I.2 | ノート

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音声解説
  Now (to forebare英語でforebearは「先祖」。4匹の熊(four bears)との音の類似が面白い。ブライアン・ボルーの兄でアイルランド上王のマハガウィン王(Mathgamain)の名前は、アイルランド語で「熊」(mathghamhain)。『ウェイク』に出てくる4人組(four)には、キリスト教の4人の福音者や、アイルランド年代記を書いた「四導師」などがいる。 for ever solittleドリトル先生(Dr. Dolittle)と響く。神話のアイルランド王女イゾルデや、不思議の国のアリスのモデルとなったアリス・プレザンス・リデルも。 of Iris Trees虹の神イーリス(Iris)。ジョイスがパリで知り合った英国詩人のアイリス・ツリー。アイルランドの歴史(Irish History)や家系(family tree)も。 and Lili O’Rangans17世紀イギリスで作曲されたと言われる歌「リリビュレロ」。イギリスやアイルランドで、カトリック教徒を揶揄する目的で長く歌われ続けた。 ‘O’Rangans’は、「ノラ」(Nora)のアナグラムにgansをつけて、Finnegansと対比させているか(ドイツ語でGansは「ガチョウ」。そこから「フジツボガチョウ」(barnacle goose)も連想される)。他に、ジャガイモ飢饉の頃のイギリス首相ロバート・ピールが反カトリックの立場ゆえに「オレンジ・ピール」の異名をとっていたことを踏まえると、ピール首相の息子ロバート・ピール・ジュニアと結婚した俳優のベアトリス・リリー。「創世記」のリリス(Lilith)も。), concerning the genesis聖書の「創世記」。 of Harold or11世紀イギリスの王ハロルド・ゴドウィンソン。ノルマン侵攻におけるヘイスティングスの戦いでギヨーム2世に敗れた。 Humphrey Chimpden’s occupational agnomenこの段階ではHCEの名前にまだ‘Earwicker’がついていない。俗名がHumphrey Chimpdenで、後から何らかの功績を称えられてEarwickerの称号(agnomen)を得たようだ。本章はこの称号獲得に関する話らしい。 (we are back in the presurnames「苗字以前」(pre + surname)。アイルランドでは10世紀頃まで、苗字ではなく父称(patronym)が使われていた。Chimpdenが父称だとすると、「チンパンジー」までさかのぼる系譜がほのめかされる。 prodromarith period古代ギリシア語でπρόδρομοςは「先駆者」、ἀριθμόςは「数字」なので、「数字に先立つ時代」という意味か。, of course just when enos chalked halltrapsECH。エノスはセトの息子(セトはアダムとイヴの3人目の息子)。また、ヘブライ語でenosh(אֱנוֹשׁ)は「有限な生の人間」を意味し、イエズスを指して使われることもある。trapは英語(特にスコットランド方言)で「階段」「はしご」を意味する(ドイツ語のTreppeやデンマーク語のtrappeも同様)ので、階段やはしごをチョークで描いたとも読めるか(古代人の壁画)。あるいは、hall trapは鳥を捕まえるための罠のことでもある。) and discarding once for all those theories from older sources1921年刊行のベネディクト・フィッツパトリックの本『イギリスの建国とアイルランド』Ireland and the Making of Britain)p.29には、紀元前4世紀からアイルランドはゲール人の王が治めるようになったという主張があり、根拠として「古い文献」(older sources)からの「写し」が挙げられている。‘The assumption is that … there was also a Celtic invasion of Ireland. One invasion probably followed another and an Irish historical tract, written about 721 A. D., and copied from older sources, gives the definite Gaelic monarchy as beginning contemporaneously with Alexander the Great in the fourth century B. C.’ which would link him back『ユリシーズ』第3挿話「プロテウス」で、スティーヴンは人類を起源までつなぐへその緒をイメージし、「万物の緒は溯って繋がる、すべての肉体を結い合わせる海辺のより糸」(‘The cords of all link back, strandentwining cable of all flesh’)とつぶやいている。 with such pivotal ancestors as the Glues, the Gravys, the Northeasts, the Ankers and the Earwickers of Sidlesham重要な一節。Ward Lock & Co.が1922年に出版したガイドブックのp.54に、以下の記述がある。‘Sidlesham Church is an Early English structure worthy of notice, and an examination of the surrounding tombstones should not be omitted if any interest is felt in deciphering curious names, striking examples being Earwicker, Glue, Gravy, Boniface, Anker, and Northeast’. ジョイスは1923年にイギリスのボグナーへ休暇で訪れており、その際に入手したこのガイドブックを題材として利用したか。‘Boniface’が除外されているが、これは宿屋の主人に使われる名前で、本章終盤の歌にも出てくる。ちなみにシドルシャムはマンフッド半島にある。 in the Hundred of Manhoodウェスト・サセックスのうち、シドルシャムを含む南西部の名称。イギリス南部の自治体は100世帯単位で区切られていた。Ward Lock & Co.が1922年に出版したガイドブックにも‘Hundred of Manhood’という表現が見られる。 or proclaim him offsprout幼木、すなわち幼いシェム。 of vikings who had founded wapentakewapentakeはイギリス北部の自治体において用いられた行政単位で、南部におけるhundredと同じく「百戸村」を意味する。 and seddled hem英語で‘settled him’と読めるが、マンフッド半島のSidleshamも響く。 in Herrick or Ericジョナサン・スウィフトの母親の名がアビゲイル・エリック(姓の綴りはHerrick またはEric)。また、HCEの苗字Earwickerは、イギリス英語では「エリッカー」と発音されることもある。16世紀〜17世紀イギリスの詩人ロバート・ヘリック。10世紀頃にグリーンランドを侵略したヴァイキングの赤毛のエイリークもあるか。, the best authenticated version, the Dumlatタルムード(Talmud)はユダヤ教の律法集。ヘブライ語は右から左へ表記されるので、ジョイスも逆向きに書いたと思われる。また、Talmud(תַּלְמוּד)はヘブライ語で「研究」を意味する。, read the Reading of Hofed-ben-Edarヘブライ語でben(בֶּן)は「~の子」という意味なので、Hofed, Child of Edar (HCE) とも読める。ホウス丘(höfuð Binn Éadair = Head of Howth)の名前の由来も。古ノルド語でhǫfuðは「頂上」を意味し、英語名Howthの語源だと言われている。アイルランド語名のBinn Éadairは「エイダーの頂上」「エイダーの丘」という意味で、こちらはアイルランド神話に登場するフィア・ボルグ族の5人の族長のひとりの妻Etarが語源だと言われている。, has it that it was this way. We are told how in the beginning it came to pass that like cabbaging Cincinnatus古代ローマの政治家キンキナトゥスは、テヴェレ川沿いの畑でキャベツ農家として長年働いていた。質素な政務官の鑑として、あるいはローマ的な徳の象徴として、よく引き合いに出される。 the grand old gardenerテニスンの詩 ‘Lady Clara Vere de Vere’より。該当のフレーズは後に‘The gardener Adam’へ修正された。よって、聖書のアダム。 was saving daylight under his redwoodtree one sultry sabbath afternoon, Hag Chivychas Eve,イングランドの童謡‘Chevy Chase’より。チヴィエト丘での狩猟権をめぐるイングランドとスコットランドの戦いを歌っている。醜い老婆(hag)がイヴ(Eve)を狩っている(chase)とも読める。また、Hagはヘブライ語で「休日」「安息日」。古代ギリシア語でἅγιοςは「聖人」。 in prefall paradise peace by following his plough for rootles in the rere garden of mobhouse, ye olde marine hotel Marine Hotelはチチェスター近郊にあるホテル。Ward Lock & Co.が1922年に出版したガイドブックに見開き広告が載っている。なお、ダブリン郊外のダン・レアリーにはRoyal Marine Hotelがある。 when royalty was announced字義通りに訳せば「王族・王権の到来が告げられた」となるため、本当に王(君主)が現れたのかは怪しい。 by runner to have been pleased to have halted itself on the highroad along which a leisureloving dogfox had cast followed, also at walking pace, by a lady packALP。英語でdog foxは「雄ギツネ」、castは「(狩人や猟犬が)獲物の足跡や臭いを辿ってばらける」、packは「群れ」。 of cocker spanielsイギリスで狩猟犬として育種された犬。. Forgetful of all save his vassal’s plain fealty to the ethnarchユダヤ系行政区の長のこと。また、東ローマ帝国(ビサンティン帝国)では、帝国の領土の外で他の民族を統べる人のこと。 Humphrey or Harold stayed not to yoke or saddle「列王記・上」19:19–20より。「さてエリヤはそこを去って行って、シャパテの子エリシャに会った。彼は十二くびき(yoke)の牛を前に行かせ、自分は十二番目のくびきと共にいて耕していた。エリヤは彼のかたわらを通り過ぎて外套(saddle)を彼の上にかけた。エリシャは牛を捨て、エリヤのあとに走ってきて言った、「わたしの父母に口づけさせてください。そして後あなたに従いましょう」。エリヤは彼に言った、「行ってきなさい。わたしはあなたに何をしましたか」」。 but stumbled out hotface as he was (his sweatful bandannahusband annaは、名詞としては「アンナの夫」、動詞句としては「アンナを貴重に使う」という意味。 loose from his pocketcoat) hasting to the forecourtsダブリン市内のフォー・コーツ裁判所。最高裁判所も懐に入れているという意味か。 of his public in topeetopeeとは布で覆われた日よけ用ヘルメットのこと。topiと綴られることもあるほか、pith helmetと呼ばれることもある。東南アジアや南アジアへ入植したヨーロッパ人たちが19世紀から20世紀にかけて広く着用した。, surcingle馬の胴回りに巻くストラップ。また、キリスト教の修道者が着る法衣の帯。, solascarf「太陽のスカーフ」で、ショールのこと。 and plaid, plus fours膝下4インチまで伸びる半ズボンのこと。1920年代から1930年代にかけて流行した。, puttees膝下から足首までに巻く包帯のようなもの。イギリス軍の軍服の一部だった。 and bulldog boots ruddled cinnibar黄土を使って羊に赤いしるしをつけることをruddleと言う。辰砂(cinnabar)は、朱色の顔料や防腐剤、水銀の原料となる鉱物として古くから重宝されてきた。 with

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音声解説
flagrant marl「燃えさかる泥灰土」の意。泥炭は湿原から採取されることが多いため、ここでは湿原の広がるアイルランド西部が示唆されているか。西部はノラ・バーナクルの故郷であり、ノラ(=ジョイスの妻)からALP(=HCEの妻)も連想される。, jingling his turnpike keys and bearing aloft amid the fixed pikes of the hunting party a high perch atop of which a flowerpot was fixed earthside hoist with careEHCすなわちHCE。. On his majesty文構造に注意。「陛下が~と尋ねると、ハロンフリードは~と答えた」という構造。, who was, or often feigned to be, noticeably longsighted from green youth and had been meaning to inquire what, in effect, had causedEHC。「因果関係」(cause and effect)。 yon causeway北アイルランドにある世界遺産「ジャイアンツ・コーズウェイ」(Giant’s Causeway)。これは「巨人の土手道」という意味。 to be thus potholed, asking substitutionally to be put wise古風な英語で「警告する」。 as to whether paternoster and silver doctorsフライフィッシングで使う2種類のルアー。silver doctorは鮭を釣るために使う。パーテルノステル(paternoster)は循環式エレベーターの一種でもある。また、主の祈りの最初の一節「天にましますわれらの父よ」のラテン語原文(Pater noster)。 were not now more fancied bait扱いが難しいルアーの通称。 for lobstertrapping honest blunt HaromphreyldHaroldとHumphreyを混ぜた語。また、ハンガリー語でharomは数字の「3」を意味する。 answered in no uncertain tones very similarly with a fearless foreheadベネディクト・フィッツパトリック『ブリテンの建国とアイルランド』(Ireland and the Making of Britain)p.48, ‘I am not so browbeaten by authority nor so fearful of the assault of less able minds as to be afraid to utter with fearless forehead what true reason clearly determines and indubitably demonstrates’ より。フィッツパトリックによると、アイルランドの修道院生活はエジプトや欧州大陸のそれとは知的展望が異なっていた。後者が帝国の没落に動機付けられた禁欲主義と苦しい俗世からの逃避だったのに対して、アイルランドでは知識への渇望が修道院生活を駆動した。アイルランドの修道院生活のこうした特徴を例示するために、フィッツパトリックはヨハネス・スコトゥス・エリウゲナの一節を引用しており、fearless foreheadという言葉はエリウゲナのラテン語の語句の英訳として用いられている。: Naw, yer maggers「芋虫」(maggot)+「陛下」(majesty)。, aw war jist a cotchin古英語でcatchingの意。また、現代イギリス英語でcotchは「一休みする」。 on thonアルスター弁でtheseと同義。 bluggy earwuggers. Our sailor king19世紀にイギリスとアイルランドの王だったウィリアム4世。海軍で長く活躍したことから「船乗り王」の異名をもつ。, who was draining a gugglet千一夜物語』より、アラビアで使われた水がめ。バートン版の本文中の‘gugglet’につけられた注58に次のような詳しい説明がある。‘Arab. “Kullah” (in Egypt pron. “gulleh”), the wide mouthed jug, called in the Hijaz “baradiyah;” “daurak” being the narrow. They are used either for water or sherbet and, being made of porous clay, “sweat,” and keep the contents cool; hence all old Anglo Egyptians drink from them, not from bottles. Sometimes they are perfumed with smoke of incense, mastich or Kafal (Amyris Kafal)’. of obvious adamaleアダムの酒」(Adam + ale)、すなわち水。エデンの園では水しか飲み物がなかったため。, gift both and gorbanウクライナ語でgorbanは「屈背(くぐせ)」。古代ヘブライ文明で、神への捧げもの(あるいは供具)はcorbanと呼ばれた。, upon this, ceasing to swallow, smiled most heartily beneath his walrus moustaches and indulging that none too genial humour英語でgenialは「優しい」「温和な」。その語源である古代ギリシア語のγένειονは「顎にかんする」という意味。直前の「海象髭」(walrus mustache)から、顎が強調されている。 which William the Conk征服王ウィリアム(William the Conqueror)。また、本章冒頭のLili O’Ranganとの関連から、Sunday Pictorial紙(現在のDaily Mirror紙の日曜版)の1922年10月29日号の次の記述も。‘Who can resist Beatrice Lillie? I can’t. Hear her sing her ancestry in “William the Conk!” with moustache and bowler hat’. 英語のスラングでconkは「鼻」。征服王ウィリアムは鼻が特徴的だったと言われている。 on the spindle side「母方の」という意味。 had inherited with the hereditary whitelock遺伝的な病理である「白毛症」のことか。 and some shortfingerednessイギリスのグラッドストン首相は事故で左手の人差し指の一部を失った。 from his greataunt Sophy征服王ウィリアムの母方の祖先には、ゾフィー・アマーリエ・フォン・ブラウンシュヴァイク゠カレンベルクがいる。ゾフィー・アマーリエは17世紀にデンマーク゠ノルウェーに暮らし、釣りにたくさんのお金を注ぎこんだ。, turned towards two of his retinue of gallowglasses13世紀から16世紀にかけてアイルランドに配備された精鋭歩兵傭兵部隊Gallowglass。主にノース゠ゲール族の人々から構成された。, Michael, etheling lord of Leix and Offaly athelingはアングロ゠サクソン系の称号で「王子」に相当する。リーシとオファリーはアイルランドの最初の植民地域であり、マラクマストの虐殺が1577–78年に起こった場所でもある。そこではイギリス軍がアイルランドの貴族を一掃した。and the jubilee mayor of Drogheda, Elcockjubileeは、ユダヤ教においては「ヨベルの年」。50年に一度、財産(主に土地と奴隷)の所有権がリセットされ、再分配が行われた。また、カトリックにおいてjubileeは、罪が特例的に許される「聖年」。1887年にはヴィクトリア女王の治世50周年を記念して「黄金の聖年」が祝われた。他にも世界各国で50周年を祝う「黄金の聖年」の伝統が存在する。ドロヘダ(Drogheda)はダブリンの北のラウス県にある都市であり、17世紀にはクロムウェル率いる侵略者たちによって王党派の人々が虐殺された。エルコックという名前の市長が1916年を含め、歴史を通して何人かいた。, (the two scatterguns being Michael M. Manningウォーターフォード生まれのジャーナリスト、マイケル・オースティン・マニング(Michael Austin Manning, 1858/9–1908)が想起される。1880年頃から積極的にパーネル派の支援活動を行いはじめたマニングは、1890年代にはダブリンに引っ越してIrish Daily IndependentIrish Weekly Independentといったパーネル派の新聞の編集に携わった。, protosyndic of Waterford古代ギリシア語でπρῶτοςは「第一のもの」、σύνδικοςは「法律家」「法廷での代弁者」。ウォーターフォードはアイルランド南部の県。 and an Italian excellency named Giubilei「聖年」(jubilee)に「ガリレオ・ガリレイ」(Galileo Galilei)がかかる。 according to a later version cited by the learned scholarch Canavan of Canmakenoiseフィッツパトリック『ブリテンの建国とアイルランド』p.4では、イギリスでは学問が定着しなかったのに対して、アイルランドでは古代ギリシアのアカデメイアにも匹敵するほどの伝統があるという主張がされ、そこで「アイルランドの学者たちはプラトンのアカデメイアの学長たち(scholarchs)にも匹敵する」という表現が出てくる。なお、Canavanは「カヴァン県」や「ナヴァン県」を示唆する。また、Canmakenoiseは(can make noiseだけでなく)「クロンマクノイス」(Clonmacnoise)とも読めるが、これはオファリー県にある修道院のこと。), in either case a triptychal「三連祭壇画」(triptych)の形容詞形と考えられるが、「典型的な」(typical)や「哀れみ」(pity)も響く。 religious family symbolising puritas of doctrina, business per usuals and the purchypatch of hamlock「緑の生い茂る場所」(perchy patch)に「シロツメクサ」(shamrock)と「ドクニンジン」(hemlock)の鞄語がつながる。ドクニンジンの毒によるソクラテスの死。 where the paddish preties grow「教区司祭」(parish priest)にpaddyやprettyがかかりつつ、アイルランドの伝統曲‘The Garden Where The Praties Grow’()も響く。 and remarked dilsydulsily英語圏の「はないちもんめ」に相当する遊び‘Here comes three dukes a-riding’の歌詞‘Here comes one duke a riding/A riding a riding/Here comes one duke a riding/Dilsy Dulsy Officer’。: Holybones of Saint Hubert聖フーベルトス。狩りの守護聖人であり、数学や金属工学にも長けていた。記念日は11月3日。 how our red brother of Pouringrainia「赤い兄弟」はQuarterly Review第238号の「狐のルナール」に見られる‘Particularly when studying cubs … is one liable to encounter disappointment … For, should the red mother’s suspicions once be aroused, all is over’という記述から、母グマのことだと思われる。なお、11世紀後半の英国王ウィリアム2世は「赤顔王」の異名をとった。後半部は「大雨」(pouring rain)。 would audibly fume did he know that we have for surtrusty bailiwick「サー・トリスタンの管轄区域」(Sir Tristan’s bailiwick)。 a turnpiker who is by turns a pikebailer no seldomer than an earwigger! For he kinned Jom Pillイギリスのカンバーランドの狩りの歌 ‘D’ye ken John Peel’より。‘D’ye ken John Peel with his coat so gay?/D’ye ken John Peel at the break o’ day?/D’ye ken John Peel when he’s far, far a-way./With his hounds and his horn in the morning?’ with his court so gray and his haunts in his house in the mourning. (One still hears that pebble crusted laughtaグラッドストン首相は友人のクラレンドン卿から「陽気な小石」(merry pebble)というあだ名で呼ばれていた。, japijap侮蔑語で日本人を意味するJapの他に、フランス語で「キャンキャン吠える者」を意味するjapperも。 cheerycherrily, among the roadside tree the lady Holmpatrickウェリントン公爵の孫娘のヴィクトリア・アレクサンドリナ・ウェルズリー。19世紀イギリス議員の初代ホルムパトリック男爵イオン・トラント・ハミルトンの妻でもあった。名付け親はヴィクトリア女王。 planted and still one feels the amossive「蓄積する」(amass)、「苔」(moss)、「塊状の」(massive)からなる鞄語か。 silence of the cladstone19世紀イギリスのグラッドストン首相(Gladstone)。1898年没。1886年にはアイルランドの自治を支持した。 allegibelling「主張する」(alleging)が、中世イタリアの「皇帝派」(Ghibelline)にかかる。皇帝派は教皇派(Guelph)と対立した。: Ive mies outs ide Bourn‘I’m not southside born’か。mieは古風なフランス語で否定詞ne(英語ではnotにあたる)に相当する。.) Comes the question are these the facts of his nominigentilisationラテン語でnomen gentilicumは「族名」、実質的には父称(patronym)。ローマ自由人の名前の3つの部分(個人名、氏族名、家名)のうちの2つ目を指す。 as recorded and accolated in both or either of the collateral andrewpaulmurphycAndrew, Paul, Murphyという名前が「擬人化された/神人同形説の」(anthropomorphic)とかかっている。 narratives. Are those their fatafataはアイルランド語で「ジャガイモ」、ラテン語で「運命」、イタリア語で「妖精」、アイスランド語で「バケツ」、ルーマニア語で「顔」、ロヒンギャ語で「葉っぱ」。 which we read in sibylline古代ギリシアでアポロンの神託を受ける巫女Sybil(シビュラ)が示唆される。 between the fas and its nefasラテン語でfasとnefasはそれぞれ「正義、可能」「罪、不可能」を意味する。? No dungワーグナー『ニーベルンゲンの指輪』でジークフリートが使う剣「ノートゥング」(Nothung)の名は、古ノルド語で「怒り」を意味する「グラム」(Gramr)に由来する。

