I.2 | 新訳

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音声解説
  さて(アイリス・ツリーやリリ・オランガンの類いには[つゆ]ほどにも[げん][きゅう]せんぞ)ハロルドもしくはハンフリー・チンプデンの職業上の添え名の創成にかんしては(もちろんそれは先姓[モド][ロウ][マエ][][スウ]時代、イーノスが[]獲画をせっかいた頃の話)、太古の史料にはマンフッド[ひゃっ][けん][むら]でシドルシャムのグルー家やグレイヴィー家やノースイースト家やアンカー家やイアウィッカー家のような屈指の先祖まで溯って繋げるものもあれば、ヴァイキングの子種として[ひゃっ][けん][むら]を築きヘリックだかエリックだかに入植させたのだと断言するものもあるが、それらはまとめて却下するとして、最も確証ある文献、すなわちドームルタによれば、エイダーの[ちょう][]ホーォフデの読解[リード]に従い、次のとおりである。伝に曰く、はじめの経過はすなわち、[ろう][にわ][]がキャベツくりキンキナトゥスのごとくアカスギの木陰で日光を節約していた安息日[サバト]の午後の[えん]天下、[えい]チヴィ狩りの[しゅう][]前夜[イヴ]、衆院亭マリンホテルの裏庭で、鋤を頼りに[らく][ぜん]楽園ランランと根っこをつたっていたところ、余暇好きな雄狐が臭跡をたどり、雌の猟犬エイスパニエルの群れが後ろに続いていた王道に、殿下のお[]んまあしいと伝令が告げた。農奴が民族総督[エスナーク]に抱く素朴な忠義以外はすべてを失念したハンフリーもしくはハロルドは、[くび][]にも[くら]にもかまわず、顔を火照らせながら慌てて飛び出し(ポケットコートからは汗だくのバンダナがひらひら)、四法廷[フォーコーツ]まで[さか]道をヘイスティングイーンと駆けていったわけだが、防暑帽に[うわ][はら][おび][そら]スカーフにプラッド、七分ズボンに巻きゲートル、灼熱の[でい][かい][]で鮮紅に羊印[ひつじるし]をつけたブルドッグブーツという身なりで、

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音声解説
道路料金所[ターンパイク]の鍵束をじゃらじゃらいわせ、狩猟者一行の[じゅう][そう]尖峰[パイク]よりも高いところまで掲げた止まり木には、[えい][]向きにしっかりいい植木鉢が固定されていた。陛下は、若緑の至りで著しく遠目だったかそれを装うかし、かの土手道[コーズウェイ][いん]果にして[はち][]にされたか気になっていたが、近ごろは主祷文[パテルノステル]銀博士[シルバードクター]がロブスター捕りの通な餌ではなかろうかと代替的に尋ねたところ、真正直なハロンフリルドは瓜二つに恐れ知らずの[おもて]をもって毅然とこう答えた——いんにゃ、おうさまぎい、おりゃハサンムシ手ずらまえにしとった。われらが船乗り王は、[ちん][とう]にして[][][]、れっきとしたアダム酒が入った[][][]けていたが、これを聞くと飲むのをやめ、海象[せいうち][ひげ]の下に満面の笑みを浮かべ、糸紬[いとつむぎ][がた]で征服[おう]ウィリアムが大叔母のソフィーからの遺伝的白毛症や短指症と一緒に受け継いだあのあまりに温和でない[さい][かく]に浸りつつ、振り向いた先には付き添いのギャロウグラスの二人、リーシとオファリーの王侯貴族マイケルとドロヘダの聖年町長エルコック(散弾銃者の二人はクロンメイクノイズの碩学カナヴァンが引用した後版によるとウォーターフォードの初代[シン][ジク]マイケル・M・マニング、そしてイタリアの高官ギュビレイ)、いずれも[ジャオ][イー][][チン][チュン]と現状維持とパディ[うも]育つハムロックの青菜園[あおなえん]とを象徴する三枚腰の敬虔な一族であるが、[はな][いち][もんめ]にこう仰せになった——[せい]フベルトスの[][しょう][こつ]よや、氷雨[ひさめ][くに][あか][あに][ぎみ][]かば、いと[うるさ]げに[いきどお]るべし、[とり][][たん][かん][]なる[せき][もり][たま][ぼこ][かん]のみにあらず、イヤ初冠[ウイカーぶり]せる鋏虫捕[はさみむしとり]にも[]うありければ! なぜなら彼はジョム・ピルとうろみしり、愉灰[ゆかい]法被[はっぴ]着て、明弔[みょうちょう]には廟堂[びょうどう]に叔母集う。(ホルムパトリック夫人が植えた街路樹の辺りでは今でも爽やか桜にジャピジャップとあの丸石まみれの笑声[わらごえ]が聞こえ、今もなお感ぜられる支離[しり][こけ]な静寂にはクラッドストンの偽弁論[ぎべんりん]——わしのヤドリ義母[ぎぼ]はみなみに[しり][ツタ]う)。ここで問う、これらは族名獲得にかんする事実として西東[さいとう][まなみ]の傍系擬人伝の両方または片方に記録され編賛されていたのか。これらは[イー][シン][シェ][シン]巫行間[かんなぎょうかん]から読み取れるあの者たちの芋菽命[うしゅくめい]なのか。道中に糞怒[ふんぬ]の剣は?

