彼の名に、「クリスティーの吟遊詩人たち」(後に「ムーアとバージェスの吟遊詩人たち」に改名)がかかる。この一座は19世紀中頃にニューヨークで発足し、白人が顔を黒塗りにして演じる「ミンストレル・ショー」をジャンルとして確立した。それ以前の黒人狂騒劇に比べると、下品な部分やあからさまな黒人への侮蔑が取り除かれていたものの、依然として黒人差別に基づく見せ物ではあったため、現在では当然ながら演じられていない。 by the old spot, Roy’s Cornerフランス語でroiは「王」。19世紀後半のダブリンには、東ジョージ通りの角にジョージ・ロイの鮮魚店があった。チャールズ通りとオーモンド波止場の交差点にペンと印刷の店を構えていたW Kingも仄めかされているかもしれない。詳しくはこちら, had a barkiss revolverディケンズの『デヴィッド・コパーフィールド』に基づく慣用句‘Barkis is willin’が仄めかされる。作中でバーキスはクララ・ペゴティと結婚する意志を示唆するためにこの台詞を言う。転じて、何かをする意志を仄めかすときに使う。 placed to his faced with the words: you’re shot, major1924年5月17日発行のConnacht Tribune紙に掲載された、1923年にIRAメンバーのジャック・キョーがキリモア王立アイルランド警察隊兵舎に襲撃した事件に関する記事より。‘Keogh … pointed a revolver at Guard Temple saying, “You’re shot,” firing at the same time, and the bullet went through the bedroom window’., by an unknowable assailant (masked) against whom he had been jealous over Lotta Crabtree19世紀アメリカの俳優、コメディアン、慈善家のロッタ・クラブツリー。1889年5月に舞台上演中に転倒(fall)し、引退を余儀なくされた。慈善家として様々な活動へ投資や寄付をしたが、中でもサンフランシスコに建てられた「ロッタの噴水」は、1906年サンフランシスコ大地震の際に人々の避難集合場所になった。 or Pomona Evlynポモナはローマ神話の果実と栽培の女神。 ‘Evlyn’は、『ダブリナーズ』所収の短編「エヴリン」に加え、アダムの妻イヴも響く。リンゴ(フランス語ではpomme。英語では野生リンゴをcrabappleと呼ぶ)も仄めかされる。? More than that Whenn the Waylayer初稿版では‘and when the waylayer …’と小文字だった。Waylayerは、悪行を働くために待ち伏せをしている人のこと。 (not a Lucalizod diocesan「ルーカン」と「チャペリゾット」が混ざっている。英語でdiocesanは「教区の」あるいは「教区司祭」。 or even of the Glendalough seeグレンダロックの聖座(see)。ダブリンの聖座との間で長年いざこざが続いていたが、1216年に教皇の承認を受けてダブリンとグレンダロックを共同の聖座とし、運営を分けることで解決した。, but hailing fro’ the prow of Little Britainブルターニュの別名が‘The Prow of France’(フランスの船首)だった。アイルランドの歴史家のジェフリー・キーティングが書いた『アイルランドの歴史』によると、アイルランド上王の「九人捕虜のナイル」はブリテン地域を侵略したが、侵略前はそこが「アルモリカ」と呼ばれていた。‘I am also of opinion that it was while Niall was making conquests in Great Britain that he sent a fleet to pillage the borders of France, to the country which is called Armorica, which is now called Little Britain, and that it was thence Patrick and his two sisters were brought as captives.’ ‘Little Britain’はアイルランド、ウェールズ、そしてブルターニュを指して使われることもあった。), mentioning

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音声解説
in a bytheway that he, the crawsopper, had, in editionCHE。アイルランド英語でcrawthumperは「敬虔なローマカトリック教徒」を揶揄して使う名詞。 to Reade’s cutless centiblade1670年創立の、ダブリンの食器製造会社Thomas Read & Co., a loaded Hobson’s「ホブソンの選択肢」とは、条件を呑むか何も得ないかという不毛な二者択一を指す慣用句。16世紀にケンブリッジで貸馬屋を経営していたトマス・ホブソンが、顧客に向けて「一番手前の馬を借りるか、あるいは何も借りないか」という選択肢しか与えていなかったことに由来する。 which left only twin alternatives as, viceversa, either he would surely shoot狙撃手アニー・オークレイの25歳の頃の異名‘Little Sure Shot’が仄めかされる。 her, the aunt, by pistol, (she could be okaysure of that!) or, failing of such, bash in Patch’s blank face beyond recognition, pointedly asked with gaeilish gall「フラン・オブライエン」の筆名でよく知られているブライアン・オノーランは、「マイルズ・ナ・ゴパリーン」の筆名で、コラムCruiskeen LawnIrish Times紙に連載したほか、同じ筆名を用いてAn Béal Bochtをはじめとするアイルランド語の小説を執筆した。この小説では、当時のアイルランドで一部の人々が熱狂していたアイルランド語文化復興が風刺されている(以下はアイルランド語復興を推進する組織の長が集会で挨拶をする場面)。‘The President’s speech: ‘ — Gaels! he said, it delights my Gaelic heart to be here today speaking Gaelic with you at this Gaelic feis in the centre of the Gaeltacht. May I state that I am a Gael. I’m Gaelic from the crown of my head to the soles of my feet — Gaelic front and back, above and below. Likewise, you are all truly Gaelic. We are all Gaelic Gaels of Gaelic lineage’ 。英語のLisaのアイルランド語名Eilishも入っているので、『ウェイク』第1巻2章に出てきたMildew Lisaも仄めかされているか。 wodkar blizzard’s business Thornton had with that Kane’s fenderどちらも『ユリシーズ』の登場人物のモデル。前者はトム・カーナンのモデルとなったネッド・ソーントン、後者はマーティン・カニンガムのモデルとなったマシュー・ケイン。 only to be answered by the aggravated assaulted that that that was the snaps for him, Midweeksドイツ語でMittwochは「水曜日」。なぜ水曜日が強調されているのかは少し謎。, to sultry well go and find out if he was showery well able. But how transparingly nontrue, gentlewriter! His feet one is not a tall man, not at all man. No such parson. No such fender. No such lumber. No such race.英語のfenderは、車などについている緩衝装置のこと。とすると、自動車レースで事故があったということか。 Was it supposedly in connection with a girls, Myramy Huey古代ギリシア語でεὐήμεροςは「素晴らしい日」「幸福(な日)」、ラテン語でmira meは「私を讃えて」、スペイン語でmira meは「私を見て」。ジョナサン・スウィフトはダブリンのHoey’s Courtで生まれたので、スウィフトに恋をしたヴァネッサ(エステル・ヴァン・エムリー)のことか。 or Colores Archer「色彩のアーチ」すなわち虹のこと。イシーやルチア・ジョイス。, under Flaggy Bridgeゴールウェイ県にある道路橋。 (for ann there is but one liv and hir newbridge is her oldスコットランド語でannは「生きている」、デンマーク語でlivは「生命」、アイルランド語でannは形式主語(英語のthere isのthereに相当)。キルデア県リークスリップにあるニューブリッジ橋は1308年に建造された。「コリント人への第一の手紙」8:6も。「わたしたちには、父なる唯一の神のみがいますのである。万物はこの神から出て、わたしたちもこの神に帰する。また、唯一の主イエス・キリストのみがいますのである。万物はこの主により、わたしたちもこの主によっている」(英訳は‘yet for us there is but one God, the Father, from whom all things came and for whom we live; and there is but one Lord, Jesus Christ, through whom all things came and through whom we live’)。) or to explode his twelvechamber給弾口が12個あるリボルバー。おそらくWalch社製のもの。 and force a shrievalty entrance that the heavybuilt Abelbodyアベル。 in a butcherblue blouse from One Life One Suit『ユリシーズ』第9挿話「スキュレとカリュブディス」および第11挿話「セイレーン」における、シェイクスピアをめぐるスティーヴンの思考とも響く。「植物学者ジェラルドのフェッター通りの薔薇園を彼は歩く、灰がかった赤褐色。彼女の血管のような空色の糸沙参。ユーノの瞼、菫。彼は歩く。一つの生がすべて。一つの身体。しよう。ほら、しよう。遠くのどこかで、色欲と不徳の悪臭たちこめる中、手が白さに触れる」(‘In a rosery of Fetter lane of Gerard, herbalist, he walks, greyedauburn. An azured harebell like her veins. Lids of Juno’s eyes, violets. He walks. One life is all. One body. Do. But do. Afar, in a reek of lust and squalor, hands are laid on whiteness’)。『ユリシーズ』第1挿話では、スティーヴンのスーツをバック・マリガンがからかう。 (a men’s wear store), with a most decisive bottle of single in his possession, seized after dark by the town guard at Haveyou-caught-emerod’sHCE。古風な英語でemerodsは「痔」。 temperance gateway was there in a gate’s way.
  Fifthly, how parasoliloquisingly truetoned on his first time of hearing the wretch’s statement that, muttering Irishそのまま読めば「アイルランド語でつぶやいて」だが、アイルランド人を殺人鬼になぞらえて侮蔑する‘Murthering Irish’という言い方と響く。, he had had had o’gloriously a’lot too much hanguest or hoshoe fine中国の黄河(Huang Ho)。ゲルマン系兄弟のヘンギストとホルサ(Hengist and Horsa)も。5世紀にアングル人、サクソン人、ジュート人を導きブリテン島を侵略した。当時は王族の名前がよくHで始まった。アイルランド語でthoise efíonは「ワイン許容量」。 to drink in the House of Blazes, the Parrot in Hell, the Orange Tree, the Glibt, the Sun, the Holy Lamb and, lapse not leashed, in Ramitdown’s ship hotelダブリンのパブの名前が列挙されている。詳しくはアダ・ピーターの『ダブリンの断片——社会・歴史編』p.88–89を参照。 since the morning moment he could dixtinguish a white thread from a black till the engine of the laws declosed unto Murray晩鐘の祈り(お告げの祈り)の‘The Angel of the Lord declared unto Mary’から。Murrayはジョイスの母メアリー・ジェーンの旧姓。 and was only falling filltheflutheredパーシー・フレンチ作曲の「笛吹きフィルの宴」)に、ドイツ語で「満潮」「洪水」を意味するFlutがかかる。 up against the gatestone pier which, with the cow’s bonnet a’top o’it, he falsetook for a cattlepillar with purest peaceablest intentions. Yet how lamely hobbles the hoy of his then pseudojocax英語の俗語でhobbledehoyは「少年」。スペイン語で「今日と当時」を意味するhoy y entoncesともかかっている。ラテン語でjocaxは「冗談を言うのが好き」という意味で、大学生の頃のジョイスのあだ名でもあった。 axplanation how, according to his own story, he was a process server and was merely trying to open zozimus『アリババと40人の盗賊』の「開けゴマ!」のもじり。ゾジムスは、19世紀ダブリンの物乞い・街頭音楽家。本名はマイケル・J・モーラン。 a bottlop stoub by mortially hammering his magnum bonumラテン語でmagnum bonumは「とても良きもの」。イタリア語でmartelloは「ハンマー」なので、ジョイスが一時期暮らしていたマーテロ塔も仄めかされているか。 (the curter the club the sorer the savage) against the bludgey gate for the boots about the swanチャールズ・セルビー作Boots at the Swan。一幕からなる喜劇で、ジョイスがクロンゴウズ学校にいた1890年に上演された。‘boots’は、この劇に登場する耳が聞こえない飲んだくれのジェイコブ・イアウィッグ(Jacob Earwig)のこと。 Maurice Behan, who hastily into his shoes with nothing his hald barra tinnteackアイルランド語でbarraは「障壁」「邪魔者」、tinnteachは「炎の」「稲妻」。 and came down with homp, 「ホップ、ステップ、ジャンプ」が、ノアの3人の息子「ハム、シェム、ヤフェト」にかかっている。

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音声解説
shtemp and jumphetホップ、ステップ、ジャンプが、ノアの3人の息子「ハム、シェム、ヤフェト」にかかっている。 to the tiltyard from the wastes a’sleepエリオット『荒地』に加え、1840年代に独立を求めて闘った「若きアイルランド運動」の一員で作家のトーマス・オスボーン・デイヴィスの詩‘The West’s Asleep’と、それに基づく歌も。歌い出しは下記。‘When all beside a vigil keep, The West’s asleep, the West’s asleep—Alas! and well may Erin weep, When Connaught lies in slumber deep’. よく‘The West’s Awake’と改題されることがあるが、これは歌をより活き活きとしたものにするためらしい。詳しくはこちら in his obi ohny overclothes or choker日本の「帯」や「鬼」。Irish Times紙の1923年1月27日号には日本に関する記事があり、ジョイスはそこからこれらの語を採った。ドイツ語でohneは「〜無しに」なので、コートやチョーカーは身に着けていないということか。, attracted by the norse of guns playing Delandy is cartager共和政ローマの政務官マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウスが、ポエニ戦争で言ったとされる「カルタゴ滅ぶべし」(delenda est Carthago)という言葉が仄めかされる。ワーテルローの戦いのデランド指揮官も。 on the raglar rock to Dulyn民謡‘The Rocky Road to Dublin’()。北欧神話の終末の日ラグナロクや、ダブリンのボールズブリッジにあるラグラン通りも。後者はパトリック・カヴァナが詩‘On Raglan Road’にし、カヴァナとパブで会ったときにルーク・ケリーが歌にした。アラン諸島の古代遺跡への入り口(gateway)として知られる、アイルランド西海岸の街ドゥ—リンも。, said war’ prised safe in bed as he dreamed that he’d wealthes in mormon halls『ボヘミアの少女』の台詞‘I Dreamt That I Dwelt in Marble Halls’より。短編「土くれ」(‘Clay’)の結びに引用されている。 when wokenp by a a fourth loud snore out of his land of byelo子守歌‘Bye-lo-land’が仄めかされる。 while hickstrey’s maws was grazing in the moonlight by hearing hammering on the pandywhank scaleトマス・ムーアの‘While History’s Muse’)より。‘Paddywhack’の旋律に基づく。paddywhackは童謡‘This Old Man’に出てくるが、これはジャガイモ飢饉当時のイギリスで、アイルランドの物乞いに対する侮蔑が込められてもいたと言われている。詳しくはこちら。トマス・ムーアの‘While Gazing on the Moon’s Light’も。 emanating from the blind pigアメリカ英語のスラングで「密造酒を売っている場所」。 and anything like (oonagh! oonagh!)トマス・ムーアの‘While Gazing on the Moon’s Light’)。‘Oonagh’の旋律に基づく。 it in the whole history of the Mullingcan Innチャペリゾットのパブ。HCEの店だと思われる。 he never. This battering babel直前のMullingcanの語尾canがカイン(Cain)に似ており、babelの語尾-abelがアベル(Abel)と同じ綴りとなっているため、カインとアベル。 allower the door and sideposts, he always said, was not in the very remotest like the belzey babble悪魔の別名「ベルゼブブ」(Beelzebub)より。巨大なハエの形をした悪魔であり、かなり不気味。ゴールディングの小説『蠅の王』のモチーフにもなっている。孫のスティーブンに書いた手紙の「悪魔とネコ」の話の中で、ジョイスは‘The devil mostly speaks a language of his own called Bellsybabble which he makes up himself as he goes along’と書いている。 of a bottle of boose which would not rouse him out o’ slumber deep直前の‘The West’s Asleep’の歌詞より。‘And if, when all a vigil keep, The West’s asleep, the West’s asleep—Alas! and well may Erin weep, That Connaught lies in slumber deep’. but reminded him loads more of the martiallawsey marses「軍法」(martial law)に、フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」、「行進」(march)、そして軍神の「マルス」がかかる。 of foreign musikants’ instrumongs or the overthrewer to the third last days of Pomperyイギリスの作家・政治家エドワード・ブルワー゠リットンの小説『ポンペイ最後の日』の仄めかし。フランス語でpomperは「ポンプで汲みあげる」「酒を飲む」。, if anything. And that after this most nooningless knockturn the young reinereineは、フランス語では「女王」、ドイツ語では「純粋な」を意味する。 came down desperate and the old liffopotamusリフィー川(the Liffey)に住むカバ(hippopotamus)とは……? 古代ギリシア語でποταμόςは「川」「運河」。 started ploring all over the plainsラテン語やフランス語で「泣く」(ploro, pleurer, plainte)と「雨を降らせる」(pleuvoir)が混ざっている。, as mud as she cud be反芻動物がいちど口の中に戻した食べ物をcudと呼ぶ。, ruinating all the bouchers’ schurts and the backers’ wischandtugs童謡‘Rub-a-dub-dub’の歌詞より。歌詞の起源や意味については諸説あるが、肉屋とパン屋と蝋燭屋が、3人の婦人がお風呂に入っているところを見つめているという内容を踏まえると、不徳をたしなめる歌であると言われている。ただ、後のバージョンでは肉屋とパン屋と蝋燭屋が風呂に入るという設定に変わっている。マグダレン洗濯所も。 so that be the chandeleure of the Rejaneyjailey19世紀フランスの女優Gabrielle Réjaneが仄めかされる。聖母マリアの肩書きのひとつに「天の女王」(ラテン語で‘Regina Coeli’)がある。 they were all night wasching the walters of, the weltering walters of第1巻第8章の末尾とも響く。マグダレン洗濯所がやはりモチーフか。Weltはドイツ語で「世界」なので、「世界の水」も。f. Whyte.