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音声解説
on the road. And shall Nohomiah be our place likeジョン・ハワード・ペイン作詞、ヘンリー・ビショップ作曲の‘Home! Sweet Home!’の歌詞‘There’s no place like home’。この歌詞は映画『オズの魔法使い』の有名なセリフでもあり、また日本語版への編曲は「埴生の宿」として広く知られている。また、「ボヘミア」や、聖書の登場人物「ネヘミヤ」(Nehemiah)とも響く。? Yea, Mulachy「マラキー」(Malachy)と「ムルカヒー」(Mulcahy)の合成か。前者の名を持つ人物としては、ネヘミヤと同時代の人物でアイルランド出身者として初の正式な聖人でもあった聖マラキーや、9世紀アイルランド上王のマラキー1世、その後継者のマラキー2世などが有名。後者の名を持つ人物としては、イースター蜂起でアイルランド義勇軍の将軍として戦ったリチャード・ムルカヒーが著名。 our Kingable khan1933年の映画『キング・コング』の他に、アジアの騎馬民族の君主や有力者が名乗る称号「ハーン」。また、‘conquering kings’に語頭転換(イギリスの神学者ウィリアム・スプーナーの失敗談に由来するため「スプーナリズム」として知られる)が生じると‘kinkering kongs’となる。? We shall perhaps not so soon see. Pinck poncks that bail for seeks alicenceチューリッヒの春祭りSechseläutenでは、午後6時に鐘が鳴る。他にも、雪だるまの人形「ボーグ」(Böögg)に火をつけて盛大に焼いたりもする。ボーグの頭が爆発するとき、もし早々に爆発した場合は温暖な夏、そうでない場合はじめじめした夏が来ると言われている。 where cumsceptres with scentaurs stayこれも『ウェイク』でよく登場するリフレイン。ラテン語のEt concepit de Spiritu Sanctoから、聖母マリアの妊娠を指す。. Bear in mind, son of Hokmahヘブライ語で「ホクマー」(Chokhmah/חָכְמָה)は「知恵の息子」。また、ユダヤ教の神秘主義思想カバラーでは、ホクマは生命の樹セフィロトに含まれる10個の聖性の球セフィラの一つでもある。旧約聖書では女性として体現されており、知恵の樹との連想からアダムの母という解釈も成り立つ。, if so be you have metheg in your midnessヘブライ語で「メテグ」(Meteg/מֶתֶג)は、母音記号の横に置かれる垂線のことで、これが付された文字が開音節として読まれることを示す。聖書でも使われている。また、旧約聖書「サムエル記・下」の8:1には「この後ダビデはペリシテびとを撃って、これを征服した。ダビデはまたペリシテびとの手からメテグ・アンマを取った」とある。他に、香料やスパイスを加えたミード(蜂蜜酒)を「メセグリン」(metheglin)と呼ぶ。ウェールズ語でmeddygは「医者」。, this man is mountain and unto changeth doth one ascend. Heave we aside the fallacy, as punical as finikin古代カルタゴの言語や人をPunicと形容する。カルタゴはフェニキアの海外植民都市。ちなみに、フェニキア語はヘブライ語と同じセム語族の言語。Finnのkinということで、「フィンの親族」も含意する。, that it was not the king kingself but his inseparable sisters, uncontrollable nighttalkers, Skertsiraizde with Donyahzadeシェヘラザードとドニアザードは『千一夜物語』に登場する双子の姉妹。シャフリアール王は最初の妻が処女でなかったことを知り、その怒りから処女と結婚しては処刑するということを繰り返していた。それをやめさせるために、シェヘラザードは王と結婚をする。そしてドニアザードから「毎晩物語を話し、良いところで止める」という戦略を学び、これを使って王を物語に夢中にさせ、人殺しをやめさせた。これを千一夜続けたため、シェヘラザードは王の子どもを産み、王の正妻となった。, who afterwards, when the robberers shot up the socialights came down into the world as amusers and were staged by Madame Sudlow19世紀から20世紀にかけて活躍したイギリスの歌手ベシー・サドロウ。ゲイエティ劇場のマネージャーだったマイケル・ガンは夫。 as Rosa and Lily Miskinguetteフランスのシャンソン歌手にして女優のミスタンゲット。『ムーラン・ルージュ』や『レ・ミゼラブル』などを演じた。 in the pantalime「パントマイム」(pantomime)に「石灰」(lime)が混ざっているようであり、舞台照明として使用された「ライムライト」(石灰を白熱温度まで加熱することで得られる光)を想起させる。 that two pitts「平土間席(ピット)の2人の観客」を意味する。また、初代チャタム伯爵ウィリアム・ピットとその息子の若きウィリアム・ピット。どちらもイギリス首相だった(後者は、合同法施行時(1801年)にグレート・ブリテン王国の最後の首相だった)。 paythronosed「後援する」(patronise)に「支払う」(pay)や「鼻」(nose)、「王座」(throne)が混ざっている。英語の慣用句でpay through the noseは「法外な代金を支払う」「ぼったくられる」。, Miliodorus and Galatheeラテン語でmillioは「千の」、古代ギリシア語でδῶρονは「贈り物」。またμέλιγάλαは「蜜と乳」を意味し、「出エジプト記」で神がイスラエルの人々に約束の地を予言した際に用いた「乳と蜜が流れる地」という表現がよく知られる。円卓の騎士トリスタンの父でリオネスの王メリオダス(Meliodas)。他に、ドイツのオペラ『美しきガラテア』(ピグマリオン神話の近代版)や、ジャン゠バティスタ・ルリーの恋愛オペラ『アシスとガラテア』(羊飼いのアシスがニンフのガラテアに恋をする物語)も。. The great fact emerges that after that historic date all holographs so far exhumed initialled by Haromphrey bear the sigla H.C.E. and while he was only and long and always good Dook Umphreyグロスター公爵(Duke)だったハンフリー・オブ・ランカスター。シェイクスピアの『ヘンリー』関連の劇にたびたび登場する。25歳のときにアジャンクールの戦いに参戦している。妻は黒魔術、ハンフリー自身は反逆罪の容疑をそれぞれかけられた。 for the hungerlean spalpeensアイルランド英語で「季節労働者」「浮浪者」「与太者」などを意味する。語源はアイルランド語のspailpín of Lucalizod「ルチア」(Lucia)と「ルーカン」(Lucan)と「チャペリゾッド」(Chapelizod)の合成。福音者の「ルカ」も。 and Chimbers to his cronies it was equally certainly a pleasant turn of the populace which gave him as sense of those normative letters the nickname Here Comes EverybodyHCEのモデルのひとりであり、グラッドストン首相の右腕をつとめたヒュー・チルダーズのあだ名。正確には‘Hugh Culling Eardley Childers’であり、始めの3単語がHCEになっている。チルダーズは体格が良く、それを揶揄して‘Here Comes Everybody’と呼ばれた。. An imposing everybody he always indeed looked, constantly the same as and equal to himself and magnificently well worthy of any and all such universalisation, every time he continually surveyed, amid vociferatings from in front of Accept these few nutties! and Take off that white hat!一説によると、フィン・マクールの名前はアイルランド語で「白い帽子」を意味するfin cumhalから来ている。また、『ユリシーズ』第8挿話「ライストリュゴネス族」のブルームの回想の中で酔っ払いが叫ぶ一言でもある。そこでブルームは、グラフトン通りにかつてあった劇場について回想している。「ここはクイーン座をホイットブレッドがやってて、その前はパット・キンセラがハープ劇場をやってた。(中略)光陰矢の如しだな、まったく。スカートの下に赤い長ズボンが見えてる。酒飲みたち、酒飲んで、笑ってむせて、吐く息に酒のにおい。パット、こっちもパワーちょうだい。粗野な赤。飲ん兵衛が愉快に。ばか笑いと煙草を一服。その白い帽子を脱ぎなよ。生煮えの眼。今はどこに? どこかで乞食に。」(‘Where Pat Kinsella had his Harp theatre before Whitbred ran the Queen’s … How time flies, eh? Showing long red pantaloons under his skirts. Drinkers, drinking, laughed spluttering, their drink against their breath. More power, Pat. Coarse red: fun for drunkards: guffaw and smoke. Take off that white hat. His parboiled eyes. Where is he now? Beggar somewhere’.)詳しくはこちらも。, relieved with Stop his Grogラム酒など強い酒の水(あるいはお湯)割りを「グログ」(grog)と呼ぶ。英語スラングでstop the grogは「断酒する・させる」。イギリス海兵に対してラムの配給を断つという処罰も仄めかされている。 and Put It in the Log「航海日誌に書き加えておけ」くらいか。 and Loots in his (bassvoco) Boots『長靴を履いた猫』。また、『ユリシーズ』第15挿話「キルケ」で登場するセリフ(「くち紐をほどいてやれ」‘Loosen his boots’)。ちなみにbassa voceはイタリア語で「小声」。lute(高音の弦楽器)とbass(低音の弦楽器)の対照もある。アイルランドの伝統的なジグ‘The Priest in His Boots’()。, from good start to happy finish the truly catholic assemblage gathered together in that king’s treat houseゲイエティ劇場はダブリンの南キングス通りにある。 of satin alustrelike above floats and footlights from their assbawlveldts「アスファルト」(asphalt)と「田園地帯」(veldt)に加え、「けつ」(ass)や「大声で怒鳴る」(bawl)が混ざっている。 and oxgangs unanimously to clapplaud「手を叩く」(clap)と「拍手する」(applaud)の鞄語。 (the inspiration of his lifetime and the hits of their careers) Mr Wallensteinボヘミアの傭兵隊長ヴァレンシュタイン。17世紀の三十年戦争に関与した。 Washington Semperkelly’sアイルランド系アメリカ人の役者ウィリアム・ウァラス・ケリーは、ウィリアム・ゴーマン・ウィルズの演劇『皇帝の離婚』(A Royal Divorce)の財産権を有していた。同作は当時大ヒットしたので、ケリーもかなりの興行収入を得たと言われている。 immergreen「常緑」(immer + green)の他に、ドイツ語でimmergrünは「ツルニチニチソウ」(periwinkle)。エドガー・キネの『人類史の哲学入門』pp.367–368でジョイスのお気に入りの一節にも登場する。‘Today, as in the days of Pliny and Columella, the hyacinth disports in Gaul, the periwinkle in Illyria, the daisy on the ruins of Numantia; and while around them the cities have changed masters and names, while some have ceased to exist, while the civilisations have collided with one another and shattered, their peaceful generations have passed through the ages, and have come up to us, one following the other, fresh and cheerful as on the days of the battles’. tourers in a command performance by special request with the courteous permission for pious purposes the homedromed and enliventh111(hundred and eleven、数字の百十一)のこと。 performance of problem passion play中世に聖書を題材にした演劇はpassion playと呼ばれ、復活祭(イースター)の前の週に上演された。また、19世紀の演劇のうち、環境汚染や貧困や売春など、深刻な社会問題を扱った作品はproblem playと呼ばれた。 of the millentury, running strong since creation, A Royal Divorce19世紀アイルランドの作家ウィリアム・G・ウィルズによる演劇で、皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネの離婚を描いた。ジョイスはウィルズ単独の作品だと考えている節があるが、実際には共著者として同時期のイギリスの作家メアリー・ヘレン・ホワイトがいた。, then near the approach towards the summit of its climaxリムリック出身の世界的ソプラノ歌手キャサリン・ヘイズの母親は、娘が歌手として出世したときに、その喜びを‘I’m at the summit of my climax’と表現した。ジョイスの短編「母親」を彷彿とさせる。, with ambitious interval band selections from The Bo’ Girlアイルランド出身の作家マイケル・ウィリアム・バルフによる演劇『ボヘミアの少女』。そこに出てくるアリア‘I Dreamt That I Dwelt in Marble Halls’は、ジョイスの短編「土くれ」の結びに引用されている。最近だとエンヤが歌っている。アポストロフィをつけることで、「男っぽい女の子」(boy-girl)という含みを持たせている。また、bóはアイルランド語で「牛」を意味するため、「牛少女」という響きも。 and The Lilyブーシコーのヒット劇The Colleen Bawn, or The Brides of Garryowenに基づく、ジュリウス・ベネディクト作で1862年初演の作品The Lily of Killarney。作中のリブレットはブーシコーが書いた。ちなみにColleen Bawnはアイルランド語で「白い女性」「清らかな女性」を意味するcailín bánから来ている。 on all horserie show command nights from his viceregal boothリンカーンを劇場で暗殺した役者のジョン・ウィルクス・ブース (his bossalonerイタリアで中折れ帽を作っていた会社Borsalino。ジョイスも愛用していた。 is ceilinged

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音声解説
there a cuckoospitアワフキムシなどの昆虫が出す泡状の液体。また、コックピット。 less eminent than the redritualhoodsグリム童話にもなっている「赤ずきんちゃん」(Little Red Riding Hood)。 of Maccabe and Cullen共にダブリンの大司教。カレンの方はジョイスの『若き芸術家の肖像』の夕食のシーンでも言及される。) where, a veritable Napoleon the Nth, our worldstage’s practical jokepiece and retired cecelticocommediantイタリア語でcommedianteは「三流役者」。ダンテの『神曲』(Divina Commedia)も響く。 in his own wise this folksforefather英語でhis folk’s forefatherは「彼の民の父祖」、デンマーク語でfolkeforfatterは「国民的作家」。 all of the time sat having the entirety of his house about him, with the invariable broadstretched kerchief cooling his whole neck, nape and shoulderblades and in a wardrobe panelled tuxedo completely thrown back from a shirt well entitled a swallowall, on every point far outstarching the laundered clawhammers英語のclaw hammerには「釘抜き金槌」の他に「燕尾服」「クローハマーコート」という意味もある。劇場の描写であるこの文脈では後者の意味のほうが自然。 and marbletopped highboy英語のhighboyは「高脚付き洋ダンス」を意味する(tallboyと呼ばれることもある)。またこの文脈だとoboe「オーボエ」も響く。s of the pit stalls and early amphitheatre古代ギリシアや古代ローマの円形闘技場(Colosseum)を指すほか、一般に「円形劇場」や「半円形のひな壇式観客席」なども意味する。. The piece was this: look at the lamps. The cast was thus: see under the clock. Ladies circle: cloaks may be left. Pit, prommer and parterre, standing room only.pitとparterreは「劇場の平土間(の観客)」、prommerは「プロムナードコンサートの立ち見客」を意味する。服の描写と劇場内部の描写を重ねることで、ひとりの大男が劇場全体を占拠するイメージが喚起されている。 Habituels conspicuously emergentHCE。フランス語でhabituéは「常連さん」。よって、「常連さんたちが目立って参上する」という意味になる。.
  A baser meaning has been read into these characters the literal sense of which decency can safely scarcely hint. It has been blurtingly bruited by certain wisecrackers英語でwisecrackは「気のきいた言葉」や「嫌味」を表す名詞であり、「皮肉を言う」という意味の動詞としても用いられる。 (the stinks of Mohorat「アラファト山」(Mount Arafat)の縮約形か。ヘブライ語でmokhorath(מָחֳרָת)は「明日」。 are in the nightplotsフランス語でvase de nuit(英訳すればpot of night)はchamber potすなわちトイレのこと。 of the morning), that he suffered from a vile disease. Athma,喘息。ヒンドゥー教の「アートマン」(魂)も。 unmanner them! To such a suggestion the one selfrespecting answer is to affirm that there are certain statements which ought not to be, and one should like to hope to be able to add, ought not to be allowed to be made.文芸誌Quarterly Review 第238号の『ユリシーズ』の書評から。 Nor have his detractors, who, an imperfectly warmbloodedDaily Mail紙の1922年11月15日号には、ハリネズミやコウモリやヤマネコは「不完全に温血」な動物であり、気温が下がると意識を失うという記述があった。 race, apparently conceive him as a great white caterpillar文筆家のコリン・キャンベル婦人がオスカー・ワイルドにつけたあだ名。ジョージ・バーナード・ショーの回想では以下のように述べられている。‘Oscar was an overgrown man, with something not quite normal about his bigness: something that made Lady Colin Campbell, who hated him, describe him as “that great white caterpillar”’. 他に、メルヴィルの『白鯨』も。 capable of any and every enormity in the calendar recorded to the discredit of the Juke and Kellikek優生学に基づく社会政策を擁護した本のタイトルから。前者はRichard DugdaleのThe Jukes: A Study in Crime, Pauperism, Disease and Heredity (1877)、後者はHenry GoddardのThe Kallikak Family: A Study in the Heredity of Feeble-Mindedness (1912)。 families, mended their case by insinuating that, alternately, he lay at one time under the ludicrous imputation of annoying Welsh fusiliers王立ウェールズ燧石銃連隊。ボイン川の戦いでウィレム3世の側について戦った他、半島戦争やワーテルローの戦いではウェリントン公爵の側について戦った。 in the people’s park. Hay, hay, hay! Hoq, hoq, hoq! Faun and Flora「動植物相」(fauna and flora)、すなわち、ある地域に生息している動植物の総体。このページは人間以外の生物への言及が多い。 on the lea love that little old joq直前の‘Hay hay hay! Hoq hoq hoq!’とも併せて‘Ha, ha, ha, you and me, little brown jug don’t I love thee’という歌詞への言及。19世紀アメリカで作曲され、酒の席で歌われたポップソング「茶色の小瓶」。小瓶には酒が入っている。標準版の他に、グレン・ミラーによるビッグバンド版の演奏もある。. To anyone who knew and loved the christlikeness of the big cleanminded giant H. C. Earwicker throughout his excellency long vicefreegalアイルランド総督(Viceroy)は正式には‘His Excellency the Viceroy’と呼ばれていた。ちなみに、Viceroyは『ユリシーズ』第10挿話「さまよう岩々」の終盤にも登場する。viceregalはViceroyの形容詞形。 existence the mere suggestion of him as a lustsleuth nosing for trouble in a boobytrap rings particularly preposterous. Truth, beard on prophet, compels one to add that there is said to have been quondam (pfuit! pfuit!)キケロー『カティリナ弾劾演説』より、「あった、ある日あった」(‘Fuit, fuit ista quondam’)。フランス語でfuitは「(彼・彼女が)逃げる」。 some case of the kind implicating, it is interdumラテン語で「時々」。 believed, a quidamラテン語でquidamは「誰か」。中英語でquoniamは「子宮」。カトリック教会の祈り‘quoniam tu solus sanctus, tu solus dominus’は、英語にすると‘Because You alone are Holy, You alone are the Lord’. (if he did not exist it would be necessary quoniam to invent him) ヴォルテールの書簡より。「もし神が存在しないのなら、神を創りだす必要があるだろう」(« Si Dieu n’existait pas, il faudrait l’inventer »)。abhout that time stambuling古風な英語でStamboulはイスタンブールのこと。 haround『千一夜物語』に登場するイスラム帝王(カリフ)のハールーン・アッ゠ラシード(Hārūn al-Rashīd)。しかし、偶然にもHCEと名前が似ているというだけでこの人が選ばれるとは。