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音声解説
[さと]本宮[ほんみや]にまさる場所など? いかにも、マラカヒーは我々を統ベル可寒[カアン]か? あるいはほどなくせずに判るだろう。ピンクポンクと蛮商[ばんしょう]即去[そくさ]移店[いてん]茶礼[されい]により天狐[てんこ]宿[やど][たま][]。いいか、ホクマの息子よ、酩酊具[めいていぐ]明意[めいい]があるならば、この男は御岳であり、誰もが無常の高みへと至ろう。王君[おおきみ]きみずからではなく分かち難い内親の御姉妹、奔放な夢遊法師シュケベラザードとドンヤザードの仕業であり、後に二人は[ぞく][しら][なみ]がご昤嬢を撃ち上げたときに旅芸人として俗世に下り、ピット両氏が文無[もんな][][えん]したパントライム、メリオドロスとガラテアにサドロウ夫人が二人をミスキンゲット家のローザ役とリリー役で出演させたなどという話もあるが、これも[かる][][]作の不意ん謹慎な誤謬として掃き[][]きにすればよい。ここで重要事実が浮上する——歴史が動いたあの日からというもの、ハロンフリーが頭文字で銘打ったホログラフのうち、これまで出墓[しゅつぼ]されたものにはすべてH[ハ行]C[サ行]E[ア行]記号[シグラ]がついており、なるほど彼はただずっと常にルーカリゾッドの飯餓流[はんがりゅう]の信濃者には善良なるハラヘリー公爵、取り巻きにはチンバースであったかもしれないが、同じくらい確かに彼のあだ名はみなの秀句[しゅうく]のおかげでこの標準文字の語感として百世[ひゃくせい]集来[しゅうらい]一座[いちざ]となった。いかにもたしかにいつも彼は存在感のある一座の風貌で、自らへ一致しいつも一定、すべてこの手の普遍化に堂々とふさわしく、一堂をしっかり俯瞰[ふかん]するたびに、前列では〈[くる][]だ、もってけ!〉〈その白い帽子を脱げ!〉と飛び交う野次とそれを宥める〈やつのグロッグ酒を断て〉〈航海日誌[ログ]に書き入れろ〉〈猫ばば入った(声低く)長靴〉、善き始まりから幸いなる終わりまで、あの生粋のカトリック教徒の集団はサテンのキング道楽劇場に会し、栄えあるスターのごとく前明かりの上方の近田回[きんたまわり]牛壱頭地[うしいっとうち]から拍手喝采を送った先にはワレンシュタイン・ワシントン・ツネニケリー氏の常磐[ときわ]周遊劇団(氏の生き甲斐、団員稀代の晴れ舞台)、特別要請による御前上演、信仰の振興のため凡百充溢回目[ぼんひゃくじゅういっかいめ]の上演を丁重に許可されたのは世紀軍の進講神幸劇、創世以来人気衰えぬ『皇族の離婚』、当時まさに最高潮の絶頂を迎えんとしており、馬脚ショー付夕方御前公演の幕間バンドでは『ボーの少女』や『百合』からの野心あふれる選曲、そんな副王ブース席(天井の彼の帽主淋儂[ぼうすりんのう]

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音声解説
マケイブやカレンの[あか][][][きん]に比べると尺取泡虫[しゃくとりあわむし]ほど位が低かった)には、われらが世界の舞台[ワールド・ステージ]の笑い者にして異彩を放つ元ケケルト系三流役者[コンメディアンテ]、正真正銘のナポレオン何世、この[くん][みん][][]はいつも小屋の[][ちゅう]に囲まれて座り、広く伸ばしたお決まりのカーチフで首や[うなじ]から肩甲骨までをくまなく[すず]め、シャツの上から衣装戸棚羽目のタキシードを[パン]と羽織り、[かい][いん][えん][][ふく]とは言い得て妙、平土間後方席や[][じき]前方席の洗濯済みクローハマーや大理石張りオーボイとは全域において一線を画す糊伸ばし具合だった。演目——ランプをご照覧。配役——時計の下をご笑覧。婦人席——外套のご放念はご自由に。ピット、プロム、パルテール、立見席のみ。太客[ふときゃく]そぞろに居入[いい]る。
  より底俗な意味を一連の登場字物に読み込む向きもあるが、その字義を僅かにでも臭わせては良識を疑われかねない。一部の毒舌家の粗野で粗忽な物言いによると(朝の夕便[ゆうべん]にはモホラットの臭憤[しゅうふん])、彼は猥劣な病を患っていたらしい。喘息神アートゥマよ、かの者らの男意気[おとこいき]の根を止めたまえ! そのような愚論に対して自己の尊厳を保つ唯一の応答は、言ってはならないことがある、さらに付け加えたいと思って差し支えなければ、言う許可を与えてしまってはならないことがあるという主張であろう。彼を中傷する者らは、不完全温血種族であり、彼はジューク家とカリカック家の汚名義で暦に記録済みのありとあらゆる巨悪を実行しうる巨大な白い芋虫であるという認識らしいが、人びとの公園でウェルシュ燧石銃兵[フュージリアー]たちにちょっかいを出していたなどという滑稽な[そし]りを彼がかつて受けていたと仄めかしたところで、立件を容免できるわけではない。[ワラ]ランラン! [タカ]タンタン! リーで[ドン]さん[ヂィ]さんジョッキげん。あの清心なる大巨人H・C・イアウィッカーがその長い総純徳閣下歴をとおしていかにキリスト的だったかを知り愛でる者の耳には、彼が謀略の地雷原を嗅ぎまわる色魔探偵だったなどという示唆は特に荒唐無稽に響くはずである。真実を伝えるためには、預言者に髭、もう一言付け加えなければならないが、一説によると[ツォン][チェン][ツォン][ヨーウ]! [ツォン][ヨーウ]!)そのような一件があり、そこに関連付けられている[モウ][レン]にかんしては(もし存在しなかった場合、[イン][ウェイ]創りだす必要があるだろう)、その㫭期には濡れ[ぐつ]履き素っ頓ぶる日陰者が