  Just one moment. A pinch in time‘A stitch in time saves nine’は「早めに行動を起こせば、後の仕事を軽減できる」という意味の格言。 of the ideal, musketeers! Alphos, Burkos and Caramisデュマ『三銃士』のアトス、ポルトス、アラミス。英語でalphosや古代ギリシア語のἀλφόςは「感染しないハンセン病」。古代ギリシア語でβρύκοςは「伝令」「野蛮人」、βροῦκοςは「イナゴ」。, leave Astreleaギリシア神話においておとめ座の由来の候補の一つである乙女アストライアー。オーストラリア。 for the astrollajerries直後のKeavensとのペアで、ジェリーとケヴィン。ケヴィンの方は、グレンダロックを作った聖人。ジェリーは不明。 and for the love of the saunces and the honour of Keavens直前のatrollajerriesとのペアで、ジェリーとケヴィン。ケヴィンの方は、グレンダロックを作った聖人。ジェリーは不明。 pike puddywhackback to Pamintulルーマニア語でpămîntulは「大地」「地球」。. And roll away the reel world, the reel world, the reel world!イギリス北東部のニューカッスル・アポン・タインに伝わる民謡‘The Keel Row’)のリフレインより。曲が作られたのはスコットランドともイングランドとも言われている。 And call all your smokeblushes, Snowwhite and Roseredパトリック・ケネディ作『12羽の野生のガチョウ』の主人公の王女の名前。グリム童話『しらゆきとべにばら』も。, if you will have the real cream! Now for a strawberry frolic! Filons, filoosh!フランス語でfilouは「いかさま師」あるいは「いたずらっ子」。しばしば風の音として『ウェイク』に登場する擬音語。ここではfelon「重罪犯」やfoolish「ばかげた」ともかかっている。 Cherchons la flamme!フランス語で「炎を探しましょう」という意味。「(問題の種となった)女性を探そう」という意味のcherchez la femmeも。 Fammfamm!英語スラングでfammは「手」。 Fammfamm!英語スラングでfammは「手」。
  Come on, ordinary man with that large big nonobli headラテン語でnon oblitusは「忘れられていない」、nonnobliは「高貴でない」すなわち「卑俗である」という意味。以下に続く卑猥な妄想は、HCEの頭の中での回想とも読めるか。, and that blanko berbecked fischial ekksprezzionイタリア語でsprezzabileは「軽蔑すべき」という形容詞。 Machinsky Scapolopolos, Duzinascu古代ギリシア語でμάχηは「戦闘」、イタリア語でscapoloは「独身者」、セルボ゠クロアチア語でdužìnaは「線分」、チェコ語でdužìnaは「果肉」。「戦う独身者の線分・果肉」くらいか。ロシア語、ギリシア語、ルーマニア語でそれぞれ苗字を表す接尾辞(-sky, -olos, -scu)が混ざっている。 or other. Your machelar’sルーマニア語で「肉屋」。‘Rub-a-dub-dub’に出てくる肉屋とも重なるか。 mutton leg’s getting musclebound from being too pulled. Noah Beeryアメリカの映画俳優ノア・ビアリー。誕生年がジョイスと同じ1882年。息子も俳優だった。1917年のサイレント映画Molly EntangledでShawn役を演じたが、この作品はジョイス的な名前が2つ(MollyとShawn)出てくる。「創世記」の「ノア」や「ビール」も。 weighed stone thousand one『千一夜物語』と、シェムである石。ビアリーと併せて、シェム色が濃厚(ジョイス自身が仄めかされているか?) when Hazel was a henHazel henは「エゾライチョウ」。テニス選手のヘイゼル・ホッチキス・ワイトマンや、アメリカの作家ヘイゼル・カーターも。. Now her fat’s falling fast. Therefore, chatbags, why not yours?アメリカで1930年代に流行ったMarmolaというダイエット・ピルの広告のキャッチコピー‘Fat is Going Fast Why Not Yours?’より。減量と増量の両方が宣伝され、女性にとっては何重にも混乱する状況だったことだろう。こちらが一例だが、増量の広告で「ビールよりも効果がある」と宣伝されている。chatbagsは豪兵弁(digger dialect)で「下着」。 There are 29 sweet reasonsイシーと28人の従姉妹たち。 why blossomtime’s the best1920年代にアメリカのブロードウェイで長期興業されたオペレッタ‘Blossom Time’)が仄めかされる。音楽はシューベルトが手がけた。. Elders fall for green almonds when

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音声解説
they’re raised on bruised stone root gingerbruised gingerは「つぶした生姜」。stone rootは、アメリカ先住民族の間で打撲のあざ傷を癒す湿布として用いられた薬草。 though it winters on their heads as if auctumned round their waistbands. If you’d had pains in your hairsフランス語でavoir mal aux cheveuxは「二日酔いをする」という慣用句だが、逐語訳は「髪の毛に痛みを感じる」。 you wouldn’t look so orgibald. You’d have Colley Macairesアイルランド語でcodladhは「眠る」、machaireは「戦場」「平野」。「眠りの戦場」すなわち二日酔いか。18世紀にイギリスで「魔女」容疑者のルース・オズボーンを殺害した煙突掃除夫のトマス・コリーも。 on your lump of lead豪兵弁でlump of leadは「頭」。. Now listen, Mr Leer!ドイツ語でleerは「空っぽの」。シェイクスピアのリア王(King Lear)や「色目づかい」、あるいは19世紀英国の作家エドワード・リア(Edward Lear)も。 And stow that sweatyfunnyadams豪兵弁でSweet Fanny Adamsは「まったく無意味なこと」。 Simper! Take an old geeser who calls on his skirt英語スラングでgeeserは「老人」、skirtは「女性」。バート・カルマーとハリー・ルビーによる1921年発表の歌‘She’s Mine All Mine’の歌詞‘You oughta see Jimmy on Sunday, When he goes to call on his skirt’のもじり。. Note his sleek hair, so elegant, tableau vivant絵画のように魅力的に配置された人々のこと。生身の人間で彫像を再現すること。2016年に流行った「マネキン・チャレンジ」も似ているか。. He vows her to be his own honeylamb, swears they will be papa pals, by SamALP。ドイツ語で「一緒に」を意味するbeisammenも。, and share good times way down westシャーロット・ブレア・パーカーの演劇『東への道』(Way Down Eastが仄めかされる。地元の人気者レノックスから結婚詐欺にかけられた若い女性アンナは、子どもを生んだ後、地主のバートレット卿の屋敷で働く。後にレノックスとの過去が発覚し、アンナは屋敷から放り出されてしまうが、最後はバートレット卿の息子に助けられる。バイウォーターズ裁判と同様に、アイルランドにおける女性蔑視を象徴する作品。パーカーは舞台俳優としてキャリアを開始したが、その当時はディオン・ブシコーと一緒に舞台に立つこともあった。 in a guaranteed happy lovenestワルツ‘In My Tippy Canoe’より。‘In my tippy canoe, tippy canoe Lou, You can tippy canoe, tippy canoe too, To our love nest far below’()。カヌーのイメージは、ブシコーのColleen Bawnの題材となったエレン・ハンリー殺人事件とも響く。 when May moonトマス・ムーアの‘Young May Moon’(旋律は‘Dandy O’)。アンソニー・バージェスによる歌唱はこちら she shines and they twit twinkle all the night, combing the comet’s tail up古代ギリシア語でκομήτηςは「髪が長い」。また、転じて「彗星」。 right and shooting popguns「おもちゃの銃」だが、「パパ」(pop)も入っている。 at the stars. Creampuffs豪兵弁で「砲弾の爆発」。 all to dime! Every nice, missymackenzies!豪兵弁で‘Very nice … Mr. MacKenzie’は、オーストラリアの顧客に向けて中東の露天商が使うセールストークを指す。19世紀イギリスの小説家アンソニー・トロロープの1865年の小説『マッケンジー婦人』も。トロロープいわく、本作では恋愛を一切含まない物語を成立させたかったらしい。トロロープは26歳でアイルランドへ渡り、没年はジョイスの誕生年と同じ1882年だった。ドイツ語で「それはあなたがしなさい!」という意味のmachen Sie esも響く。 For dear old grumpapar, he’s gone on the razzledar英語スラングでon the razzleは「楽しい時間をすごす」。, through gazing and crazing and blazing at the stars. Compree!豪兵弁で「わかったか!」。 She wants her wardrobe to hear from above by return with cash so as she can buy her Peter Robinson trousseauロンドンのデパート「ピーター・ロビンソン」。1833年にピーター・ロビンソン氏がオックスフォード通りに衣料品店を開店し、創業された。1世紀以上続いたが、1970年代にはブランド名が完全に廃れ、建物だけが残った。ジャン゠ジャック・ルソーやダニエル・デフォー作『ロビンソン・クルーソー』も。英語やフランス語でtrousseauは「花嫁の衣装」。 and cut a dash英語で「自慢する」「見せつける」。 with Arty, Bert or possibly Charley ChanceABC。Artyは、アーサー・ギネスやアーサー王などが響く。Bertの意味は不明。Charles Chanceは、『ダブリナーズ』所収の「恩寵」と『ユリシーズ』に登場するチャーリー・マコイのモデルとなった人物。マコイもチャンスも、妻が歌手だった。また、チャンスはジョン・ジョイスの友人でもあった(Vivien IgoeのThe Real People of Joyce’s ‘Ulysses’: A Biographical Guideより)。詳しくはこちら (who knows?) so tolloll『ユリシーズ』第5挿話序盤でマコイがブルームに「またね」という意味で‘Tolloll’と言う。ドイツ語でtollは「狂った」。 Mr Hunker『ユリシーズ』の原案では、ブルームは‘Mr. Hunter’という名前だった。 you’re too dada芸術のダダイズム。テーブルの上に立って「ダダ!」と叫んだのが語源だという説も。そこへ「パパ」(dada)や、「年老いて精神薄弱な状態」(gaga)がかかっている。 for me to dance (so off she goes!) and that’s how half the gels英語の俗語で「娘たち」。ジョイスとは関係ないが、有名な用例として、現代アイルランドの大人気コメディ番組Father Tedでジャック神父がよく‘gels!’を連呼する。 in town has got their bottom drars while grumpapar he’s trying to hitch his braces on to his trars成功者とくっつくことで自分ものしあがろうとすることを、英語の慣用句で‘hitch one’s wagon to a star’と言う。随筆家のラルフ・ワルド・エマーソンの随筆‘Civilization’(1870)が初出。それ以前は、自然界の様々な力を利用することで、労働の効率を上げていくことを表現するための言葉だった。‘Now that is the wisdom of a man, in every instance of his labor, to hitch his wagon to a star, and see his chore done by the gods themselves. That is the way we are strong, by borrowing the might of the elements. The forces of steam, gravity, galvanism, light, magnets, wind, fire, serve us day by day and cost us nothing’.. But old grumgrumはカタルーニャ語で「ホテルのベルボーイ」、ルーマニア語で「(何かの)山」を意味する名詞。英語では「不機嫌な」という形容詞。 he’s not so clean dippy英語の俗語で「完全に狂っているわけではない」(not so completely insane)という意味。 between sweet you and yum (not on your life, boy! not in those trousers! not by a large jugful!) for someplace on the sly where Furphy豪兵弁で「うわさ話」。オーストラリアの作家ジョセフ・ファーフィーも。ファーフィーは「オーストラリア小説の元祖」と呼ばれている。父親はアーマー県生まれで、ファーフィー自身もアイルランド語名‘Seosamh Ó Foirbhithe’をもっていた。 he isn’t by old grum has his gel number two (bravevow, our Grum!) and he would like to canoodle her‘canoodle’は、通俗英語で「愛撫する」(fondle)の意味。このあたりから老人の妄想が強まっていく。 too some part of the time for he is downright fond of his number one but O he’s fair mashed on peaches number two英語の俗語でmashed onは「〜に魅惑されている」。1926年に、16歳の「桃子」(Peaches)が51歳の「おじさん」(Daddy)ブラウニングと結婚し、アメリカのタブロイド新聞で話題になった。Peachesの本名はFrances Belle Heenan、Daddyは不動産実業家のエドワード・ウェスト・ブラウニング。なお、Heenanはアイルランド系の名前。 so that if he could only canoodle the two, chivee chivoo豪兵弁で「宴」「お祝い」。, all three would feel genuinely happy, it’s as simple as A.B.C.マイケル・ジャクソン……ではなく、直前のArty, Bert, Charleyへの言及か。, the two mixers, we mean, with their cherrybum英国陸軍のスラングで、アルバート王子第11軽騎兵隊(11th Hussars, Prince Albert’s Own)。騎兵隊員の紅のズボンからこのあだ名がついた。 chappy (for he is simply shamming dippy) if they all were afloat in a dreamlifeboat「夢の生活へつれていってくれる船」だが、「救命ボート」(lifeboat)でもある。, hugging two by two in his zoo-doo-you-doo「創世記」7:8–9における、ノアの方舟にすべての動物種が雌雄一組で乗り込んでいく様子の描写から。「また清い獣と、清くない獣と、鳥と、地に這うすべてのものとの、雄と雌とが、二つずつノアのもとにきて、神がノアに命じられたように箱舟にはいった」。, a tofftoff for thee, missymissy for me第1巻第1章p.3の‘mishe mishe to tauftauf thuartpeatrick’とも響く。Issyも。 and howcameyou-e’ensoHCE。‘How come you so?’は英語スラングで「酔っぱらいの」。 for Farberドイツ語でFärberは「染物屋」。20世紀アメリカの作家エドナ・ファーバーも。ファーバーの『ショウ・ボート』(1926)は、ラジオドラマやミュージカル、映画などにたびたび翻案されている。直前の‘Peaches & Daddy Browning’のゴシップと併せて、アメリカでの「狂騒の20年代」の仄めかしが多い。この映像の主人公も、そんなアメリカで浮かれている金持ちじいさんか。, in his tippy, upindown dippy, tiptoptippy canoodle, can you?少し前に出てきた歌‘In My Tippy Canoe’が仄めかされる。終劇の音楽。 Finny.豪兵弁で「終わり」「おしまい」。
  Ack, ack, ack.豪兵弁で「句点」。モールス信号では、Aを3回打つと「終了」の意味になるが、これは‘three to a loaf’とも呼ばれる。 With which clap, trap and soddenment英語でclaptrapは「大衆から拍手をもらうための不誠実な発言」。フランス語でsoudainementは「突然に」。, three to a loaf, our mutual friendsチャールズ・ディケンズの小説『共通の友』(Our Mutual Friend)が仄めかされる。強烈な社会風刺とユーモアを交えており、ディケンズの作品の中でも最も洗練されたもののひとつに数えられている。 the fender and the bottle at the gate seem to be implicitly in the same bateau, so to singen, bearing also

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音声解説
several of the earmarks of design, for there is in fact no use in putting a tooth in aアイルランド英語で‘put a tooth in …’は「〜についてはっきりと述べる」。 snipery of that sort and the amount of all those sort of things which has been going on onceaday in and twiceaday out every other nachtistag among all kinds of promiscious individuals at all ages in private homes and reeboos publikissラテン語でin rebus publicusは「公的な事柄において」。 and allover all and elsewhere throughout secular sequenceラテン語でin saecula saeculorumは「永遠に」。聖書によく出てくる。英語だとforever and everで、へンデルの‘Messiah’にも出てくる。 the country over and overabroad has been particularly stupendous. To be continued. Federals’ Uniteds’ Transports’ Unions’ for Exultations’ of Triumphants’ Ecstasies頭文字に注目。ラテン語でfuteteは英語のf*ck youに相当する。『ユリシーズ』第7挿話「アイオロス」に出てくる‘K.M.R.I.A.’と似たくだらない言葉あそび。.