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音声解説
Dumbaling「歩き回って」(ambulating)と「ダブリン」(Dublin)の鞄語か。 in leaky sneakers with his tarrk record直後に‘record’があることを踏まえると、‘tarrk’には、英語で「暗い」を意味するdarkや「際立つ」を意味するstark、あるいはフィンランド語で「正確な」を意味するtarkkaを読み込める。英語のstarkと読んだ場合は、レ・ファニュ『墓地に建つ館』の登場人物Sturkも連想できる。同氏はフェニックス公園で襲われた後、ブラック・ディロンによって蘇生される。 who has remained topantically古代ギリシア語でτό παντίは「あらゆる意味において」。 anonymos but (let us hue him Abdullah Gamellaxarksky)預言者ムハンマドの父Abdullahに「老いた鮭」(gammel laks)と「虹」(‘ark sky’=‘arc-en-ciel’)がかかる。hueは(「虹」を踏まえると)「彩り」「色づける」の意。 was, it is stated, posted at Mallon’sフェニックス公園殺人事件が起こったとき、ダブリンの警察署長はジョン・マロンだった。 at the instance of watch warriors of the vigilance committeeボストンのWatch and Ward SocietyとアイルランドのThe Irish Vigilance Association。どちらも世俗的な読み物から敬虔なキリスト教徒を「守る」目的でつくられた団体。 and years afterwards, cries one even greater, Ibid学術論文の引用で同じ引用元を繰り返す時に使うラテン語短縮句ibid.(元の語形はibidem)。ちなみに、「世界で最も引用されている学者は誰?」「Ibidさん」というジョークがある。, a commender of the frightfulカリフのことを‘Commander of the Faithful’(信心深き者たちの指導者)と呼ぶ。直前のIbidはアラビア語で「~の息子」(MacやBenに相当)なので、ここはイスラム系のモチーフか。, seemingly, unto such as were sulhan satedフィンランド語でsulhanenは「フィアンセ」「花婿」。イスラム教国の君主スルターンも。, tropped head (pfiat! pfiat!)ドイツ語でPfiat di!は「じゃあね!」。ラテン語でfiatは「~あれ」で、例えば神が「光あれ」(fiat lux) と言うときに使われる。 waiting his first of the month froodsユダヤ教で太陽暦の5月または6月に行われる収穫祭「シャブオット」。 turn for thatt chopp pah kabbakksフィンランド語でkappakは酒場のこと。メッカの中心に位置する黒い立方体の建造物カアバ(Ka’aba)も。 alicubiラテン語で「どこか」。 on the old houseダブリンのホーキンズ通りにあるシアター・ロイヤル劇場の通称Old House for the chargehard, Roche Haddocksレ・ファニュ『墓地に建つ館』に登場するローチ神父。18世紀アイルランド議員のボイル・ローチ。ローチ議員はぎこちない言葉遊びやつまらない駄洒落を頻繁に口にすることで有名だった。ユダヤ教で新月の日に祝われる祭日のRosh Chodeshも。 off Hawkins Streetレ・ファニュの『墓地に建つ館』の他に、ダブリンのホーキンス通りにある劇場「シアター・ロイヤル」も。現在はSmock Alley Theatreとして運営されている。Hawkins Streetはティム・フィネガンが暮らしていたWalkin Streetと韻を踏む。. Lowe,またも『墓地に建つ館』の登場人物オリバー・ロー。 you blondy liar, Gob scene you「創世記」3:7–11でアダムが神に目撃される場面も響く。「すると、ふたりの目が開け、自分たちの裸であることがわかったので、いちじくの葉をつづり合わせて、腰に巻いた。彼らは、日の涼しい風の吹くころ、園の中に主なる神の歩まれる音を聞いた。そこで、人とその妻とは主なる神の顔を避けて、園の木の間に身を隠した。主なる神は人に呼びかけて言われた、「あなたはどこにいるのか」。彼は答えた、「園の中であなたの歩まれる音を聞き、わたしは裸だったので、恐れて身を隠したのです」。神は言われた、「あなたが裸であるのを、だれが知らせたのか。食べるなと、命じておいた木から、あなたは取って食べたのか」」。劇場のモチーフから「卑猥なシーン」(ob-scene)という語感も。 in the narked place「裸の場所」(naked place)が「警察への密告者」(nark)とかかる。トマス・レイノルズのことか(レイノルズは1797年にユナイテッド・アイリッシュメンが当時のダブリン政府の重役の暗殺を企てていた際に、仲間を裏切ってダブリン城へ密告をし、政府から5,000ポンドを受け取り、さらに年間1,000ポンドの年金も保証された。結果として、レイノルズはユナイテッド・アイリッシュメンから何度か暗殺されそうになった)。 and she what’s edith ar home defileth these boyles!Roche Haddocksの注でも触れた、18世紀アイルランド議員のボイル・ローチ。「詩篇」68:11–12「大いなる群れは言う、「もろもろの軍勢の王たちは逃げ去り、逃げ去った」と。家にとどまる女たちは獲物を分ける」(‘Kings of armies flee, they flee, And she who remains at home divides the spoil’)。 There’s a cabful of bashアイルランド語でcabは「口」。bashをmashと読めば、マッシュドポテトを頬張っている。 indeed in the homeur of that mealフランス語の「名誉」(honneur)が「ホメロス」(Homer)にかかる。ホメロス自身は故郷に流れるメレス川にもちなんで「メレスの息子」(son of Meles)と呼ばれていた。. Slander, let it lie its flattest, has never been able to convict our good and great and no ordinary Southron Earwickerスコットランド人はイギリス人を「南から来た人」(Southron)と呼んだ。HCEは「平凡な」英国人らしい。(では、ハロルド・ゴドウィンソンやヒュー・チルダースは「平凡」なのだろうか。), that homogenius man「一様」(homogeneous)でありながら「天才人間」(homo genius)。, as pious author called him, of any graver impropriety than that, advanced by some woodwards or regardersアイルランドだと、woodwardはフェニックス公園の鹿を守る役割を担う森林官のこと。そこから冒頭部のthough venisoon after(venisonは「鹿(の肉)」)も響くか。, who did not dare deny, the shomersユダヤ法で、他者の所有物の合法的管理人のこと。, that they had, chin Ted, chin Tam, chinchin Taffydセム、ハム、ヤペテ(Shem, Ham, Japheth)。だとすると、これまでのホメロス(Homer)への言及には、ヤペテの息子で「すべての家族の代表」という語源をもつ名前のGomer(גֹּמֶר)も響くか。TamとTaffyはスラングでそれぞれスコットランド人とウェールズ人のこと(Taffy was a Welshman)。, that day consumed their soul of the corn英語のspiritがsoulのほぼ同義語であることから、蒸留酒(spirits)を連想させる。cornは穀物一般。オシリスは穀物の擬人化であり、死とともにエジプトの大地に豊穣をもたらした。, of having behaved with ongentilmensky「紳士的でない」(ungentlemanly)に、「異教徒(の)」(gentile)や「天に昇らせる」(ensky)が混ざっている。 immodus opposite a pair of dainty maidservants in the swoolth「(土地の)隆起」や「なだらかな丘」を意味するswellに、「恍惚」や「卒倒」を意味するswoon、「羊毛」(wool)や「豊かさ」(wealth)が混ざっている。 of the rushy hollowrushは、動詞としては「急ぐ」「急きたてる」などを意味し、名詞としては「イグサ」(別の呼び方として「トウシンソウ」がある)を意味する。また、フェニックス公園にあるくぼ地はHollowと呼ばれる。 whither, or so the two gown and pinner「ピンで留める人」「垂れ縁を両側にピンで留めた帽子」などの意味があるが、ここでは女中が身につけていた「小さいエプロン」を指すと思われる。s pleaded, dame nature in all innocency had spontaneously and about the same hour of the eventide sent them both but whose published combinations of silkinlaineフランス語でlaineは「羊毛」「毛織物」を指す。また、イギリス英語でsilkは、「絹」や「絹織物」だけでなく、「勅選弁護士の絹製のガウン」も指す。 testimonies are, where not dubiously pure, visibly divergent, as wapt from wept織機の縦糸をwarp、横糸をweftと呼ぶ。, on minor points touching the intimate nature of this, a first offence in vert or venison中世イギリスにおける森林伐採や狩りに関する法律のこと。 which was admittedly an incautious but, at its wildest, a partial exposure with such attenuating circumstances (garthen gaddeth green hwere sokeman brideth girling)中世イギリスのコモン・ローにおける土地所有農業労働をsokeman、区画された土地をgarthと呼ぶことから、小作人が若い女性と結婚するというニュアンスか。 as an abnormal Saint Swithin’s summer聖スウィソン(Swithun)を記念したイギリスの祝日で、7月15日。この日の天候がその後40日間続くという伝説があった。そのため、ここからは長い夏が始まる。また、11月11日のキリスト教の祝日「聖マルティヌスの日」の後で、ポルトガルやシチリアなどでは温暖な天気が続くことが多く、これが「聖マルティヌスの夏」と呼ばれている。 and (Jesses Rosasharon!)アメリカの作曲家チャールズ・ガブリエルが1921年に作った賛美歌‘Jesus, Rose of Sharon’。歌の起源には諸説あるが、「雅歌」2:1「わたしはシャロンのばら、谷のゆりです」が有力(これについての解釈は、古い記事だがこちらを)。そもそもこのページ全体が、「雅歌」第2章の花嫁の語りに沿って進んでいる可能性も高い。Jesseは聖書ではダビデ王の父であり、キリストの先祖でもある。近代ではパウル・ツェランの「死のフーガ」に「灰色の髪のズラミート」という形で雅歌の語り手が登場したりもする。 a ripe occasion to provoke it.
  We can’t do without them.15世紀の司祭デジデリウス・エラスムスの『格言集』より、「人生にいてもいなくても困る、それが女性だ」。 Wives, rush to the restyours! Ofman will tomanアイルランド語で「小さな丘」。また、ペルシアの金貨 while led is the lol1880年頃にドイツの神父ヨハン・マルティン・シュライヤーによって作られた人工言語ヴォラピュクで「薔薇は赤い」を意味する。ヴォラピュクにおいてrは使えないため、lに置き換えられる。単語の語尾は必ず子音で終わる必要があるため、roseのeは取り除く。また、sは複数形を表す場合のみ使用可能なので、他の文字に置き換えられる。以上から、roseはlolに変わり、redはledになる。ジョイスが参照したのはオットー・イェスペルセン『国際言語』だが、この本でイェスペルセンは普遍的な国際言語の必要性を力説した。. Zessid’s our kademヴォラピュクで「必要性」「必然性」はzesüd、「学校」「学院」はkadam。, villapleach木の枝が絡まりあって作られた生垣。, vollapluck「ヴォラピュク」(Volapuk)か。led is the lolの注で登場した「薔薇」とつなげると、プランクイーン(あるいはプランクィアン)がホウス城の庭で薔薇の花を摘む場面と重なる。『不思議の国のアリス』のハートの女王も連想させるか。ドイツ語の「満ちた」(voll)と英語の「勇気」(pluck)の組み合わせにより、‘full of pluck’も(「果敢な」「勇気あふれる」という意味)。こちらの記事が詳しい。. Fikupヴォラピュクで Fikopは「アフリカ」。, for flesh nelly『若き芸術家の肖像』第3章の冒頭で、スティーヴンが娼館に行く場面に‘Fresh Nelly’という娼婦が出てくる。ヴォラピュクでNelijはイギリスのこと。, el mundo nov, zole flenヴォラピュクでflenは「友」。zole flenはold friendやsole friendが英語訳の候補。el mundo novは「11月の世界」あるいは「新世界」。11月は既出の「聖マルティネスの夏」とつながる。! If she’s a lilyth, pull early!ALP。『ガリヴァー旅行記』に登場するリリパット王国。リリス。リリビュレロ。ジュリアス・ベネディクトのオペラ『キラーニーの百合』(The Lily of Killarney)も。 Pauline, allow!「(離婚を)許可せよ、パウロ派!」という意味だと思われる。聖パウロは、キリスト教信者とそうでない者が結婚し、結果として信者が信仰の実践を阻まれてしまう場合は、離婚が許されると説いた。 And malersドイツ語のMalerは「画家」や「塗装工」を指す。英語のmailerは「郵便の発送者」や「封筒」を、maleは「雄(の生物)」を指す。 abushed, keep black, keep black!直前の‘Fikup’とのつながりで、アフリカに関するモチーフが続く。‘abushed’には、かつてアフリカ大陸の南部から東部にかけて広く暮らしていた狩猟採集民族のサン人の別名Bushmenが響く。加えて、英語のkeep back!「下がって!」にblackがかかり「黒人」が響く。他にambushed「不意打ちを受ける」も。 Guiltless of much laid to him he was clearly for once at least he clearly expressed himselfHCE。それにしても、『フィネガンズ・ウェイク』において‘clearly expressed’(明快に言われる)などということがありえるのだろうか。 as being with still a trace of his erstwhile burrノーサンバーランドのRの発音、転じて「強い訛り」のこと。ウォロフ語でbuurは「権力」。アルフレッド・グレーヴス『アイルランドの音楽と文学の研究』(Irish Literary and Musical Studies)p.179によると、burrはサセックス英語で「訛り」。HCEの一族の出身地は『ウェイク』p.30によるとサセックスのシドルシャム(グレートブリテン島の南海岸付近にある村)なので、ここからは「HCEのサセックス訛り」と「サセックスの方言でいうところの訛り」の二重の意味が読み取れる。 and hence it has been received of

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音声解説
us that it is true. They tell the story (an amalgam as absorbing as calzium chloereydes「塩化カルシウム」(calcium chloride)。吸湿性の物質なので‘absorbing’か。イタリア語でcalzinoは「靴下」、古代ギリシア語でχλωρόςは「緑色」なので、「緑の靴下」。古代ギリシアの恋愛物語『ダフニスとクロエ』も。 and hydrophobe sponges「疎水性」(hydrophobe)のスポンジ。『ユリシーズ』のスティーヴンは水が苦手らしいので、彼のことか。英語スラングのspongeはいわゆる「たかり」で、他の人に頼って生きる人のこと。これもスティーヴンっぽい。ちなみに、ジョイスは水が嫌いで、ルチアは泳ぐのが好きだった。 could make it) how one happygogusty ides-of-Aprilアイズ・オブ・マーチ(Ides of March)。Idesは「中央の日」という意味で、3月だと15日。ユリウス・カエサルが元老院の議場で刺殺された日でもある。ちなみに、同じIdesでも4月だと13日になる。4月13日は、1829年だとアイルランドでカトリック教徒に投票権が認められた日、1742年だとヘンデルの『メサイア』がダブリンで初めて演じられた日。 morning (the anniversary as it fell out of his first assumption8月15日に祝われる、カトリックの祝祭日。聖母マリアの被昇天(Assumption of the Virgin Mary)を記念する。ちょうど日本の終戦記念日と重なるのが興味深い。 of his mirthday suit英語で服を着ていない状態をbirthday suitと表現する(生まれた時は裸であるため)。 and rights in appurtenanceイギリスの法律で「従物権」すなわち土地などの財産を自由に使う権利のこと。 to the confusioning「混乱」(confusion)と「孔子」(Confucius)が「融合」(fusion)している。 of human races) ages and ages after the alleged misdemeanour when the tried friend of all creation, tigerwood roadstaff縞模様の木材のこと。「詩篇」23:3–4「主はわたしの魂をいきかえらせ、/み名のためにわたしを正しい道に導かれる。/たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、/わざわいを恐れません。/あなたがわたしと共におられるからです。/あなたのむちと、あなたのつえは(thy rod and thy staff)わたしを慰めます」。現代的にはタイガー・ウッズ……はさすがになさそう。 to his stay, was billowing across the wide expanse of our greatest park「アイルランド最大の公園」という意味だとすると、ダブリン西部にあるフェニックス公園を指す。 in his caoutchouc kepiここからHCEの服装が7つの装具の列挙という形で描写される。詳しくはこちら。フランス語でcaoutchoucはゴム製のレインコート、kepiは軍帽。 and great beltデンマークの「グレート・ベルト海峡」。 and hideinsacksドイツ語でHeidensachseは「異邦人のザクセン人」のこと。「隠れんぼ」(hide and seek)も。 and his blaufunx青いキツネ(blue fox)。 fustian and ironsidesピューリタン革命において、17世紀のイギリス人侵略者オリヴァー・クロムウェルのあだ名Old Ironsideと、それにちなんだ鉄騎隊(てっきたい)のこと。クヌート王に対する反乱を先導したアングロ・サクソン王のエドマンド・アイロンサイドも。 jackboots膝上まである革製の長靴。ナチの軍人が着用していたことから、「(ナチのような)専制」「弾圧的な支配」といった意味も持つ。 and Bhagafat gaitersヒンドゥー教の聖典『バガヴァッド・ギーター』が、脚を蛇から守る防具の「ゲートル」として用いられているのか。 and his rubberised invernessInvernessはスコットランドの町。シェイクスピアの『マクベス』で王城の所在地。, he met a cad with a pipe『ウェイク』における謎の登場人物。アイルランド語を話す。『ユリシーズ』のマキントッシュに匹敵するくらい謎。ちなみにcadは「下劣な男」という意味。ルネ・マグリットの絵画『イメージの裏切り』. The latter, the luciferant『ユリシーズ』の第15挿話「キルケ」でスティーヴンは‘lucifer match’に火をつける。ルチアへの言及も。キリスト教ではサタンとほぼ同じ位置の堕天使ルシファー、「明けの明星」として表象されることも。英語でluciferinは「蛍の光源」「発光素」 not the oriuolate古風なイタリア語でoriuoloは時計を意味する。oriuolateは「時計を持つ者」。 (who, the odds are, is still berting dagabout古アイルランド語でbertは「(判決・判断を)下す」「運ぶ」「(子を)産む」を意味する動詞beiridの3人称単数過去形、bertは「戯れ」「服」「重荷」を意味する名詞。フランク王国メロヴィング朝4代目国王ダゴベルト1世。噂話が好きな物好きさんをgadaboutと呼ぶ。 in the same straw bamer麦わら帽子(straw hat)のこと。, carryin his overgoat under his schulder, sheepside out, ‘his overcoat under his shoulder, inside out’という句に、「山羊」(goat)や「ヒツジ」(sheep)、ドイツ語で「罪」「罪悪感」を意味するSchuldが混ざっている。民謡‘Brian O’Lynn’()の歌詞への言及も。 so as to look more like a coumfryドイツ語でkaum freiは「ほとんど自由でない」(hardly free)。 gentleman and signing the pledge「断酒の約束をする」という意味の慣用句。『ダブリナーズ』の「下宿屋」にも登場する。 as gaily as you please) hardily accosted him with: Guinness thaw tool in jew me dinner ouzel fin?アイルランド語で‘Conas tá tú indiu mo dhuine uasal fionn?’は「紳士殿、本日はご機嫌いかが?」ほどの意味。ouzelは「クロウタドリ」、転じて「黒人」。17世紀にアイルランドを出航して難破し、1700年に残骸がみつかったThe Ouzel Galleyという商業用のガレー船も。 (a nice how-do-you-do in Poolblackプールベグ灯台(Poolbeg Lighthouse)に‘black’が混ざっている。ダブリンの名前の由来ともなっているアイルランド語のlinn dubhは「黒い水たまり」という意味だが、英語に逐語訳するとpool blackとなる。 at the time as some of our olddaisers may still tremblingly recall) to ask could he tell him how much a clock it wasドイツ語で「何時?」と尋ねるときには「時計はどれくらい?」(Wieviel Uhr ist es?)という言い回しを使う。 that the clock struck had he any idea by cock’s luck as his watch was bradys無敵革命党のジョー・ブレイディー。1882年のフェニックス公園殺人事件の首謀者のひとり。古代ギリシア語でβραδύςは「遅い」。. Hesitency was clearly to be evitatedHCE。リチャード・ピゴットがパーネルへ濡れ衣を着せようとして捏造した手紙において、hesitancyがhesitencyと誤って綴られており、これはピゴットがよく犯すミスだったため、捏造が発覚した。. Execration as cleverly to be honnisoidガーター勲章のスローガン「それを悪と思う人は糾弾されよ」(‘honi soit qui mal y pense’)が「殺人」(homicide)とかかる。. The Earwicker of that spurring instant, realising on fundamental liberal principles the supreme importance, nexally and noxallyラテン語でnexumは「借金」だが、古代ローマにおいて債務者は債務不履行に陥ると債権者の奴隷になる。ラテン語でnexは「殺人」、noxaやnoxalisは「被害」「有害」。奴隷や家畜の価値を損ねた主人に対してはactio noxalisという訴訟が行われた。, of physical life (the nearest help relay being pingpingp.32の春祭の鐘の音とも響き合う。清で1900年に起こった義和団の乱(英語だとBoxer Rebellion)も。そこでは「北平」(Peiping)が略奪された。他に、直後のK. O.と一緒に読むと、ボクシングのゴングの音にも聞こえる。 K. O. Sempatrick’s Day and the fenian risingマッキューの解釈では「キメジ郊外1767」で電話番号の意味だとか。聖パトリックの日が17日、フェニアン蜂起が1867年で、KOはKimmage Outerらしい(Annotations to ‘Finngenans Wake’)。Sempatrickには「セム」(Shem)が隠れている。) and unwishful as he felt of being hurled into eternity right then, pluggedスラングで「銃撃される」。 by a softnosed bullet1916年イースター蜂起で共和派が使った弾丸「ダムダム弾」のこと。 from the sap, halted, quick on the draw, and replyin that he was feelin tipstaff司法制度における役職の名前。国によって地位や役割は異なる。短い杖に象徴されることから、この名前がついた。, cue, prodooced from his gunpocket his Jurgensen’sスイスの時計ブランド。他にクラッグ・ヨルゲンセン・ライフルも。これはノルウェーで発明され、米軍、デンマーク軍、そしてノルウェー軍で使われた。 shrapnel waterburyコネチカット州の町の名前。真鍮の製造で有名だった。同所に所在の時計会社Waterbury Watch Companyも。1880年に創業し、手頃な値段の時計を一般向けに製造した。詳細はこちら, ours by communionism「聖体拝領」(communion)と「共産主義」(communism)の鞄語。, his by usucaptureusucaptionは古代ローマ法における「使用取得」という概念を指す英語。一定期間の使用によって財産の所有権を得る。イギリス人がアイルランドの土地や人を、そしてアイルランド人が英語をそれぞれ「使用取得」したという含みもあるか。, but, on the same stroke, hearing above the skirling of harsh Mother Eastアメリカの童話作家ソーントン・バージェスの作品集‘Old Mother West Wind’(Old Mother West Windが様々な童話を語り聞かせてくれる)。skirlingはバグパイプが鳴らす金切り音。 old Fox Goodman1880年代のダブリンの裁判秘書官ジョン・フォックス・グッドマン。パーネル裁判を担当した。『ウェイク』に頻出する『狐物語』も響く。, the bellmaster, over the wastes to south, at work upon the ten ton tonuant thunderous tenor toller19世紀初頭の「エインズブリーの巨人」ジェームズ・トラー。1815年にロシア皇帝とプロイセン国王へ紹介され、1816年にはオランダの小人サイモン・パープと一緒に旅をした。1828年にわずか30歳の若さで亡くなった。身長は8フィート6インチ=約2.6メートル。 in the speckled churchスコットランド・ゲール語でAn Eaglais Bhreac(アン・イグラス・ブレアク、the speckled church)はスコットランドのフォルカークのこと(スコットランド英語ではFalkirkも同じ意)。18世紀から19世紀にかけて製鉄の中心地だった。 (Couhounin’s call!中世アイルランドの神話的人物クー・カレン(クー・フリンとも)。イェイツらとアベイ座を共同創設したグレゴリー夫人が、1902年にクー・カレン口承を書き取って英訳し刊行した。20世紀のアイルランド文芸復興運動でかなり持ち上げられた物語でもある。) told the inquiring kidder, by Jehova, it was twelve of em sidereal and tankard time,イスラエルの12の民。12星座と恒星にもとづく占星術。「恒星時」(sidereal time)も。 adding, buttall, as he bended deeply with smoked sardinish breath to give more pondusポンテオ・ピラト(Pontius Pilatus)。キリストの処刑を監督した。ピラト自身は処刑に消極的だったが、民衆の圧力におされて処刑に踏み切った。ラテン語でpondusは「重さ」の意で、英語における重さの単位「ポンド」(pound)の語源。 to the copperstick he presented (though this seems in some cumfusium孔子」(Confucius)。英語スラングでcumは「射精」。 with the chapstuck