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音声解説
ダンベリン近郊をほっつきハルンいていたと信じる向きも[ヨウ][シィ][ホウ]あり、[トー][パン][テキ]に匿名であり続けたこの者は(老虹鱒アブドゥッラとでも気色づけておく)時計団[じけいだん]参針番[みはりばん]の一員としてマロン氏のもとに配属されていたとも言われ、何年も経った後、と振るう艴恚[ふつい]の声、同上、おそらく、婿[むこ]っかわに供する[はん]台まで震心深き者たちの奨導者は、ふいに転頭死([ヤオ][ヨーウ]! [ヤオ][ヨーウ]!)、それはサカアバ定食にありつくために月初めの穂の順番を憤墓にいきり建つ御館[おやかた]、ホーキンズ通りのローチ・ハデックシュの[モウ][][ディ][ファン]にて待っていた際のことであったらしい。ロー、この嘘のきんぱち、神だりさまはあんたの野猿部[やいんぶ]みてたよ、女がえさで[いで]すさり食べらっかすのが坊居[ぼうい]る男の三品[さんぴん]を汚しちまうんだ! おふかしをほーめおろすんなら口車詰めの暴徒に目入[めい]れすっぞ。誣言[しいごと]などは、一嘘[いっきょ]に突き倒せばいい、われらが善良かつ偉大で非凡なる南部人イアウィッカーを、すなわち敬虔なる書き手が天才一枚な男と呼んだあの者を有罪にできた試しがなく、できたとしてもそれは一部の鹿守林務官の主張によれば、ところでこの守護者[ショマー]たちはあの日に穀類の霊魂を[ちい]テド、[ちい]タム、[ちい][ちい]タフィドと口にしたという点を断じて否定しないであろうが、せいぜい次のような程度の不品行であり、いわく一対の可愛らしい若女中に対峙し燈芯草茂る窪地の隆々にて異教紳士に[あま]るまじき[イン][ウェイ]行為に及んだそうだが、ガウンにピナー姿の二人の申し立てによれば、清くかわやゆかしい性格に突如[いざな]われて暮六[くれむ]つのほぼ同刻にそこへ居合わせたらしく、[おおやけ]のひとつなぎの絹入羊毛証言には、本件の密な部分に触れる子細な点にかんして、純粋といえなくもない箇所にも見るからに乖離があり、経絲[たていと]緯綫[よこいと]のよう、緑林か猟獣かにおける初犯はたしかに不用心だったかもしれないが、どれほどワイルドに言い立ててもせいぜい部分的な開帳にすぎず、異例の聖スウィズンの夏だったという酌量事情(緑みなぎる御園生[みそのふ]では小作人が乙女を娶る)もあり、(イエッサイ・ローザシャロン!)誘発の機は熟していたのである。
  いなくても困る。ご婦人がた、かけらのもとへ駆けつけなされ! 男出[おとこで]当面[とうめん]夫山[おっとやま]、ヴァラのヴァカきゆえ。シツゼンこそわれらのコウシャ、ヴィラくね、ヴォラピ野遊[やゆう][]。ファリカップ、ピチピチネリーのために、ニュウワアル、ココロントモ! あねさんリリースっぽいなら、早めに抜きい! パウロ派、お許しを! 雄便屋[ゆうびんや]サンが薮打ちに遭った、かくれくろ、かくれくろ! 彼にかけられた嫌疑の大半において彼が無実なのは明らかであり、というのも彼は少なくとも一度ははっきり[][][]い、昔年の[まけ][じた]抜けきらぬところをみせたため、その旨を我々は真実として受理した次第である。

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音声解説
話によると(緑塩化カルツォウムスと疎水性スポンジンにできうる最大限まで沁みじみする混合伝)とある風々自適[ふうふうじてき]四月中央日[アイズ・オブ・エイプリル]の朝(記念日は従物権と誕笑着の初被昇天から転がり出て諸人種の[うじ]孔子[くじ]やに当たった)それもくだんの不品行疑惑からだいぶ永い年月が経ったのちのこと、万物の友なる[げん]刻苦[こっく]が、虎縞の道杖をたずさえ、われらが最も偉大な公園の広々とした広域を颯爽と吹きぬけていたところ、生ゴム製雨よけ軍帽に大ベルト、隠郷[いんきょう]作戦[ざくせん]かばんに青狐あがりのファスチアン、鉄騎側面[アイアンサイズ]の革長靴にバガヴァッドゲーフトル、そしてゴム加工のインヴァネスという身なりで、パイプを咥えた黠奴[かつど]にはちあわせた。後者は、つまり土圭人[どけいびと]ではなく発光素人[はっこうしろうと]は(きっと今でも、いつもの麦かぶさに羊返しのオーバーゴートを肩責[かたしゃく]の下に抱えて[でん][えん]下のこまやかな紳士を装い、禁酒の誓いをげいに歓迎しつつ、駄弁[だべ]るごと[かた]げているにちがいない)食ってかかりかかって声をかけ——ごぎねすいかよぉうぜる、ゆだちのしらふいあんさん?(あのときの黒プール弁の快活なごきげんいかがを、一部の古株懐旧[かいきゅう]は今でもブルブル思い出すであろう)自分の時計の持ち番がブレイデイたので、時計[ときはかり]が計るのは幾時[いくどき]時告鳥[ときつげどり]男時[おどき]ほどに知りたがっていた。はきと[しゅん][じゅん][いと]うべし。いけずぐちは殺伐[さつばつ][はずかし]めよ。その[][しん]の瞬間のイアウィッカーは、基本的自由主義原理に基づいて[シャン][ション]的かつ[シャン][アン]的に身体的生命の最重要性を悟り(最寄りの救援中継装置はピイピンK・O・セムパトリックスデーとフィーニアン蜂起)、木偶[でく]の軟頭弾に栓をされて永久界まで即刻ハーリン飛ばされるのを嫌い、はたと止まり、抜き撃ちざまに、自分は酩廷吏[めいていり]だと応え、キッカケ、銃ポケットから取り交わしたのはヤーゲンセン式爆片ウォーターベリー、それは共同聖餐主義によれば我々のもの、使用取得によれば彼のものだったが、同じ一振りに、冷徹な東風[とうふう]ばあさんの高音[たかね]の上から名うての鐘楼守フォックス・グッドマンが荒地を越えて南まで斑点教会から[とお]トーン[とどろ]くとーとこテノール時鐘[ときがね]を響かせていた中で(クーフーニンの呼び声!)、わらいべの質問に応えて言うには、エホバに誓い、酒月[さかづき]恒星時が十二であったらしく、さらにバッと一言添えるに、掲げた銅棒に[ジィ][ジン]を加えようと薫製イワシの息で深々と身体を曲げ(これと[こん][こう][どう]されるものとして[はし]ベタ生姜があり、