  But resuming inquiries. Will it ever be next morning the postal unionist’s国際機関「万国郵便連合」(Universal Postal Union)が示唆される。 (officially called carrier’s, Letters Scotch, Limited) strange fate (Fierceendgiddyex1世紀ガリアのケルト人英雄ウェルキンゲトリクス。ローマ人の侵攻に抵抗して戦ったが、カエサルに撃破された。 he’s hight, d.e., the loselそれぞれ、古風な英語で「彼は〜と呼ばれている」、デンマーク語で「すなわち」(det er)、古風な英語で「悪党」を意味する。 that hucks around「ハック」すなわちハックルベリー・フィン。 missivemaids’ gummibacks) to hand in a huge chain envelopeHCE。, written in seven divers stages of inkジョン・オドノヴァンがジェームズ・クラレンス・マンガンの酒癖を揶揄しつつ放った言葉‘One short poem of his exhibits seven different inks’より。‘He cannot give up his drink. Now and again he writes a short poem which he composes as he moves like a shadow along the streets and writes in public houses in which he gets pen and ink gratis. One short poem of his exhibits seven different inks and seven different varieties of handwriting, written in seven different public houses!’ (出典はこちらこちら)。, from blanchessance to lavandaietteフランス語でblanchisseuseとlavandièreはどちらも「洗濯女」。, every pothook and pancrook英語の慣用表現でby hook or by crookは「手段を尽くして」。そこへ子どもが書いた文字の曲がりぐあいを表す言葉pothookがかかる。 bespaking the wisherwife, superscribed and subpencilled by yours A Laughable PartyALP。, with afterwite, S.A.G.敬虔なカトリック教徒は、手紙がしっかり届くようにと願いを込めて、封筒にこの3文字を書いた。‘Saint Anthony Guide’の略で、「紛失物の聖人アントニオの導きがありますように」の意。この慣習の詳しい由来はこちらから。, to Hyde and Cheek, EdenberryHCE。ジキル博士とハイド氏。オファリー県の町エデンデリーも。, Dubblenn, WC? Will whatever will be written in lappish languageサーミ語はかつて「ラップ語」(Lappish, Lappic)と呼ばれていた。ドイツ語でläppischは「子どもじみた」「ばかげた」、ラテン語でlapsus linguaeは「失言」。「ALP的な言語」(ALP-ish language)とも読める。 with inbursts of Maggyer第1巻第2章冒頭の‘Naw, yer maggers, aw war jist a cotchin on thon bluggy earwuggers’が響く。ハンガリー語でのハンガリーの国名Magyarországは、中世の部族Magyerに由来する。 always seem semposedセム族、シェム。, black looking white and white guarding black, in that siamixed twoatalk「シャム双生児」(Siamese twin)、すなわち癒合双子(ゆごうふたご、体の一部が癒合している一卵性双生児)のこと。「シャム双生児」という呼称の由来は、当時英語でシャムと呼ばれていたタイからイギリスに連れてこられた双子のチャン&エン・ブンカー兄弟。この2人はサーカスで見せ物にされた。「シャム双生児」という呼び方が広がる前は、癒合双子は「怪物」(monster)と呼ばれていた。 used twist stern swift and jolly rogerローレンス・スターン、ジョナサン・スウィフト、そして海賊旗(ジョリー・ロジャー)? Will it bright upon us, nightle, and we plunging to our plight? Well, it might now, mircle, so it light.ウィリアム・パーシー・フレンチの曲‘Are Ye Right There, Michael?’のサビより。‘Are ye right there, Michael, are ye right? / Do you think that we’ll be there before the night?’()。 Always and ever till Cox’s wife, twice Mrs Hahnミーズ県ララコーにあったスウィフトの地元の教会の庶務係ロジャー・コックス。19世紀ドイツの小説家のイーダ・ハーン゠ハーン伯爵夫人。『伯爵夫人ファウスティーネ』では、女性版のドン・ファンを描いた。ドイツ語でHahnは「雄鳥」すなわち英語のcock。以下数行の記述から、ここではドーランのベリンダの化身として雌鳥が登場していると思われる。, pokes her beak into the matter with Owen K.コーク県にあるオウェンケー川。アイルランド語名Abhainn Caochは「盲目の川」。 after her, to see whawa smutter after, will this kiribis pouchベリンダは、今回は日本の火打ち袋をもっている。これは巾着の前身で銭入れとしても使われた。エストニア語でkiriは「手紙」。また、トキ(ibis)は古代エジプトの代書人(scribe)のシンボルだった(筆記の神トトの頭がトキの形をしていたため)。 filled with litterish fragments lurk dormant in the paunch of that halpbrother of a hermhermとは、上部に頭像や胸像を置いた石柱のこと。発明や伝達の神ヘルメスの頭像が置かれることが多かった。男性器の像が添えられることもあった。「隠遁者」(hermit)も響く。, a pillarbox?郵便ポスト。ここでは、ヘルメスの頭像の置かれた石柱「ヘルマ」がポストの役割をしているということか。 The coffin, a triumph of the illusionist’s art, at first blench naturally taken for a handharp (it is handwarp to tristinguishトリスタン。「悲しい」(triste)や「三位一体」(Trinity)も響く。distinguishは二者間の区別を意味するが、三者間の場合はtristinguishになるということか。 jubabe from jabule or either from tubote「創世記」4:20–22のヤバルとユバルとトバル。「アダはヤバルを産んだ。彼は天幕に住んで、家畜を飼う者の先祖となった。その弟の名はユバルといった。彼は琴や笛を執るすべての者の先祖となった。チラもまたトバルカインを産んだ。彼は青銅や鉄のすべての刃物を鍛える者となった」。 when all three have just been invened) had been removed from the hardware premises of Oetzmann and Nephewロンドンの家具会社Oetzmann & Co.。1848年創業で、1955年に閉業した。, a noted house of the gonemost west英語スラングでgo westは「亡くなる」「殺される」。, which in the natural course of all things continues to supply funeral requisites of every needed description. Why needed, though? Indeed needed (wouldn’t you feel like rattanfowl豪兵弁でオーストラリア・シリングのことをrat-and-fowlと呼ぶ。ドイツ語でrattenkahlは「ネズミハゲ」すなわち「赤裸々にされた」。 if you hadn’t the oscar!英語スラングで「お金」。オスカー・ワイルド。) because the flash brides or bride in their lily boleros音楽のリリビュレロとラヴェルのボレロ。ショートジャケットの一種であるボレロ・ジャケットも。 one games with at the Nivynubies’ラテン語でniveaeは女性複数形の「雪」、nubesは「雲」、nubilisは「結婚適齢期の」を意味する。 finery ball

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音声解説
and your upright grooms that always come right up with you (and by jingo when they do!)G・W・ハント作曲の戦歌‘The Jingo Song’)のサビより。1877年にマクダーモットが歌い、流行した。‘We don’t want to fight, but by jingo if we do, We’ve got the ships, we’ve got the men, we’ve got the money too’. 「好戦主義」を意味する英語jingoismの由来にもなっている。 what else in this mortal world, now ours, when meet there night, mid their nackt, me there naket, made their nought英語とドイツ語の言葉遊び。「夜」(night/Nacht)、「裸の」(nacked/nackt)、「無」(nought)。 the hour strikes, would bring them rightcame back in the flesh, thumbs down, to their orses and their hashes.
  To proceed. We might leave that nitrience of oxagiants to take its free of the airジョイスが読んでいた、ヘンリー・エンフィールド・ロスコー『化学』p.41には、‘We have found… that oxygen is contained in the air mixed with nitrogen… The oxygen exists in the air in the free state as a colourless gas’という記述がある。 and just analectralyse「文学的・哲学的断章」(analect)が、「電気分解する」(electrolyze)にかかる。 that very chymerical combination, the gasbag where the warderworks英語でgas-bagは「自慢話が好きな人」。後者は『ユリシーズ』にも登場する腸薬‘Wonderworker’のことで、ロンドンの同名の製薬会社が作っていた。ブルームは第11挿話でリンゴ酒を飲んだ後、腸にガスが溜まった状態でWonderworkerのことを考える。「りんご酒ガス出す、詰まりにも。(中略)どうにか。いやまて。Wonderworkerがあったかな」(‘Gassy thing that cider: binding too. … Wish I could. Wait. That wonderworker if I had’ )。第17挿話「イタケ」には、ブルーム宅のWonderworkerに関する詳しい描写がある。. And try to pour somour heiterscene up thealmostfere. In the bottled heliose case古代ギリシア語でἥλιοςは「太陽」「東」。12世紀フランスの知識人エロイーズ(Héloïse)も響く。エロイーズは欧州文学を牽引した書き手であり、性の表現やビルドゥングスロマン、そして宮廷恋愛や騎士道恋愛といった概念を導入した。 continuing, Long Lally TobkidsLallyはアイルランドの家族名。トマス・アーサー・ラリーは、1745年ジャコバイト蜂起に参戦し、戦後はアイルランドの伯爵に任命された。, the special, sporting a fine breast of medals, and a conscientious scripturereader to boot in the brick and tin choorch round the coroner王立アイルランド警察隊のイギリス人部隊‘Black and Tans’が仄めかされていることに加え、ニューヨーク市にあるイギリス・カトリック教会‘The Little Church Around the Corner’も。後者は宗派を超えた友愛を奨励している。これらの語句に、「検死官」を意味するcoronerが混ざる。Black and Tansは、第1次世界大戦後に無職となったイギリス兵を、アイルランド独立戦争(1920年〜21年)の時期に大量に雇って治安維持にあたらせたという設立経緯を持つ組織で、かなり暴力的だった。, swore like a Norewheezian tailliur「ノルウェーの仕立屋」(Norwegian tailor)。第2巻第3章の重要人物。アイルランド語でtáilliúrは「仕立屋」。 on the stand before the proper functionary that he was up against a right querrshnorrt1921年から1933年まで刊行されていた、ドイツのフランクフルトを拠点とする雑誌Der Querschnittが仄めかされる。1923年にはジョイスのChamber Musicから5編の詩が掲載された。ドイツ語のスラングで「懇願して何かを手に入れる」を意味するschnorrenも混ざる。 of a mand in the butcher of the blues who, he guntinued, on last epening after delivering some carcasses mattonchepps and meatjutesマットとジュート。ジュート人 on behalf of Messrs Otto Sands and Eastman, Limericked, Victuallers酒類を販売する許可をもつ人たち。, went and, with his unmitigated astonissment, hickicked at the dun and dorassアイルランド語でdún an dorasは「ドアを閉める」。別れの杯を‘one for the road’というが、これはアイルランド語の「ドアの一杯」(deoch an dorais)から来ている。 against all the runes and, when challenged about the pretended hick (it was kickup and down with him) on his solemn by the imputant imputed, said simply: I appop pie oath, Phillyps Captainラテン語の謝罪の言葉felix culpaが響く。「アップルパイ」と「謝罪」(apologies)。大蛇の姿で描かれることが多い古代エジプトの邪神アペプも。. You did, as I sostressed before. You are deepknee in error, sir, Madam Tomkins男性なのか女性なのか判別が困難。18世紀イギリスの俳優トマス・キングも響くか。ダブリンで初めて舞台に立ったのは1750年であり、演目はベンジャミン・ホードリーの喜劇「疑り深い夫」(‘The Suspicious Husband’)だった。, let me then tell you, replied with a gentlewomanly salaamアラビア語で「平和を」を意味する会釈「アッサラーム」が仄めかされる。そこへ「サラミ」が混ざるか。 MackPartlandアイルランド語でMac Parthaláinは「バーソロミューの息子」。また『アイルランド来寇の書』では、アイルランドへ来る2番目の入植者としてPartholónの一族が登場する。バーソロミューといえば、第33代ダブリン市長のバーソロミュー・ファン・エムリーも。エムリーの娘はスウィフトと恋愛関係だった。, (the meatman’s family, and the oldest in the world except nick, name.) And Phelps19世紀イギリスの舞台役者サミュエル・フェルプス was flayful with his peelerアイルランド英語で「お巡りさん」。. But his phizz fell英語の俗語でphizzは「表情」。「創世記」4:4–5「主はアベルとその供え物とを顧みられた。しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた」の「顔を伏せた」が仄めかされている。現代ではフィブスボロで毎年行われるお祭りにPhizzfestがある。.