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音声解説
ginger which, as being of sours, acids, salts, sweets and bitters compompounded, we know him to have used as chawchaw for bone, muscle, blood, flesh and vimvital漢方医学の「五味」と、その効能がおよぶ対象が列挙されている。また中国医学の三大古典のひとつ『黄帝内経』(こうていだいけい)では、中国医学の人体の根底にある5つの層が、『ウェイク』のこの箇所に列挙されているように定義されている。), that whereas the hakusay北斎」や「白菜」。「言う」(say)や「自白」も。 accusation againstm had been made, what was known in high quarters as was stood stated in Morganspostドイツの新聞Berliner Morgenpostやイギリスの新聞The Morning Post。ダブリンで発行されていたDublin Morning Postも。アーサー王伝説に登場する、アーサーの異父姉にして森の魔女のモーガン・ル・フェイ, by a creature in youman form who was quite beneath parr『ウェイク』p.3の‘oldparr’と響く。トーマス・パーは152歳まで生きたと言われており、実際にウェストミンスターの墓碑には「1483年生 1635年没」と彫られている。ヘンリー8世の最後の妻キャサリン・パーの父親トーマス・パーは同姓同名の別人。 and several degrees lower than yore triplehydrad snake1922年6月3日付けのDaily Mailの記事 に見られる、エディット・トムソンとフレデリック・バイウォーターズによるパーシー・トムソン殺害事件の裁判におけるバイウォーターズの証言からの引用。‘The reason I fought with Thompson was because he never acted like a man to his wife. He always seemed several degrees lower than a snake’.. In greater support of his word (it, quaint anticipation of a famous phraseサー・アルフレッド・ロビンズ『パーネル最後の5年間』(Parnell: The Last Five Years)p.145からの引用。‘Labouchere … bitterly complained one night in the Lobby that the Nationalist leader, after getting up in the House and boasting what he could prove, had not as much as a scrap of paper — quaint anticipation of a long-afterwards fatal phrase — to back him up’., has been reconstricted out of oral style into the verbal for all time with ritual rhythmics,フランスの人類学者マルセル・ジュスの本『言語心理学試論――音声原動力の発話スタイルのリズムと記憶術』。導入はこちら in quiritaryラテン語でquiritiumは、ローマ市民が有していた諸権利を意味する。quirisは「槍」を意味し、ローマの市民権が従軍の義務と結びついていたことを示す。 quietude, and toosammenstuckedドイツ語でzusammenstückelnは「(寄せ集めて)継ぎ合わせる」という意味。 from successive accounts by Noah Websterアメリカの標準英語のつづりを確立し、アメリカ初の英語辞書を刊行したノア・ウェブスター。ウェブスターの名を冠する辞書は今日でも広く利用されている。 in the redaction known as the Sayings Attributive of H. C. Earwicker, prize on schillings, postlotsロシア語でポシュロスト(пошлость)は「自己満足的な通俗性」「悪趣味」という意味で、英語のkitschと少し似ている。 free), the flaxen Gygasリュディアのギュゲス。ヘロドトスによると、前王のカンダウレスは自分の妻ニュッシアを世界で最も美しい女性だと豪語し、それを手下のギュゲスに証明しようとして、ギュゲスに臥所を覗き見するように命じる。しかし、ギュゲスに気付いたニュッシアはギュゲスに「カンダウレス王を殺すか、あるいは自分が死ぬか」という二択を突きつけた。こうしたギュゲスは夜に寝ているカンダウレスを暗殺し、リュディアの新王になった。プラトンの「ギュゲスの指輪」もこれに着想を得ているかもしれないが、ヘロドトスには指輪の記述はない。 tapped his chronometrum英語で「高精度の腕時計」を意味するchronometerが、ラテン語の第2変化名詞のように(ここでは対格形に)格変化している。 drumdrum and, now standing full erect, above the ambijacent「両方」や「二重」を意味する接頭辞ambi-を、「隣接した」を意味するadjacentに組み合わせた語。 floodplain, scene of its happening, with one Berlin gauntlet英語でgauntletは「(現代では執事や警官がつける)強い生地でできた手袋」。執事つながりで英語の慣用句「執事が見たもの」(what the butler saw)が連想されるとしたら、夜の営みの覗き見という含意もあるか。 chopstuck in the hough of his ellbogeCHEすなわちHCE。英語でchopsticksは「箸」。 (by ancientest signlore his gesture meaning: 8!) pointed at an angle of thirtytwo degrees『ユリシーズ』第5挿話「ライストリュゴネス族」でブルームが思い浮かべる自由落下の加速度「毎秒32フィート毎秒」(‘Thirtytwo feet per second per second’ )や、第12挿話「キュクロプス」の結末部でブルームが立ち去るときの描写「45度の角度で」(‘at an angle of forty-five degrees’)を彷彿とさせる。 towards his duc de Fer’sフランス語で「鉄の公爵」(Iron Duke)で、これはウェリントン公爵のあだ名。 overgrown milestoneフェニックス公園にあるウェリントン記念碑の愛称。 as fellow to his gage and after a rendypresent pauseフランス語でrendez presentは「プレゼントを贈る」の意。 averred with solemn emotion’s fireソロモン王(Solomon)の炎。旧約聖書「歴代志・下」7:1「ソロモンが祈り終ったとき、天から火が下って燔祭と犠牲を焼き、主の栄光が宮に満ちた」。: Shsh shake, co-comeraid! Me only, them five ones, he is equal combatHECつまりHCE。. I have won straight. Hence my nonation wide hotel and creamery establishmentsHCE。 which for the honours of our mewmew mutual daughters, credit me, I am woowoo willing to take my stand, sir, upon the monument, that sign of our ruru redemption「記念碑」(monument)の上に「私たちの〔罪を〕贖う印」(sign of our … redemption)すなわち十字架があるということで、チェス駒のキング。, any hygienic day to this hour and to make my hoath to my sinnfinnersシン・フェイン派。20世紀初頭には、アイルランドの独立を目指し、ときに過激な手段もいとわずに政治活動を行った。ジョイスは『ユリシーズ』第12挿話「キュクロプス」でシン・フェインのイデオロギーを痛烈に風刺している。, even if I get life for it, upon the Open Bible入会式をはじめ、フリーメイソンの儀式や催しにおいては聖書を開いた状態で祭壇の上に置くことが多い。 and before the Great Taskmaster’sミルトン「ソネット7番」の結びから、神のこと。 (I lift my hat!) and in the presence of the Deity Itself andwell of Bishop and Mrs Michanダブリン最古の教区教会「聖マイカン教会」は、1095年にヴァイキング(主にデンマークのカトリック教徒たち)によって建造され、後にヘンリー8世によってイギリス国教会へ改宗され、17世紀以降はアイルランド聖公会の教会になった。18世紀にはヘンデルが「メサイア」のアイルランド初演のリハーサルにこの教会を使ったと考えられている。 of High Church of EnglandHCE。「イギリス国教会」(Church of England)および「高教会派」(High Church)の合成。ハンフリーがイギリスの人間であることが示されている。 as of all such of said my immediate withdwellers and of every living soholeロンドンの芸術街ソーホー。ヘンリー8世が16世紀に都市を開発し、19世紀以降は芸術や娯楽で栄えた。 in every corner wheresoever of this globe in general which useth of my British to my backbone tongue and commutative justice匡正的正義(きょうせいてきせいぎ)のこと。アリストテレスの『ニコマコス倫理学』に端を発し、アクィナスへ受け継がれた。匡正的正義は個人間の損害賠償や不当利得などを裁く概念であるのに対して、分配的正義(distributive justice)は社会が各個人に対して公平であるかどうかを裁く概念。ただ、この区別は実は内容がないとする主張もある。 that there is not one tittle of truth, allow me to tell you, in that purest of fibfib fabrications言い損ないが連発される。HCEの罪悪感の印か。.
  Gaping Gill文字通りには「開かれたエラ」という意味であり、「お口あんぐりな魚男」を想像することもできる。イギリスのヨークシャー州北部にある同名の洞窟は、1999年まではイギリスで最も深い地下道だった。また、Gillを「ジル」と読めば、18世紀イギリス発祥の童謡‘Jack and Gill’も想起される。『マザー・グースの歌』に収められたバージョンでは、童謡の教訓として「死についてしっかり考える人ほど、優れた人生を送る」とある。, swift to mate errthorsジョナサン・スウィフトとエステル・ジョンソン。エステルの方は「誤る」(err)と「雷の神トール」(thor)の組み合わせ。, stern18世紀イギリスの作家ローレンス・スターン to checkself, (diagnosing through eustacetubeYoutube!?…は冗談として、耳を鼻や喉とつなげる「耳管」(Eustachian tube)のこと。1066年イギリスのヘイスティングズの戦いで征服者ウィリアムの側について戦ったブローニュ伯ウスタシュ2世も。 that it was to make with a markedly

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音声解説
postpuberal hypertituitary脳下垂体(pituitary gland)からのホルモン分泌過多のこと。英語でtitularは「実権を伴わない空虚な肩書き」という意味で、HCEの添え名やイギリス王位(裸の王様?)などが示唆されている。 type of Heidelberg mannleich「ホモ・ハイデルベルゲンシス」(ドイツ語ではHeidelbergmensch)が、ドイツ語で「死体」を意味するLeicheや「男性の」を意味するmännlichと組み合わさっている。 cavern ethics) luftedドイツ語でLuftは「空気」「風」「空」。ルフトハンザ航空の名前にも入っている。 his slopingforward, bad Sweatagoreベンガル地方の詩人でインドの国歌の作詞・英訳も行ったラビンドラナート・タゴール。キエフ大公国ルースの英雄(ボガティール)のスヴェタゴールも。後者の名前は「聖なる山」という意味。 good murroughダーモット・マクモロー。12世紀のレンスター州の王。当時の上王ロドリック・オコナーによって失墜させられた後、ヘンリー2世の力を借りようとして、アングロ゠ノルマン侵攻を引き起こした。 and dublnotchロシア語で「おやすみ」を意味するdobrie noche(ドブリェ・ノーチェ)が「ダブリン」とかかる。 on to it as he was greedly obliged, and like a sensible ham, with infinite tact in the delicate situation seen the touchy nature of its perilous theme, thanked um for guilders神聖ローマ帝国やオランダ帝国の昔の法定通貨「ギルダー」。グルテンやフロリンとも呼ばれる。 received and time of day (not a little token abockドイツの強い黒ビール「ボック」。ドイツ語でBockは「(ヤギ・ヒツジ・シカなどの)雄」、フランス語でbockは「(小ジョッキに入った)ビール」。 allthe same that that was owl the God’s clock it was) and, upon humble duty to greet his Tyskministerデンマーク語でtyskは「ドイツの」「ドイツ語(の)」。前ページのミルトン‘my great Task-Master’を踏まえれば、「神」も意味するか。 and he shall gildthegap Gaper北欧神話で天地創造の前に存在した混沌ギンヌンガガプ。「ギンヌンガの裂け目」とも呼ばれる。これを「金で埋める」(gild the gap)らしい。 and thee his a mouldy voids, went about his business, whoever it was, saluting corpses, as a metter of corseナポレオンの出生地コルシカ島(Corsica)。 (one could hound him out had one hart toシェイクスピア『十二夜』第1幕第1場より。「その瞬間、私は心臓高鳴る鹿となり/私の願望は残虐な猟犬のごとく/あれから私を追い駆け続けている」(‘That instant was I turn’d into a hart;/And my desires, like fell and cruel hounds,/E’er since pursue me’)。ここでは公爵がオリヴィアへの恋心を表現するために、心と牡鹿(heartとhart)で言葉遊びをしている。現代英語スタイルガイドの金字塔はHart’s Rules for the monticules of scalp and dandruff droppingsmonticuleは「小隆起」、dandruffは「ふけ」を意味する。ここで追われている何者かの頭から剥がれ落ちた皮やふけが小さな山をなしている。 blaze his trail) accompanied by his trusty snorler乞食や物乞いのことをイディッシュ語でschnorrerと言う。 and his permanent reflection verbigracious意味もなく同じフレーズを反復することを音誦症(verbigeration)と言う。; I have met with you, bird, too late, or if not, too worm and early早起きを奨励することわざ「早起きの鳥がミミズを得る」(the earlybird gets the worm)。: and with tag for ildiot「エリオット」(Eliot)の他に、ホメロスの『イーリアス』(The Iliad)や北欧語(デンマーク語やノルウェー語など)で「炎」を意味するildも。英語でtagは「鬼ごっこ」「(鬼ごっこの)鬼」「表示(タグ)」、idiotは「阿呆者」。デンマーク語でtak for ildenは「火をありがとう」。 in his secondmouth language repeated as many of the bigtimer’s verbaten words英語の「逐語的な言葉」(verbatim words)に、「禁止された」を意味するドイツ語verbotenが混ざっている。 which he could balbly紀元前1世紀のローマの政治家・軍人ルキウス・コルネリウス・バルブス call to memory that same kveldeve, ereノルウェー語でkvladは「夕方」。他にジョイスの母校Belvedereも。 the hour of the twattering of bards in the twitterlittertwitterやlitterに、「黎明」や「日没」を意味するtwilightが混ざっている。同時代のケルト復興運動(The Celtic Twilight)の作家たち(特にThe Celtic Twilightの著者であるイェイツ)に対するジョイス流のあてつけか。英語でlitterは「ごみ」なので、なかなか辛辣。ちなみに、現代であればSNSのX(旧称Twitter)への当てつけとしても読めそうか(TweetこそLitterだ!)。 between Druidia and the Deepsleep Sea「悪魔と深海の二者択一」(between the devil and the deep sea)ということわざを踏まえた表現。古代ケルトの僧侶ドルイドの女性形ドルイダス(Druidas)。, when suppertide and souvenir to Charlatan MallダブリンにはCharlemont MallやCharleville Mallがある。 jointly kem gently玄人ぞろいの分野に入門する新人のことをJohnny-come-latelyと言う。 and along the quiet darkenings of Grand and Royalダブリンの二大運河、グランド・カナルとロイヤル・カナル。, ff, flitmansfluh, and, kk, ’t crept i’ hedge whenas to many a softongue’s pawkytalk mude unswer u sufter poghyoghアイルランド語で「キス」を意味するPogueが、中英語や中期スコットランド語で用いられた文字「ヨッホ」(Ȝ)とかかる。ちなみに、ユニコードでは古代エジプト文字の「アレフ」のグリフの翻字としてヨッホが採用されたこともある(エジプト学の簡略記号に形が似ているため)。, Arvandaロッキー山脈で初めて金がみつかった地域であるコロラド州アーバダ always aquiassent, while, studying castelles in the blowneブラウン城(Castle Browne)は1718年にスティーヴン・ウィリアムズ・ブラウンによって再建された城。その後、イエズス会が買収し、クロンゴウズ学校を設立した。ジョイスも通ったエリート学校。『ユリシーズ』第7挿話「アイオロス」でレネハンが飛ばすオヤジギャグ‘the rows of cast steel’も。レネハンはアイルランドの作曲家マイケル・ウィリアム・バルフのオペラ『カスティールの薔薇』(The Rose of Castille)に、線路の一部である「鋳鋼の連なり」(rows of cast steel)をかけている。 and studding学校なので、勉強(study)している。他に、イギリスの宣教師でクリケット選手のチャールズ・スタッド cowshotsクリケットの技名。『ユリシーズ』第2挿話「ネストル」でスティーヴンが教鞭をとる私立学校では、ディージー校長が当時アイルランドの牛の間で流行していた口蹄疫の治療法について、新聞に意見書を投稿しようとする。 over the noranドーラン族のベリンダ。ノラ・バーナクルも。スコットランドの小川のノーラン川とスコットランド詩人のヘレン・クルックシャンク作詩の歌‘Up the Noran Water’()。, he spat in careful convertedness a musaic dispensation教会の戒律の遵守が貧困などの困窮につながる場合は、教会側から戒律の免除(dispensation)がされた。この箇所ではこれが「モーセの(Mosaic)免除」になっている。また、dispensationには「(神の摂理に基づく)時代」という意味もあるため、聖書の各時代がモザイク(mosaic)のように組み合わされているとも読める。 about his hearthstone北欧神話のトリックスター、ロキが刻まれた囲炉裏石。また、本書とは関係ないが、斜体が作品名を示唆するということで、オンラインゲームHearthstoneも思い浮かぶ。, if you please, (Irish saliva, mawshe dho holeアイルランド語でmá’s é do thoil éは「よろしければ」。, but would a respectable prominently connected fellow of Iro-European ascendances印欧(Indo-European)と愛欧(Irish-European)のプロテスタント・アセンダンシー。Iro-Europeanは「印欧」(Indo-European)とも「愛欧」(Irish-European)とも読める。アイルランドにおけるascendancyは、17世紀から20世紀初頭までカトリック教徒たちを支配したプロテスタントたち(あるいはその支配体制)を指す。 with welldressed ideas who knew the correct thing such as Mr Shallwesigh or Mr Shallwelaughシェイクスピア『ヴェニスの商人』第1幕第1場には「陽気な紳士両諸君、いつか遊びに行こうではないか。さあ、いつがよい?」(‘Good signiors both, when shall we laugh? Say, when?’)という台詞がある。1910年にオックスフォード大学のヘンリー・スコット・ホランド教授がエドワード7世の崩御に際して行った説教「死とは取るに足らないもの」の結びの言葉。 expectorate after such a callous fashion, no thank yous! when he had his belcher spuckertuckドイツ語でSpuckerは唾を吐く人のこと。この周辺は唾を吐くことへの言及が多い。 in his pucket, pthuck?) musefed with his thockits「思案」(thought)や「ソケット」(socket)に、「酒に酔って」(socked)や「茂み」(thickets)が混ざっている。 after having supped of the dish sot and pottage旧約聖書「創世記」25:29–34で、エサウはヤコブに一杯のレンズ豆の煮物(pottage)と引き換えに長子の特権を譲ってしまう。「ある日ヤコブが、あつものを煮ていた時、エサウは飢え疲れて野から帰ってきた。エサウはヤコブに言った、「わたしは飢え疲れた。お願いだ。赤いもの、その赤いものをわたしに食べさせてくれ」。彼が名をエドムと呼ばれたのはこのためである。ヤコブは言った、「まずあなたの長子の特権をわたしに売りなさい」。エサウは言った、「わたしは死にそうだ。長子の特権などわたしに何になろう」。ヤコブはまた言った、「まずわたしに誓いなさい」。彼は誓って長子の特権をヤコブに売った。そこでヤコブはパンとレンズ豆のあつものとをエサウに与えたので、彼は飲み食いして、立ち去った。このようにしてエサウは長子の特権を軽んじた」。mess of pottageはこの挿話に由来する慣用句で、「目先の利益」という意味。 which he snobbishly dabbed Peach Bombayインド第2の大都市ムンバイ(旧ボンベイ)。フランス料理のデザートPeach Bombé。 (it is rawly only Lukanpukan pilzenpie童謡‘Georgie Porgie’のパロディ。 which she knows which senaffed and piberedレト・ロマンス語でsenafは「からし種(マスタード)」、 pibeは「胡椒」。イエズスの「からし種の訓話」も響くか。 him), a supreme of excelling peasフランス料理の調理法suprêmeに、ラテン語で「高い」「優れた」を意味するexcelsusおよび英語で「〜より優れている」を意味するexcelが混ざり、その後に「豆」(peas)が置かれている。, balled under minnshogue’s第1子を生んだ後の雌ヤギをアイルランド語でminnseogと呼ぶ。 milk into whitemalt winesour, a proviant the littlebilker英語でbilkerは「キセルをする人」「騙し取る人」。 hoarsely relished「馬のように賞味した」(horsely relished)に「しわがれた」(hoarse)が混ざっているほか、「セイヨウワサビ」(horseradish)も示唆される。, chaff it英語でchaffは「穀類のもみ殻」。「ヤペテ」(Japheth)も響く。, in the snevel season, being as fain o’t as your rat wi’fennel; and on this celebrating

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音声解説
occasion of the happy escape, for a crowning of pot valiance酒に酔うことで発動する勇気。素面のときは臆病な人に使う。, this regional platter, benjamin of bouillisヤコブの末っ子で、2番目にお気に入りの息子ベニヤミン。ヨゼフを井戸に落としたベニヤミンはいじめの首謀者なので、フランス語で「肉料理」を意味するbouillisには英語の「いじめ」(bullies)も響く。ちなみにフランス語でbenjaminは「末っ子」を意味する一般名詞。, with a spolishSpanishとPolishの鞄語。「損なう」(spoil)も読み取れるかもしれない。 olive to middlepoint its zaynith「頂点」(zenith)と、ヘブライ語で「オリーブ」を意味するzayit(זַיִת)がかかる。オリーブの樹は聖書で頻繁に登場する。, was marrying itself (porkograsoイタリア語で「肥えた豚」(porco grasso)や、エスペラントで「豚の脂肪」(porcograso)。!) erebusquedギリシア神話で原初の冥界の神格化である神エレボス。「その前に街頭で音楽を演奏した」(ere busked)も響く。 very deluxiously with a bottle of Phenice-Bruerie ’981778年創業の醸造所Phoenix Brewery。1831年にはダニエル・オコンネルの息子(Daniel O’Connell Jr.)によって買収され、さらに1905年6月13日にはジョン・ダーシーによって買収された。「98年」は、1798年のアイルランド反乱の仄めかしか。, followed for second nuptials by a Piessporter「ピーズポーター」(Piesporter)は、ドイツ西部モーゼル川流域のピーズポート地域で作られる白ワインのこと。, Grand Curフランス語で de grand cruは「特級ワイン」を意味する。英語でcurは「軽蔑すべき人」「臆病者」という意味。, of both of which cherished tablelightsタブレット、すなわち石板。前ページのmusaic dispensationの注で触れたモーセも踏まえると、モーセの十戒。 (though humble the bounquetトマス・ムーアの詩に基づく歌‘Though Humble the Banquet’(「ささやかな宴でも」)。現代風のアレンジはこちら ’tis a leaman’s farewell古風な英語でlemanは恋人のこと。転じて、ALPからの別れの言葉。) he obdurately sniffed the cobwebcrusted corks.
  Our cad’s bit of strifeコックニー方言でtrouble and strifeは「妻」を意味する。 (knee Bareniece Maxweltonkneeを(「膝」ではなく)nee「旧姓」ととると、「旧姓ベアニース・マックスウェルトン」。Bereniceはヘロデ家とプトレマイオス家に頻繁に見られる名前で、例えばラシーヌの『ベレニス』ではパレスチナの女王として登場する。さらにはエドガー・アラン・ポーの短編「ベレニス」も。Maxweltonの方は、スコットランドの地区(現Dumfries、「ハンフリー」と響く)で、スコットランド民謡‘Annie Laurie’にも登場する(これも作者はDumfries出身)。) with a quick ear for spittoons英語でspittoonは「唾壺」。他に、「唾(を吐くこと)」(spit)と「風刺」(lampoon)の鞄語としても読める。 (as the aftertale hath it) glaned upアイルランド語でglaneは「洗う」「掃除する」。 as usual with dumbestic「家庭の」(domestic)に「話さない」(dumb)と「獣」(beast)が混ざる。 husbandry (no persicks and armeliansレト・ロマンス語でpersicは「桃」、ラテン語でpresicumは「桃」。 for thee, Pomeranzia!ドイツ語でPomeranzeは「ダイダイ」(苦いオレンジ)のこと。バルト海に面するポメラニア地方) but, slipping the clav in her clawslip the calfは「堕胎」を意味する牧畜用語。clavはレト・ロマンス語で「鍵」。文字の形を考えると、clavはclawにおさまる。, broke of the matter among a hundred and elevenヘブライ語の数秘術(ゲマトリア)では、Aleph(א)は1、Lamed(ל)は30、Pe(פ)は80なので、ALPすべて足し合わせると111になる。ちなみに、ゲマトリアでは各文字の数字を足し合わせ、同じ合計になる単語どうしを同質とみなす。 others in her usual curtseyやや深読みだが、1930年に不完全性定理を発表したクルト・ゲーデル(Kurt Gödel)。 (how faint these first vhespers「夕闇の祈り」(vespers)に宵の明星の神「ヘスペロス」や「ささやき」(whispers)がかかる。 womanly are, a secret pispigliandoイタリア語でbisbigliandoは「ささやく」、pigliandoは「つかむ」。, amadレト・ロマンス語でamadaは「愛する」。 the lavurdy den of their manfolkerthe lavatory den of their man folkと読み替えれば、「男性トイレ」。レト・ロマンス語でlavurdiは「平日」を意味することを踏まえると、「男たちが平日にたむろする場所」とも読める。!) the next night nudge one as was Hegesippusキリスト教の年代記を書いたナザレの聖ヘゲシッポス。古代ギリシアの政治家にして弁論家のヘゲシッポス。「アロニソス島について」という演説が、誤ってデモステネス作だと思われているらしい。 over a hup a’ chee「お茶を一杯」(a cup of tea)と読めるが、‘h’, ‘c’, ‘e’が含まれている。, her eys dry古風な英語でeyは「島」「卵」。 and small and speech thicklish because he appeared a funny colour like he couldn’t stood they old hens no longer『ハックルベリー・フィンの冒険』第1章で、ワトソン先生の授業がいかにつまらないかを語る箇所(‘I couldn’t stood it much longer’)より。, to her particular reverend, the director, whom she had been meaning in her mind primarily to speak with (hosch, intra!レト・ロマンス語でhoschaは「入って!」、intrarは「入る」。英語のenterも響く。 jist a timblespoon!) trusting, between cuppled lips格言‘there’s many a slip ’twixt the cup and the lip’(意味としては「勝って兜の緒を締めよ」と似ている)。 and annie lawrie promisesALP。民謡‘Annie Laurie’()。 (mighshe never have Esnekerryウィックロー県のエニスケリー村。アイルランド語名Áth na Scairbheは「荒れた川を渡るための浅瀬」という意味。 pudden come女性器をスラングでpudendumと呼ぶ。 HunanovHunanは中国の「湖南(省)」を指すほか、アルメニア語で男性につけられる名前(Hunanovは単数具格形)。 for her pecklapitschensレト・ロマンス語でpechやpieckは「乳房」、pitschenは「小さい」。!) that the gossiple「噂」(gossip)と「福音」(gospel)の鞄語。 so delivered in his epistolear英語のepistleは、一般名詞としては「手紙」、固有名詞としては新約聖書中の「使徒書簡」を意味する。シェイクスピアの『リア王』(King Lear)がかかる。, buried teatoastally断酒・禁酒をしている人をteetotalerと呼ぶ。「茶」(tea)と「トースト」(toast)が含まれている。 in their Irish stew would go no further than his jesuit’s cloth, yet (in vinars venitas!ラテン語の格言in vino veritasで「酒が真相を引き出す」。プラトン『法』やその後のガイウス・プリニウス・セクンドゥスが典拠。ただし、vinarsはレト・ロマンス語でブランデーのこと。Venite Adoremusも響くか。 volatiles valetotumラテン語でvanitas vanitatumは「虚栄心の中の虚栄心」だが、volatilisは「飛ぶこと」、valeは「さらば」の意味であり、「さっそうと飛び去る」のような意味か。英語の「下僕」(valet)や「トーテム」(totem)も響く。!) it was this overspoiled priest Mr Browne聖スティーヴン・フィッツウィリアム・ブラウンは、クロンゴウズ学校の前身ブラウン城を建てた。, disguised as a vincentianフランスの神父、聖ヴァンサン・ド・ポール(Saint Vincent de Paul、略してSVP)が設立した「ヴィンセンシオの宣教会」の会員。今でもアイルランドには同団体が経営するチャリティショップがある。シェイクスピアの『尺には尺を』で、主人公のヴィンセンシオ公爵は修道士に変装し、代理公爵のアンジェロがしっかりウィーンを統治しているかどうか監視する。, who, when seized of the facts, was overheard, in his secondary personality as a Nolanジョルダーノ・ブルーノ(Bruno of Nola)に加え、出版社ブラウン&ノーラン(Browne & Nolan)とも読める。同社は1920年代にはアイルランドの小学校の教科書も刊行していた。スコットランドの小川River Noranとも響く。 and underreared, poul soul英語の音としてはpoor old soulが近いが、「聖パウロ」とその旧名「サウロ」も響く。, by accident — if, that is, the incident it was an accident for here the ruahヘブライ語でruachは「息吹」「(葡萄)酒」。アイルランド語でruaは「赤髪」。 of Ecclectiastes of Hippo旧約聖書「伝道の書」(Ecclesiastes)が、聖アウグスティヌスの教区「ヒッポ」とかかる。古代ギリシア語でἐκλεκτοίは「選ばれし民」。ジョイスのミドルネームのひとつはAugustine。 outpuffs the writress古風な英語でwritressは「女流作家」。他に、write(あるいはwritten)とwitnessの鞄語ならば「書かれた証言」。また、ALPのモデルのひとりであるリヴィア・ズヴェヴォの長いちぢれ髪(tresses)も連想できる。 of Havvah-ban-Annah1920年代にアメリカでバナナが穀物病によって不足したときにヒットした歌‘Yes! we have no bananas!’。Havvahはヘブライ語でイヴの名前。Annahは聖母マリアの母親の名前。mBanはアイルランド語で「女性」(これをヘブライ語で「~の息子」を意味するbenにかけたと思われる)。よって、「イヴ、アンナの娘」という意味。 — to pianissime a slightly varied version of Crookedribsミルトン『失楽園』でアダムがイヴについて嘆くシーン。キリスト教の女性蔑視がよく表れた一節。「筋の通った徳ではなく、ただの脇腹/元来いびつで、今はひんまがって見える」(‘Rather then solid vertu, all but a Rib/Crooked by nature, bent, as now appears’)。 confidentials, (what Mère Aloyse said but for Jesuphine’s sake!フランス語でMère l’Oyeは「マザーグース」であり(oyeは「雁」意味するoieの古形で、英語だとgoose)、イギリスの童謡集を想起させる。Marie LouiseとJosephineはナポレオンの妻たち。ジェイムズ・ジョイスのミドルネームのひとつAloysiusや、ジョセフィーヌ叔母さんも。) hands between hahands, in fealty sworn英語でfealtyは「(領主・君主に対する)忠誠(の誓い)」の意。誓い示される際には領主が両手で下僕の手をもつことが多い。 (my bravor best! my fraur!誓いの言葉。英語で「最愛の兄弟(修道士)よ」(my best brother)、ドイツ語で「我が女よ」(meine Frau)と読める。『ユリシーズ』第9挿話「スキュレとカリュブデス」のベスト・ベッドのジョークも彷彿とさせる。この挿話では、シェイクスピアが遺言で妻のアン・ハサウェイに「二番目に上等なベッド」を残したことを、20世紀アイルランドの男性批評家たちが「一番上等なベッドは誰に遺したんだろうね!」という大意で卑猥なジョークのネタにしている。実際には、一番上等なベッドは家主の地位を象徴する装飾品として未使用で置いておく風習が当時はあっただけのことで、シェイクスピアに秘密の愛人がいたわけではない。) and, to the strains of The Secret of Her Birthウィリアム・バルフ『ボヘミアの娘』に出てくる同名の歌, hushly pierce the rubiend aurellum本章p.44に登場するパース・オライリーへの伏線。聖母マリアは耳から受精したという都市伝説(conceptio per aurem)の仄めかしも。ローマ皇帝マルクス・アウレリウスも響くか。 of one Philly Thurnstonアイルランド系イギリス人作家のアーネスト・サーストン。18歳の頃にThe Apple of Edenという本を書いた。妻のキャサリン・サーストンも小説家。また、メスの幼馬をfillyと呼ぶ。, a layteacher of rural science and orthophonethics文字が発音に合致する文字群を「音素的正書法」(phonemic orthography)と呼ぶ。そこへ「倫理」(ethics)が組み合わさる。 of a nearstout figure and about the middle