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音声解説
こちらは辛、酸、[かん]、甘、苦の調々合であるため、骨、筋、血、肉、気の[ちょう][ちょう]にされたことが判っている)、彼には白斎疑惑がかけられ、上層部の認識はモルガンズポストに書かれたとおり、その出所は貴人間[きにんげん]型生物だがいまひとつぱあっとせず太古の三頭水蛇にも数段劣っていたとのことだった。自説をさらに補強するために(その説は、ここであの名言を風変わりに予期できよう、口承の様式から口頭のそれへと儀式的韻律系に則し羅市民法の静寂をもって永久[とわ]に再締造され、後続の証言をノア・ウェブスターが裁面[ざいめん]つないだのが『H・C・イアウィッカー由来語録』と名高い縮約版、特嘉[とっか]壱シリング、塀送[へいそう]無料)、亜麻色の髪のギュガスは精密時計機[クロノメトラム]をドラムドラムと軽く叩いた後、むくむくと筋を伸ばして[]ちあがり、ふもとには現場である双隣接氾濫原、一枚のベルリン手袋[ごて][ひじ]膝窩[しっか][]れはしみ(最古代の記号伝承によると彼の身ぶりの意味はすなわち、8!)三十二度の角度で鉄之公爵の伸びすぎ一里塚を[ガージュ]のお伴よろしく指し示し、現在[いま]合わせの一呼吸をいれた後、真心の炎をもってこう熱弁した——しゅしゅ握手しやしょう、おなお仲間さん! こちとらあっしだけ、あちらは五ですわ、[]けとらん[しょう]負のお相手で。あっしは正攻法で勝ち勝ちやした。だもんであっしが不全国展開するホテルと製乳[せいにゅう][あきな]い、にゃんにゃん肉親娘たちの名誉のために、ご信用くだせい、あっしはほれほれ本気で立場を表するつもりです、旦那、あの記念碑、あっしらのしょんしょん贖罪の印に誓って、衛生日を問わずいつでも、シンふぃなー諸氏に宣誓を[ほう]するんでさえ、それで一生もん食らってもええ、開いた聖書に誓い偉大なる親方の御前[みまえ]で(帽子をとりやす!)神様にも栄寵[えいちょう]至位[しい]イギリス国教会のマイカン司教ご夫妻のであとにもその関係者すべてにもあっしの身内の同居[どうご]もんにもこの地球の隅々の全域であっしの筋金入りにブリテン式の言葉と交換的正義を[もち]総方[そうほう]のめいめいにも立ち会ってもろうて、この際はっきり言わせてもらいやすけど、あれはちいちいちっとも本当じゃあない純然たるでまでま出まかせですわ。
  隙穴[げきけつ]ギルは、ついふとミスを犯すてるし、詰めづめ自重すたんだが、(エウスタシュ管を通して診断したところ、

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音声解説
顕著に後思春期的下垂体機能亢進型のハイデルベルク人弔[しょう]乳洞倫理[イートス]をもってすればできたかもしれマヘン)なぞヱを[][][]り、あくあくスウェッタゴールに宵善い明日[トゥモロウ]を祈り良夜[ダブリノッチ]を重ねて日柄[ひがら]めつさを発揮し、さらには堅実なハムよろしく、その繊細な状況に危険なテーマの一触即発な性質を察し極限まで機転を利かせつつ、受け取ったギルダーと正確な時刻についておん礼を言った(とはいえ神の梟刻[ふくろうこく]がそれだけだったという点にはなお少なからずボックりすんした)のち、[てい][][くん][]への表敬という身に余る御役目でこれから隙穴へ[きん][]るんがの裂け目に尊台は[さか][]びた虚腔の持ち主と、自分の日課に戻り、誰だか知らないが、死体に調子を聞いてまわり、普段コースるときには(彼の居場所には鹿るべき[こころ]に猟犬がつく、落ちた頭皮と雲脂[ふけ][さい][せつ][きゅう]が彼の草分けた跡には焼きついているのだから)頼れる菰犬[こもいぬ]いびきつれ、恒久的省察の音誦[リィ][うやうや]しく——あなたに会うのは、文鳥さん、遅すぎたか、あるいは虫暑く早すぎたかな——、あっかりおーきおにの意を[ふた][くち]言語で示しつつ、時の人の[イー][ズー][フイ][チャー]な言葉を[ジェ][ジェ][バー][バー]と思い出せる限り復唱したのはその日の夕べしるべ出入る頃、ドヒルイドキとジュクスイドギの間のちゅんちり色時[いろどき]における文士たちのそそりの[とき]より前、ちょうど洒落丹[しゃれたん]モールに夕食方[ゆうけがた]夜土産[やみやげ]が二人ほっこり[いま][]り、グランドとロイヤルの静かに暮れなずむ[ほとり]を、い…く…石工疾駆し、か…ね…垣根隠れき、ときに、ふにゃ舌のあばくちそっぽにはうんにゃゆうふにゃふにゃのうまくちȜッホ、アルヴァンダは水溢[すいいつ]でもあるに従う、ずんぶら雲青[うんじょう]の楼閣をしらべノーラン越えにスタッど牛打[ぎゅうだ]をしらげつつ、彼は改心の注意を払ってミューセの天啓法を吐きすてた、しかも自分の囲炉裏石にときた、なんとまあ、(アイリッシュな唾液とは、もうしょうもねえでほれ、しかしまた愛欧優位系で威厳もあり幅広い人脈もあり立派に着付けた考えを持ち正解を知っていたシリウレイ氏やシレワライ氏のような青年がよりにもよってあんなに突慳貪[つっけんどん]な体裁で唾棄するなどということがありえるだろうか、もうけっこう! 滓吐布人[しとふと]ベルチャーをパケットに入れていたのに、ペック?)そしてうっ想の吟味に耽っていたわけだが、その前にたいらげた夜飯は酒浸しのあつもの、彼はきざにそれをピーチ・ボンベイと名すり付け(ほんなまには彼女にできるルーカンふぃーじゃんなーばんパイが彼を[よう][から][][][しょう]させただけ)、[いと][たか]き豆のシュプレーム、初産後の若牝山羊[ミンショーグ]の乳から白麦芽ワイン酸へと煮転がしたその配当を、こんこん季に煙管[きせる]っ子は馬そうに[]わさび、まぐされめ、[うい][きょう]食う鼠さながらがっついとる——そしてひた逃げきれた[]い事を[しゅく]し、