  Now to the obverse. From velveteens to dimitiesイギリス出身の児童文学作家マージェリー・ウィリアムズが1921年に発表した絵本The Velveteen Rabbit。ジョイスが意図したわけではないが、2007年にボブ・グラハムが発表した絵本Dimity Dumptyも響く(DimityはHumptyの妹という設定)。 is barely a fivefinger span and hence these camelback excessesHCE。ムハンマドのラクダCropearも響くか。 are thought to have been instigated by one or either of the causing causes of all, those rushy hollow heroinesフェニックス公園の「くぼ地」。「ハロウィン」も響くかもしれない。 in their skirtsleeves, be she magrettaアイルランド語でbhí séは「彼は〜」、イタリア語でmagrettaは「やせている」。性別の混同が起こっている。 be she the posqueショーン。古代ローマの飲み物ポスカ。下等なワインに香辛料やお酢を混ぜて作る飲み物で、兵士や奴隷が飲むとされていた。イエスが十字架にかけられたときに、綿にしみ込ませて飲ませられたという話もある。. Oh! Oh! Because it is a horrible thing to have to say to say to dayブシコーの歌‘I’ve a Terrible Lot to Do Today’の仄めかしか。 but one dilalah旧約聖書「士師記」第16章に登場する女性デリラ。イスラエルの士師サムソンの妻だったが、サムソンの力の源泉(髪の毛)を暴き、髪を切ることでサムソンを裏切り、ペリシテ人へ引き渡した。話の舞台はガザ。, Lupita Lorette聖パトリックの姉妹の名前ルピタ。フランス語でloretteは「売春婦」(多くがNotre-Dame-de-Lorette教会のミサへ行ったため)。以下はファーネスのジョセリンによる伝記『聖パトリック伝』第6章より。‘On a certain day the sister of Saint Patrick, the aforementioned Lupita, being then of good stature, had run about the field, at the command of her aunt, to separate the lambs from the ewes …’. スペイン語でLupitaは女性名Guadalupeの略称で、これは「オオカミの渓谷」という意味。, shortly after in a fit of the unexpectednesses drank carbolic1923年1月27日のEvening Standard紙に掲載された事件からの引用。‘Drowned in a Bath. Tragic End of Three Children. Mother Poisoned’というセンセーショナルな見出しで報じられた。石炭酸(carbolic)はそこで母親が飲んだ毒のこと。 with all her dear placid life before her and paled off while the other soiled dove英語のスラングで「売春婦」。 that’s her sister-in-love, Luperca Latoucheローマ建国神話で建国の父として登場するロームルスとレムスを育てた雌オオカミのLuperca。ジョン・ラスキンの生徒のアイルランド人女性ローズ・ラトゥーシュの仄めかしも。ラスキンが39歳の時に10歳だったラトゥーシュは生徒になり、18歳になるまで複数回求婚されたが全て断った。理由は、ラスキンと性交がなかったことで離婚したということをラスキンの前妻がラトゥーシュの両親に言ったため。不運にもラトゥーシュは27歳のときにダブリンで発狂し亡くなり、この頃からラスキンも発狂してしまった。, finding

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音声解説
one day while dodging chores that she stripped teasily for binocular man and that her jambs were jimpjoyedジェイムズ・ジョイス。jambeはフランス語で「足」、jimpjoyedは‘jumped with joy’か。 to see each other, the nautchy girlyインドの宮廷の踊り子をnautch girlと呼ぶ。主に男性のために宴の余興として踊った。 soon found her fruitful hatアメリカの作家O・ヘンリーの短編‘Sisters of the Golden Circle’には、‘The girl in the fruitful hat quickly seized her companion by the arm and whispered in his ear’という一文がある。 too small for her and rapidly taking time look she rapidly took to necking, partying and selling her spare favours in the haymow or in lumber closets or in the greenawn ad huckアイルランド語でgrianánは「太陽の家」すなわち陽当たりが良い部屋。古代アイルランドでは、王女や王妃のための特別室として建物の最上階に造られた。そこへ「ハック(ルベリー)へ」やラテン語のad hocが混ざる。英語スラングでhuckは「お尻」。 (there are certain intimacies in all ladies’ lavastories「恋愛話」(love stories)に「トイレ」(lavatories)がかかる。「トーリー(党)」(Tories)および「溶岩」(lava)も混ざる。 we just lease to imagination) or in the sweet churchyard close itself for a bit of soft coal or an array of thin trunks, serving whom in fine that same hot coney「ウサギ」を意味するconeyは、女性器を表すスラングでもある。 a la Zingaraイタリア語でalla zingaraは「ロマのように」。 which our own little Graunya16世紀の海賊女王グローニャ・ニ・ウォーリャ。フィンの婚約者で、ディアムドと駆け落ちをするグローニャも。 of the chilired cheeks dished up to the greatsire of Oscar, that son of a Cooleフィン・マクール。フィンはオスカーの祖父だった。. Houriイスラム教の天国・楽園にて、信徒をもてなす処女フーリー。フーリーとの性交がいかに気持ちよいかということについて、歴代のコーラン学者が色々とすごい妄想を書いている(その一例はリンク先のWikiを参照)。 of the coast of emerald, arrah of the lacessive poghueALP。ブシコーの『キスのアラ』。lacessiveは「私は挑発する」を意味するラテン語のlacessoや、英語の「淫らな」(lascivious)とかかっている。アイルランド語で「キス」を意味するpogueに、さりげなく「色」(hue)が混ざってもいる。, Aslim-all-Muslimアラビア語でaslimは「降伏」、Muslimは「帰依する者」「服従する者」。後述のresigned to her surrenderともつながる。, the resigned to her surrender, did not she, come leinster’s even, true dotter of a dearmud12世紀レンスター王ディアムッド・マクモローの娘イーファ(Eva of Lenster)は、アングロ゠ノルマン侵攻のリーダーのリチャード・デ・クレアと結婚した。イーファは聖ローレンス・オトゥールの姪でもある。, (her pitch was Forty Steps and his perch old Cromwell’s Quartersクロムウェル街は、ダブリンの地区。高い壁に囲まれた狭い階段道があり、Forty Stepsと呼ばれている。かつてこの階段道近辺はMurder Laneとも呼ばれていたが、19世紀にクロムウェル街に改名された。たしかに、治安が悪そうな道ではある。) with so valkirry a licence北欧神話のワルキューレ(ヴァルキリー)は、命を落とした戦士をヴァルハラまで導く女性たち。そこへ「主よ、あわれみたまえ」を意味する古代ギリシア語の祈りΚύριε ἐλέησονがかかる。 as sent many a poor pucker packing to perdition, again and again, ay, and again sfidare him, tease fido「忠犬」を意味するfidoに、イタリア語で「挑発する」「挑戦をしかける」を意味するti sfidoがかかる。sfidareもイタリア語で同じ意味の原形動詞であり、「忠犬をもてあそぶこと」と「挑発・挑戦」がかかっていると考えられる。, eh tease fido「忠犬」を意味するfidoに、イタリア語で「挑発する」「挑戦をしかける」を意味するti sfidoがかかる。sfidareもイタリア語で同じ意味の原形動詞であり、「忠犬をもてあそぶこと」と「挑発・挑戦」がかかっていると考えられる。, eh eh tease fido「忠犬」を意味するfidoに、イタリア語で「挑発する」「挑戦をしかける」を意味するti sfidoがかかる。sfidareもイタリア語で同じ意味の原形動詞であり、「忠犬をもてあそぶこと」と「挑発・挑戦」がかかっていると考えられる。, toos topples topple, stop, dug of a dog of a dgiaourトルコ語で、ムスリムでない人、特にキリスト教徒を侮蔑して使う呼称giaourが含まれる。, ye! Angealousmei!ラテン語で「神の御使(天使)」を意味するAngelus deiに、古代ギリシア語で「私は悦ぶ」(I rejoice)を意味するἀγαλλιάομαιがかかる。大江健三郎の小説『燃えあがる緑の木』の結末も想起させる。 And did not he, like Arcofortyイタリア語でarcoは「弓」、forteは「強い」という意味なので、リチャード・デ・クレアの異名‘Strongbow’が示唆される。さらに、イタリア語で「虹」を意味するarcobalenoに、「創世記」において洪水が40日間続いた後で虹がかかる場面も込められているか。, farfar off Bissavoloデンマーク語でfarfarは「祖父」、イタリア語でbisavoloはやはり「祖父」。ここではオスカーの祖父フィンが示唆される。, missbrand her behaveyous with iridescent huecry of down right mean false sop lap sick dope?ドレミファソラシド。 Tawfulsdreck!ドイツ語でTeufelsdreckは「悪魔の糞」。19世紀の作家トマス・カーライルの『衣装哲学』に登場する架空の哲学者Teufelsdrockh教授も。この小説はスウィフトの『桶物語』に着想を得ている。 A reine of the sheeアイルランド英語でsheeは「妖精」、フランス語でreineは「女王」。合わせると、スペンサーが16世紀末に書いた長編詩『妖精女王』(The Faerie Queene)が仄めかされるか。, a shebeen queanアイルランド英語でshebeenは(アイルランド語síbínから)「違法な酒場」。queanはプランクイーンの仄めかし。旧約聖書の「シェバの女王」も。, a queen of pranksプランクイーン。. A kingly man, of royal mien, regally robed, exalted be his glory!コーランに登場する祈り「アッラーよ、あなたの栄光を讃えます」より。 So gave so take旧約聖書「ヨブ記」1:21より「主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」。: Now not, not now! He would just a min. Suffering trumpet! He thought he want. Whath? Hear, O hear, living of the land! Hungreb「ハンガリー」とアフリカ北部地方の「マグリブ」を混ぜたか。また、ムスリムの日没時の礼拝「マグリブ」も。, dead era「死の時代」や「死せる時代」に加え、日本神話に登場する巨人ダイダラボッチも響く。, hark! He hea, eyes ravenous on her lippling lills英語で「静かに波打つ小川」を意味するrippling rillsに、ヴォラピュクで「耳」を意味するlilがかかる。「百合」(lily)や「リリス」も。. He hear her voi of day gon by. He hears! Zay, zay, zay!ハンガリー語でzajは「騒音」「ノイズ」。そこへsayやtheyがかかる。 But, by the beer of his profitムスリムの誓いの言葉‘by the beard of the prophet’が混ざっている。, he cannot answer. Upterputty till rise and shine!豪兵弁でup to puttyは「役立たず」、rise-and-shineは「起床の合図」。 Nor needs none shaft ne stele from Phenicia or Little Asiaフェニックス公園の石碑(オベリスク)が、「フェニキア」や「小アジア(アナトリア半島)」にかかる。トルコ外務省によると、アイルランドとトルコの外交関係は、16世紀に地中海を航海していたアイルランド船が海賊に誘拐されたとき、オスマン帝国の軍艦がこれを奪還して差し戻したのが最初だと言われている。その後、1845年から1851年にかけての大飢饉では、トルコのスールタンがアイルランドへ1,000ポンドの寄付と船数隻分の食料を提供した。寄付金に関しては、当時のヴィクトリア女王が2,000ポンドを寄付したため、ヴィクトリア女王の寄付額を上回ってはならないという礼節を重んじて1万ポンドを1,000ポンドに修正したという伝説がある。 to obelise on the spout, neither pobalclock neither folksstoneアイルランド語でpobalは「人民」「公衆」、clochは「石」を意味する(英語でpebbleは「(丸い)小石」)。イギリスのケントの港町フォークストーンには、サクソン人の侵略者に対して聖ヴォルティマーが最後の戦いをした場所にLapis tituliという名前の石柱がある。ダブリンでヴァイキングが上陸した場所にアイヴァーの石(Long Stone)があることと似ている。後者は10世紀頃に造られ、18世紀半ばまで存在した。現在はレプリカで復元されている。いずれも男性器的。, nor sunkennessケントの海辺の町Dungenessの仄めかしか。 in Tomar’s Woodフィブスボロにある林で、雷神トールの崇拝に使われていたと思われる「トーマーの林」の仄めかし。クロンターフの戦いで、ブライアン・ボルーが隠れていた。こちらの論文も参照。 to bewray how erpressgangs score off the rued. The mouth that tells not will ever attract the unthinking tongue and so long as the obseen draws theirs which hear not so long till allearth’s dumbnation shall the blind lead the deaf新約聖書「マタイによる福音書」15:12–14より。「そのとき、弟子たちが近寄ってきてイエスに言った、「パリサイ人たちが御言を聞いてつまずいたことを、ご存じですか」。イエスは答えて言われた、「わたしの天の父がお植えにならなかったものは、みな抜き取られるであろう。彼らをそのままにしておけ。彼らは盲人を手引きする盲人である。もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」」。. Tatchoロマ語でtatchoは「そのとおり!」を意味する。イタリア語でtaccioは「私は静かである」「私は〜を告発する」。, tawney yeeklings!ロマ語でtawnie yecksは「小さきものたち」「孫たち」。 The column of lumps豪兵弁で「乱れた隊列」。そこへ20世紀アイルランドの作家ポーリック・コラムの名をかけたか。コラムは1881年生まれで、90歳まで生きた。レイチェル・ポッターのObscene Modernism p.170によると、この行と次の行は『ユリシーズ』第4挿話でブルームがトイレで読む連載小説が暗黙の参照先となっている可能性がある。 lends the pattrin of the leavesロマ語でpattinは「葉っぱ」、patrinは「道しるべ」。後者の語義は、ロマの人々が葉っぱを道に集めることで足跡を残したことに由来する。 behind us. If violence to life, limb and chattels法律用語で、重罪犯への刑罰として生命、手足、動産を没収すること。, often as

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音声解説
not, has been the expression, direct or through an agent male, of womanhid offended, (ah! ah!), has not levy of black mail from the times the fairies were in itアイルランド英語でbe in itは「生きている」という意味なので、ここは「妖精たちが生きていた時代」という意味。, and fain for wilde erthe blothomsオスカー・ワイルド。ポーリック・コラムの詩集Wild Earthも。さらに、H・S・トムソンの曲‘Lilly Dale’)のサビも。‘Oh! Lilly, sweet Lilly, dear Lilly Dale, / Now the wild rose blossoms o’er her little green grave, / ’Neath the trees in the flow’ry vale’. この曲は『若き芸術家の肖像』の冒頭でも登場する。 followed an impressive private reputation for whispered sins?フランク・ハリスの伝記『オスカー・ワイルド伝——人生と告白』第1巻p.53、子ども時代のワイルドと父ウィリアムの描写から。‘Every clever thing that Oscar said or that could be attributed to him, Willie reported in The World. This puffing and Oscar’s own uncommon power as a talker; but chiefly perhaps a whispered reputation for strange sins, had thus early begun to form a sort of myth around him’.