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音声解説
of his forties during a priestly flutter for safe and sane bets at the hippic「馬」(hippo)の形容詞形。アウグスティヌスの教区Hippoともかかっているか。「伝説的な」(epic)も響く。 runfields直前の‘hippic’および直後の‘Baldoyle’を踏まえると、競馬場のこと。 of breezy Baldoyleダブリンの北側の海岸沿いの地区。競馬場があったが、1972年に閉鎖された。開場当時(1850年頃)、この競馬場はホウス伯爵が所有していた。 on a date (W. W. goes through the cardW. W.はウォーターフォード県出身の騎手ウィニー・ウィジャーを指すか。1895年イギリス・グランド・ナショナル杯を制した。John GordonのFinnegans Wake: A Plot Summaryによると、ウェリントン公爵との対比も面白い。兄弟には騎手のトマス・ウィジャーも。) easily capable of rememberance by all pickersup of events nationalアイルランド・グランド・ナショナル杯のこと。過去の勝ち馬リストはこちら。ただ、以下の名前を見る限り、おそらく参照先はイギリスの本家グランド・ナショナル杯だと思われる。その勝ち馬リストはこちら and Dublin details, the doubles of Perkin and Paullockカストルとポルックス。聖ペトロと聖パウロ。6月29日にこの2人を記念した祝祭がある。地質学者で「人新世」概念の先駆者としても知られるジョージ・パーキンス・マーシ。メアリー・シェリーの小説The Fortunes of Perkin Warbeckも。, peer and proleイギリス貴族のメンバーpeerと、プロレタリアートの一員prole。, when the classic Encourage Hackney PlateCEH、HCE。 was captured by two noses in a stablecloth finish「テーブルクロス・フィニッシュ」は、競輪において、ゴールがカーブの近くに設定されるという危険なコース状態を指す。これが英語の「馬屋」(stable)にかけられている。 ek and nek「紙一重の差で」(neck and neck)が、ヴォラピュクで‘some and none’を意味する‘ek and nek’にかかる。, some and none, evelo neveloヴォラピュクで‘ever never’。フランス語でvéloは「自転車」。, from the cream colt Bold Boy Cromwell17世紀イギリスの侵略者オリヴァー・クロムウェル。アイルランドでカトリックへの圧政を敷き、1652年アイルランド入植法によってプロテスタントによる支配体制を確立した。 after a clever getaway by Captain Chaplain Blount’sマウントジョイ公チャールズ・ブラウント男爵 roe hinny Saint Daloughダブリン郊外のラヒーニー地区(Raheny)、ラヒーニーにある小さな村Saint Doolagh。roeは「魚の卵」、hinnyは「駃騠」(雄馬と雌ロバから生まれた交配種)。, Drummer Coxon17世紀カリブ海の大海賊ジョン・コクソンか。当時の海賊はバッカニアと呼ばれていたが、この言葉の語源には「入植者」という意味もある。, nondepict third, at breakneck odds, thanks to you great little, bonny little, portey little, Winny Widgerウォーターフォード県出身の騎手ウィニー・ウィジャー。1895年イギリス・グランド・ナショナル杯を制した。John GordonのFinnegans Wake: A Plot Summaryによると、ウェリントン公爵との対比も面白い。兄弟には騎手のトマス・ウィジャーも。! you’re all their nappies英語の形容詞nappyには「(馬が)扱いにくい」という意味がある。ここでは、この意味のnappyが名詞化していると考えられる。他に、英語スラングでall their daddiesは「抜きん出たもの」「突出したもの」、nappyは「強い酒」。『ユリシーズ』第7挿話「アイオロス」でマイルズ・クロフォードが新聞記者イグネイシャス・ギャラハーのキャリアを称賛して口にする言葉でもある。「あれこそが報道。あれこそが才能。パイアット! あいつこそ凄腕の中の凄腕だよ!」(‘That’s press. That’s talent. Pyatt! He was all their daddies!’)。! who in his neverrip英語の‘never r.i.p.’から、「不死」という響きもあるか。 mud and purpular cap was surely leagues unlike any other phantomweight「バンタム級(の)」(bantamweight)と「幻影」(phantom)の鞄語。 that ever toppitt17世紀〜18世紀イギリスの首相・政治家ウィリアム・ピット。アイルランドを正式にイギリスへ併合する合同法を1800年に可決させた(施行は翌年の1801年)。ピットは合同法によってイギリスとアイルランドの間に平和がもたらされると信じていたが、その読みは大きく外れ、19世紀から20世紀にかけてアイルランドでは合同体制をめぐって多くの反乱や運動が巻き起こった。 our timber maggiesNick, Mick, and the MaggiesとIssy。.
  ’Twas two pisononse Timcovesアイルランドの移動型民族Tinkers名称の由来はtin+coves(covesは「入江」ではなく「やつ(ら)」の意)。ジョイスの草稿では単に「2つのねぐら」(two coves)という意味だった可能性が高い。 (the wetter is pest, the renns are overt and come and the voax of the turfur is hurled on our lande旧約聖書「雅歌」2:11–12より。「見よ、冬は過ぎ、雨もやんで、すでに去り、もろもろの花は地にあらわれ、鳥のさえずる時がきた。山ばとの声がわれわれの地に聞える」。英語訳は以下のとおり。‘For behold, the winter is past; the rain is over and gone. The flowers appear on the earth, the time of singing has come, and the voice of the turtledove is heard in our land’.) of the name of Treacle Tomブリストルの通称Treacle Town。1172年にヘンリー2世はダブリンをブリストル市民の所有下に置いた。伝統曲‘My Grandfather’s Clock’(「おじいさんの時計」)のジョージ・フォーンビー・Jr.版)。フォーンビーは芸名で、本名はジェームズ・ブース。このバージョンでは、歌詞の中にTreace Tummyが出てくる。ここでも、死んだおじいさんが再び起き上がる。HCEの持っている時計はWaterbury Watch。さらにはトム・ソーヤーも響くか? as was just out of popスラングで「刑務所から出る」という意味。 following the theft of a leg of Kehoe, Donnelly and Packenham’s Finnish porkダブリンのハム職人Kehoe, Donnelly, and Pakenhamから。Finnish porkは「フィンランドの豚肉」とも読めるが「フェニックス公園」も響く。 and his own blood and milk brother Frisky Shortyオウン・マクニール『ケルトのアイルランド』(Celtic Ireland, 1921)p.55より。‘Lugaid Cichech … reared the two sons of Crimthann, Aed and Laegaire, on his breasts. It was new milk he gave from his breast to Laegaire, and blood he gave to Aed. Each of them took after his nurture, the race of Aed being marked by fierceness in arms, the race of Laegaire by thrift’. ここでの blood brotherは「血のつながった兄弟」とも「血はつながっていないが、互いに忠誠を誓った盟友たち」とも取れる。milk brotherは「同じ母親のお乳で育った男の子たち」という意味。Frisky Shortyはダブリンのキセル常習犯によく使われる通称で、例えば1922年11月18日のIrish Times紙には以下のような記述がある。‘Literary Vagabonds: stealing free rides on freight trains with kindred knights of the road known as “Boston Slim” and “Frisky Shorty”’., (he was, to be exquisitely punctilious about them, both shorty and frisky) a tipster機密情報を扱う情報屋のこと。, come off the hulks19世紀の劇作家チャールズ・セルビーのBoots at the Swan, p.17のセリフ‘Hush! I am a convict escaped from the hulks’., both of them awful poor, what was out on the bumaround for an oofbirdフランス語でœufは「卵」。oufは「ふう!」という擬音語。アジサシのことを昔はegg-birdと呼んだ。英語のスラングでoofは「お金」「現なま」。 game for a jimmy o’goblinコックニー方言で1ポンド金貨のこと。 or a small thick un「小さい1ポンド金貨」すなわち1シリング銀貨のこと。 as chanced, while the Seaforthsイギリス軍戦列歩兵隊「シーフォース・ハイランダーズ」。スコットランド北部の広大な高原地帯から選りすぐりのハイランド人を招集した。1904年6月16日にトリニティ・カレッジで‘My Girl’s a Yorkshire Girl’を演奏し、これを『ユリシーズ』第10挿話「さまよう岩々」の終盤でアイルランド総督が耳にする。 was making the colleenbawlアイルランド語でcolleen bawnは「かわいい少女」。ディオン・ブーシコーのヒット作The Colleen Bawn: Or, the Brides of Garryowenも。ブーシコーの劇が題材としたのは1819年に亡くなった少女エレン・ハンリー, to ear the passon in the motor clobber make use of his law language (Edzo, Edzo on)エスペラントでedzoは「夫」。そこへ英語の「などなど」(and so on)がかかる。「江戸」時代や「蝦夷(えぞ、えみし)」の民も響く。, touchin the case of Mr Adams初めて日本に渡った英国人航海士のウィリアム・アダムズには、Edzo, Edzo onの注で触れた江戸や蝦夷とのつながりがなくもない。あるいは、ジョイス家とつながりがあったコーク生まれの新聞記者リチャード・アダムズか。この人物は、『ユリシーズ』第7挿話「アイオロス」で、フェニックス公園殺人事件との関連で言及される。実際にアダムズは容疑者側の人間のために法廷で弁護士を務めたりもした。 what was in all the sundays about it which he was rubbing noses with and having a gurgle off his own along of the butty bloke19世紀アイルランドで「自治連盟」(Home Rule League)を立ち上げた政治家・活動家のアイザック・バット(Isaac Butt) in the specs.
  This Treacle Tom to whom reference has been made had been absent from his usual wild and woolly haunts in the land of counties capalleensイェイツ『キャスリーン伯爵夫人』および『キャスリーン・二・フーリハン』。飢饉のときに、悪魔と取引をして平民を救ったキャスリーンの物語。自己犠牲によって国を救う女性は、アイルランドの象徴として度々現れる。イェイツもその伝統に属していた。 for some time previous to that (he was, in fact, in the habit of frequenting common lodginghouses where he slept in a nude state, hailfellow with methhail-fellow-well-metで「不適切なほど馴れ馴れしい」。そこへ、古代ギリシア語で「酩酊」「強い酒」を意味するμέθηや、同名の古代ギリシア神話の酩酊の神「メテ」がかかっている。, in strange men’s cots) but on racenight, blotto after divers tots of hell fireヘルファイアー・クラブ。1725年にアイルランド議員のウィリアム・コノリーが狩りのための山小屋として建造し、10年後にリチャード・パーソンズがクラブに変えた。パーソンズは黒魔術を信じており、クラブでも泥酔やその他の不徳行為が日常茶飯事だった。クラブにまつわる怪談は色々とある。ヘルファイアー・クラブは1740年に解散したが、建物はその後火事に遭っている。現代作家では、ミア・ギャラハーが現代ダブリンを舞台に『ヘルファイアー』Hellfire)という長編小説を12年かけて書いてもいる。, red biddy赤ワインにメタノールを混ぜて作る飲み物。ドーラン族のベリンダは愛称がBiddy Doran。, bull dog, blue ruin安くて劣悪なジンの通称。 and creeping jenny, Eglandine’s choicest herbage,ECH。スイスのエンガディン地方ではレト・ロマンス語が話されている。eglantineはローズヒップ・ワインの材料に使われる野性の薔薇。 supplied by the Duck and Doggies18世紀ダブリンの酒場Duck and Dog。「別れの一杯」という意味のアイルランド英語deoch an dorais。, the Galopping Primrose, Brigid Brewster’sアイルランドの守護聖人、聖ブリジッドは、癩(らい)病患者のために風呂桶の水をビールに変えたと言われている。, the Cock18世紀ダブリンの酒場。, the Postboy’s Horn,「郵便配達少年ショーン」(the post boy Shaun)。イギリスの宿屋The Postboy。

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音声解説
the Little Old Man’s最後に収穫された麦の穂のことをthe little old manと呼ぶ。 and All Swell That Aimswellシェイクスピア『終わりよければ全てよし』(All’s Well That Ends Well)。, the Cup and the Stirrup狩りの前に飲む酒をstirrup cupと呼ぶ。, he sought his wellwarmed leababobedアイルランド語でleabaは「ベッド」。 in a housingroom Abide With Oneanother19世紀スコットランドの聖歌‘Abide with Me’()。 at Block W.W.ウォーターフォード県出身の騎手ウィニー・ウィジャー。1895年イギリス・グランド・ナショナル杯を制した。John GordonのFinnegans Wake: A Plot Summaryによると、ウェリントン公爵との対比も面白い。兄弟には騎手のトーマス・ウィジャーも。, (why didn’t he back it?) Pump Courtロンドンのパンプ・コートの周辺には、法廷弁護士事務所が屹立している。ただ、ダブリンのリバティーズにもパンプ・アレーという名前の通りがあるので、そちらの可能性も。, The Libertiesダブリン市内の地区。かつてはダブリン行政区の壁の外に位置していた。20世紀半ばまで、ひたすら貧しい地区であり続けた。ちなみに、ここでのlibertyは「自由」という意味ではなく、「国王から民間へ権利が委譲された行政区」という意味。そのため、Libertiesはそうした行政区が集まった地域という意味を持つ。, and, what with moltapukeヴォラピュクでmotapükは「母語」。イタリア語でmolto piùは「さらにたくさん」。 on voltapukeジョイスがダブリンに作った映画館「ヴォルタ座」(Volta)と「ヴォラピュク」(Volapuk)の合成。イタリア語でuna volta di piuは「もう一回」。, resnored alcoh alcoho alcoherently to the burden of I come, my horse delayed1862年の戯曲『キラーニーの百合』の挿入歌‘The Moon Has Raised Her Lamp Above’の歌詞()。, nom num, the substance of the tale of the evangelical bussybozzy18世紀イギリスの大御所作家サミュエル・ジョンソンは、自分の伝記を書いていたリチャード・ボズウェルをBozzyと呼んでいた。ボズウェルは口が軽かった。 and the rusinurbean都市内に田園風景を模造したものをrus-in-urbeと呼ぶ。スペイン語で小夜啼鳥(ナイチンゲール)のことをruiseñorと言う。 (the ‘girls’ he would keep calling them for the collarette and skirt, the sunbonnet and carnation) in parts (it seemed he was before the eyots of martas古風な英語でeyotは「小島」なので、マルタ諸島とも読める。ユリウス・カエサルが殺された3月15日(Ides of March)も。 or otherwales the thirds of fossilyearsウェールズ燧石銃連隊(The Royal Welch Fusiliers)の3人の兵士。, he having beham with katyaHCE家の女中Kate。 when lavinias古代ローマ神話『アエネーイス』に登場するラティウム国の王女ラウィーニア。多くの求婚者に言い寄られ、最終的にはトゥルヌス王と婚約するが、父のラティウス王はアエネーアースとラウィーニアの結婚を画策した。ロマンシュ語やハンガリー語でlavinaは「雪崩」。 had her mens lease to sea in a psumpship doodly show人形劇‘Punch and Judy’。英語スラングでpump shipは「小便をする」。英語でdoodleは「落書きをする」。小便で落書きをしているらしい。 whereat he was looking for fight niggers英語でniggerは黒人に対する差別語。直後のwhildeをwhite「白」と読むと、黒と白の対比がある。 with whilde roarses「野薔薇」(wild roses)や「白馬」(white horses)に「耳障りな」(hoarse)、「吠え声」(roars)、「尻」(arse)などが混ざる。他に、オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)と、ワイルドの親友にして愛人のロバート・ロス(Robert Ross)、そしてワイルドの作品『WH氏の肖像』(The Portrait of Mr. W. H.も。) oft in the chilly nightトマス・ムーアの詩‘Oft, in the Stilly Night’()。 (the metagonistic古代ギリシア語でμετάγνωσιςは「心変わり」「目的の変化」「償い」を意味する。英語でagnosticは「不可知論的」、gnosticは「グノーシス主義的」。! the epickthalamorous結婚式で歌う聖歌をepithalamiumと呼ぶ。英語でepicは「神話級の」「叙事詩」、amorousは「情愛に満ちた」。!) during uneasy slumber in their hearings of a small and stonybroke cashdraper’s executive, Peter CloranKKKのハンドブックKloran。初版は1915年頃に刊行された。先述の‘fight niggers with whilde roarses’からも、黒人や黒人と白人の混血人などへの攻撃が示唆されている。 (discharged), O’Mara, an exprivate secretary of no fixed abode (locally known as Mildew Lisaワーグナー『トリスタンとイゾルデ』のイゾルデの歌「愛の死」の歌詞、‘mild und leise’(softly and gently、)。ダ・ヴィンチのモナリザも響くか。), who had passed several nights, funnish enough, in a doorway under the blankets of homelessness on the bunk of icelandアイスランド銀行、アイルランド銀行。, pillowed upon the stone of destinyミーズ県のタラの丘にある運命の石(Lia Fáil) colder than man’s knee or woman’s breast, and Hosty,本章の終盤で「パース・オライリーのバラッド」を歌うことになる謡い手。英語でhostileは「敵対的」、ドイツ語でHostieは「聖体」。また、ラテン語でhostisは「よそ者」「敵」の意。19世紀イタリアの作曲家フランチェスコ・パオロ・トスティも響く。『ユリシーズ』第12挿話のクライマックスにも出てくるメルカダンテは、トスティの師匠だった。 (no slouch of a name『ハックルベリー・フィンの冒険』第17章で、ハックが夜中に小屋へ忍び込み、偽名(ジョージ・ジャクソン)を綴るシーンより。), an illstarred beachbusker, who, sans rootie and sans scrapieフランス語でsansは「〜なしに」。英語スラングでrootieは「パン」、scrapeは「バター」。, suspicioning as how he was setting on a twoodstool「キノコ」(toadstool)と「ツイード」(tweed)の鞄語。 on the verge of selfabyss, most starved, with melancholia over everything in general, (night birman, you served him with natigal’s nanoドイツ語のNachatigall、デンマーク語のnattergalはいずれも「小夜啼鳥(ナイチンゲール)」を意味する。また、イタリア語でnanoは「小人」、ビルマ語でနွားနို့(/nwáno̰/)は「牛乳」の意。ミャンマーのナッ(နတ်‌、/naʔ/)信仰も。!) had been towhead tossing on his shakedown, devising ways and manners of means, of what he loved to ifidalicence‘if he had a licence’の縮約形か。 somehow or other in the nation getting a hold of some chap’s parabellum第1次世界大戦で戦闘機に搭載されたドイツ製機関銃Parabellum MG14。ちなみに、映画『紅の豚』でポルコは飛行艇にシュパンダウ機関銃を搭載しているが、パラベラムMG14はこれの改良型。 in the hope of taking a wingアイルランド英語でwingは旧貨幣制度におけるペニーのこと。例えば『ユリシーズ』第14挿話の終盤では、「金出しな。2シリング1ペンス」(‘Out with the oof. Two bar and a wing’)という形で用例が確認できる。 sociable and lighting upon a sidewheel dive somewhere off the Dullkey Downlairy and Bleakrooky tramalineダブリン郊外のドーキー(Dalkey)からダン・レアリー(Dún Laoghaire)を経由してブラックロック(Blackrock)まで続く路面電車。童謡の‘Daffy Down Dilly’も仄めかされる。 where he could throw true and go and blow the sibicidal napper off himself for two bits to boldywell baltitude「至福」(beatitude)は、固有名詞としてはキリストが山上の垂訓中で説いた8種類の幸福な人間を意味する(「マタイによる福音書」5:3–11)。 in the peace and quitybus of a one sure shot bottle, he after having being trying all he knew with the lady’s help of Madam Gristle忍耐と忠誠を基調とする良妻グリセルダ。チョーサーの『カンタベリー物語』やボッカッチョの『デカメロン』をはじめ、様々な民話や文学作品に登場する。また、17世紀半ばにイングランドに生まれアイルランドで育ったグリゼル・スティーヴンズ(Grizell Steevens)は、内科医だった父リチャードの遺産でダブリンにスティーヴンズ病院を建てその運営に携わった。 for upwards of eighteen calanders to get out of Sir Patrick Dun’s1808年開院のダブリンの聖パトリック・ダン病院。, through Sir Humphrey Jervis’sジャーヴィス通り病院。17世紀ダブリン市長のハンフリー・ジャーヴィス。 and into the Saint Kevin’s bed7世紀アイルランドの修道士でグレンダロッホの創設者の聖ケヴィンと、グレンダロッホの近くにある人工洞窟のこと。聖ケヴィンはこの洞窟内のドルメンの上で寝たと言われている。ちなみに、ケヴィンに関しては同時代の史料が皆無であるため、あまり多くのことは知られていない。 in the Adelaide’s hosspittles1839年開院のダブリンのアデレード病院。同名のイギリス女王にちなんで名づけられた。 (from