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音声解説
勇み上戸を冠するにあたって、肉らしいベニヤミンというこの郷土料理は、スポラン産オリーブが天頂[てっちょー][なか][]し、九十八年物のフェニース゠ブリュエリーとの好一対[マリアージュ]が(ポルコグラッソ!)エレボスク調に舌鼓を打つ贅沢、続いて第二の婚礼にはピスポーターを尿[しと][づつ]特上[グランクル]やけん、その貴重な卓上灯の両方にて(慎ましき晩餐もえーもんの[はなむけ])彼は蜘蛛の巣の酒石ついたコルクを執拗に嗅いだ。
  われらが[かつ][]のやまのかみ([しゅっ][せい][めい]ベアニース・マックスウェルトン)は唾壺[つばっぽ]に機敏な[ふくろ][みみ]で(後日譚によらば)いつもどおりうしんぼ[つま][かた]した(ペルシ[スモモ]もアルメニ[アン][]もあげないよ、ポンメラニカンさん!)けれど、[さーし][ひと][さし]にあらしつつ、普段の腰の低さで他の百十一のものたちに紛れてくだんの話を漏らしたのは(お初の[をんな]し夕[づつ][]ぎのなんと[かす]かなことよ、お忍びのしとしと噺、[をのこ][がた][][ねぐら][][]りて!)ヘゲシップスな翌々日のよづきの夜のこと、[]茶を[いっ]杯ハイッドゥもと、彼女の目玉が乾いて小さく声もこしょがれていたのは彼の顔色が変であの老いた雌鶏たちにはもう立ち切れんと言わんばかりだったからだが、話し相手は彼女の教会の神父、つまり監督であり、彼女は以前から内心まずもってこの人と話そうと思っており(あがらんせ、おいといなく! 指匙一杯あるよ!)カップり結んだ唇とアニー・ローリーっぽい約束のあいだで(ちゃっこい[ちち][]でエニュウスケリーの[ミィ][シュエ][フー][ナン][たま]を添えるのは[えい]遠にぺーけだね!)彼の[][ガン]みみに届いた[ふく][いん][げん]は二人のアイリッシュ・シチューの中へ[たん][たん][ぱん][しら]ふせられたのでもはや彼のイエズス会の布を越えては広まらないはずだと信じていたが、しかし([ジゥ][ホウ][トゥ][ヂェン][イェン]! [シュィ][コン][][フェイ][シン]!)まさにこの[みだ]り腐った神父のブラウン氏が、ヴィンセンシオ派に変装し、事実を所有していた際、別人格のノーランでいたときに立ち聞きされ、そろさうろ涙ぽろぱうろ、耳に坐られてしまったという事故で——本当にあの事件が事故であればの話だが、そこではヒッポのエクレクティアステスの赤髪聖霊[ルーアハ]がアンナ[ばん]ななクエヴァの女[りゅう]作家に吹き勝る——しとやか[ピアニッシメ]にいびつ脇腹打ち明け話を若干異なる形で(メアル・アロワイスがただジェズフィーヌに誓って言ったとおり!)手を手手に、忠誠の誓いとともに(えなさんえっぱだね! あねさん!)、『彼女の生まれの秘密』の旋律にひずみつつ、[でん][]あするべく囁いた先のルビー[ろう]耳轮[ウーレン]の持ち主は仔牝馬[フィリー]・サーンストンなる人物、田舎学と言語聴覚療法倫理の素人教師、醸し肥えた体型に歳は四十代半ばほど、

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音声解説
僧侶の手遊びにと安心安全な賭けをしに[ばい][ふう]そよぐバルドイルの[ひっ][][][そう][げん]へ行ったその日は(WW氏が総なめ)全国行事[イベント・ナショナル]地元詳細[ダブリン・ディテール]を漁る者なら誰にでも簡単にまるまる思い出せる、ダブルはペーキンとパウロック、貴族[ピア]貧民[プロレ]、クラシックの[]けいけハックニー[しょう][きゅう]カーブで鼻差の決着、ワズカにタエタ、[きん][ゆう][ぜつ][]、ケイリンザイリンザイ、月毛の仔馬ボールド・ボーイ・クロムウェルをしりぞけ、巧みに逃げ切ったのはキャプテン・キョウカシ・ブラウントの[あら]駃騠[ヒニー]セイント・ダロック、ドラマー・コクソン、三番手の[なみ][うま]、猛烈なオッズ、その発端がこの小さな巨匠、この小さな駿馬[ボニー]、この小さな[さか][づき]、ウィニー・ウィジャー! ぬきん出るぬき! この[どろ][むら][さい][]の破れん帽、ファンタム級で[はや][][]をぴぴっと乗り越えさせたら他を何リーグも引き離すまぎーれもない異才。
  ここで二人の[ちん][ちく]尿[ばり]ティム小坊主は([つゆ]すでに[うじ]鷦鷯[レン][][やみ][][いた]り、[しば]べとの[こわ][]れらの[][]きゆ)名前を糖蜜トムといいキョウ・ドネリー・アンド・パケナムの[フィン]産薫製肉を不意にくすねて以来シャバに戻りたて、そして彼の血縁乳兄弟の[しゃかり][][しょう][てい]は(精巧に精細な言い方をするならば、彼は[しゃかり][][しょう][てい]だった)情報屋、地獄船から降りたばかりで、どちらもひどく貧しく、どやで[やま][ぶき]さんやぎんちゃんを当てようと[よい][とり][なま]たまごっこをする傍ら、シーフォースがうぃなみだぐんぐゎせていたところ、耳にしたのは[だい][はち][][ふく][ふれ][くち][ぐるま]のその法劣用語(エッ、ゾ? とーとー)、全紙の日曜版に出ていたアダムズ氏の一件に触れて鼻を蠢かし、自分も般若湯をひっかけたのはあのガネメの[ばい][いち][ばっ][]のせいだった。
  先ほども言及したこの糖蜜トムはキャスヒヒーン各州布陣の[くに]にて行きつけのあのワイルドな毛狄[えみし]のたまり場にはそれよりもだいぶ前からいなかったが(その実、彼は足繁く大衆下宿屋に通い裸の状態で眠りに、[かい]バクダン[]、見知らぬ男たちの[ねだい]に入った)競馬の開催日の夜[レースナイト]には業火を[とー][とう]と浴びてすっぱらか、強化赤葡萄酒[レッド・ビディ]、ブルドッグ、安物杜松子酒[ブルー・ルーン]、そして小判小茄子[クリーピング・ジェニー]、エグランディンの[]高のハーブ、提供は[あひる][][けん][ぱい]亭、失走[はな][にら]亭、[ギン][ギン][じょう]ブリギッド亭、[とり][がも]亭、郵便々息子亭、