  Now by memory inspiredポーリック・コラム作詞の歌‘By Memory Inspired’()の仄めかし。, turn wheel again to the whole of the wallダブリンのブラックホース通りにあったパブ‘Black Horse Tavern’の通称がHole in the Wallだった。このパブは今でも、フェニックス公園の裏手でHole in the Wallの名前で開業中。現代ではキルケニーにあるHole in the Wallの方がおそらく有名。マイケル・コンウェイという心臓専門医がきりもりしている。. Where Gyant Blyantノルウェー語でblyantは「鉛筆」。「巨大」を表す古風な英語でgyantもあった。そのため、ここでは普通に「巨大な鉛筆」という意味だが、「巨人のブライアン(ボルー)」も響く。 fronts Peannlueamooreアイルランド語でpeann-luaidhe mórは「巨大な鉛筆」。そこへ、ジョイスがめちゃくちゃに批判した作家のジョージ・ムーアが響く。こちらの論文も参照。 There was once upon a wall and a hooghoog wallオランダ語でhoogは「高い」。 a was and such a wallhole「ヴァルハラ」が響く。 did exist. Ere ore or ire in Aaarlund. Or you5つの母音(e, o, i, a, u)が並ぶ。アルメニア語でôre ôrはday by dayすなわち「日々」。Aarはスイスやドイツにある川の名前、lundはデンマーク語やノルウェー語で「木立」。 Dair’s Hairアルメニア語でdarは‘Mr.’(聖職者への敬称)、hayrは「神父」。 or you Diggin Mossesアルメニア語でdigginは‘Mrs.’、通俗英語でmissisは「妻」。「モーゼ」や「苔」(moss)も。 or your horde of orts and oriortsアルメニア語でそれぞれ「若い男性」「若い女性」。 to garble a garthen of Odin「エデンの園」に、北欧神話の神「オーディン」が混ざる。 and the lost paladays古代ギリシア語でπάλαιは「遠い昔」。また、カール大帝の側近である12名の伝説の騎士たち「パラディン」も響く(アーサー王伝説の円卓の騎士と似たような位置づけ)。 when all the eddams ended with avesアダムとイヴ。北欧神話文献の『エッダ』も。aveはアヴェ・マリアなどでおなじみの歓待の言葉。. Armen?アルメニア語への参照を示唆する仕掛けか。キリスト教の祈りの言葉「アーメン」の他に、‘Are men?’という問いかけにも聞こえる。 The dounアルメニア語で「家」。英語の「砂丘」(dune)も響く。 is theirs and still to see for menagアルメニア語で「孤独」「独り」。s if he strikes a lousaforitchアルメニアの家父長聖人「グリゴール・ルサヴォリッチ」(「照らし出す者グリゴール」)が仄めかされる。西暦301年にアルメニアの国王をキリスト教へ改宗し、これによってアルメニアは国教としてキリスト教を採用した史上初の国となった。 and we’ll come to those baregazed shoeshinesアルメニア語でbarekeadzは「善き人生を送る」、shoushanは女性名「リリー」をそれぞれ意味する(したがってリリスも仄めかされる)。 if you just shoodov a second. And let oggsアルメニア語でogiは「霊」。 be good old gaggles and Isther Estarr play Yesther Asterrスウィフトには「エステル」という名前の愛人が二人いた。1人目は、第33代ダブリン市長の娘エステル・ヴァンエムリーで、スウィフトは彼女を「ヴァネッサ」と読んだ。2人目はウィリアム・テンプル卿の家で育ったエステル・ジョンソンで、スウィフトは彼女を「ステラ」と呼んだ。スウィフトはステラと先に出会っていたが、後にヴァネッサに出会い、ステラとは会わないように頼まれたが、これを拒否した結果、ヴァネッサはスウィフトへの遺言書を破り捨て、代わりに遺産を哲学者のジョージ・バークリーと判事のロバート・マーシャルに遺した。ここでは、2人のエステルが、シュメール神話のイシュタルやそのシンボルである「イシュタルの星」、そして聖書の「エステル記」と混ざっている。IsがYesに置き換わるので、何かの質問がされているか。. In the dremaロシア語で「眠り」。 of Sorestost Areas, Diseased頭文字がSADで、悲しい。アイルランド語でSaorstát Éireannは「アイルランド自由国」(The Irish Free State)の意味。sorest ost areasで「最も痛々しい東部」とも読める。. A stonehinged gateストーンヘンジ then was for another thing while the suroptimist1921年にカリフォルニアで発足したSoroptimist Internationalが仄めかされる。女性の社会進出を支えるためのボランティア団体で、現在はアフリカ、ヨーロッパ、イギリスおよびアイルランド、アメリカ大陸、そして東南アジアの5つの地域で活動を展開している。 had bought and enlarged that shack under fair rental of one yearlyng sheep, (prime) value of sixpence, and one small yearlyng goat (cadet) value of eightpence当時、ダブリンのHole in the Wallは14ポンドの値打ちをつけられていた。これを6と8に分けたのだと思われる。シェムとショーンの分身である‘Caddy & Primas’のモチーフも。, to grow old and happy (hogg it and kidd him英語でhoggは「若い羊」、kidは「若いヤギ」。19世紀スコットランドの作家ジェイムズ・ホッグも。ホッグは羊飼いの家の生まれであり、作家になった際には「エトリックの羊飼い」(‘Ettrick Shepherd’)という異名で広く知られるようになった(実際にこの名義でいくつか本を出版してもいる)。ホッグついて詳しくはこちら。同じく作家のウォルター・スコットと親交が深く、後にスコットの伝記を書いてもいる。また、1805年にはダンフリーズシャーで羊飼いとして働いた経験もある。ダンフリーは『ウェイク』p.38でも登場した。) for the reminants of his years1921年の楽曲‘Weep No More (My Mammy)’()のサビには以下の文言が見られる。‘Oh mammy weep no mor / Please dry your tears / I’m gonna keep you for remaining years / I can’t repay the debt I owe you’. 『ユリシーズ』のスティーヴンの罪悪感とも響く。; and when everything was got up for the purpose he put an applegate on the place by no means as some pretext a bedstead in loo thereof to keep out donkeys (the pigdirt hanging from the jags to this hour makes that clear) and just thenabouts the iron gape, by old custom left open to prevent the cats from getting at the goutConnacht Tribune紙の1924年2月16日号に掲載された、‘House Burning’という見出しがついた記事からの引用。‘The door of witness’s sister’s house had been hasped. — “Why was it?” inquired the Recorder. — Witness: We had killed a goat, and the door was hasped in order to prevent the cat getting at the goat (laughter)’. 英語でgoutは「痛風」。, was triplepatlockt9世紀後半頃に書かれたとされる、アイルランド語とラテン語の2カ国語の伝記『聖パトリックの3つに分かれた人生』Vita tripartita Sancti Patricii)が仄めかされる。ここでは、HCEとシェムとショーン、あるいはシェム(Tree)とショーン(Stone)とトリスタン(Tree+Stone)も仄めかされているかもしれない。また、ドイツ語で「誘惑された」を意味するgelocktがかかる。 on him on purpose by his faithful poortersオランダ語でpoortは「門」、poorterは「市民」を意味する。 to keep him inside probably and possibly enaunter古風な英語でunlessやin caseを意味する。 he felt like sticking out his chest too far and tempting gracious providence by a stroll on the peoplade’s eggday, unused as he was yet to being freely clodded.
  O, by the by, lets wee brag of pratiesアイルランド英語で「袋一杯のジャガイモ」。, it ought to be always remembered in connection with what has gone before that there was a northroomer, Herr Betreffenderドイツ語で「くだんの人」。, out for his zimmer holedigsドイツ語でZimmerは「部屋」。19世紀ドイツのケルト文化研究者ハインリッヒ・ツィマーも。, digging in number 32 at the Rum and Puncheonロンドンには1802年開業のパブ‘Rum and Puncheon’があったが、1915年に閉業した。 (Branch of Dirty Dick’sロンドンのビショップゲートにある18世紀開業の有名なパブDirty Dick’s。親方のNathaniel Bentleyが結婚式の当日に婚約者を亡くし、悲しみのあまり体を洗うことを拒否していたという話が名前の由来。 free house) in Laxlip (where the Sockeye Sammons were stoppingキルデア県北東部の村リークスリップは、アイルランド語で「鮭が飛び跳ねる」の意。ベニザケ。 at the time orange fasting) prior to that, a Kommerzialドイツ語でKommerzialratは「商業顧問官」(1919年まで商工業功労者に与えられていた称号)。 (Gorbotipaccoイタリア語で«corpo di Bacco!»は英語の‘By God!’に相当する毒づきの言葉。ドイツ語なまりの表記になっている。, he was wreaking like Zentral Oylrubberドイツ語訛りでZentral Europaすなわち「中央ヨーロッパ」。)

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音声解説
from Osterichドイツ語でÖsterreichは「オーストリア」。, the U.S.E.United States of Europe’の略か。1464年にボヘミア王イジー・ス・クンシュタートゥ・ア・ポジェブラトが発案して以来、「ヨーロッパ合衆国」構想は継続的に議論されてきた。擁護者のひとりに、17世紀イギリス生まれでアイルランドへも何度も訪れた政治家のウィリアム・ペンがいる。 paying (Gaul save the mark!英語の毒づき‘God save the mark!’に、ドイツの貨幣「マルク」と、ケルト人が住んでいた「ガリア」がかかる。) 11/- in the week週11シリング(=132ペンス)で、1132。 (Gosh, these wholly romads!「神聖ローマ帝国人」(Holy Romans)に、「遊牧民」(nomads)や「ロマ族」(Roma)がかかる。) of conscience money良心の呵責を解消するために支払われるお金。カトリック教会の贖宥状(indulgence、免罪符とも)も含むか。 in the first deal of Yuly wheil he was, swishing beesnest with blessure, and swobbing broguen eeriesh myth英語とドイツ語、そしてフランス語が混ざっている。Schwobはドイツ語で「行商人」であり、現代ではユダヤ系の苗字になっている。‘wheil’は英語のwhileに「なぜなら」を意味するドイツ語のweil、‘swishing’は英語で「ヒュッと音を立てる」とう意味のswishingにドイツ語で「〜の間に」という意味のzwischen、‘blessure’は英語のpleasureにフランス語で「傷」を意味するblessureが、それぞれ混ざっている。 brockendootschドイツ北部の最高峰「ブロッケン山」に、「崩れたドイツ語」を意味するgebrochenes Deutschがかかる。ハインリッヒ・フォン・クライストの喜劇『壊れた瓶』(Der zerbrochene Krugも響く。アダムという名前の裁判官が、若い女性のイヴの家の瓶を夜に割った犯人を究明すべく審議を進めるが、実はアダム本人がかなり怪しいという筋書き。1808年にヴァイマールでゲーテが上演した。, making his reporterage on Der Fall Adamsドイツ語だと「アダム事件」となる。英語だと「アダムの堕落」。 for the Frankofurto Sidingドイツの雑誌Frankfurter Zeitung。1931年に掲載された翻訳短編小説が誤って「ジェイムズ・ジョイス作」とされていた。実際の作者はマイケル・ジョイスで、訳者はアイリーン・カフカだった。ジョイスは同誌に対して、現代の米ドル換算で約7万ドルの損害賠償を請求しようとしたが、失敗に終わった。詳しくはこの論文にて。イタリア語でfranco furtoは「堂々とした窃盗」。, a Fastlandデンマーク語で「本土」という意味だが、fastを「断食」「飢餓」と読むなら、大規模な飢饉が起こった国すなわちアイルランドとも取れる。 payrodicule, and er, consstated that one had on him the Lynn O’Brien, a meltoned lammswolle, disturbed, and wider he might the same zurichschicken other he would, with tosend and obertosend tonnowatters, one monkey’s damages become.ドイツ語が多く混ざる。er(彼)、konstatieren (知らせる)、Lammwolle(羊毛)、und weiter(等々)、wieder(再び)、Same(種)、zurückschicken(送り返す)、tausend und abertausend(幾千もの)、Donnerwetter!(雷雨だ!)、Affenschande(実に残念、lit. ‘monkey-shame’)、bekommen(取る、得る)。変わり者の伊達男ブライアン・オリン。ロンドン英語のスラングでmonkeyは「500英ポンド」。語源は、インドの500ルピー紙幣に猿が描かれていたことから。18世紀イギリスで小馬の相場が1頭25ポンドだったことから、25ポンドのことをponyと呼ぶ。 Now you must know, franksman, to make a heart of glass17世紀英語の俗語でmake heart to grassはmake a heart of graceの言い換え。「勇気や安堵を与える」という意味。, that the game of gaze and bandstand butchery was merely a Patsy O’Strapスリップ・ジグ‘Paddy O’Snap’()の仄めかし。以下、ジョージ・ペトリの1902年刊行の全集The Complete Collection of Irish Musicに出てくる曲が多く仄めかされる。 tissue of threats and obusesフランス語でobusは「砲弾」。そこへ英語のabuseがかかる。 such as roebucks raugh at pinnacle’s peakダブリンのローバック地区。ノロジカの雄。アイルランドの民謡‘To the Roebuck Pinnacles’も。イプセンのWhen We Dead Awakenでは、主人公のアーノルド・ルーベックが山崩れに遭って亡くなる。‘Lots of fun at Finnegan’s wake!’とも韻を踏んでいる。 and after this sort. Humphrey’s unsolicited visitor, Davy or Titus19世紀の化学者ハンフリー・デイヴィー卿。アルカリ金属を発見し、また可燃性の大気の中でも安全に使用できる電灯「デービー灯」は坑夫が安全に働けるようにした。ローマ皇帝ティトゥス, on a burgley’s clan marchアイルランド民謡‘Ancient Clan March’()より。 from the middle west, a hikely excellent crudehec、すなわちHCE。民謡‘The highly excellent good man of Tipperoughny’も。 man about road who knew his Bullfoost Mountains民謡‘The Belfast Mountain’()。 like a starling bierd民謡‘Alas, that I’m not a little starling bird’。, after doing a long dance民謡‘Long Dance’。 untidled to Cloudy Green民謡‘Adieu ye young men of Claudy green’。Claudyは北アイルランドの村。, deposend his bockstumpフランス語でbockは「グラス1杯のビール」、ドイツ語でBockは「(ヤギ・ヒツジ・シカなどの)雄」。 on the waityoumaywantme, after having blew some quaker’s (for you! Oates!)オーツ麦のブランドQuaker’s。17世紀イギリスの神父で詐欺師のタイタス・オーツ。オーツはイングランドで反カトリック運動のために「カトリック陰謀事件」をでっち上げ、カトリック教徒たちがチャールズ2世の暗殺を企てているという嘘を流布した。 in through the houseking’s keyhole直前のquaker’sと合わせると、The Nutcracker and the Mouse Kingと韻を踏む。エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン作『くるみ割り人形とねずみの王様』。後にチャイコフスキーがバレエにした。 to attract attention, bleated through the gale outside which the tairor of his clothes民謡‘The taylor of the cloth’。 was hogcallering, first, be the hirsuiter英語でhirsuteは「剛毛」。そこへher suitor「彼女への求婚者」がかかる。, that he would break his bulsheywigger’s「ふさふさのかつら」(bushy wig)や、ロシアの「ボルシェビキ」も。イアウィッカー。 head for him, next, be the heeltapper, that he would break the gage over his lankyducklingフランス南部のラングドック地方 head the same way he would crack a nutくるみ割り人形。俗語で男性器を攻撃すること。 with a monkeywrench and, last of all, be the stirabouterポリッジの別称stirabout。