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音声解説
these incurable welleslays18世紀アイルランドの初代モーニントン男爵リチャード・ウェズリー。当時の慈善団体「ダブリン慈善音楽家協会」の幹部を務めた。同団体は病院設立のための資金集めを行い、1744年にダブリンの「癩人の丘」(Lazar’s Hill)に「不治患者専用病院」(Hospital for the Incurables)を創設した。なおlazarという言葉は現在ではleperと同様に差別的であるため使われなくなっており、Lazar’s Hillも現在ではTemple Streetに改名されている。 among those uncarable wellasdays through Sant Iago by his cocklehatサンティアゴの巡礼路では、巡礼者が帽子にザル貝の貝殻をあしらった。シェイクスピア『オセロ』の敵役イアーゴ。同『ハムレット』でオフィーリアが、殺されたポローニアスと亡命したハムレットを思って歌う歌にもこの帽子が登場する。歌の分析はこちら, good Lazarキリストによって蘇生されたラザロ。英語でlazar houseはハンセン病患者のための病院のこと。なお、英語でlazarはleperと同じく「不治の病を患った患者」特に「癩病患者」という意味だが、日本語の「癩病」という言葉と同じく、現在では差別的であるとして使われなくなってきている。, deliver us!) without after having been able to jerrywangleDaily Sketch紙に掲載された漫画に登場するゾウのウージャの甥のジェリーワングル。シェムとショーンの化身であるジェリーとケヴィン。英語スラングでwangleは「外道なやり方で何かをする」。 it anysides. Lisa O’Deavis直前のLazarとのつながりで、イギリスの民謡‘Dives and Lazarus’()およびその題材となった「ルカによる福音書」16:19–31でイエスが語ったたとえ話。ラテン語で金持ちを意味するdivesが英語圏では名前として誤植されたため、Dives and Lazarusと呼ばれるようになった。他に、青年アイルランド運動のトマス・オズボーン・デイヴィスも。Lisaは先述のMildew Lisaとつながる他、Eliabethの省略形か。だとすると、エリザベス1世。 and Roche Monganジェームズ・クラレンス・マンガン。ジョイスはマンガンについて批評を書き、1902年にUCDで演説を行った。アイルランドの伝説の英雄Monganも。Monganはアイルランド語で「毛むくじゃらの野獣」という意味で、フィンの子どもの名前でもある。Roche MonganはRock Mountainとも響くが、これはアメリカのジョージア州でKKK発祥の地でもある。先述のPeter Cloranの別名でもあり、KKKつながりが色濃い。 (who had so much incommon, epipsychidicallyパーシー・シェリーの詩Epipsychidion。現代ギリシア語で「小さな魂について」という意味。; if the phrase be permitted hostis et odor insuper petroperfractusラテン語で「無力な雄羊(あるいは、ひび割れた岩)の上にいる敵と臭気」という意味(petroは「老雄羊」、petraは「岩」、fractusは「割れた」あるいは「無力な」)。petroには聖ペテロも響く。) as an understood thing slept their sleep of the swimborne in the one sweet undulant mother19世紀イギリスのデカダンス運動の詩人のアルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン。SMや背徳・背信をモチーフに詩を書いた。『レオノイスのトリストラム』も。「レオノイス」はトリストラム出生の伝説の土地。‘The Trimph of Time’の一節‘I will go back to the great sweet mother’は、『ユリシーズ』の第1挿話「テレマコス」でマリガンが引用している。 of tumblerbunks with Hosty just how the shavers in the shawアイルランドの作家・詩人のジョージ・バーナード・ショー。shaverはスラングで「道化」。ショーは道化じみた人だった。他にshawには「木立」という意味もある。森の中に道化たちが隠れている、ということか。 the yokels in the yoatsイェイツ(Yeats)。英語でyokelは「田舎者」をあらわす侮蔑語、古風な英語でyoatは動詞yetの別綴りで「流れ出る」「あふれ出す」という意味。他に、yokelsには氷河の決壊によって生じる大洪水を意味するアイスランド語のjökulhlaupも響くか。 or, well,ジョージ・オーウェル(Orwell)。 the wasters in the wildeオスカー・ワイルド。荒地。waste関連では、ショーが言ったとされる箴言‘Youth is wasted on the young’や、ワイルドの‘Irony is wasted on the stupid’という言葉も。また、ワイルドの詩‘Wasted Days’。watersが響くとしたら、洪水の水がワイルドの荒地へ流れてきたということか。, and the bustling tweeny-dawn-of-all-works料理人と家政婦の間をとりもつ給仕係をtweeny(betweenから)と呼ぶ。そこへ「なんでも屋さんの給仕係」を意味するmaid-of-all-workがかかる。 (meed of anthems here we pant!「アテナイの蜂蜜酒」(mead of Athens)や、バイロンの詩‘Maid of Athens, Ere We Part’。現代ギリシア語でάνθηは「花」という意味。) had not been many jiffies furbishing potlids, doorbrasses, scholars’ applecheeks and linkboy’slinkboyは夜に歩行者のために松明を運ぶ男の子のこと。 metals when, ashhopperminded「キリギリスの心持ちで」(grasshopper-minded)と読める。また、ash hopperは『ハックルベリー・フィンの冒険』第32章にも登場する木の装置(石鹸を作るために必要な灰汁を作る機械)。 like no fella he go make bakenbeggfuss「ベーコンエッグ」(bacon egg)。また、ドイツ語でBergfuchsは「山ぎつね」。英語の「朝食付きの宿」(bed and breakfast)も響く。 longa white man,19世紀〜20世紀イギリスの作家ボーフン・リンチがビスラマ語(クレオール英語)で書いた短篇劇「砂浜にて」(作品集『幻想諸島』所収)の登場人物‘White Man’。ビスラマ語でlongaは「〜に」を意味する前置詞で、汎用性が高い。 the rejuvenated busker (for after a goodnight’s rave英語のraveは「うわ言を言う」「唸り声」などの意。フランス語でrêveは「夢」。 and rumble and a shinkhams topmorning with his coexes he was not the same man) and his broadawake bedroom suite (our boys, as our Byron called themイギリスの編集者・劇作家ヘンリー・ジェームズ・バイロンの喜劇‘Our Boys’。) were up and ashuffle from the hogshomeO・ヘンリーの短編‘From the Cabby’s Seat’より。‘The young woman stepped into the cab; the doors shut with a bang; Jerry’s whip cracked in the air; the crowd in the gutter scattered, and the fine hansom dashed away crosstown’. they lovenaned The Barrelダブリンのリバティーズ地区内のミーズ通りの西側の区域。クエーカーの会堂があった。, cross Ebblinn’s chilled hamletECH。Eblanaは古代の天文学者プトレイマイオスが当時のダブリン地域につけた名前。シェイクスピアの『ハムレット』に加え、バイロンの詩‘Childe Harold’s Pilgrimage’のChilde Haroldも響くか。 (their routes and restings on their then superficies curiously correspondant with those linea and punctaラテン語で「面」(superficies)、「辺」(linea)、「点」(punctum)。 where our tubenny habenny metroTubeはロンドンの、Metroはパリの地下鉄。twopennyやhalfpennyは「取るに足らない」の意。ちなみに、ダブリンのLiffey Bridge(元々はWellington Bridge)は通称Ha’Penny Bridge。これはかつて橋を渡るために交通料としてhalfpennyを請求されたことからついた名前。 maniplumbs「巧みに扱う」(manipulate)と「配管工事を施す」(plumb)の鞄語。都市の地下における地下鉄の運行が喚起される。 below the oberflake underrails and stationsドイツ語でOberflächeは「面」。線路と駅はそれぞれ辺と点に相当する。 at this time of riding) to the thrummings of a crewth fiddleウェールズの弦楽器クルース)。4本の弦を弓で弾き、残りの2本は指で爪弾く。 which, cremoaning and cronauningイタリアのクレモーナ、ヴァイオリン発祥の地。19世紀アイルランドの詩人・作曲家のジョン・フランシス・ウォラーが作った曲‘The Spinning Wheel’()より。, levey grevey, witty and wevey, appy, leppy and playableALP。「リンゴ」(apple)や「ハンセン病患者」(leper)も響く。, caressed the ears of the subjects of King Saint Finnerty the FestivePatrick W. Joyceの『アイルランド略史』A Short History of Ireland from the Earliest Times to 1608)p.153より。‘The Irish kings had continued to exact the Boru tribute from the Leinstermen…. but at the earnest solicitation of St. Moling, Finaghta the Festive, who became king in 674, solemnly renounced the Boru for himself and his successors’. また、P. W. Joyce『古代アイルランドの社会小史』(A Smaller Social History of Ancient Ireland)の第1部からも。 who, in brick homes of their own and in their flavory fraiseberry beds, heeding hardly cry of honeyman, soed lavender or foyneboyne salmon alive,ピーターのDublin Fragments, Social and Historic, pp.211–213からの引用。商店街に響く商人の声の描写から。ダブリンのリフィー沿いの地域「イチゴ畑」。かつてイチゴが栽培されていたため。ピーター・シンジョン(Peter St. John)作曲の歌‘The Ferryman’()のサビにも出てくる。シンジョンは2022年3月に亡くなった。 with their priggish mouths all open for the larger appraisiation of this longawaited Messiagh of roaratoriosへンデルの「メサイア」の初演は1742年4月13日のダブリンだった。Samuel C. Hughesの『ヴィクトリア朝以前のダブリンにおける演劇』(The Pre-Victorian Drama in Dublin, 1905) p.6より。‘John Barrington … sang and danced here his Roratorios in derision of the Oratorios in Fishamble Street’., were only halfpast atsweeeep『ユリシーズ』第18挿話でモリー・ブルームが‘Love’s Old Sweet Song’を想起しながら、最後のサビを遠くで響く列車の汽笛と重ねるシーン。「ピアノの音色しとやかsweeeeeほら遠くのあの汽車ピアニッシモeeeeeあと一曲」(‘piano quietly sweeeee theres that train far away pianissimo eeeee one more song’.) and after a brisk pause at a pawnbroking establishment for the prothetic purpose of redeeming the songster’s truly admirable false teethジョイスは1923年から入れ歯を使っていた。 and a prolonged visit to a house of call英語スラングで「行きつけの酒場」「商人の集会所」を意味する。特にパブを指す場合が多い。20世紀後半まで、アイルランドやイギリスのパブの多くは単なる憩いの場としてだけではなく多目的な集会所として機能していた。 at Cujas Placeスペイン語でcujaは「折りたたみ式ベッド」。ラテン語でcujas(cuias)は「どこの出身ですか」「どの民族の人ですか」という問いかけ。フランスのパリにはジョイスが住んでいたこともある「クジャス通り」(Rue Cujas)がある。また、ジョイスが通っていたサント゠ジュヌヴィエーヴ図書館の隣にはクジャス図書館もある。, fizzラテン語由来の英語の略語viz.「すなわち」のもじり。リンゴ酒やシャンパンの泡を想起させる。, the Old Sots’ Holeリバティーズ地区にあったパブ。パーラメント通りのEssex Gateにある。ジョナサン・スウィフトが頻繁に通ったという説もある。ホスティたちはここで酒を飲み、HCEを風刺した歌を披露する。 in the parish of Saint Cecily音楽と盲人の守護聖人、聖セシリア。へンデルの「聖セシリアの日へのオード」も。さらに、ジョイスも通ったアイルランド国立医学校は聖セシリア通りにあった。 within the liberty of Ceolmoreアイルランド語でceol mórは「偉大な音楽」。他に、ゴールウェイ県コネマラにある「カイルモア修道院」も響く。一説には、イギリスの富豪・政治家のミッチェル・ヘンリーが婚約者へ贈ったと言われている。 not a thousand or one『千一夜物語』。 national leagues, that was, by Griffith’s valuationアイルランド国内の土地の格付けと不動産税の算出の担当当局。1847年から1864年までの期間を基準として格付けと税額算出を行い、その後の土地戦争にも大きな影響を与えた。, from the site of the statue of Primewer Glasstoneeweは「雌山羊」。ウィリアム・グラッドストン首相。彼の像をダブリン市内に作ることが提案された際、ダブリン市議会は「チャールズ・スチュアート・パーネルにふさわしい像をアイルランドの人びとが建てるまでは、イギリス人を讃える像がダブリンに建てられてはならない」(‘no statue should be erected in Dublin in honour of any Englishman until, at least, the Irish people have raised a fitting one to the memory of Charles Stewart Parnell’)と言ってこれを保留にした(Minutes of the Corporation of Dublin, 1898, no. 287)。 setting a match to the marchパーネルの1885年1月のコーク演説より。‘… no man has the right to fix the boundary of the march to a nation’. 自治運動についての一言で、選挙を見据えて特にナショナリズムに寄せた言葉。これはオコンネル通りのパーネル像に刻印されている。 of a maker (last of the stewardsジェームズ2世は、イギリスの最後のカトリック王だった。ステュアート朝(House of Stewart)の最後の王でもある。 peut-être), where, the tale rambles

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音声解説
along, the trio of whackfolthediddlersPeader Kearneyの‘Whack fol the Diddle (God Bless England)’()。この曲のメロディは楽曲‘Tim Finnegan’s Wake’の旋律にもなっている。後者のサビが‘Whack fol the dah’と始まるのもその名残り。 was joined by a further-intentions-apply-tomorrow casual and a decent sort of the hadbeen variety who had just been touching the weekly insult週の賃金を支払われること(低賃金のことを揶揄して使う)。コークの言い回し。, phewit18世紀アイルランドの総督を務めたジェームズ・ヒューイット, and all figblabbers信頼に足る記述かは微妙だが、エドワード・クロッドのTom Tit Tot, p.55によると、イチジクの輸出を禁じた古代ギリシアのアッティカ法を破った人をfig-blabberと言い、現代ではごまスリ人間に対して使うとのこと。 (who saith of noun?) had stimulants in the shape of gee and gees「ジンと生姜」(gin & ginger)。ウイスキー製造者のジョン・ジェムソン(J. J. & Sons)も。 stood by the damn decent sort after which stag luncheon and a few ones more just to celebrate yesterday, flushed with their firestufffostered friendship, the rascals came out of the licensed premises, (Browne’s firstブラウン城(Castle Browne)、現クロンゴウズ学校。他に、リバティーズ地区の近辺に15世紀頃に建てられたブラウン城。後に酒場になったが、その後別名「黒犬刑務所」となり、18世紀ダブリンで債務超過者を投獄するための場所として悪名高かった。, the small p.s. ex-ex-executive capahandECH。XXXは手紙の最後に書くキスマーク。 in their sad rear like a lady’s postscriptALP。: I want money. Pleasendノラはよくジムのために、金を無心する手紙を書かされた。), wiping their laughleaking lipes古代ギリシア語でλύπηςは「嘆きの」「痛みの」、英語でlipeは「(棒打ちの遊びで使う)木片」。キルデア県の町リークスリップも。 on their sleeves, how the bouckaleens shout their roscan generallyクリミア戦争でロシアの将軍を射殺したバクリーの話だが、おそらく作り話。アイルランド語でbuachaillínは「少年」、roscは「頌歌」「詠唱のための歌」、rosc-cathaは「軍歌」。 (seinn fion, seinn fion’s araun!シン・フェインの掛け声で「ただ私たちだけで」という意味。国家独立のスローガンだった。アイルランド語でseinnは「音楽を奏でる)」、fionは「ワイン」、ámhranは「歌」。他に、「セーヌ川」(Seine)、モリタイランチョウ属の鳥の総称「ピーウィー」(fion, peewee)も。フィンの名前の別つづりFionnも。) and the rhymers’ world was with reason the richer for a wouldbe ballad, to the balledder of which the world of cumannityアイルランド語でcumannは「共同体」「地域社会」。政党における最小単位(local political community)でもあり、フィーナ・フォール党とシン・フェイン党が支部名として使った。他に、1914年4月にアイルランド共和派の民兵組織「女性評議会」(Cumann na mBan)も響く。これは後にIRAの傘下に置かれた。 singing owes a tribute for having placed on the planet’s melomap古代ギリシア語でμέλημαは「寵愛の対象」、μέλοςは「旋律」「身体の一部」。 his lay of the vilest bogeyerbogeyは怪人(ゴブリンやバグベア)のこと。フランス語でbégayeurは「吃音症の人」、つまりHCE。 but most attractionable avatar the world has ever had to explain for.
  This, more krectlyフリジア語でkrektは「正しい」。 lubeenアイルランド語でLúibínは、2人の歌い手が掛け合う愉快な短い歌のこと。他に、小さな輪っかや、輪っかをつけた少女のこと。ここでは、歌の掛け合いが主要な意味だと思われる。アイルランドの民謡‘Lúibín Ó Lúth’も(英訳はこちら)。 or fellow-me-liederドイツ語でLiederは「歌」なので、「私の後について歌って」(follow my songs)くらいの意味か。参加者がリーダーの行動を真似る子どもの遊び‘follow-my-leader’も。このゲームは、アイルランドではfollow-the-leaderとも呼ばれる。 was first poured forth where Riau Liviauプロヴァンス語でriauは「流域」、スペイン語でRioは「川」。リフィー川(River Liffey)。 riots and col de Houdoプロヴァンス語でcoloは「山」。ホウス山、川と山の掛け合いだとしたら、直前の掛け唄(lubeen)を想起させる。英語でcolは「鞍部(2つの山の間を通る道)」。 humps, under the shadow of the monumentp.41のグラッドストン首相の像のこと。グラッドストンは趣味で木を伐採することで有名で、1858年から1891年(81歳)まで木を切り続け、たくさん斧を持っていた。 of the shouldhavebeen legislator (Eleutheriodendron!古代ギリシア語の「自由」(ἐλευθερία)と「木」(δένδρον)を合わせて「自由の木」。ダニエル・オコンネルの異名の「偉大なる解放者」(Great Liberator)もlibertyから連想される。アメリカ独立革命の数年前である1765年に、ボストンで「切手法」への抗議デモが行われた「自由の木」(Liberty Tree)も。この自由の木は1775年に切り倒されてしまった。 Spare, woodmann, spare!ジョージ・ポープ・モリスの1830年の詩‘Woodman, spare that tree!’。『ユリシーズ』第12挿話の「木の結婚式」のシーンでは、この詩に基づく歌が歌われる。元の音楽はヘンリー・ラッセルが1837年につけた。20世紀に入ってからはアメリカ版も出ている(歌はフィル・ハリス)。) to an overflow meeting本会議に出席できなかった人たちのために開かれる2次会議のこと。 of all the nations in Lenster fullyfilling the visional area1922年刊行のBeatrice Stella Cornwallis-WestのMy Life and Some Letters, pp.383–4にある、1915年のガリポリの戦いでの息子の活躍の報告‘he laid out 13 mine fields in the divisional area, protecting the withdrawal of troops from the line’からのフレーズ‘divisional area’。該当ページでは、ちょうど‘divisional’の一語がページをまたいでいるため、diとvisionalがハイフンで区切られ、384ページには‘visional’までしか書かれていない。本には報告の全文がそのまま引用されており、ラトランド公爵夫人も登場する。 and, as a singleminded supercrowd, easily representative, what with masks, whet with faces,ゲイエティ劇場25周年を記念して発行された冊子からの引用。‘Mrs. Bernard Beere made a great success in “Masks and Faces” in February, 1887 … And oh! the choristers of old! Probably no set of men or women were ever so single-minded. When Sheridan remarked upon the unanimity of the stage, he must have been thinking of these operatic supers. It was one of the joys of old-fashioned opera that the “crowds” were always agreed upon the course of action to be pursued. There were no half measures with them. If one went, all went; where one pointed, all pointed’. ちなみに、この冊子はアイルランド国立図書館に所蔵されている of all sections and cross sections (wineshop and cocoahouse poured out to brim up the broaching) of our liffeyside people (to omit to mention of the mainland minority and such as had wayfared via Watling, Ernin, Icknild and Stane古代ローマ領ブリタニアにあった4本のローマ道。元はローマ軍の行路として作られた。6世紀ブルトンの隠遁者アーニンも。, in chief a halted cockney carヴィクトリア女王のアイルランド訪問とその後のクリミア戦争を題材としたアイルランドの民謡‘The Irish Jaunting Car’が響く()。 with its quotal of Hardmuth’s hacksチャペリゾッド生まれの新聞界の大御所アルフレッド・ハムズワースと、19世紀~20世紀イギリスの新聞界・政治界を席巻したハムズワース家。, a northern tory, a southern whigいずれもアイルランド語発祥のあだ名。Toryは保守、Whigはリベラル。toruidheはアイルランド語で「狩り」、転じて16世紀から土地を奪われ、森で狩りをしながら生き永らえた人々のこと。1640年頃からは、イギリスでは土地を奪われたカトリック系アイルランド人のことをToryと呼ぶようになった。Whigはwhiggamoreから来ており、後者は11世紀頃からスコットランド人を揶揄してイギリス人が使った呼び名。後にジェームズ2世の王位継承に反対する人たちを揶揄する言葉としてWhigが流行した。その後、ToryもWhigもイギリスの二大政党を揶揄するときの呼び名として広まったが、後にこれが一般的な名前として使われるようになった。また、ジョイスが『ダブリナーズ』を出版してくれる版元を見つけることができずに苦戦していた頃に、それについて1911年8月に書いた手紙を掲載してくれたベルファストの新聞The Northern Whigも(アーサー・グリフィス編集のSinn Fein紙にも掲載された)。, an eastanglian chronicler『アングロサクソン年代記』(Anglo-Saxon Chronicle)の一部はイースト・アングリアのピーターズボロ大聖堂に納められている(別名『ピーターズボロ年代記』)。 and a landwester guardian『マンチェスター・ガーディアン』紙は現『ガーディアン』紙の前身。1821年5月5日(ナポレオンの命日)に綿産業の実業家ジョン・E・テイラーによって創刊され、1959年に名前が変わった。リベラルな新聞だったが、当時のマンチェスターの労働者階級からは嫌われていた。エリオットの『荒地』(The Waste Land)も。) ranging from slips of youngダニエル・コーカリーの1921年の作品The Hounds of Banba所収の短編‘The Price’に見られる、‘he’s only a boy, a slip of a boy’という表現より。 dublinos from Cutpurse Rowリバティーズ地区の路地の名前。他にCutthroat LaneやMurdering Laneもあった。 having nothing better to do than walk about with their hands in their kneepants, sucking airwhackersイアウィッカー。英語でairは「空気」の他に「歌、アリア」も意味するので、「歌を勢いよく歌う者」という意味にも取れる。, weedulicet「雑草」(weed)とラテン語の「許可」(licet)から、「雑草を許可する」という意味か。ラテン語でvidelicetは「すなわち」で、通常はviz.と省略される。, jumbobricks, side by side with truant officers, three woollen balls質屋のシンボル。『ダブリナーズ』所収の「複写」(‘Counterparts’)にも質屋が出てくる。 and poplin17世紀から19世紀にかけて、ダブリンではポプリンの手織り産業が盛んだった。 in search of a croust of pawnフランス語でcroûte de painは「パンの皮」。 to busy professional gentlemen, a brace of palesmen中世アイルランド東部でイギリス領だった地域のことをPaleと呼んだ。英語の慣用句‘beyond the pale’は「野蛮人」を意味するが、元はアイルランド人への侮蔑語。これが「セールスマン」にかかっている。英語でbrace of 〜は「〜の番い」で、主に人間以外の動物種に対して使われる。人間に対して使われる場合は2人以上の集団を指し、やや侮蔑的な含みがある。 with dundrearies1858年の喜劇Our American Cousinに登場するダンドレリー卿と、そのひげのスタイルのこと。これはリンカーンが暗殺されたときに観ていた劇でもある。, nooning toward Daly’s,18世紀ダブリンのデーム通りにあった紳士クラブ‘Daly’s Club’。18世紀にアイルランド議会の独立を目指して奮闘したヘンリー・グラッタンの友人のデニス・デイリーにちなんで名づけられ、アイルランド議員が多く通った。1823年に閉鎖。 fresh from snipehitting and mallardmissing詩人のステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé)。ダブリンに大量に生息する「マガモ」(mallard)。 on Rutland heath, exchanging cold sneersHEC。ダブリンのラトランド・スクエア。ジョイスの短編「二人の伊達男」の冒頭に登場する。ロトゥンダ園が敷地内にある。1933年に「パーネル・スクエア」に改名された。, massgoing