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音声解説
小老爺[じじっこ]亭に、当たりよければ全てよしこで[さかずき][あぶみ]亭、よく[ぬく]めたうーどベッドを求めてリバティーズ区パンプコートWW街の(そっちに賭けておけばね!)[][くれ][][][くら]荘の居室へ、ゴボゴボ盛るとゲヴォルタぴゅっくりかえし、『すぐ行くぞ、[うま]って[おく][れん]』の重句につぶれて[しゅ][すい]宿[しゅく][すい][すい]すいすいっとまたいびきかせた、ネムノム、福音派の世話好き[ぼう][じん][るう][シー]绿[リュィ][ディ][んね]の(「嬢ちゃん」と彼が呼びかけて止まなかったのはコラレットとスカート、鍔広日よけ帽とカーネーション)物語の大約を小出しで(彼の前にあったのは弥生[やよい][まん][なこ][じま]かウェルいは[すい]発化石期の三等か、というのも彼がカティヤと女子[びい][はん][]いていた頃にラウィニアたちは[おっこ][こう][][まん][パン]チな[ジュン][ぷう][デイ][ショウ]水させておりその場で彼は黒んぼとホワイルドで白馬のろす[けっ]闘をしたがっていた)[しば][しも]づけし[]に(いかにも[メイ][][ゴン][][シュウ][テキ]! なんという[エン][][タン][レン][][オン]!)うなされ微睡[まどろ]み話すのを聞いたのは素寒貧な零細現金売り服地商の[もと][じめ]ピーター・クローラン(解任済)、住所不定の元私設秘書オマーラ(地元での通り名は[みー][どぅん]ライザ)、何夜か過ごした場所は、湖沼[スオミ]深いことに、宿無し掛蒲団の下でアイスランド[しん][たく]の上、枕にした運命の石は男の膝や女の胸よりも冷ややか、そしてホスティは(一筋縄じゃいかん名前さ)星回りの悪い砂浜大道芸人[ビーチ・バスカー]麵包[ロティ]にも薄塗乳油[スクラップ]にもありつけず、ねだくりながらイスタケに[ちか][こっ][][][じん]の一棒手前、えらいひもじく、およそ何につけても憂鬱、(夜のミャンマスターさん、あんた[]ナッ[]ちっちを彼にあげたんかい!)[][][][]河辺[こうべ]をありわずらわせ、あれこれこはたれ企む手だて、どうにかこうにかこの民族[くに]でも免許さりゃ何奴[どいつ]かからパラベラムが手に入る、そしたら乗合でんでん[はね]出して路眠電車ダルイキー゠ダウンウレイアリー゠ボツラクロック線のどこかで[こう][しゃ]し外輪から壺入りすれば[まっ][ぽし][しょう][せん][しん][ぷく]禿[はげ][たん]しっちゃか安らか[モン][シァン]と狙撃の名酒が[シュン][スー]なやづがいをズドンとおねんねさせてくれるのによと思い巡らせており、というのも彼はグリセル夫人から家政婦の手伝いを受けつつ[じゅう][はっ][][げつ]以上も手段を尽くしサー・パトリック・ダン院から抜け出してサー・ハンフリー・ジャーヴィス院経由でアデレード[][つば]病院にある聖ケヴィンの寝床に入ろうと手練手管に

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音声解説
(不[][]のウェルネスゼイに混じる不治のウェルズレイから、[サント]イアーゴによりその[ざる][がい]帽にかけて、尊き[らい][じん]ラザールよ、我らを救いたまえ!)じぇりじぇり[わん]ぐるも[][かく]失敗に終わった。リサ・オデイヴィスとローチ・モンガンが(両者には多くの共通異点がエピサイキディカルに、またこう言って差し支えなければ、后斯敌[ホスティ][ユィー][トウ][ディン][シャン][][チィ][ウェイ][シー]破裂[ポーリエ][][シー][トウ]にあった)習わしどおり[すい][うむ][ぼう]の睡眠をスヤスヤ眠ろうと甘美に波打つ唯一の母たる寸胴型[タンブラー]寝卓をホスティと共にした、その様子は[しゅ][じゅ][しょう][しん][ゆう]土偶[でく][よう][いつ][われ][]のワイルドも[あと]うえるか、そして[せわ]しない[しっ][かい][あかつき]仲働きが([こと][]ぎのあて[ねえ][いき][づか]れの[][えん]に!)ちゃのこの間に鍋の蓋やらドアの黄銅やら学者の林檎ほっぺやら松明小僧の金具やらを磨いていると、べおこんこえぐれ[はく][にん][こさ]えてもう掬いようもねえ[はい][きり][ぎりす]、起死回生の大道芸人[バスカー]は(夜どおし[ゆめ]きすめき両[もと]との朝どら深紅ハムの後ではすっかり別人に)冴え目抜き通る寝広間の衆と(われらが若衆、とわれらがバイロンは呼んだ)親し無を込めて大釜[ザ・バレル]と称するその[ぶた][][いえ][][こる][ばし]り出て、エブリンの[][いち][しゅう]落を横切れば(当時の一行の[ミェン]にて経路と[けい][しょ]が奇妙に共鳴する线[シェン][ディェン]では[うわ][かつら][しも][せん][]と下車駅の下を現在乗車時点で[かん]ベニー半ベニー地下鉄[メトロ]が多々[てい][しん]到達中)クルース・フィドルの爪弾く音色、悶々くれもーもん、[チン]かとおもエヴァ[チェン][デン][デン]、ひねってうねって、あたりん、らいりん、パルランと、耳を優しく撫でられたのは饗宴王聖フィナティーの臣民、各々の煉瓦の家で[いく][れつ][いち][]畑にごろり、蜂蜜売りに[あま]こいラベンダーにボインぶいん[いき][][しゃけ]の掛け声にもからきしかまわず、あの待望のボラトリオのメサイアハンを大いに盛大に賞讃美すべくこぞって高飛車な口を開け、いまだ半醒半スウィィィィ、[うた]い手の実に立派な入れ歯の償還という[ぜん][てい]目的でささっと質屋に立ち寄ったのちにずうっと居座ろうと向かった先はクジャス広小路の[かい][しょ]、シュワワち、酒豪之[ねぐら]亭、所在地はキョールモア民有区[リバティ]の聖セシリア小教区、グリフィスの評価によれば、[やま][しし][そう]グラスストンの像が[あい][づくり]の歩みに[あやし][][あやか]る(最後のスチュワードかしらん)あの場所から千や一国民リーグも離れておらず、物語はすたすた進む、