, that he would give him his (or theumperom’s or anybloody else’s) thickerthanwater to drink and his bleday steppebrodhar’s into the bucket「血は水よりも濃い」という格言を踏まえると、‘thickerthanwater’は「血」を指すか。また、brødはデンマーク語で「パン」なので、キリストの体と血が示唆される。ブライアン・ボルーを暗殺したBrodar。5世紀フン族の王アッティラが中央アジアの草原(steppe)を越えて共同王位の兄弟のブレダを殺め、フン族の単独王位に就いた。. He demanded more wood alcoholメタノールのこと。有毒で飲めない。 to pitch in with, alleging that his granfather’s was all taxis and that it was only after ten o’connellおじいさんの古時計。「偉大な解放者」ダニエル・オコンネル。10時なので、まだパブは閉店時間ではない(第1次世界大戦が勃発するまで、アイルランドの街のパブの閉店時間は月曜日から土曜日までは午後11:00と法律で定められていた)。ダニエル・オコンネル・ジュニアが1831年から所有していた‘Phoenix’s Brewery’で醸造されたビール‘O’Connell’s Ale’も。1906年創刊の新聞『共和国』(An Phoblacht)では、1930年代にこのO’Connell’s Aleの広告がしばしば掲載された。, and this his isbar古風なポーランド語でizbaは「部屋」、ロシア語でizbaは「コテージ」「小屋」。 was a public oven for the sake of irsk irskusky「酒」(sake)。アイルランド語でuisceは「水」。ウイスキーをもじって東欧系の人名にしている。, and then, not easily discouraged, opened the wrathfloods of his atillareryフン族のアッティラ。 and went on at a wicked rate, weathering against him in mooxed第1巻第6章の‘The Mookse and the Gripes’(イソップのキツネと葡萄の寓話のパロディ)への伏線。そこへ「混ざった」(mixed)や「牛」(moo/ox)がかかる。 metaphores from eleven thirty to two1132。『四導師の年代記』でのフィン・マクールの没年(283年)の4倍等々の諸説あり。 in the afternoon without even a luncheonette interval for House, son of Clod, to come out, you jewbeggar, to be ExecutedHCE。‘Jesus, Son of God’とかかっている。中英語ではJhesu(ヘズー)と発音。clodは「土くれ」。英語でjew-baiterは「反ユダヤ主義者」。ユピテル(Jupiter)。19世紀アイルランドのベルファスト出身のパーネル派政治家ジョー・ビガーも。 Amen. Earwicker, that patternmind, that paradigmatic ear, receptoretentive as his if Dionysius, longsuffering

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音声解説
although whitening under restraint in the sititout corner of his conservatory, behind faminebuilt wallsジャガイモ飢饉の最中のアイルランドでは、社会福祉の給付条件として労働が課せられた。そのときの公共事業のひとつに‘The Famine Walls’があった。これは中国やソ連のそれに匹敵するほどの無意味な労働だった。ジョイスの『ウェイク』そのものも、ジョイスが作家として食べていくための‘Famine Wall’として読めるか。, his thermhermとは、上部に頭像や胸像を置いた石柱のこと。発明や伝達の神ヘルメスの頭像が置かれることが多かった。男性器の像が添えられることもあった。「隠遁者」(hermit)も響く。os flask and ripidian flabel英語でflabelは「扇子」。ripidianは、正教会で使用される祭具リピタ(ripidion) by his side and a walrus whiskerbristle for a tuskpick, compiled, while he mourned the flight of his wild guineese16世紀から18世紀にかけてのアイルランドから欧州大陸への派兵‘The Flight of the Wild Geese’。特に、1691年のパトリック・サースフィールド率いるアイルランド人1万9,000人の大量出国を指す。, a long list (now feared in part lostミルトン『失楽園』。) to be kept on file of all abusive names he was called (we have been compelled for the rejoicement of foinne loidies民謡‘The rejoicement of the Fian Ladies’。アイルランド語でfoinneは「パン生地をこねる」「パンを焼く」。 ind the humours of Milltownクレア県のジグで民謡‘The Humours of Milltown’、別名‘The Bush on the Hill’()。ダブリンのミルタウン地区。直前の『失楽園』から、ミルトンの名も。 etcetera by Josephine Brewster in the collision known as Contrastations with Inkermannヨハン・ペーター・エッカーマン『ゲーテとの対話』のもじり。 and so on and sononward, lacies in loo water12世紀にアイルランドのミーズ国を侵略国イングランドのヘンリー2世から授かったヒュー・デ・レイシー。looは「トイレ」。ワーテルローの戦いでイギリスから加勢したジョージ・デ・レイシー・エヴァンズもありえるか。, flee, celestials, one clean turvクロンターフ。): Firstnighter演劇の公演初夜に必ず劇場へ向かう人。1930年創立の演劇放映ラジオ番組First Nighterも。, Informer密告人。昔は「教師」という意味もあったらしいが、今はない。, Old Fruit「友よ」という感じの、親身な呼びかけ。また、fruitはイギリスのポラーリ(ゲイのスラング)で「ゲイの男性」。, Yellow Whigger黄色は俗語で「臆病な」を意味する。「ホイッグ党員」(Whigger)も「裏切り者」の代名詞として使われた(Covenantorとほぼ同義)。‘Whigger’には「乳漿」(whey)も響くため、発酵飲料や発酵乳製品の意味も。, Wheatears鳥類のサバクヒタキ。白くてきれいな小鳥。また、麦の穂。, Goldy Geitサンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジ。ノルウェー語でgoldは「乳が出ない」「不毛な」。オランダ語でgeitは「ヤギ」、古英語でgātは「雌山羊」。19世紀のドイツ人で南アフリカの金・ダイヤモンド富豪のアルフレッド・ベイトも。, Bogside Beautyデリー県のカトリック系地区Bogside。セルボ゠クロアチア語でBogは「神」。, Yass We’ve Had His Badannas1923年アメリカのコミックソング‘Yes! We Have No Bananas’)。オードリー・ヘップバーン主演の『サブリナ』の挿入歌でもある。バナナの品切れは1920年代のパナマ病の蔓延が原因。この歌は1932年ベルファストのRelief Riotsでも歌われた。ベルファスト市役所の前に6万人以上の人々が集まり、世界恐慌の最中に市民へ何の援助も救済も行わない役人たちに対して抗議を行った。プロテスタントとカトリックの人々が団結した希有な例であり、そのときに双方が知っていて歌える歌としてこのバナナの歌が歌われた。Bad Annaも。, York’s Porker英語スラングでporkerは「太った人」(侮蔑的な表現)。地名のYorkは、古英語でハサミムシを意味するeorwicに由来するという真偽の怪しい語源説もある(実際は「猪の街」を意味する古英語eofor wicが語源)。紋章に白猪(white boar)を用いていたヨーク家の王リチャード3世も。, Funnyface「道化のようにゆがんだ表情」という意味だが、1957年にはオードリー・ヘップバーン主演の映画Funny Faceのタイトルにもなっている。, At Baggotty’s Bend He Bumpedゲラの段階ではBumpedの後に‘His Bride’という目的語がついていた。ダブリンのバゴット通り。ヴィクトリア朝の演芸館の楽曲‘At Trinity Church I Met My Doom’)のジョイス流の亜種。ジョイスはこの曲の替え歌を第1巻第4章pp.102–103でも披露している。詳しくはピーター・クリスプのブログ記事を参照。, Grease with the Butter19世紀半ばでは、例えばウィスコンシン産のバターはシカゴで‘western grease’と呼ばれるほど不評であり、食料としてではなく潤滑油として活用されたほど。原因は、当時は冷蔵技術がなく目的地に到着する頃にはすっかり悪くなってしまったため。ウィスコンシンは、州の乳製品産業を守るために、1881年にマーガリンの生産を禁止する法律を制定した。また、バターはルターのプロテスタント改革の原動力にもなったらしい。カトリック教会では、司祭が1年の半分くらい(水曜日、金曜日、土曜日、そしてレント)で動物性食品の消費を禁じられていた。ローマとその周辺地域では、バターではなくオリーブ油などの植物性の油が普及していたので、そこまで大きな制限ではなかったが、フランスやドイツではバターが主流だったので、ルターをはじめ多くの司祭はこの禁止に不満をおぼえた。そして、免罪符の購入と引き換えにバターを食べるという慣習が根付いた。ルターは1520年の‘To the Christian Nobility of the German Nation’(III. 19)でこの偽善を痛烈に批判した。, Opendoor Ospices「誰でも歓迎の療養所」(open-door hospices)と読めるが、「庇護」や「吉兆」を意味するauspiceも混ざっている。, Cainandablerカインとアベル。, Ireland’s Eighth Wonderful Wonderフランスでは、モン・サン゠ミシェル世界第8の不思議と呼ばれることがある。ジョナサン・スウイフトは、アイルランドに国立銀行を創設するという構想を‘Wonderful Wonder of Wonders’と呼んで揶揄した。, Beat My PriceパーネルがIPP党首として辞任を迫られたときに言い放ったと言われる‘When you sell, get my price’という発言より。, Godsoilman旧約聖書「創世記」9:20に見られるノアの異名が‘man of the soil’。口語訳では「農夫」と訳されているが、実はもっと生々しい。ヘブライ語原文の‘’ish ha’adamah’は聖書にこの一度しか登場しないらしい。, Moonface the Murdererジャック・ロンドンの短編‘Moon-Face’の仄めかし。語り手がジョン・クレイヴァーハウスという人物を殺害する話で、その動機としてクレイヴァーハウスの「月のような顔」への憎悪が挙げられている。, Hoary Hairy Hoax「灰色の毛むくじゃらな偽造物」。, Midnight Sunburst『ユリシーズ』第15挿話では、「ブルームの天候」という題目で「北西からまばゆい陽光」が降り注ぐ(‘Bloom’s weather. A sunburst appears in the northwest’)。「キルケ」でこの一文が登場する場面の時刻は、ちょうど真夜中あたり。, Remove that Bibleイギリスの臀部議会(Rump Parliament)へ突入してクーデターによって議会を解散させたときに、オリヴァー・クロムウェルが放ったと言われる‘Remove this bauble!’という発言のもじり。‘Bible’は、「道化棒」「安ピカもの」を意味するbaubleとも読めるが、これは議長の職丈を指しているかもしれない。, Hebdromadary Publocationフランスの右派週刊誌La Revue hebdomadaire。英語でdromedaryは「ヒトコブラクダ」。, Tummer the Lame the Tyrannous14世紀トルコ゠モンゴルの統治者「跛者(はしゃ)のティムール」(Timur the Lame) への参照。ユーラシア草原(Eurasian Steppe)を統べた遊牧民の覇者としては最後の人物にあたる。, Blau Clay英語でblue clayと読めば「青い土くれ」。ドイツ語でblauは「青い」、Kleeは「クローバー」「シャムロック」。バクリーとロシア将軍。アイルランド語でダブリンを意味するBaile Átha Cliathも。B.C.(before Christ)。, Tight before Teatime英語スラングで「晩飯前にすでに泥酔」。, Read Your Pantojokeモーセ五書」(Pentateuch)に、「パントマイム」や「ジョーク」がかかる。, Acoustic DisturbanceA.D.(Anno Domini)。, Thinks He’s Gobblasst the Good Dook of Ourguile背中がかゆくてひっかく人に向けてかけるねぎらいの言葉‘God Bless the Duke of Argyll’に基づく。アーガイル公爵が、痒さを感じる羊や人々のために柱を建てたという都市伝説から。英語の慣用句でdine with good Duke Humphreyは「夕食抜き」「食事抜き」。グロスター公爵ハンフリーの墓と思われていた場所(ロンドンの元聖パウロ大聖堂)に盗人や乞食がはびこっていたことから。英語の慣用句でthe good bookは「聖書」。, W.D.’s Graceウィリアム・キング大司教は、ジョナサン・スウィフト宛ての手紙にサインするときに‘Will Dublin’と書いた。19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したアイルランド人クリケット選手のウィリアム・G・グレイスも。, Gibbering Bayamouth of Dublinヘブライ語でgibborは「英雄」。ダブリン湾の入り口を指す‘bay mouth’が、旧約聖書の「ベヒモス」(behemoth)とかかっている。, His Farther was a Mundzucker and She had him in a Growler民謡‘Saint Patrick Was A Gentleman’の歌詞‘His father was a Gallagher, his mother was a Grady’()。フン族のアッティラとブレダの父Mundzuk。ドイツ語でmondsüchtigは「夢遊病の」(直訳すると「月を病的に欲する」という意味)。英国スラングでgrowlerは「女性器」だが、ヨークシャー弁では「豚肉のパイ」も意味する。また、現在では死語だが、growlerは四輪のハンサムキャブ(馬車)を指した。, Burnham and Baileyジョイスが原稿を書いていた当時にブリストル近辺サマーセットで稼働していた2つの灯台‘Burnham-on-Sea’(HighLow)と、ダブリンのベイリー灯台。このペアリングは、1172年にヘンリー2世がダブリンをブリストル市民のための植民地に認定したため。, Artistアイルランド英語でartistは「ならず者」(rogue)。ジョイスの『若き芸術家の肖像』も。, Unworthy of the Homely Protestant Religion「質素なプロテスタント」は、おそらくジョイス独特の言い回しだと思われる。, Terry Cotter18世紀アイルランドの「巨人」パトリック・コッター・オブライエン。医学史上22名しか確認されていないと言われている、身長が8フィート(約2メートル44センチ)を超える人間。テラコッタ(古代メソポタミア文明にもつながるか)。, You’re Welcome to Waterfood, signed the Ribbonmen民謡‘You’re Welcome to Waterford’。1171年にヘンリー2世はウォーターフォードへ入港し、アイルランドの貴族階級に歓迎された。「禁酒運動」(water and foodすなわち水と食べ物のみ)も仄めかされているか。民謡‘The Ribbonman’s March’。19世紀にウォーターフォードを拠点とした農村部のカトリック系秘密結社Ribbon Societyも。メンバーは緑色のリボンを身に着けていた。プロテスタント系の地主に抗議し、オレンジ主義(Orangeism)に対抗して緑のリボン主義(Ribbonism)を提唱した。, Lobsterpot Lardling民謡‘The Lobster Pot’。英語スラングでlobster potは「女性器」。英語の侮蔑語でLordlingは「器が小さい主人」。, All for Arthur of this Town民謡‘Arthur of This Town’。アーサー・ギネス。, Hooshed the Cat from the Baconコークのジグ‘Hush the Cat from the Bacon’。, Leathertogs Donald民謡‘Leather Bags Donnel’。, The Ace and Deuce of Paupering. O’Reilly’s民謡・ダンス音楽‘The Ace and Deuce of Pipering’。A.D. (Anno Domini) とサイコロで最も小さい2つの数字(ace and deuce)が「金欠」(paupering)とかかっている。, Delights to Kiss the Man behind the Barrel民謡‘O’Reilly’s Delight’と‘Kiss the Maid Behind the Barrel’。第1巻第2章のパース・オライリー。デンマーク語でachter de borrelは「酒の後の」から転じて「酒を飲む」。19世紀フランスのロマン派作家ペトラス・ボレル, Magogagogイギリスの巨人ゴグとマゴグ。, Swad Puddlefoot「田舎者」「兵士」(swad)と「混乱した人」(muddlehead)のもじり。, Gouty Ghibeline中世イタリアの皇帝派(Ghibellines)が「痛風」(gout)になっている。, Loose Luther宗教改革者のルターは便秘がちだったらしいので、「下痢気味の」(loose)は皮肉か。, Hatches Cocks’ EggsHCE。, Muddle the Planそのまま「計画を台無しにするヤツ」という意味か。「マドラー(攪拌棒)」も。, Luck before Wedlockクリケットで、バッツマンの足がウィケットに触れてしまった場合、‘leg before wicket’の反則でアウトになる。「婚前の幸運」という言い回しには未婚のカップルが性交渉するという含みもある。, I Divorce Thee Husbandイスラム教では‘I divorce thee’と3回言えば簡易離婚が成立する。Talaq(釈放)と呼ばれる離婚形態で、元々は夫が妻に対してのみ行使できた。このあだ名においてはdivorceの目的語が「夫のあなた」(Thee Husband)となっているため、妻と思われる人がHCEに向けてこの離婚方法を行使したことが反映されていると考えられる。, Tanner and a Maketannerはイギリスの旧貨幣制度における6ペンスのこと。また、makeはダブリンのスラングで半ペンスのこと。サマセット・モームの『月と六ペンス』や、リフィー川にかかるHalfpenny Bridgeを想起させる。, Go to Hellena or Come to Conniesクロムウェルの土地没収令を象徴する言葉‘To Hell or To Connaught’に、ナポレオンの流刑地であるサントヘレナ島がかかる。, Piobald Puffpuff His Bride『ユリシーズ』第6挿話でブルームが葬送馬の色をタイプ別に考える場面より。「既婚なら黒。独身なら斑。尼僧ナンには薄色ダン」(‘Black for the married. Piebald for bachelors. Dun for a nun’)。そこへアイルランドの禁酒活動家Theobold Mathewや、18世紀アイルランドの革命家Theobold Wolfe Toneの名をかけたか。, Purged out of Burke’s『ユリシーズ』第14挿話「太陽神の牛たち」の終盤で、ブルームとスティーヴンはBurke’s Pubから蹴り出されてしまう。イギリスの上流階級の家系ガイドBurke’s Peerageも。