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音声解説
ladies from Hume Street in their chairsジョイスが1924年2月から4月にかけて書いたノートでは、1841年にダブリンのヒューム通りでセダン(輿)が消えるという記述がある。また、Freeman’s Journal紙の1924年2月21日の記事には以下の記述がある。‘By the Way … The Sedan Chair: on the question of the introduction of taxis for hire on Dublin streets … as late as ninety years ago Sedan chairs were to be seen in the city. Of the last two to be exposed for hire, one was located at the Rotunda, and the other at the corner of Hume street. The first-mentioned did not disappear until 1841’. ちなみに、セダンとは映画『ハウルの動く城』で荒地の魔女が乗っている輿。, the bearers baited, some wandering hamalags共通の祖先をもつ生物種や2つの言語に共通の言葉を意味するhomologueに加え、「ハム」(leg of ham)が響く。18世紀から19世紀にかけて、ダブリンにはThe Wandering Jewというパブがあった。ノアの息子ハムも。アイルランド語でamalógは「間抜け」。イスラエルの民に敵対した民族にアマレク人(Amalek)がいた。 out of the adjacent cloverfields of Mosse’s Gardens18世紀ダブリンの医師バルトロメオ・モス。1745年にはダブリンのロトゥンダ病院を創立し、産婦人科の資金調達のために病院の敷地内にロトゥンダの庭も造った(入場料が病院の建設費に充てられた)。他に「モーセの庭」(Moses’ gardens)とも読める。, an oblate father「平信徒出身の神父」「献身派の神父」という意味。‘The Oblates’(正式にはThe Missionary Oblates of Mary Immaculate)は、世界各地に支部を持つフランス発祥のカトリック系修道会で、アイルランドには19世紀前半から拠点があった。日本にも支部がある。 from Skinner’s Alleyダブリンのスキナー横丁(現Newmarket Street)。皮なめし業者(tanner)が店を構えていたためその名がついた。スキナー横丁の参事会員も。ジェームズ2世が即位し、1688年にダブリンを訪れたとき、プロテスタント系の議員を追放したが、このときに議員たちは「スキナー横丁」という名前の建物を秘密の集会所として使い、ジェームズ2世の退位まで凌いだと言われている。, bricklayers, a fleming,古風なスコットランド英語でflemeは「逃亡」「逃走」、転じてflemingは「逃亡者」。フランドル出身の人を英語でFlemingと呼ぶ。19世紀〜20世紀スコットランドの細菌学者アレクサンダー・フレミングも。 in tabinetポプリンの別名。羊毛と絹でできた素材で、カーテンや衣服に用いられる。 fumant「煙を出す」「煙草を吸う」を意味するフランス語の動詞fumerの現在分詞形。, with spouse and dogアイルランドやスコットランドの伝説で時おり使われる表現。スコットランドの詩人ジェームズ・マクファーソンの『フィンガル』「フィンとマグナス」(全編はこちら)などに登場する。, an aged hammersmith「金槌製造者」(hammer smith)と読めるが、ロンドンのハマースミス区(Hammersmith)も示唆される。ランプや紅茶の製造が盛んだった。 who had some chisellersダブリンのスラングで「少年」。 by the hand, a bout of cudgel players棍棒(cudgel)を使う武闘家のこと。アイルランドで棍棒はshillellaghとも言い、こちらは‘Rocky Road to Dublin’の歌詞にも登場する。, not a few sheep with the braxy羊炭疽症(ひつじたんそしょう)のこと。エボラやペストに匹敵するほど危険な感染症で、羊からヒトへ感染する。過去にアイルランドで流行したかどうかは不明。, two bluecoat scholars16世紀のイギリスで創設された慈善学校(チャリティ・スクール)がBluecoat Schoolsと呼ばれていた。青は慈善を象徴する。ダブリンでも、1669年にThe King’s Hospital Schoolが創設され、これもThe Bluecoat Schoolと呼ばれた。アイルランドで最も古い学校の一つでもある。校誌Blue Coatにはシュレーディンガーも寄稿しており、1955年に「ガリレオの未発表の対話の断片」と題された作品が書かれ、2012年に発見された。現代では、アイルランド首相(Taoiseach)だったレオ・バラドカーもこの学校の出身。, four broke gents out of Simpson’sダブリンのシンプソン病院。1779年にジョージ・シンプソンの遺志で創設された。シンプソン自身が盲目だったため、この病院は盲人のための施設として構想された。『ユリシーズ』第17挿話にも登場する。現在では老人ホームになっている。 on the Rocks, a portly and a pert still tassingスコットランド英語でtassは「小さなコップ」や「小さな一口」。 Turkey Coffee and orange shrubA・ピーターのDublin Fragments, Social and Historic, p.155で引用されている、ダブリンの古い広告の以下の文言より。‘…all kinds of sugar, teas, the very best and freshest, for sale, and also Turkey coffee and right good Orange shrub’. ちなみに、orange shrubはオレンジジュースとラムと砂糖で作る飲み物。 in tickeyes door, Peter Pim and Paul Fryピーター・パン』(J・M・バリー作、1904年)と『ポール・プライ』(ジョン・プール作、1825年)。暇を持て余すポールは、行く先々に傘を忘れ、それを取りに戻って他人の話に聞き耳をたてた。プライのあだ名はそこから来た(pryは「詮索する」の意)。ペトロとパウロの物語や、慣用句「ペテロから奪ってパウロへ与える」も。ちなみに、6月29日はペテロとパウロの聖祝日 and then Elliot and, Oかつてダブリンには、Messrs Pim Bros、Elliott & Son、Messrs Fry & Co.、そしてRichard Atkinson & Co.という4つの老舗ポプリン製造業者があった。この前後にPimとFryとAtkinsonの名前が出てくるのはこのため。, Atkinson「アダムの息子」という意味。17世紀イギリスのヨークシャー出身の神父ポール・アトキンソン(カトリックだったため投獄され殉死)や、同じくヨークシャー出身の神父ピーター・アトキンソンも。, suffering hell’s delights from the blains of their annuitants’ acorns, not forgetting a deuce of dianas狩りの守護聖人ディアナ ridy for the hunt, a particularistケルト特殊主義(Celtic Particularism)の遵法者。カトリック教会よりも古代ケルト教会の教えを重んじ、復活祭の日にちも異なる。 prebendary大聖堂参事会員。教会に奉仕するため受給聖職者の職を受ける司教座聖堂参事会員のこと。 pondering on the roman easter西暦325年の第1ニカイア公会議において、復活祭(イースター)の日にちの決め方がローマ教会の内部で合意された。, the tonsure questionトンスラは、修道士が頭のてっぺんを丸刈りにする髪形。聖バルトロマイなどが有名。聖フランシスコ・ザビエルも。1972年に教皇勅令によって廃止されるまで、カトリックの神父はトンスラを義務付けられた。ケルトの僧侶はまた独特のトンスラを作り出した。 and greek uniates「東方帰一教会」(Uniate)とは、ギリシア正教会からカトリック教会へ改宗した教会の呼び名。ローマ教皇の権威に従いつつも東方正教会の典礼や慣習を保持した。, plunk em, a lace lappet垂れ布。教皇のティアラなどにも見られる。レースの垂れ布は、18世紀~19世紀に女性がよく頭につけた。ピーターのDublin Fragments, p.156には‘The Lace Lappet, in Capel Street, could be inspected the newest style in Lace Lappet Heads’とあり、この装飾品はダブリンのケイプル通りで流行っていたことがうかがえる。 head or two or three or four from a windowヘブライ文字の5番目ה(ヘー)は「窓」という意味。, and so on down to a few good old souls, who as they were juiced after taking their pledge「断酒を誓った後でベロンベロンに酔った」という意味。 over at the uncle’s placeスラングで質屋のこと。, were evidently under the spell of liquor, from the wake of Tarry the Tailor19世紀アイルランドのバラッド‘The Wake of Teddy the Tiler’より。バラッド‘Finnegan’s Wake’とかなり似ている。 a fair girlエレン・ハンリーもといColleen Bawnのこと。「黒い」(tarry)と「白い」(fair)の対比も。, a jolly postoboy thinking off three flagonsflagonとは、主にワインやリンゴ酒を入れるための大型酒瓶(あるいはそれに相当する量)のこと。ユダヤ教の灌祭や、キリスト教のミサでぶどう酒を保管しておく瓶としても使用される。 and one, a plumodroleプロヴァンス語でplumoは「筆」、droleは「少年」のこと(なお、フランス語でdrôleは「愉快な」「奇妙な」)。「筆(を使う)少年」ということで、作家のシェムが示唆される。, a half sirアイルランドのスラングで、地主の息子のこと。 from the weaver’s almshouseダブリンのクーム(Coombe)にある救貧院(Alm’s House)のこと。1767年に創立。隣には「織工ギルド」(Weaver’s Guild)があり、このギルドが救貧院へ資金提供をしていた。ハリエット・ショー・ウィーヴァーへのオマージュも。 who clings and clings and chatchatchat clings to her, a wholedam’s cloudhued pittycoat, as child19世紀アイルランドの民謡「モリー・ブラニガン」(ジョン・マコーマックの)のジョイス流の替え歌。‘But if I cling like a child to the clouds that are your petticoats / O Molly, handsome Molly, sure you won’t let me die?’ プロヴァンス語でchatは「猫」、英語でchatは「おしゃべり」。フランス語でmon chatは母親が自分の幼い息子に向けて使う愛称。, as curiolater, as Caoch O’Leary19世紀アイルランドの詩人ジョン・キーガンの詩「クウェーク・オリアリー」dúchas版も)。アイルランド語でcaochは「盲目の」という意味。Coach O’Learyは老いた盲目の笛吹きで、愛犬のPinchと一緒に放浪している。. The wararrow went round19世紀半ばにアイルランドで生まれた文人エミリー・ロウレスが1889年に上梓したThe Story of Ireland, p.67で記述されている、クロンターフの戦いで北欧軍側が兵を招集している様子の描写‘The War-arrow had been industriously sent round’に基づく言い回し。第2次アヘン戦争はアロー号拿捕(だほ)事件から始まったため「アロー戦争」(Arrow War)とも呼ばれる。1856年に、当時の清の官憲がイギリス船籍を名乗る中国船アロー号を調査し、乗組員の清人を逮捕した。これに対して当時の広州領事が文句をつけ、イギリス側が開戦した。戦いは1860年まで続いた。, so it did, (a nation wants a gaze)アイルランド愛国の歌‘A Nation Once Again’()。『ユリシーズ』第12挿話で市民が歌う。 and the ballad, in the felibrineプロヴァンス語を守るためにフレデリック・ミストラルが1854年に立ち上げた友愛団体‘Le Félibrige’(フェリブリージュ)。そこへ「猫の(ような)」(feline)や「塩水」(brine)が混ざっている。 trancoped metre affectioned by Taioceboプロヴァンス語で「ハサミムシ」のこと。アイルランド語の「首相」(Taoiseach)も響く。これは元々「族長」を意味するアイルランド語で、1937年にエイモン・デ・ヴァレラが首相制度を作ったときに意味を拡張した。 in his Casudas de Poulichinello Artahutプロヴァンス語で「プルチネッラの棺の転落」という意味。プルチネッラは、16世紀イタリア発祥の仮面即興演劇コンメディア・デッラルテに登場する道化師の名前。英語圏ではこれがPunchになり、後の人形劇「パンチ&ジュディー・ショー」へつながる。法制度におどけて抵抗するトリックスター。, stumpstampadedp.42の「自由の木」(Eleutheriodendron)の「切り株」(stump)だとすると、ボストンに実在した自由の木や、そこで行われた集会における抗議の対象だった「切手法」(Stamp Act)。 on to a slip of blancovide and headed by an excessively rough and red woodcut,アルフレッド・パーシヴァル・グレーヴス『アイルランドの音楽と文学の研究』pp.76–77、アイルランド詩人のウィリアム・アリンガムの章より。blancovideはスペイン語の「白い」(blanco)とフランス語の「虚空」(vide)の合成。さらに、スペイン生まれの神父ジョーセフ・ブランコ・ホワイトも。カトリックだったが、疑念が芽生え、後にイギリス国教会へ改宗した。 privately printed at the rimepress of Delville古風な英語でrimeはrhyme「韻律」の別綴り。英語でrimeは「霧氷」、pressは「印刷所」「出版社」。ダブリンのグラスネヴィンには、デレイニー家によって建てられ、スウィフトが頻繁に通った‘Delville House’があった。現在はボン私立病院が建っている。ちなみに、当時デレイニー家は、スウィフトが書いた政府への抗議冊子を印刷するための印刷機を秘密裏に持っていたとされている。実際、スウィフトのThe Legion Clubはそこで印刷された。, soon fluttered its secret on white highway and brown bywayグレーヴス『アイルランドの音楽と文学の研究』p.78で引用される書籍The Highways and Byways in Donegal and Antrim to the rose of the windsフランス語で「風の薔薇」(rose des vents)はコンパスローズのこと。ちなみに、東京都文京区にある水声社の旧社名は書肆風の薔薇。 and the blew of the gaelsスコットランドのピクト人は、青い染料(ホソバタイセイの木から得られる染料で、woadと呼ばれる)で身体に装飾や刺青を施していたため、ローマの侵略者からThe Blue of the Gaelsと呼ばれた。Pictはラテン語で「色を塗られた者」。, from green archway to gold lattice and from black hand1880年代にスペインのアンダルシア地方を拠点として、幅を利かせた無政府主義の秘密結社‘La Mano Negra’(スペイン語で「黒い手」の意)。 to pink ear, village crying to village, through the five pussyfoursアイルランドにはかつて5つの州があった(現在も残るアルスター、レンスター、マンスター、コナハトに加え、現在のミーズ県を中心に広がる地域が5つ目の州とみなされていた)。子どもの遊びの‘Pussy Four Corners’では、4人の子どもが四角形に並び、4つの角をとる。5人目が「鬼」で、他の4人が別の角へ移るときに、鬼は角を奪う必要がある。椅子取りゲームに近い。 green of the united states of Scotia Pictaスコットランドでは、東部にはピクト人、西部にはアイルランドから来たスコットランド系ゲール人がいた。Scotは「ゲール人」という意味で、9世紀アイルランドのラテン語文献にも見られる。これが後にスコットランドの名前の由来になった。 — and he who denays「否定」(ディナイ/deny)だが、「賛成」(アイ/ay)と「否」(ネイ/nay)も含まれている。 it, may his hairs be rubbed in dirt!第1巻第1章にも出てきたLane-PooleのThe Speeches and Table-talk of the Prophet Mohammad, p.162には、女性との結婚が許される4つの条件を列挙したうえで、「それ以外の理由から結婚する者は、両手を泥びたしにしてしまえ」(‘if ye do it from any other consideration, may your hands be rubbed in dirt’)と締めくくる文がある。 To the added strains (so peacifoldアーサー王伝説のパーシヴァル。円卓の騎士のひとり。他に、狩りで使う角笛をpercivalと呼ぶ(職人のトマス・パーシヴァルにちなんで)。詳細はこちら) of his majesty the flute, that onecrooned king of inscrewmentsパーネルの通称が「アイルランドの無冠の王」(The Uncrowned King of Ireland)だった。民謡「糸車」より、ひとりで小声で歌うこと(one croon)も。モーツァルトがオルガンを「楽器の王」(king of instruments)と呼んだことを踏まえると、ここで形容されているフルートは「魔笛」でもあるかもしれない。, Piggott’s purestパーネルに濡れ衣を着せようとした記者のリチャード・ピゴット。他に、現Smock Alleyの前身のTheatre Royalのチェロ奏者Samuel J. Piggottも。ピゴットは1823年に老舗楽器屋Piggott’sを開業したが、2023年2月に閉店した, ciello alsoliutoイタリア語でcielo liutoは「天のリュート」。英語で読むと「チェロ、あと(同時に)リュート」(cello, also a lute)。, which Mr Delaneyデレイニー家に加え、19世紀にフェニックス公園殺人事件の犯人でパーネルの潔白を示す証拠を提示した無敵革命党のパトリック・デレイニー (Mr Delacey?)IRA将校のディニー・レイシー。ちなみに、2019年にジョイスの遺体をチューリッヒからダブリンへ移そうという提案をダーモット・レイシー市議が行ったのは面白い偶然。, horn, anticipating a perfect downpour of plaudits among the rapsods, piped out of his decentsoort hat, looking still more like his purseyful円卓の騎士パーシヴァル。英語の「財布」(purse)と「満ちている」(full)から、ジョン・ジョイスが1887年に公園でひったくりに遭ったと語った話とも響き合う。当時、ジョンは徴税人として働いていたが、集金日の翌日に手ぶらで職場へ行き、前の日に集金したお金をフェニックス公園で「パイプをくわえたカッド」に盗まれたと主張した。ジェイムズ・ジョイスはこの話を信じたが、実際には酒場で税金を使って飲んでしまった可能性が高いと徴税当局は考えていた。詳しくは『ジョン・ジョイス伝』(John Stanislaus Joyce: The Voluminous Life and Genius of James Joyce’s Father)のp.141を参照。 namesake as men of Gaul noted, but before of to sputaboutイタリア語でsputaは「唾」、ドイツ語でsputenは「急ぐ」を意味する。, the