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音声解説
そこでワクフォラディドゥラ三人組に合流したのは追加意図[みょう][にち]適用的な昔気質[かたぎ]系の寛大で真当な輩、ちょうど五斗米にヒュイっとありつき、おせじくちゃべり一同に([][][ことば]とな?)じゃんじゃんおそそな刺激物をその[めっ][]真当な輩はおごり、前の日を祝して男鹿昼食[スタッグ・ランチョン]からまた何杯かひっかけ、[ひの][さけ][]き合せた[][しゅう][][づら]を張りつつ、悪党一味は正規酒販店を去りながら(ブラウンの出だしに、憐れびりっけつの[もと]夲夲[][ほい][][れい][あい]p.[ピー]s.[エス]よろしく小もじもじと追い書く——お金ほしい。送って[おく]れ)くいち崩れのくちべらを袖でぬぐったが、[ぼっ][]らに[しょう][][][][あん][ほう][]させ([しゅ][えん][][えん][しょう][えい][ふえ][][][おん]!)韻律界を[いん][とう][いん][せい]にしたのはとあるタラレバラッド、その[][ろう][]に人類愛唄界はクマンなく表敬[ほう][]して然るべし、なぜなら彼が地球の全図まで音に聞かせた歌物語の主役ときたら、これほどまでに最低最悪のげどーもんごんにして至上最高の娯楽性権化たる者について世界が説明を求められたことはいまだかつてない。
  ほんまに言うとこの捩掛唄[ルービーン]あるいはオラが[たい][しょう]まねっこ遊び歌が初めて流れ出した場所ではリヴィアレ[みず][ながれ]が反乱しホウシ[のっ][こし]がまぐまる、そこへ影を落とすのは愛惜の立法者の像([エリ][][][][オウ][テン][トウ][ロン]! []けよ、[やま][うど]よ、生けよ!)、レンズター中の民という民であふれんばかりの二次集会が[たい][こう][いき]を充ち満たし、その心一つな超群衆が仮面の被りと顔面の煽りでその全層全断面をゆうに代表する(ワイン店やココア屋から注ぎ注ぎ流れ出て縦裂に充溢)われらがリフィ[]の民は(ここでは割愛するが、本土の少数派やその類いもワトリングやアーニン、イクニルドやステイン経由で遠路はるばる旅し、その[しゅう]長は一時停止中のコックニーカーに乗るハムズわしい[はく][][まん][てい][にゃ]、北のトーリーに南のホイッグ、東のアングリア年代記者に西の[まち][あれ]すったガーディアン)広範囲におよぶ、一方には[][]小路のひょろひょろダブリン坊たち、暇をもてあまして半ズボンに手を突っ込み[あや][うい][かん][シュィ]まりふぁ、なでかい[かわら]を吸っている、そして一緒にいるサボり兵士たち、羊毛三玉にポプリンで[しち][][どき]のパンを物色中、他方には多忙な仕事人紳士たち、ダンドリーリ髭のペールズマンが[ひと][むら][ひる][]にデイリーズへ、[さぎ]撃ち[][がも]外したラトランド低木荒地[ヒース]から[いやみ]笑いしいしいやってくる、

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音声解説
ヒューム通りから教会帰りに輿[こし]かけた婦人たち、片棒担ぎは噛まされた、隣接のモス庭園クローバー畑からは彷徨えるハムあんぽんたち、[かわ][はぎ]横丁の献身派神父、煉瓦職人たち、[]けれ[みん]が一人、もくもくタビネットを身に着け、妻と犬を連れている、老熟ハンマー職人は住み住む若弟子たちを[たが]ね、割裂[わっちゃき]闘士の喧嘩組、[たん][]持ちの羊もそれなりにいる、二人の青コート学徒、四人の文無し紳士はシンプソン院から[かま][かえし]へ、のっぺと野郎と[ろっ][ぱう]美人は壁蝨[だに][]亭の戸口でまだトルコ珈琲[コーヒー]やオレンジ洋酒[シュラブ][つき]合っている、ピーター・ピムとポール・フライにエリオットそして、おお、アトキンソンも、皮切り[えん][]の苦しみを年金受取人の根芋の肉刺[まめ]から受けている、そして忘れてはならないのが狩支度[べん][たん]のディアナどぅーし、ローマ式復活祭や剃髪[トンスラ]問題やギリシア東方帰一教会について[とく]と得心する特殊主義の聖堂参事会員、ぷらんと蹴っとけ、麗糸[レース]垂れ飾り頭が二人か三人か四人ほど窓辺にいつつ、その調子でどんどん見ていくとあちらには愉快なご老方が数名、[ほし][]で誓いを立ててからへべれけになり、できあがっていらっしゃるご様子、[しっ][たて][]タリーの通夜からは清白な少女、陽気な郵便小僧は一と三本の[かん]祭瓶で頭がいっぱい、[][かん][わらべ]が一人、[はり][えと][しょっ][こう]救貧院から来た[][][とう][だい][じょう]雲母[きらら]色ペティコートクの襞を離さず離さず話し[はな]ふき離さない、そのさまはまるで[かた][][きょう][てい][ちん][]かクウェーク・オレアリーのようだった。行き渡ったのは[かぶら]矢であろう、[そう]だそうだ、(目立てよ、民よ)そしてあのバラッドは、タヨチンボが『プルチネッラの[ぬり][ふに][おち][くれ]』で愛用したフェリブリ式催分法歩格に則し、あまりに赤削りな粗合わせの木版画を添えて一枚の白黒虚空紙[ブランコ・ヴィーデ]に切株[きっ][てん][しゃ]されたのち、デルヴィルの韻刷所にて私版されたが、ほどなくしてその秘密はひらひらと舞い、白い本道や茶色の脇道から風の薔薇や荒ゲル嵐の[][せい]に乗って緑の拱道から金色の格子窓、黒い手から桃色の耳へ、村また村と触れ伝い、スコーティア・ピクタ合衆国の五つの四遊び緑地を通り抜けた——それをふげにする者は、髪を泥びたしにせよ! そこへ旋律を添える(つとに平穏[ピース][]る)尺八[フルート]陛下、[さや]楽器の無二緩吟の王、純然たるピゴット[もの]、チュウェロ・アトソレリュートを、ホルンのデレイニー氏(デレイシー氏?)が、吟遊狂衆から大当たりに落ちが来るのを見越し、[まっ][とう]やからん帽の下から煙管[くだ]巻いたとき、財布[パース][]る同名の先人にいよいよ似通っていたのはガリアの面々も指摘したとおりだが、[つば][]りならわす前に、