, He’s None of Me Causin英語スラングでone of my cousinsは「遊女」。19世紀アメリカのホイッグ党員John Causinも。, Barebarean「野蛮人」(barbarian)に、「裸」(bare)がかかる。, Peculiar Person1838年創立のキリスト教宗派「神の選民」(Peculiar People)。聖書でも「選ばれし民」として、ユダヤ人やキリスト教徒を指す意味で使われる。, Grunt Owl’s Facktotem19世紀イギリスの活動家で、後にイギリス人と先住民族のハーフを自称したアーチボルト・ベラニー、通称Grey Owlの仄めかし。英語でfactotumは「用務員」。「トーテム」も。, Twelve Months Aristocrat新米貴族。, Lycanthrope人狼。作家ペトラス・ボレルの通称が‘Le Lycanthrope’だった。直前の「トーテム」も踏まえると、フロイトのWolf-Manも響くか。, Flunkey Beadle Vamps the Tune Letting on He’s Loney‘Yankee Doodle’の歌詞‘Yankee Doodle went to town A-riding on a pony’より。Flunkeyは男性の召使いへの侮蔑的な呼び方、beadleは古英語から現代英語まで「小間使い」、vampは「即興で行う」。, Thunder and Turf Married into Clandorfクロンターフ。アメリカ英語のスラングでdorfは「ばか者」。, Left Boot Sent on Approvalエズラ・パウンドがエリオット経由でジョイスに茶色の靴を贈ったエピソードも彷彿とさせる。, Cumberer of Lord’s Holy Groundロンドンのクリケット場‘Lord’s Cricket Ground’。コーク県のコーヴにある赤線街‘The Holy Ground’も。船乗りが通ったらしく、後にクランシー兄弟が歌にした。, Stodge Arschmann大衆向けの余興としてアイルランド人のステレオタイプを大げさに演じて見せる人をStage Irishmanと言う。今もアイルランドの観光ガイドや一部の人たちの間にみられる傾向。そこへドイツ語で「尻+人」である‘Arsch+Mann’がかかる。, Awnt Yuke16世紀以降から使われる英語方言でyukeは「かゆみ」。痒み伯母さん。, Tommy Furlong’s Pet Plagues19世紀詩人のトマス・ファーロングは、カトリック系の人々の解放を求めて‘The Plagues of Ireland’を書いた。, Archdukon Cabbanger英語スラングでcabbagerは「仕立屋」。カナダの辺境の準州ユーコンも響く。本章p.55にも出てきた謎の人物‘Archdeacon J.F.X.P. Coppinger’。, Last Past the Post競馬のビリ。「ポスト」が含まれるためショーンも示唆される。, Kennealey Won’t Tell Thee off Nancy’s Gown第1巻第1章p.7におけるALPの子ども時代の描写‘lovelittle Anna Rayiny, when unda her brella, mid piddle med puddle, she ninnygoes nannygoes nancing by. Yoh!’も響く。19世紀〜20世紀アイルランドの活動家でイースター蜂起で命を落としたジェームズ・コノリーのアイルランド語名Ó Conghaile。フェニックス公園横のパブHole in the Wallの別名Nancy Hand’sも。,

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音声解説
Scuttle to Coverクリケットのフィールドの名前Cover, Salary Grab読んで字のごとく、給料泥棒。, Andy Mac Noon in Annie’s Room豪兵弁でAndy McNoonは「まぎれもない阿呆」。同義のアラビア語のinta majnoonが語源。豪兵弁で、行方不明の人の居場所を訊かれたときには‘in Annie’s room’と答える。, Awl OutA.W.L.は‘absent without leave’。クリケットでイニングの終了を告げる‘all out’。, Twitchbratschballs英語方言でtwitchbellは「ハサミムシ」。ドイツ語でTritschtratschは「うわさ話」、Bratscheは楽器のヴィオラ。ヨハン・シュトラウス2世のポルカ(2拍子の舞踏)‘Tritsch-Tratsch-Polka’)。日本の学校の運動会でもよく流れる。, Bombard Street Besterダブリンのロンバード通り(『ユリシーズ』でブルーム一家がかつて住んでいた)。ロンドンの金融街のロンバード通り。Besterはスラングで「詐欺師」。, Sublime Porterオスマン帝国の別称。イスタンブールにある同名の門が語源。, A Ban for Le King of the Burgaans and a Bom for Ye Sur of all the RuttledgesBanはアイルランド英語で「総督」(Lord-Lieutenant)、ウェールズ語で「山」、アイルランド語で「白」。‘Ruttledges’には老舗出版社のRoutledgeが響くか。, O’Phelim’s Cutpriceラテン語の「幸運なる転落よ!」(O felix culpa)。古代ギリシア語でὠφέλιμοςは「役に立つ」「有益な」。『ハムレット』のオフィーリア。cutpurseは「すり」「ひったくり」。, And at Number Wan Wan Wanダブリン訛りでwanは数字の1、中国語だと万。北アイルランド訛りではwee oneがwainに短縮されて「子ども」の意味。日本語で犬が吠えるときの声にも聞こえる。, What He Done to Castlecostello民謡‘Castle Costello’。, Sleeps with Feathers end Ropes民謡‘A Bed of Feathers and Ropes’。, It is Known who Sold Horace the Rattler民謡‘Horace the Rake’。18世紀の貴族・政治家・作家のホレス・ウォルポールはうわさ話をrattleと呼んだ。, Enclosed find the Sons of Fingal民謡‘The Sons of Fingal’。, Swayed in his Fallingトマス・ムーアの‘Sweet Innisfallen’(旋律はThe Captivating Youth)。, Wants a Wife and Forty of Them民謡‘A Woman and Twenty of Them’。モルモン教の教祖ジョセフ・スミス・ジュニアは、正妻の他に40人の女性と密かに結婚していたという。モルモン教会側も最近これを公式に認めている, Let Him Do the Fair民謡‘Mammie Will You Let Me to the Fair’。, Apeegeequanee Chimmuck19世紀カナダのレッドリバー植民地で話されていた英語方言「ブンギ弁」で‘The canoe went apeechequanee and they went chimmuck’は「船が転覆してみんなが落ちた」。オズボーン・スコットが1937年にWinnipeg Tribune紙とCKYラジオでこの例を挙げている。ジョイスもそこから情報を得たか。, Plowp Goes his Whastle民謡‘Plough Whistle’。童謡の‘Pop Goes the Weasel’も。アイルランドではみんな子どもの頃に聴く。, Ruin of the Small Trader読んで字のごとく、零細事業者を締め出す者という意味か。, He — — MilkinghoneybeaverbrookerHCE(2つのエムダッシュは、CとEの文字が検閲により削除されていることを表現していると思われる)。19世紀後半にカナダで生まれたイギリス人政治家で新聞実業家のマックス・エイトケン、初代ビーヴァーブルック男爵。また、「出エジプト記」などで約束の地を指して使われる‘land of milk and honey’も。, Vee was a Vindner童謡‘A Was an Archer’の歌詞‘V was a vintner, who drank all himself’より。, Sower Rapes「ガラテヤ人への手紙」6:7に由来する格言「種をまけば収穫があるものだ」(‘As you sow, so shall you reap’)より。また、自分の手に入らないものに対して否定的な態度をとることを‘sour grapes’というが、これはイソップの「キツネと葡萄」の寓話に由来する。, Armenian Atrocity20世紀初頭のアナトリア(Asia Minor)では、オスマン帝国政府によってアルメニア人が虐殺された。1915年前後の新聞記事では‘Armenian atrocities’という言葉が頻出した(アルメニア語およびアルメニア関係の事物はp.69に頻出)。, Sickfish Bellyup読んで字のごとく、具合が悪い魚は腹を上にして泳ぐことから。, Edomiteエサウの民は聖書でEdomiteと呼ばれている。パレスチナの南南東のエドム地域より。, — ’Man Devoyd of the Commoner Characteristics of an Irish NatureおそらくIrishmanと書かれていたが、作中で検閲が入って’manになったという設定だろう。19世紀から20世紀にかけてのアイルランド独立運動の指導者ジョン・デヴォイ, Bad Humborgドイツの温泉地‘Bad Homburg’。, Hraabhraab「ワタリガラス」(raven)に、デンマーク語の赤ちゃん言葉で「アヒル」を意味するrabrab(英語だとquack quackに相当)がつながっている。アイスランドの建国者と呼ばれるHrafna-Flóki Vilgerðarsonも彷彿とさせる。, Coocoohandlerドイツ語でKuhhandelは「政治的取引」。カール・ツェラーのオペレッタ‘Der Vogelhändler’も。, Dirt,読んで字のごとく。 Miching Daddy古風な英語でmichは「無断欠席をする」。, Born Burst Feet Foremost逆子(足から生まれる)。, Woolworth’s Worstアメリカの大型小売りチェーン‘F. W. Woolworth Company’。スーツの生地としてよく使われる梳毛織物(そもうおりもの)は英語でworsteというが、これはやわらかい羊毛(wool)と対比される。, Easyathic Phallusaphist古代ギリシア語で「信頼できない」を意味するἄπιστοςの他に、「アジアの哲学者」(Asiatic philosopher)や「ファルス」も。, Guilteypig’s Bastardスラングでpig’s bastardは「特に不快な事物」。そこへ「モルモット」(guinea pig)がかかる。, Fast in the Barrelそのまま読めば「樽で断食」だが、「樽で宴」(Feast in the Barrel)とも読めるか。, Boose in the Bed「ベッドで飲酒」。「不道徳に振る舞う」(‘Play fast and loose’)もかかっている。, Mister Fatmate「背脂氏」(Mr fat meat)。, In Custody of the Polis古代ギリシア語で「都市国家」を意味するπόλιςに、アイルランド訛りの「警察」(police)がかかる。警察による拘置。, Boawwll’s alocutionist, deposed頭文字でBAD。1834年刊行の大人気発音・演説マニュアルBell’s Standard Elocutionistが仄めかされる。英語でdeposedは「追放される」「権力の座から失墜させられる」。, but anarchistically respectsful of the liberties of the noninvasive individual, did not respond a solitary wedgeword18世紀創立のイギリスの陶磁器メーカー「ウェッジウッド」。18世紀〜19世紀のアイルランド系イギリス人作家マライア・エッジワース。アイルランド人に対するイギリス人の偏見を払拭するために尽力し、試論集Essay on Irish Bullsでは日常的なアイルランドの群像を描いた。書き出しの段落は、現代の脱植民地主義・脱帝国主義の動機の表明としてまったく色あせていない。‘wedgeword’を「楔言葉」と読めば、楔形文字(cuneiform)も仄めかされていることになるか。 beyond such sedentarity, though it was as easy as kissanywhere「とても簡単」を意味する慣用句as easy as kissing my handのもじり。 for the passive resistant in the booth he was in to reach for the hello gripes後に登場する寓話‘The Mookse and the Gripes’への伏線。 and ring up Kimmage Outer 17.67ダブリンのキメッジへの電話番号。レ・ファニュの『墓地に建つ館』は「西暦1767年」から始まる。, because, as the fundamentalist explained, when at last shocked into speech, touchin his woundid feelins‘touch wood’も響く。不運を拭うために行う迷信。 in the fuchsiar植物の「フクシア」(fuchsia)に、ドイツ語で「キツネ」を意味するFuchsが混ざる。 the dominican mission for the sowsealist potty「社会主義党」(socialist party)に「便器」を意味するpottyがかかる。 was on at the time and he thought the rowmish devowtion英語でRoman devotionは「ローマ・カトリックの祈り」。ただし、romishはローマ・カトリックに対する侮蔑語。 known as the howly rowsary英語でrosaryは「ロザリオ」で、アヴェ・マリアの祈りと、それを唱えるときに使う数珠のこと。 might reeform ihm, Gonn「神」(God)の他に、19世紀〜20世紀アイルランドの革命家モード・ゴンも。1932年にはアイルランドの社会信用党(Social Credit Party)の創立メンバーでもあった。. That more than considerably unpleasant bullocky19世紀オーストラリアの牛飼い。オーストラリアのクリケット選手ハリー・ブロキーも。『ユリシーズ』で、スティーヴンはディージー校長から口蹄疫に関する投書を新聞社に持っていくよう頼まれたときに、バック・マリガンから「去勢牛に添いし騒士」(bullockbefriending bard)と呼ばれることを危惧する。 before he rang off drunkishly電話を切るときに、当時はベルを鳴らした。drunkishは第2代ロチェスター伯ジョン・ウィルモットが書いたと言われている1684年の官能喜劇Sodomに出てくる言葉。 pegged a few glatt stonesドイツ語でglattは「滑らかな」「よく磨かれた」。そこへウィリアム・グラッドストン首相の名前がかかる。, all of a size, by way of final mocks for his grapes第1巻第6章で語られる寓話‘The Mookse and the Gripes’。, at the wicketクリケット用語の「ウィケト」。形がHCEのシンボル(古代カリア文字𐊿)に似ている。 in support of his words that he was not guilphy中世イタリアを皇帝派(ギベリン)とともに二分した政党の教皇派(ゲルフ)が仄めかされる。「象形文字」「記号」などを意味するglyphも響く。 but, after he had so slaunga vollayedアイルランド語でso slán abhaile(ソー・スローン・アワリェ)は「気をつけて帰ってね」という別れの言葉。, reconnoitringエドワード・クリーシー(Edward Creasy)の1851年の本『世界を変えた15の戦い』の中のアルベラの戦いの項目で、アレクサンダー大王の行動を描写する以下の文章を踏まえた言い回し。‘Alexander halted his army on the heights; and taking with him some light-armed infantry and some cavalry, he passed part of the day in reconnoitring the enemy, and observing the nature of the ground which he had to fight on’. through his semisubconscious the seriousness of what he might have done had he really polished off「実行してみせる」を意味するpull offに、「秘密裏に殺す・殺される」を意味するpolish offがかかる。「ポーランド語」(Polish)も。 his terrible intentions finally caused him to change the bawlingクリケット用語でchange the bowlingは「ボウリングを変える」。肘を伸ばしての投球を「ボウリング」と呼び、そのフォームを変えることを‘change the bowling’と言う。 and leave downg the whole grumusラテン語で「小さな丘」「小さな山」。 of brookpebbles pangpungノルウェー語でpengepungは「財布」。 and, having sobered up a bit, paces his groundould diablen lionndubクリケット用語でthe pace of the groundは「地面の状態」(例えばこのガイドブックで使われている)。クリケット選手のウィリアム・G・グレイスの異名がGrand Old Manだった。アイルランド語でlionndubhは「黒い胆汁」すなわち「憂鬱」。ダブリンのアイルランド語名のひとつに「黒い水たまり」を意味するLinn Dubhがある。フランス語でdiableは「悪魔」。, the flay the flegm, the floedy fleshener, (purse, purse, pursyfurse, I’ll splish the splumeドイツの風刺画家にして詩人のヴィルヘルム・ブッシュが1882年に発表したPlisch und Plumが仄めかされる。 of them all!) this backblocksオーストラリア英語で「過疎な内陸部」。 boor bruskly put out

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音声解説