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音声解説
snowycrested curlターロック・オキャロランの民謡‘The Snowy-Breasted Pearl’より()。ちなみに、オキャロランの他の曲は後にベートーヴェンによって編曲されたりもした。 amoist the leader’s wild and moulting hairスコットランド民謡‘Wild Mountain Thyme’()。これは18世紀スコットランドの詩‘The Braes Of Balquhither’(ロバート・タナヒル作)に基づいて、19世紀末から20世紀初頭にかけてベルファストの音楽家フランシス・マクピークが作曲した(原曲はこちら)。ジョーセフ・オーガスティン・ウェードのバラード‘A Wild Mountain Air’も(こちらは録音も楽譜も残っていない)。, ‘Ductor’ Hitchcockラテン語でductorは「指導者」。19世紀ダブリンのオルガン奏者のトミー・ロビンソンのあだ名が‘The Doctor’だったらしい(証拠はみつからず)。他に、18世紀のイギリス劇作家ロバート・ヒッチコックは、1781年からダブリンに移住し、アイルランドの演劇の歴史を研究して本にまとめた。 hoisted his fezzy fuzz at bludgeon’s height signum to his companions of the chaliceシャーロット・ヤング『キリスト教系の名前の歴史』History of Christian Names)によると、パーシヴァルはケルト系の名前で「聖杯の忠士」(companion of the chalice)という意味を持っているらしい。 for “the Loud Fellow19世紀アメリカの詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー。アメリカ人として初めてダンテの『神曲』の全訳を行った。, boys” and “silentium in curia!ラテン語で「法廷ではお静かに!」。” (our maypoleペンテコステ(聖霊降臨)を祝うときにたてられる柱。復活祭の50日後に祝われるため、5月になることが多い。アイルランドでも子どもたちがメイポールの周りで「メイポール・ダンス」を踊った。 once more where he rose of old英語で「過去に彼が立ち上がった」を意味する。19世紀〜20世紀アメリカの作家・アーティストのマリア・トムソン・デイヴィスの小説Rose of Old Harpethも。) and the canto was chantied there chorussed and christened where by the old tollgate, Saint Annona’s Street and Church「アノーナ」(Annona)はローマ神話における穀物の女神。共和政期や帝政期のローマ硬貨にも刻印された。豊穣の神ケレスと一緒に描かれることも多い。かつて ダブリンにあった北欧議会(Thingmote)が位置した「聖アンドリュー通り」と、現在もそこにある「聖アンドリュー教会」も仄めかされている。.
  And around the lawn the rann it rann and this is the rannアイルランドで聖スティーヴンの日(12月26日)を祝う行事「ミソサザイの狩りの日」で歌われる民謡‘The Wren Song’より。‘The wren, the wren, the king of all birds,/St. Stephen’s Day was caught in the furze’. 前段落の‘fezzy fuzz’とも響く。ジョイスの分身スティーヴンにちなんでいるか。ちなみに、アイルランド語でミソサザイ(wren)はdreoilínと呼ばれるが、この言葉は元々「トリックスター」を意味する。有名なアイルランド民話では、鳥たちが集まって鳥の王を決めるとき、最も高く飛んだ者が王になるというルールだったが、そこで狡猾なミソサザイはワシの羽の中に隠れ、ワシが一番になったときに飛び出してワシを追い抜き、鳥の王になった。「でも、全力を出して闘ったのは自分なのだから、自分が王だ」とワシが言うと、ミソサザイは「あなたが体力を使って王になりたいのなら、わたしが知力を使って王になることも許されるはずです」と反論したという。rannはドイツ語で「流れた」(rinnenの過去形)を意味する他、アイルランド英語で詩の「連」「節」を意味する(日本語に訳すのであれば、wrenとかけて「連」としてもよいかもしれない)。古代ケルト人の世界では、悪行を働いた王に対して詩人はrannを書いて呪いをかけた。 that Hosty made. Spoken. Boyles and Cahillsアイルランド語の「少女」(caile)を読みとれば、「少年少女」(boys and girls)と読める。19世紀のアイルランド共和主義団(IRB、別名フェニアン団)活動家ジョン・ボイル・オライリー。イギリス王室への反逆に問われるようなバラッドを作り、実際に反逆罪で終身刑に処された。, Skerretts and Pritchards前者はアイルランドの作家リーアム・オフラハティーが1932年に刊行した小説Skerrettへの言及か。後者はウェールズ系の名前で、アイルランドではアルスター州に多い。, viersifiedドイツ語の「4」(vier)が英語の「韻文にする」(versify)の過去分詞形とかかる。 and piersified may the treeth we tale of live in stoneyダブリンのストーニーバター地区。パース・オライリーはストーニーバターに住んでいたということか。. Here line the refrains of.refrainsをremainsに変えれば、「お墓に刻まれる言葉」。 Some vote him Vike, some mote him Mike, some dub him Llyn and Phin while others hail him Lug Bug Dan Lop, Lex, Lax, Gunne or Guinn. Some apt him Arth, some bapt him Barth, Coll, Noll, Soll, Will, Weel, Wall but I parse him Persse O’Reilly else he’s called no name at all. Together. Arrah, leave it to Hosty, frosty Hosty, leave it to Hosty for he’s the mann to rhyme the rannサミュエル・ラヴァーの『アイルランドの伝説と伝承』Legends and Stories of Ireland, 1899)pp.230–231では、‘The Rhyme of the Ram’という詩が紹介されている。ちなみにramは「雄羊」のこと。「ramと韻を踏むのが難しい」というほかに、単純に「雄羊にもわかる韻文は書けない」という意味かもしれない。, the rann, the rann, the king of all ranns. Have you here? (Some ha) Have we where? (Some hant) Have you hered? (Others do) Have we whered? (Others dont) It’s cumming, it’s brumming! The clip, the clop! (All cla) Glass crash.演劇用語で、バケツ一杯のガラスの破片を鉄板の上に落とすことで、ガラスが砕ける音を再現すること。 The (klikkaklakkaklaskaklopatzklatschabattacreppycrottygraddaghsemmihsammihnouithappluddyappladdypkonpkotカミナリ言葉。ドイツ語のkackenとラテン語のcacareはともに「脱糞する」。フランス語のcrotte、ドイツ語のKot、英語のcrapはいずれも「糞」。ドイツ語のklatschen、アイルランド語のgreaddadh、英語のapplaud、ロシア語のkhlopatはいずれも「拍手(する)」。フランス語のclaqueは「平手打ち」あるいは「(芝居などの)さくら」、イタリア語のbattereは「叩く」。!).
  
Ardite, arditi!イタリア語でarditeは「勇気を出して!」「勇敢な女性」、arditiは「勇敢な男性」。第1次世界大戦ではイタリア軍の特殊突撃部隊の名称にもなった。19世紀イタリアの作曲家・指揮者ルイージ・アルディーティも。代表曲にオペラ『スパイ』(La Spia)で歌われる「口づけ」(‘Il bacio’)がある。ダブリンのゲイエティ劇場でも公演を行い、有名だった。
Music cue.演劇の台本で、音楽を挿入する箇所を示すメモ。ジョイスの修正メモでは以下の追記がある。
(as sung by Phoblacht)
Music by O. Gianni! Words by A. Hames¡
Sh sh sh! Sh sh sh! Sh! Sh! Sh!
Phoblachtはシン・フェイン党の新聞の名前。作曲者と作詞者の名前の意味は不明瞭。


THE BALLAD OF PERSSE O’REILLYフランス語でperce-oreilleは「ハサミムシ」。1916年イースター蜂起の英雄パトリック・ピアースオラヒリー。ジョイス家は代々、蒸留所の経営者だったが、19世紀にH・S・パース(H.S. Persse)なる人物へ所有権がわたっている。19世紀から20世紀初頭にかけて、Persse’s Nuns’ Islandは「最高級の」ウイスキーとして称賛されていた。
【楽譜の画像】画像提供: スティーヴン・クロウ。(Image reproduced and adapted with the kind permission of Stephen Crowe.)

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音声解説
Have you heard of one Humpty Dumptyイギリスの童謡‘Humpty Dumpty’()。『マザーグース童謡集』(1803年)にも所収された。意味は不明だが、一説では猫背の王、リチャード3世の揶揄であるとも言われている。ちなみに、卵というモチーフはニューグレンジの墓のデザイン(石英による殻)にも反映されており、古代ケルト人は「宇宙の卵」神話を信じていた可能性がある。
How he fell with a roll and a rumble
And curled up like Lord Olofa Crumpleオリヴァー・クロムウェル。17世紀半ばにカトリック派の蜂起を抑えるためにアイルランドへ侵攻し、全人口の約20%を抹殺した。詳しくはこちら。初代北欧ダブリン王の、ゴズフレズの息子オラフも。
By the butt of the Magazine Wallフェニックス公園内のマガジン要塞。1922年まではイギリス軍の要塞として、その後はアイルランド軍の軍備貯蔵施設として使われ、1980年に解体された。buttはアイザック・バットとも響く。,
   (Chorus) Of the Magazine Wall,
       Hump, helmet and all?

He was one time our King of the Castle子どもの遊びで、砂山の上に乗った鬼が‘I’m the king of the castle and you’re the dirty rascal’と言い、他の人たちが砂山を崩して王さまを地面に落とそうとする。起源はクロムウェルによるスコットランドのヒューム城の侵攻。その際には当時の城の護衛隊長ジョン・コウバーンが、英国からの城の献上の要請を拒否して次の粗詩(doggerel)を送った。‘I, Will of the Wastle/Am King of my castle/All the dogs in the town/Shall gare gang me down!’ しかし結局、城は制圧された。
Now he’s kicked about like a rotten old parsnipp.3の‘oldparr’とも響く。15世紀イギリス生まれのトーマス・パー(別名「長老のトム・パー」)は152歳まで生きたと言われている。.
And from Green streetダブリンのグリーン通り裁判所。2009年まで刑法司法裁判所として機能し、数々の歴史的な裁判がそこで行われた。1803年アイルランド反乱の首謀者ロバート・エメットが25歳で終身刑を言い渡されたことでも有名。 he’ll be sent by order of His Worship
To the penal jail of Mountjoyダブリンの男性囚人専用刑務所であるマウントジョイ刑務所。今も機能している。1921年にはIRAのメンバー46名が死刑にされた。城からグリーン通り、そしてマウントジョイという流れと、後に出てくる「角」(horns)への参照から、この辺りの主人公はマイケル・ウォッチホーンである可能性もある。
   (Chorus) To the jail of Mountjoy!
       Jail him and joy.

He was fafafather of all schemes for to bother us
Slow coaches and immaculate contraceptives「聖母マリアの無原罪懐胎」(immaculate conception)のパロディ。「懐胎」(conception)の代わりに「避妊具」(contraceptives)とは。 for the populace,
Mare’s milk for the sick, seven dry Sundays a week19世紀後半から長らく、英国、ウェールズ、アイルランド、スコットランドでは日曜日の酒の販売が法律で禁止されていた。『ユリシーズ』第12挿話「キュクロプス」に登場する「市民」の飼い犬ガリオウェンがつぶやく詩を彷彿とさせる。「どこまででも呪ってやる/週七日 毎日/ずっと脱水曜日/バーニー・キアナン、おまえをな/水のひとすすりにもありつけなきゃ/頭も冷やせやしない/はらわたは真っ赤に煮えくり返り/ラウリーの灯火のようだ」(‘The curse of my curses/Seven days every day/And seven dry Thursdays/On you, Barney Kiernan,/Has no sup of water/To cool my courage,/And my guts red roaring/After Lowry’s lights’. )なお、dryには「牛の乳が出ない」という意味もある。,
Openair love and religion’s reform,
   (Chorus) And religious reformアイルランドの「宗教改革」(religious reform)のうち、特に16世紀以降の英国からの支配を強めたものが想定されているか。16世紀から20世紀の「プロテスタント隆盛」では、英国系の少数の有力者たち(弁護士、地主、聖職者、軍人など)がアイルランドの人びとへの支配を強めていった。その引き金ともなったカトリック刑罰法は、クロムウェル侵攻後の17世紀後半からアイルランドへ導入され、カトリック教徒は財産所有や教育などの権利を次々と剥奪されていった。,
       Hideous in form.

Arrah, why, says you, couldn’t he manage it?『ザ・リーダー』紙(The Leaderの1922年11月11日号の記事に‘You heard — or did you — Mary Rose of the bog was married. He’s a general or something … How did they manage it, says you’とあるが、文脈や含意は不明。
I’ll go bailbailには「保釈(金)」のほか、「移動式搾乳小屋」という意味もある。英語の慣用句でgo bailは「(自分以外の誰かを)保証する」「(自分以外の誰かのために)保釈金を支払う」。, my fine dairyman darling,
Like the bumping bull of the Cassidys
All your butter is in your horns.ウェールズの格言で、牛が牛乳を出さなくなったときに「角がバターで満ちている」と言う。
   (Chorus) His butter is in his horns.
       Butter his horns!

(Repeat) Hurrah there, Hosty, frosty Hosty, change that shirt on ye『ユリシーズ』第5挿話のブルームの雑感より。「アイヴィー卿がアイルランド銀行で七桁の小切手を百万ポンドに換えたこともあったっけ。黒ビールは儲かるんだな。でも兄のアーディローン卿の方は一日四回ワイシャツを着替えるって話だ。皮膚にシラミやダニがわく」(‘Lord Iveagh once cashed a sevenfigure cheque for a million in the bank of Ireland. Shows you the money to be made out of porter. Still the other brother lord Ardilaun has to change his shirt four times a day, they say. Skin breeds lice or vermin’).,
Rhyme the rann, the king of all ranns!聖スティーブンの日とミソサザイ(wren)の歌。

       Balbaccio, balbuccio!ラテン語で「どもり」を意味するbalbusに、イタリア語の接尾辞「悪い~」(-accio)や「小さい~」(-uccuio)が付加されている。

We had chaw chaw chopsジェームズ・ホルマンが1840年に刊行した旅行記のp.131より。‘Monday, November 1. After breakfast I returned to Canton with Captain Neish, the Rev. Mr. Abeele, and Mr. Rayne. I found everything going on as formerly, the guns as well as the seamen, having been sent back to the ships at Whampoa. I accompanied Captain Morgan to the wharf, where the Chinese vessel was taking on board his Chow-chow Chop. The word Chow-chow signifies “eating,” and the term Chow-chow Chop is consequently applied to the last chop-boat that is loaded for any ship, and which is supposed to carry all the private stores for the captain, officers, and crew’. ちなみに、chop-boatとはより大きな船のために物資を運ぶ小型船のこと。, chairs, chewing gum, the chickenpox and china chambers
Universally provided by this soffsoaping salesmanスラングでsoftsoapingは「おだて上手な」という意味。.

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音声解説
Small wonder He’ll Cheat E’erawanHCE。e’erawanはアイルランド英語で「誰でも」。他に、サミュエル・バトラーの科学小説『エレホン』も。Erewhonはユートピアであり、英語のNowhereのアナグラムになっている。 our local lads nicknamed him
When Chimpden first took the floor
   (Chorus) With his bucketshop storeアメリカ英語のスラングで、株式市場の値動きに関する賭博業を営む店のこと。モグリの株式売買所を指す場合もある。
       Down Bargainweg, Lower.

So snug he was in his hotel premises sumptuous
But soon we’ll bonfire all his trash, tricks and trumpery
And’tis short till sheriff Clancy’ll be winding up『ユリシーズ』に登場するロング・ジョン・ファニングのモデルとなったダブリンの副保安官ロング・ジョン・クランシー。『ダブリナーズ』でも「蔦の日の委員会室」と「恩寵」に登場する。「蔦の日」(Ivy Day)は、パーネルの死を弔うコークの女性が蔦でリースを作ったことに由来する。クランシーはダブリン市長に選出されるも任期開始前に肺炎で亡くなったが、市長の証しである金のチェーンは「クランシー・チェーン」と呼ばれ、現代にいたるまで歴代市長が身につけてきた。 his unlimited company
With the bailiff’s bom at the door,
   (Chorus) Bimbam at the door.
       Then he’ll bum no more.

Sweet bad luck on the waves washed to our island
The hooker of that hammerfast vikingノルウェーにある世界最北の町ハンメルフェスト。Hookerはアイルランドや英国の1本マストの漁船のこと。「娼婦」という意味もあるので、言葉遊びでGalway Hookerというビールが存在する。
And Gall’s curseアイルランド語でgallは「外国人」「余所者」を意味する。God’s curseとかけている。 on the day when Eblana bayプトレマイオスが自作の地図でダブリンをEblanaと呼んだという説がある。
Saw his black and tan man-o’-warBlack and Tansは、アイルランド独立戦争期に王立アイルランド警察隊(Royal Irish Constabulary)が補充した警察官らの通称。制服が不足していたときに、黒いコートとカーキ色のズボンを着用していたことからこの名がついた。第1次世界大戦が終戦し、無職となったイギリス兵が1万人ほど雇われ、アイルランドに配属された。man-o’-warは「クラゲ」という意味もあるが、ここでは16世紀から19世紀にかけて欧州で猛威をふるった軍艦の名前.
   (Chorus) Saw his man-o’-war.
       On the harbour bar.

Where from? roars Poolbegプールベグ灯台。ダブリン港の桟橋の先っぽにあり、ダブリン湾に浮かぶ。落雷の写真が流行ったりした。. Cookingha’penceデンマークの「コペンハーゲン」が響く。, he bawls Donnezmoi scampitle, wick an wipin’fampinyフランス語で「~をください」(donnez moi)にイタリア語で「エビ」(scampi)、さらに後半はイタリア語で「子どもたち」(bambini)。
Fingal Mac Oscarオスカー・ワイルドのフルネーム(Oscar Fingal O’Flahertie Wills Wilde)に「フィン・マクール」がかかる。 Onesine古代ギリシア語でὀνήσιμοςは「役に立つ」という意味。聖オネシモは奴隷だったが、パウロが主人のフィレモンへ手紙を書いて解放を説得し、その後は宣教者になった。 Bargearsebarge-arseはお尻が丸い人を表すスラング。中世英国(アイルランド、スコットランド含む)では、地域の自由人(freeman)はBurgessという肩書きを持っていた。 Boniface英語でbonifaceは宿屋の主人を表す(ジョージ・ファーカーの1707年初演の喜劇The Beaux’ Stratagemに登場する宿屋の主人の名前が由来)。また、教皇ボニファティウス
Thokインドのクラシック音楽の終盤の盛り上がりを表す言葉。北欧神話のロキの化身で「ありがとう」を意味する言葉でもあるÞökkも。ちなみに、ロキは霜の巨人(古ノルド語ではヨテゥン(jǫtunn)と呼ばれる)。’s min gammelhole Norveegickers monikergammelはデンマーク語で「昔の」「古い」、monikerはアメリカ 英語のスラングで「別名」「渾名」という意味であることを踏まえると、「私の古いノルウェー的別名」(my old Norwegian nickname)と読める。gamal(גָּמָל)はヘブライ語で「ラクダ」、gimel(גִּימֵל)は「ギメル」の文字(ג)のこと。ムハンマドのラクダのAl-Kaswa(ٱلْقَصْوَاء/カスワーゥ)は、アラビア語で「ちぢれ耳」(crop-eared)を意味する。
Og as ay are at gammelhore Norveegickers cod.
   (Chorus) A Norwegian camel old cod.
       He is, begod.

Lift it, Hosty, lift it古風なスコットランド英語でhostie、ドイツ語でHostieは共に「聖体(ホスティア)」。そのため、ミサで神父が聖体を掲げる動作を彷彿とさせる。, ye devil ye! up with the rann, the rhyming rann!

It was during some fresh water garden pumping
Or, according to the Nursing Mirror医療雑誌The Hospitalの看護師欄として、1888年から1907年までイギリスで定期刊行されていた‘Nursing Mirror’(紙面の一例はこちら)。1907年から1987年まで刊行されていた看護学の学術誌Nursing Mirrorも。, while admiring the monkeys
That our heavyweight heathen Humpharey
Made bold a maid to woo『ユリシーズ』第15挿話「キルケ」でのブルームの釈明の言葉。「ブルーム:(必死に)待て。やめろ。カモメ。清い心。見た。無垢。女が猿園に。動物園。いやらしいチンパンジー。(息を荒げて)骨盤の凹み。露骨に赤らむから、精力を奪われたんだ」(‘BLOOM: (Desperately.) Wait. Stop. Gulls. Good heart. I saw. Innocence. Girl in the monkeyhouse. Zoo. Lewd chimpanzee. (Breathlessly.) Pelvic basin. Her artless blush unmanned me.’)直前でロング・ジョン・ファニングが「イスカリオテのユダを首つりにする者は?」(‘Who’ll hang Judas Iscariot?’)と言ってもいる。
   (Chorus) Woohoo, what’ll she doo!
       The general lost her maidenloo!英語のスラングでgeneralは「雑役女中」。英語でmaidenhoodは「処女性」。フェニックス公園にはワーテルローの戦いでの勝利を含むウェリントン公爵の功績を讃える記念碑があるため、「フランス側の将軍(general)がワーテルロー(Waterloo)を失った(lost)」とも読める。

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音声解説
He ought to blush for himself, the old hayheaded philosopher
For to go and shove himself that way on top of her
Begob, he’s the crux of the catalogue
Of our antediluvial zooノアの方舟に集った動物たちのこと。フェニックス公園にも動物園がある(1831年開園)。,
   (Chorus) Messrs Billing and Coo英語でbill and cooは「愛を込めて話す」。.
       Noah’s larks, good as noo.

He was joulting by Wellinton’s monument
Our rotorious hippopopotamuns
When some bugger let down the backtrap of the omnibus
And he caught his death of fusiliers,
   (Chorus) With his rent in his rears.
       Give him six years.

’Tis sore pity for his innocent poor children
But look out for his missus legitimate!
When that frewドイツ語でFrauは「女性」「夫人」。 gets a grip of old Earwicker
Won’t there be earwigs on the green?アイルランドのスラングで‘there’ll be wigs on the green’は「大喧嘩になるぞ」という意味。
   (Chorus) Big earwigs on the green,
       The largest ever you seen.

Suffoclose! Shikespower! Seudodanto! Anonymoses!ソフォクレス(Sophocles)、シェイクスピア(Shakespeare)、ブッダの父シュッドーダナ(Śuddhodana)、ダンテ(Dante)、モーセ(Moses)。「偽ダンテ」(Pseudo-Dante)や「モーセ五書の匿名の(anonymous)書き手」という響きもある。

Then we’ll have a free trade Gaels’ band and mass meeting
For to sod「土で覆う」、すなわち「埋葬する」という意味。他に「ソドミー」も響く。 the brave son of Scandiknavery.
And we’ll bury him down in OxmanstownOxmantownはダブリンの地区で、かつてヴァイキング(Ostman)が住んでいた。
Along with the devil and Danes,
   (Chorus) With the deaf and dumb Danes,
       And all their remains.

And not all the king’s men nor his horses
Will resurrect his corpus「死体」(corpse)が「著作」(corpus)とかかっている。
For there’s no true spell in Connacht or hellアイルランドの慣用句「地獄行きか、コハナト行きか」(to hell or to Connacht)から。これはクロムウェルが1652年にアイルランド人の地主を追い出したときの強制移住政策のスローガンだった。
   (bis) That’s able to raise a Cain「カイン」(Cain)とアベル(Abel)。英語でraise Cainは「騒ぎを起こす」という意味。.

註作成 早川健治
加筆・校正 今関裕太

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