44

音声解説
大唱の野山[おち][かみ][うた]を濡らす雪峰の巻毛[カール]、棍棒の高さまでふずくりフェズ帽をずらす「識者」ヒッチコックが聖杯の忠士たちへ[シィー][イー]していわく「若衆、[ろう][えい][ふえ][ろう]のお出ましだ」「[ファ][ティン][シャン][チン][スゥー][ヂン]!」(返り咲け五月柱[メイポール][]にし日の[ろう]ずる男も奮い立ち)、その詩歌が唱[えい]され齊唱洗礼された場所は旧関所、聖アノーナ通りおよび教会だった。
  こうして芝園の周辺を連は廻れん、斯くこの連をホスティは作った。発声。ボイル家にカハル家、スケレット家にプリチャード家も、[][][]しぴあ刺し、本当のはやしはストンと住まわん。ここに寝[]れる[こう][じん]は。ヴァイクとびるのも、マイクとみるのも、リンやフィンとだぶるのも、ルグ・バグ・ダン・ロプ、レクス、ラクス、ガン、ギンとはふるのもいる。アーサとあっすのも、バーサとばっすのも、コル、ノル、ソル、ウィル、ウィール、ウォールとすのもいるけど、[あし][あれ]をパース・オライリーとぱんするよ、[ほか][][]名はないもんで、あわや名無しになっちゃうね。一斉に。いよっ、行きやホスティ、[れい][]のホスティ、小粋やホスティ、連ほれ[うた]いん、やーれん、やーれん、熟練のレンの王。聴き此処[ここ]?(あるもおる)聴かれ何処[どこ]?(ないもおる)聴き過去[かこ]此処[ここ]?(ほかはある)聴かれ過去[かこ]何処[どこ]?(ほかはない)くるよ、くるうよ! わりいか、わるいか!(割れ[かえ])硝子ガラガラ。その(キュリッカーキュラッカーキュラッスカーキュロオッパーツクラッチャーバアッターキュレエッピーキュロオッティーグラアダックスェンミースァンミーノウィットゥアピュルウディーアプリョウディープコオンプコッット)。

諸兄姉、今こそ勇気を[アルディーテ、アルディーティ]
音楽キッカケ

「パース・オライリーのバラッド」
【楽譜の画像】原文楽譜画像提供: スティーヴン・クロウ。(Image adapted with the kind permission of Stephen Crowe.)

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音声解説
うわさの某ハンプティ・ダンプティ
ゴロゴロ落ちた素っ頓狂
へたれ込むオロファ・クロンプ卿
尻元にゃマガジン[よう]
 (斉唱)ほらマガジン[よう]
     灰燼[はいじん]だよう

かつては城の王だったあ
いまでは乾涸[ひから]びた菜っ[]
グリーン通りにて 有罪の判定
刑罰は監獄マウンジョイ
 (斉唱)監獄マウンジョイ
     投獄すりゃよい

やつぁうっうっ[うっ][とう]しい謀略の仕掛け人
民衆には[なまくら][ぐるま]と無原罪避妊
病人には[]乳、週[なな][にち]禁酒
[あお][かん]と宗教の改革
 (斉唱)あと宗教改革
     醜悪な性格

ありゃまたどうしてデキなかったん?
保証するわ、酪農家のダーリン
キャッシディ家の肥え牛よろしく
[つの]牛々[ぎゅうぎゅう]詰めのバター
 (斉唱)[つの]に詰まるバター
     [つの]に塗れバター!

(繰返し)いよっ、ホスティ、冷鬼[れいき]のホスティ、着替え上等!
連ほれ[うた]いん、熟練のレンの王!

   小悪党、吃り野郎[バルバッチオ、バルブッチオ]

[ちい][ちい]調達船[ちょうたつせん]茶席[ちゃせき]、チューインガム、[ちょう]チフス、中華[ちゅうか]町家[ちょうか]
広めたのはあの胡麻擂りの香具師[やし]

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音声解説
秘境[ひきょう]仕手[して]如何様[いかさま] 地元じゃそれが
チンプデンの最初の[しゅう]
 (斉唱)賭場でご用命
     川瀬[かわせ][まち]八百[やお]丁目

殿方[とのがた]は自社ホテルで贅沢三昧
その駄物と詐術と乱文[らんぶん]を焼き尽くせ
ほどなく副保安官クランシー 無限会社を閉鎖しい
頭取[ドン]を執行官が追放[バン]
 (斉唱)淫犯[いんぼん]は裁判
     ボンボンを降板

わが島に打ち寄せた不運
順風パンパンのヴァイキン[せん]
[がい][じん]にゃ敵わん やつぁエブラナ湾
「これでもくらげえ!」と無頼[ぶらい]艦団[かんだん]
 (斉唱)無頼[ぶらい][かん][だん]
     埠頭[ふとう]に来たん

どっから?と吠えるプールベグ。小判[コバン]飯店[ハンテン]、とやつの大声、妻子[チーズ]亡命[ワィンミン]をあつらわん
フィンガル・マクオスカー・オネシン・[][ゆう][じん]・ボニファ亭主[テイシュ]
[][らく][だい]諾威[ノーレグ]じゃそう呼ばレッテル
わりゃ[ろう][ラク]ダの諾威[ノーレグ]風情
 (斉唱)諾威[ノルウェー]落第[ラクダい]風情[ふぜい]
     多勢に無勢

いいぞっ、ホスティ、[せい][だい]にやれえ、色悪魔っ! [れん][はく][りょく]、なが[れん]ばかり!

清水を花園に蒔いたか
『看護新聞』によりゃ猿に夢中でいたか
われらが重量級異教徒 ハンファリーは何と
女子[をなご]にあんなことを
 (斉唱)おやまあ、どう[つくろ]う?
     女将の花が散っテルロー

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音声解説
恥知らずな[わら][あたま]の哲学者
淫らに馬乗り恐ろしや
やつが目当て 皆々が遠出
洪水前の動物園
 (斉唱)両社情緒[じょうちょ]纏綿[てんめん]
     ノアの鴛鴦[おしどり]やけん

ウェリントン記念碑んとこほっつき
やつはヒップをパタパタパタ按摩[アンマ]
乗合馬車の後戸を 野郎が開けんます
[すい]石銃で逝く寝台
 (斉唱)尻入れ地代
     六年は堅い

罪なき子たちゃいたたまれんわい
でも正妻の制裁にゃ気をつけんさい!
イアウィッカーどんを カミさん見たら
飛んで火に入る鋏虫[はさみむし]
 (斉唱)阿修羅の域
     やつぁ虫の息

ソフォクロース! シャイクスパワー! シュッドーダント! ナヲモーセ!

自由貿易ゲール人合奏で大団円
北欧の腐乱児は葬土
埋めてやるん 墓はオックスマンタウン
悪魔と死んだデーン人
 (斉唱)聾啞[ろうあ]のデーン人
     あの世じゃ風塵

全力あげた臣民の総勢
できなかった紙体の蘇生
地獄の呪文も コナハトの秘義も
 (二回)阿鼻[アビ][きょう][カイン]は起こせない

翻訳 早川健治
校閲 今関裕太
中国語協力 伊勢康平