his langwedgep.72の‘wedgeword’と同じく楔形文字が仄めかされる。 and quite quit the paleologic古風な英語で「古代学の」。 scene, telling how by his selfdenying ordnance‘Self-denying ordinance’とは、英国議会議員が軍事指揮官に就くことを禁止した辞退条例のことで、1645年に施行された。ただ、ordinanceのiを抜いたordnanceだと「軍備や兵器」という意味になり、平和的な「条例」とは対照的な言葉になる。 he had left Hyland on the dissenting tableアイルランドの政治家チャールズ・ガヴァン・ダフィーが、1855年にオーストラリアへ向かう前の別れの辞任表明演説で言ったとされる有名な言葉‘Till all this be changed, there seems to me no more hope for the Irish Cause than for the corpse on the dissecting table’のもじり。‘Hyland’に関しては、ドイツ語で「救い主」を意味するHeilandの他に、1920年代にゲイエティ劇場の統括をしていたチャールズ・ハイランドも。息子のチャールズ・ハイランド・ジュニアは歯医者になったが、1916年のイースター蜂起で流れ弾に当たって亡くなった。, after exhorting Earwicker or, in slightly modified phraseology, Messrs or Missrs Earwicker, Seir, his feminisible name of multitude, to cocoa come outside to Mockerloo out of that for the honour of Crumlinダブリンの地区。, with his broody old flishgudsオランダ語でbroodは「パン」。古風な英語で「幼魚」をbroodと呼んだ。『ユリシーズ』第1挿話でバック・マリガンがアイルランド文芸復興派(特にイェイツ)を揶揄して‘the fishgods of Dundrum’と言っている「五行のテクストと十枚の覚書、ダンドラムの人びとと魚神たちについて。魔性の姉妹が巨風おおかぜの年に刊行」(‘Five lines of text and ten pages of notes about the folk and the fishgods of Dundrum. Printed by the weird sisters in the year of the big wind’)。, Gog’s curse「神の呪い」(God’s curse)の他に、ブリテン神話の巨人ゴグマゴグや、聖書のゴグも。 to thim, so as he could brianslogブライアン・ボルー。そこへ「叩く」を意味するslogがくっつく。ボルーの必殺技の名前に見える。 and burst him all dizzy, you go bail英語の慣用句で「確信をもってくれていい」。, like Potts Fractureポット骨折」、すなわち、くるぶしの骨折。格言‘the pot calling the kettle black’ともかかっている(日本語の「目くそ鼻くそを笑う」に近い)。 did with Keddle Flatnoseウォルシュ『ヴァイキング時代のアイルランドと北欧の関係』p.48には、‘Ketill Flatnose, a famous chief in the Hebrides, all of whose family, with the exception of his son, Björn the Easterner, adopted Christianity’という一文がある。 and nobodyatall with Wholyphamousホメロスの『オデュッセイア』では、単眼巨人ポリフィーモスの洞窟でオデュッセウスは自分のことを「誰でもない者」(Οὔτις)と名乗る。そこへ「まったくの無名人」(nobody at all)と「かなりの有名人」(wholly famous)がかかる。 and build rocks over him, or if he didn’t, for two and thirty straws, be Cacao Campbell少し前の‘cocoa come outside’との掛け合い。ニュージーランドのクリケット選手トマス・キャンベルや、南アフリカのクリケット選手トム・キャンベルも。同名の人物としてスコットランドの詩人トマス・キャンベルがいる。 he didn’t know what he wouldn’t do for him nor nobody else nomore nor him after which, batell martell‘ba tell, ma tell’で、「女性たちが代々語る」という響きも。他に、battleとMartelで、8世紀のフランク王国宮宰(きゅうさい)シャルル・マーテルも。マーテルはトゥール・ポワティエ間の戦いでイスラム教徒の西ヨーロッパへの進入を食い止めた。18世紀フランスでコニャック醸造所Martellを創立したジャン・マーテルも。2015年現在、マーテル社は年間約1400万本のコニャックを製造しており、製造量では最大手ヘネシー社に継いで世界第2位となっている。, a brisha a milla a stroka a boolaアイルランド語でag briseadhは「壊す」、ag milleadhは「破壊する」、ag stracadhは「破る」、ag buaileadhは「叩く」。, so the rage of Malbruk18世紀フランスで流行した民謡『マルボロは戦場に行った』(« Marlbrough s’en va-t-en guerre »)が仄めかされる。スペイン継承戦争の最中の1709年、マルプラケの戦いでマールバラ公ジョン・チャーチルが戦死したという誤報が流れたが、この歌はその死を戯画的に嘆く。旋律は‘For He’s a Jolly Good Fellow’と同じで、後者は『ダブリナーズ』の「死者たち」でも歌われる。1910年にイタリアのローマで初演されたルッジェーロ・レオンカヴァッロ作のオペレッタMalbroukも。, playing on the least change of his manjester’s voice「陛下の声」(His Majesty’s Voice)に、イギリスのThe Gramaphone Companyが1901年に創立したレーベル会社‘His Master’s Voice’がかかる(名前の由来は、レーベルの挿絵で犬が飼い主の声を蓄音機で聞いているところから)。, the first heroic couplet弱強5歩格の詩行を2行ずつ押韻する詩型。 from the fuguall tropical「フーガのトロープス的な」という意味。トロープスは、中世グレゴリオ聖歌のキリエ(主よ憐れみたまえ)に補足説明的に追加される歌詞のこと。こちらが一例。, Opus Elf, Thortytoe曲番。ドイツ語で「11」を意味するElfに、神話や民間伝承に登場する「エルフ」がかかる。 ‘Thortytoe’は、「32」に「雷神トールのつま先」が混ざった語。: My schemes into obeyance for This time has had to fall: they bit goodbyte to their thumbフィン・マクールは、幼い頃に「知恵の鮭」を師匠のフィネガスのために焼き、親指をやけどして舐めたときに誤って鮭を食べてしまった。慣用句でbite one’s thumbは挑発あるいは軽蔑を示すしぐさのこと。 and, his bandol eer his solgier, dripdropdrap on pool or poldier, wishing the loff a falladelfian in the morning全体としては、1889年のアイルランドの民謡‘I’m Off to Philadelphia in the Morning’)のサビのもじり。 ‘bandol eer’については、「兵士が肩からかける弾薬帯」を意味するbandoleerに、オランダ語で「名誉」を意味するeerと英語のearが混ざっている。英語やオランダ語でpolderは「防波堤で海から守られた土地」。‘falladelfian’については、古代ギリシアの聖域「デルポイ」(Delphi)が「フィラデルフィア」に混ざっていると考えられる。, proceeded with a Hubbleforthアメリカの天文学者エドウィン・ハッブル。イギリスのクリケット選手ジャック・ハッブルも(ジョイスとは1歳ちがい)。ダブリンのアイルランド語名Baile Átha Cliathは‘town of the hurdled fort’の意。 slouch in his slips backwordsクリケットのポジション名「スリップ」に、「言葉が逆向きになる」(wordsとbackwards)がかかっている。 (Et Cur Heli!ECH。ジョイスが9歳のときに書いたとされる詩‘Et Tu, Healy’も(ヒーリーによるパーネル裏切り疑惑を題材とした)。ラテン語でet curは「そしてなぜ?」。キリストが十字架にはりつけられたときに叫んだとされる言葉‘Eli, Eli, lama sabachthani’も響く。) in the directions of the duff and demb institutions「聾唖者のための学校」を意味するdeaf-and-dumb institutionsに、アイルランドの政治家のチャールズ・ガヴァン・ダフィーの名がかかる。ダブリン近郊のカブラには1846年創立の‘Institution for the Deaf and Dumb’がある(詳しくはこちら)。 about ten or eleven hundred years lurch away in the moonshiny gorgeオーストラリア西部のキンバリー地方にある「ムーンシャイン渓谷」(Moonshine Gorge)が仄めかされる。この段落を通してチャールズ・ガヴァン・ダフィーのオーストラリアへの移住が揶揄されているように思われる。 of Patself on the Bachドイツ語でBachは「小川」(英語だとbrook)。聖パトリックのエルフ(11)とJ・S・バッハ。第1巻第8章p.213で洗濯女たちが「腰が痛い」と言うときにもBachが登場する。「自画自賛」(pat oneself on the back)も。. Adyoe!ヴォラピュクで「さらば!」。
  And thus, with this rochelly exeturデュマの小説『三銃士』の歴史的背景である「ラ・ロシェル包囲戦」が仄めかされる。舞台用語で「退場」を意味するexeutと組み合わせると「包囲戦から退場した人」という意味になる。イギリスのオックスフォードにある1314年創立のエクセター・カレッジや、19世紀アイルランドの作曲家マイケル・ウィリアム・バルフのオペラ『ロシェル包囲戦』も。 of Bully Acreフェニックス公園の南側にあった古い墓地Bully’s Acre。名前の由来は、かつてそこでボクシングの試合が行われていたことから。1,000年以上前からあり、クロンターフの戦いでの戦死者も埋葬されている。クロンターフのアイルランド語名Cluain Tarbhは「雄牛の牧場」(Bull’s Meadow)を意味する。, came to close that last stage in the siegings包囲戦。ドイツ語で「彼女は行った」を意味するsie ging、「勝利する」を意味するsiegenも。 round our archicitadel which we would like to recall, if old Nestorホメロス『イーリアス』でピュロスの王ネストルは‘old Nestor’と呼ばれる。 Alexis would wink the worth for us, as Bar-le-Ducフランスの町で、1916年のヴェルダンの戦いの戦場だった。 and Dog-an-Dorasアイルランド語でdeoch an doraisは「別れの一杯」。 and Bangen-op-Zoomオランダの町Bergen op Zoomは16世紀から18世紀にかけて度々包囲戦の標的になった。この町の名前に、オランダ語で「怖がり」を意味するbangenや、「〜を(叩く)」を意味するopが混ざっている。.
  Yed he med leaveデンマーク語でmed livは「生命と・人生と一緒に」。Yedはヴォラピュクでyetと同じ。これらの語句に英語のmade leaveがかかる。生きることと去ることを重ねるのは『ウェイク』の常套手段。 to many a door beside of Oxmanswoldダブリンのオックスマンタウン。OxmanはOstmanすなわちヴァイキングを指す。イギリス英語でwoldは「未開の高地」。 for so witness his chambered cairns新石器時代の石造りの墓所で、内部に部屋がある。アイルランドのミーズ県にあるニューグレンジが一例。 a cloudletlitter silent that are at browse up hill and down coombe and on eolithostrotonHCE。「丘をのぼり、谷をくだる」(up hill and down dale)という成句に、ダブリンの通りの名前Coombeがかかる。Coombeには、聖パトリック大聖堂がある。現代ギリシア語でνέο λιθοστρώτωνは「新造の敷石」。eolithは原石器時代の石器を指し、古代ギリシア語のἠώς「夜明け」とλίθος「石」が語源。新約聖書「ヨハネによる福音書」19:13に「ローマの舗装」(lithostrotos)が登場するが、これはエルサレムの聖地ガバタの別名で、ピラトがイエスを裁判の席につかせる場面で出てくる。「ピラトはイエスを許そうと努めた。しかしユダヤ人たちが叫んで言った、「もしこの人を許したなら、あなたはカイザルの味方ではありません。自分を王とするものはすべて、カイザルにそむく者です」。ピラトはこれらの言葉を聞いて、イエスを外へ引き出して行き、敷石〔ヘブライ語ではガバタ〕という場所で裁判の席についた」。, at Howth or at Coolock or even at EnniskerryHCE。ホウスとクーロックはダブリンの地名、エニスケリーはウィックローの地名。, a theory none too rectiline of the evoluation of human society and a testament of the rocks19世紀スコットランドの在野の地質学者ヒュー・ミラーが書いた本The Testimony of the Rocksが仄めかされる。なかなかすてきな本。 from all the dead unto some the living. Olivers lambsオリヴァー・クロムウェルの指揮下にあった兵隊を、アイルランドの人たちは‘Oliver’s lambs’と呼んだ。カール大帝の12名のパラディンの一人であるオリヴァーも。 we do call them, skatterlingsデンマーク語でskatterは「宝物」、古風な英語でscatterlingは「浮浪者」。 of a stone, and they shall be gathered unto him, their herd and paladin, as nubilettes to cumuleラテン語でnubilaは「雲」なので、ここでは「小さな雲」という意味。ラテン語でcumulusは「蓄積された」という意味(英語においては「積雲」という意味もある)であるため、語句全体の意味は「小さな積雲」。フィン・マクールの父親のクール(Cumhall)と、第1巻第6章に登場するヌヴォレッタ(Nuvoletta)の名も仄めかされる。また、英語でnubileは主に若い女性に使う形容詞で「色気のある」「結婚の適齢期」。, in that day hwen, same the lightning lancer of Azava Arthurhonoured

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音声解説
(some Finn, some Finn avant!)シン・フェインの掛け声「ただ我ら、ただ我らだけ!」(‘Sinn Féin, Sinn Féin Amháin’)だが、直前のAzavaとのつながりを踏まえると、エドムンド・フィンへの追悼の言葉とも取れる。, he skall wake from earthsleep, haught crested elmerHCE。古風な英語でhaughtは「気高い」「身分の高い」。イギリスのブライトン近辺にある村エルマーも。, in his valle of briers of Greenman’s Rise O‘valle of briers’は、「苦しみに満ちた場所としての世界」(vale of tears)という成句のもじり。英語でbrierは「(バラなどの)とげがある低木」。‘Greenman’s Rise O’は、ノーマン・ダグラスが1931年に出版したLondon Street Gamesに記録されている、Green Man Rise-Oという、かくれんぼに似た子どもの遊びを踏まえた表現。また、これはジョイスと直接は関係しないが、現代では葉っぱの形をした顔が刻まれた建築様式をGreen Manと呼ぶ。用語そのものは1993年以降の発案だが、建築様式そのものは鉄器時代のケルト芸術にまでさかのぼる。, (lost leaders live! the heroes return!)ギリシア神話のヘーローとレアンドロス。ロバート・ブラウニングの詩‘The Lost Leader’。 この詩では、ワーズワースがリベラルから保守派へ転向したことに対する批判が展開されているが、自由主義的な人が保守へ転向すること一般に対する強烈な揶揄も読みとれる。 and o’er dun and daleアイルランド語でdunは「要塞」の意味。英語の「砂丘」(dune)も響くか。daleは「沢」なので、砂丘と沢という対比。 the Wulverulverlordデンマーク語でulvは「オオカミ」。‘Wolves’ Overlord’くらいか。 (protect us!) his mighty horn skall roll, orland, roll.‘Roll, Jordan, Roll’()。18世紀に書かれ、黒人の間で歌い継がれてきた霊歌で、奴隷解放を暗示する。この曲名に、カール大帝のもうひとりの主要パラディンであるローランの名前とその角笛「オリファン」がかかる。アメリカ南北戦争でリンカーンの徴兵を受けてセオドア・ティルトンが書いた詩‘The Great Bell Roland’の歌い出し‘Toll, Roland, toll!’も。ティルトンは奴隷制廃止論者だった。
  For in those deyes his Deyus shall ask of Allprohome and call to himm: Allprohome! And he make answer: Add some.旧約聖書「創世記」22:1より。「神はアブラハムを試みて彼に言われた、「アブラハムよ」。彼は言った、「ここにおります」」。ラテン語でadsumは「ここにおります」。ドイツ語の「天」(Himmel)も。 Nor wink nor wunk. Animadiabolum, mene credidisti mortuum?ラテン語で「悪魔に魂をやっちまえ、私が死んだかと思ったか?」。「フィネガンの通夜」の歌詞‘Thanam o’n dhoul, do you think I’m dead’とかかっている。Thanam o’n dhoulもanima diabolumと意味はまったく同じ。 Silence was in thy faustive hallsトマス・ムーアの歌‘Silence Is in Our Festal Halls’()。旋律は後続の‘The Green Woods of Truigha’。そこへゲーテの『ファウスト』がかかる。, O Truiga, when thy green woods went dry but there will be sounds of manymirthトマス・ムーアの歌‘There Are Sounds of Mirth’の歌い出し‘There are sounds of mirth in the night-air ringing’より。旋律は後続の‘The Priest in his Boots’。 on the night’s ear ringing when our pantriarch of Comestowntonobbleトルコの「コンスタンティノープル」に、スラングで「出し抜く」「騙す」「誘拐する」を意味するnobbleがかかる。 gets the pullover on his boots.
  Liverpoor?「肝臓が悪い」に、イギリスの「リバプール」がかかる。現代のダブリンにはサッカーチームのリバプールのファンも多い。‘The Rocky Road to Dublin’の最後には‘the boys of Liverpool’が出てくる。 Sot a bit of it!酒飲みをsotと呼ぶ。 His braynes coolt parritch, his pelt nassy, his heart’s adrone, his bluidstreams acrawl, his puff but a piff『ユリシーズ』第8挿話および第16挿話でも言及されるジャコモ・マイアベーアのオペラ『ユグノー教徒』の挿入歌‘Piff Paff’が仄めかされる。シドニー・オペラ・ハウスでの公演が英語字幕付きで視聴できる。, his extremeties extremely so: Fengless, Pawmbroke, Chilblaimend and Baldowlダブリンの東西南北に位置する地区名。北西にフィングラス、南東にペンブローク、南西にキルメイナム、北東にバルドイル。英語でchilblainedは「しもやけ」。中国語でfengは「風」。. Humph is in his doge.ハンフリーが「うたた寝」(doze)や「老衰」(dotage)の状態にあるという意味か。 Words weigh no no more to him than raindrips to Rethfernhimダブリン南側のラスファーナム地区. Which we all like. Rain. When we sleep. Drops. But wait until our sleeping. Drain. Sdops.180度反転させてもsdopsの文字列の見た目は同じなので、ひっくり返って眠っても同じという含意か。イタリア語でsdoppiareは「二つにわける」。

註作成 早川健治
校正 今関裕太

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